第7戦 ヨーロッパGP 2004
2004年06月01日(火)
オリビエ・パニス - ヨーロッパGPを終えて
ニュルブルクリンクは得意なサーキットとは言えないけれど、それでもドライブするのは楽しんでいるよ。レースとしては、なかなか難しいし、追い抜くのも簡単ではない。このサーキットは低速コースと思われているけれど、本当のところそうでもない。確かに、コースの前半はとても低速だけれど、後半部分は中・高速となっているので、機械的にも空力的にも妥協点を見つけなくてはならず、全周にうまく適応できるバランスを見いだすのがなかなか難しい。
ニュルブルクリンクへは、モナコで4ポイントを獲得した後に乗り込んだわけだけれど、ヨーロッパGPでポイント獲得を目指すのはかなりのチャレンジだということは分かっていた。それでも、僕らは金曜日にはやるべきことを着実にこなし、週末のレースに向けてしっかりとしたセッティングのベースを見つけるために全力を尽くしたよ。
まず、金曜日というのは、タイヤの選択のために費やすようなものなんだ。特に、ニュルブルクリンクは、他の殆どのサーキットに比べてどのタイヤを選ぶかが非常に重要なキーになってくるんだ。結局、僕らは、後半での摩耗が激しくなるけれど、柔らかめのタイヤの方がセッティングに合っているという決断で、ソフトタイヤの採用を決定したんだ。2回目の練習走行では、最後にセッティングを確認するためにニュータイヤを装着して走ったけど、ミナルディーのBレインダース選手がもう少しで僕に接触しそうになったから、きちんとタイムアタックをすることができなかった。ちょっと悔しい思いをしたね。
僕もクリスチアーノも予選では良い走りを見せることができた。僕らは、決勝でスタートから10周は走行できる燃料を搭載してタイムアタックした。この戦略は、今シーズンのこれまでを考えるとそれほど積極的なものとは言えないけれど、グリッドの10番手からであれば、ポイント獲得も十分に可能だと思っていたんだ。今回のグリッドポジションは、現在の僕らのパフォーマンスレベルを如実に表していて、タイム的には2番手グリッドの佐藤琢磨選手から0.7秒しか差がない。これは、今後のシーズンに自信が持てる数字だと言えるね。
正直、僕のスタートがうまく決まってうれしかった。1コーナーでちょっとリスクを犯したものの、8位に順位を上げることができたからね。トップグループについて何周か走れていたんだけれど、そこからタイヤのグリップがかなり落ちてしまって、それで勢いを一挙に失ってしまったんだ。この瞬間、僕らにとっては苦戦を強いられるレース展開になると悟らなくてはならなかった。
レース中に僕らが抱えた主な問題といえば、このタイヤ性能の落ち込みそのものだった。かなりグリップが低下した状況の中で、安定したラップを刻むことができず、僕らは背後にいた2ピット作戦のクルマを抑え込むことにとても苦労した。そんな中、Nハイドフェルド選手に抜かれたのは不運だった。Mシューマッハー選手が後ろに来たので追い抜かせるようにと青旗が振られたとき、僕にとっても大事な場面だったけれど、追い抜かせるために道を譲らなくてはならかった。このとき、残念ながら2秒ほどを失う結果となってしまって、順位を落とすことになってしまったんだ。
僕らには決勝で速いクルマが必要なのはわかっていて、チームはシーズン後半に投入する改良型パッケージの開発に全力を尽くして取り組んでいる。今できることは、頑張り続けることしかないんだ。今後はカナダとアメリカの2連戦があり、今週の予定は、2連戦に向けてモンツァで2日間のテストを行うことになっている。繰り返しになってしまうけれど、チーム全体が厳しい状況下にあっても本当に頑張っていることを強調したいし、そして絶対に近い将来結果が出せる自信が僕にはあるよ。
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