第8戦 カナダGP 2004

2004年06月07日(月)

クリスチアーノ・ダ・マッタ - カナダGPに向けて

残念な結果に終わってしまったニュルブルクリンクでのレースを終えた後、僕らはシルバーストーンでテストプログラムの実施に忙しくしていた。3日間にわたって、7月に行われるイギリスGPに向けてのタイヤ比較をはじめとして、その他にも多岐にわたってテストを行い、手応えも十分だ。それに加えて、レース用にセットアップの作業も行っているから、その成果がレースでうまく出てくれるといいんだけどね。僕の今週の仕事は、イギリスGPに焦点を当てたもので、その間、オリビエ、リカルド、そしてライアンがモンツァでカナダGPとアメリカGPに向けた性能向上に関するテストを行っている。

2連戦というのはとても大変だ。限られた時間の中で計画通りに全てが進むようにしなくてはならないから、チームのストレスが自然といつもよりは大きくなってしまうんだ。けれど、ドライバーの立場から言えば、さほど大きな違いがわるわけではない。というのも、レースが無くても、僕たちはテストで走らなくてはならないわけだから、忙しさで言えば同じことなんだ。もちろん、移動するのは大変だけれど、カナダの前の数日間はブラジルで休養する予定なので楽しみにしているんだよ。

モントリオールのサーキットは、テクニカルでドライブし甲斐のある良いコースだ。ここは、シーズン中のレースカレンダーの中でも、高速サーキットのひとつで、エンジンのパワーとブレーキング時の安定性が重要視される。データでは、僕らのクルマはこのコースに適していると出ているから、実際にそうあって欲しいと思っているよ。2002年のCARTレースでは、僕はモントリオールで2位になっているし、F1では去年、サスペンションが音を上げるまでは良いレース展開だった。

2003年に、僕は予選で9番手を獲得。これは、ドライコンディションで走行できたのがほんの数周であったことを考えれば、上出来だと言える。決勝では残り6周になったところで、サスペンションのトラブルが発生してしまったけれど、それまでは問題のないレース展開だったんだ。何が悔しかったって、リタイヤしたということ自体よりも、その時点でシーズン2回目となるポイント獲得をリタイヤで逃さなくてはならなかったということだね。チームにとっての救いといえば、オリビエが僕のすぐ後ろを走っていたので、ポイント獲得は達成することができたことだね。

今年に関して言えば、他のチームが不運なレース展開を強いられない限り、僕らが自力でポイント獲得圏内で競争力を発揮することは難しいかもしれない。もちろん、それでも僕らは全力を尽くすよ。僕らにはパワフルで信頼性の高いRVX-04エンジンがあるのだから、後はクルマのバランスをそれに合うようにしなくてはならないね。これは、金曜日の練習走行で注力する仕事になる。

イモラサーキットと同じように、モントリオールでも縁石が良いタイムを出せるかどうかの重要な要素になってくる。クルマがうまく縁石を越えることができないのであれば、つまりそこでは競争力を発揮することはできないということなんだ。今年のイモラでそうだったように、僕らのクルマは縁石をうまく越えられるようになってきている。イモラでは、TF104のハンドリングはなかなか良く、クルマの持っている性能は十分に引き出せた。それで、あの10番手グリッドを獲得できたんだ。

カナダGPは、レース週末の雰囲気という意味では、最高のムードで行われるレースのひとつだよ。街のみんながF1を支えていて、ドライバーは、それを肌で感じることができる。僕の個人的な意見になるけれど、こういうファン達の姿勢っていうのが、F1には必要なんだと思うよ。

ここ数日、新しい予選方法が導入されるかもしれない、ということを耳にする。20分間のセッションを2回行って、その時間内で6周を走行して、両セッションの最速タイムを合計して決勝グリッドを決定するということらしい。僕は、この新方式はなかなかおもしろいんじゃないかと思う。特に、両セッションでの最速タイムの平均が予選タイムになるというところなんかね。以前がそうであったように、短かい時間内で燃料の少ない状態の20台がタイムを争う光景を見られるというのは、観客にとっても良いことだと思うよ。この方式で行われるモナコなんかは、特におもしろくなると思うね。