第6戦 モナコGP 2004
2004年05月17日(月)
クリスチアーノ・ダ・マッタ - モナコGPに向けて
モナコでのレースは楽しいけれど、モナコは、他のサーキットとは明らかに異なる。僕はアメリカで公道サーキットのレースをたくさんやってきたので、それ自体に対してはそれほど違和感はなく、実際のところ、速く走るための準備というのも、他のサーキットとは変わりはしない。しかし、モナコは難しいし、容赦もない。常に101%の注意をはらっていなくてはならなくて、1秒たりとも気をそらすことができない。
どこのサーキットであっても、多かれ少なかれ途切れない集中力というのは要求されるけれど、サーキットによっては集中力を欠いたとしても、どうにかやり過ごせる場所もある。つまり、ミスが出てしまったとしても、何とかなるサーキットもあるわけだ。けれど、モナコではミスを犯すなんて贅沢は許されない。
2003年に初めてこのコースを木曜日に走ったとき、満足いくタイムを出すことなんてできなかったし、覚えるのがすごく難しいコースだというのが感想だった。土曜日になって、ようやく調子がつかめてきて、レースでは、できる限りの力を出すことはできた。あれ以上の成績を出すためには、もっと速いクルマが必要だったんだ。
もちろん、僕は限界まで挑戦を続けて、できる限りの力を出しつつ、前を走るドライバーがミスするのを待ち受けている。けれども、前を走っているドライバーというのは、大きなミスを犯さない限り、抜かれることがないのがわかっていて、自信を持って走れるから優位にある。だから、100%の力を出すドライビングから99%のドライビングにして力を抜くことができるので、この少しの余裕でミスも出なくなる。そうなると、モナコというコースの特徴からも、自分のポジションを守るのは簡単になってくるんだ。もちろんその逆もあって、後ろの誰かを抑え込むのが、僕にとっても楽なトラックであるということでもある。
だから、燃料をセーブしてピットストップのタイミングを遅らせたり、または逆に早めたりという戦略で戦っていかなくてはならない。コース上でパスすることが容易でないならば、ピットで何とかする作戦が不可欠になってくるんだ。
僕は、2003年の1月にモナコに引っ越しして、結構気に入っているよ。僕の故郷はブラジルだし、ブラジルが僕にとって本当の家だと思っている。一番住みたい場所はもちろん故郷だけれど、もし、ブラジルに住まないのであれば、ヨーロッパではモナコは悪くない。
何が気に入っているかというと、一番には天候が良いことだね。他のヨーロッパ各地より気候も数段良くて、ビーチにも行ける。また、トレーニングをするにも良い場所だ。スイミング・プールが家の近くにあって、ランニングする場所や、マウンテンバイクで走れる場所もたくさんある。念のために言っておくけれど、僕はここに住んでいるからと言って、一年中暇を見つけてはグランプリコースを走って、コースの習得に励んでいるというわけではないよ・・・。
レース期間中に一番違うのは、普段静かなこの街に多くの人が来るということだ。いつも僕はモナコに居るときは夜に外出することはあまりないけれど、グランプリの期間中は街のにぎわいといったらすごいんだ。
昨年は、ピットの位置の関係で物の運搬が大変だったけれど、今年は新しいピットになっているから、仕事のしやすさは改善されるだろうね。昨年までのピットの場所はチームにとっては最悪の仕事環境だったけれど、ファンにとっては最高だっただろうね。というのも、実際にファンから色々と見える場所に僕たちは居たわけだからね。他の場所だと何も見えないこともあるからね。今年の新しいピットが、メカニックにとって、そしてファンにとってどのような状況となるのか、楽しみだね。
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