第6戦 モナコGP 2004

2004年05月25日(火)

オリビエ・パニス - モナコGPを終えて

モナコで選手権ポイント4点を獲得できたことは、チームにとって、満足出来る結果だった。僕にとっても、スタートでエンジンが停まり、ピットレーンからスタートとなったこのレースで、8位に入賞できたのはうれしかったよ。クリスチアーノにも、そして僕にも、レース中には色々とドラマがあったけれど、2台揃って得点できたことは、とにかく素晴らしい。シーズンの序盤から、なかなか好調の波に乗れなかっただけに、このダブル入賞でチームの士気とやる気が維持できるよ。

モナコは高いダウンフォースが必要なコースだけれど、現在、このようなタイプのサーキットで必要となっているダウンフォースがわれわれには不足している。僕らのクルマは、低速のコーナーがあまり得意ではないし、トラクションのかかりがそれほど良くもない。悪いとまでは言わないけれど、全てはダウンフォースの不足に関係してくる。もっとダウンフォースがあれば、グリップ力があがるし、もっとトラクションがかかる。縁石だってうまく越えられるようになる。つまり、全てうまく行くようになるんだ。

トヨタチームの良いところは、誰も決して諦めないことだ。僕らができることは、今あるものの力を最大限に引き出して、全力を尽くすということだ。モナコは何が起こるか予測のつかないグランプリだ。今回のレースだってそれが証明された。グリッドポジションが13番手と15番手から6位と8位の入賞は、はじめから期待された結果とは決して言えないものね!

1996年にモナコで優勝できたのは、僕の中で最高の思い出だということは間違いないね。F1ドライバー全員がモナコで勝つことを夢見ているけれど、僕はそれを成し遂げたんだ。モナコは僕の大好きなレースだけれど、あの年が特に良かったのは明らかだよね。それから、続く1997年もクルマの調子が良かったのでレースを楽しめた。その年、僕はカナダでアクシデントに見舞われるまで、ドライバーランキングでは3位につけていた。その年のモナコでは、ウエットコンディションの中、Gフィジケラと大接戦を演じて4位に入賞した。今回のモナコでのポイント獲得は、1997年以来ということになるね。

今回、モナコに向けて、特にひとつのことに注力して準備をしたということはなかった。土曜日朝の練習走行で、僕はちょっと苦戦して、クルマのセットアップにあまり自信を持てなかった。モナコでは、些細なミスがリタイヤの原因となることを考えると、100%クルマに自信を持っていなければならないんだ。そこでマイク・ガスコインと僕のエンジニアと話し合い、基本的なことを見直してベストを尽くすことにした。みんながすごく努力してくれたおかげで、続く予選で頑張ることが出来たのがうれしかった。

予選では良い走りができて、クルマの性能を100%引き出すことが出来たと思っているよ。エンジニアとメカニック達も仕事を的確に行ってくれた。でも、あれ以上の結果を得るには、もう少しスピードが足りないね。これには、誰もが苛立ちをおぼえるし、残念なことだとは思うけれど、僕らはとにかく頑張っていくしかないんだ。

ホッケンハイムのレースが行われる7月頃にTF104Bが投入されれば、ダウンフォースレベルに関して言えば、大きな改善となるのは間違いないだろうね。僕たちが思っていたより投入が少し遅れているけれども、だからこそ、このクルマが大きな進歩になることを期待しているんだ。急いで充分に開発されていないクルマが来るよりも、きちんと進歩しているクルマを待っている方が良いと思うしね。今の僕たちがやらなければならないのは、モナコでやり遂げたことを同じように続けていき、やるべきことをしっかり実行し、そして、ポイント獲得のチャンスを逃さずにものにしていくことだよ。

僕はモナコの雰囲気が大好きだよ。観客との距離が最も近く、誰もが楽しんでいるし、観客が名前を呼んでいるのが聞こえてきたりして、とても親密な感じがする場所なんだ。

一旦クルマに乗り込むと、目線は低く、ガードレールに囲まれて雰囲気は一変する。市街地にいるんだということを、ひしひしと感じるんだ。予選のタイムアタック中にそれを感じることはさすがにないけれど、コースインの周やピットインの周には、皆が旗などを振っているのが見えたりするからね。

モナコは特別な場所だけれど、追い抜きがとても難しいという点でちょっとフラストレーションがたまる。1996年にはたくさんのトラブルの後、ウエットコンディションの中で7台をパス、そして誰よりも先にピットインした。3位で走っていたそのときでも、まだまだ猛烈に頑張らなければならないということが分かっていたし、そのような状況になれば、できる限りのリスクを背負ってでも攻めるものだ。しかし、一方でグリッドの真ん中あたりからスタートして、表彰台を狙うのが難しいという状況なら、ミスしないように集中してポイント獲得を目指していくべきなんだ。今回の日曜日が良い例だね。決勝日に僕はブレーキに大きな問題を抱えていた。だから、ポイントの獲得のチャンスがあるのを分かっていたこともあって、とにかくチェッカードフラッグを目指して堅実に走り、そしてポイント獲得を達成することができたんだよ!