第10戦 フランスGP 2004

2004年07月03日(土)

高橋敬三DTCに聞く:予選

タイムこそ伸び悩んだが、ロングランのデータは上々。連続入賞に自信

インディアナポリスでの5位入賞で士気も高まるチームトヨタ。ここマニクールはオリビエ・パニスの母国でもあり、二重に期待がかかるレースだ。昨年、改修が行われたマニクール・サーキットは1周4・411km、17個のコーナーがある。昨年はパニス、クリスチアーノ・ダ・マッタともに完走を果たし、パニスが8位に入賞とトヨタにとってはゲンの良いコースだ。コースの特徴としては非常にスムーズな路面が挙げられる。

ドイツGPでのデビューが噂されるニューカーTF104Bの開発に全力を注いでいるのか、今回のクルマ変更はそれほど多くない。「電子制御のトラクション系をヘレスでテストしてきました。エンジンも多少スペックを変えてきていますが、しいて言うほどではありません。信頼性を高めてきているので、レースでのエンジンの使い方に自由度が増したという程度ですね」と高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)は言う。

金曜日、天気は曇り、気温も21度と過ごしやすい天候だった。午前11時からの1回目の公式練習の時には路面温度31度、湿度57%となっていた。午前中のセッションは後半に雨が降り始め、路面が濡れた後、また晴れ間が出て乾くという難しいコンディションとなった。そのため、ダ・マッタは5周、パニスもたったの4周しかできず、それぞれ10番手、11番手だった。ゾンタは18周走ったが、途中コースアウトしてリヤのブレーキに砂を噛んでしまい、しばらく走れずにいた。

ランチタイムには、またもや大粒の雨が降り出したが、午後のセッションまでには止み、気温26度、湿度71%という蒸し暑い中で2回目のフリー走行は行われた。しかし、路面が徐々に乾き始めたセッション終盤15分でまたもや雨が降り出す。ダ・マッタは路面状況がいい時にニュータイヤを履いてこのセッションのトップタイムを出すが、「大きな意味は持たない」とそれほど嬉しそうな様子ではなかった。パニスは11番手、ゾンタは15番手だった。

「金曜日は、普通は基本セッティングを出すことと、タイヤを選択することが一番重要な仕事なのですが、この天気のおかげで全く仕事ができませんでした。本当のドライで走れたのはほとんどなかったので、タイヤの減りや、タイムの落ちなど、レースを戦う上で重要なデータが全く取れていない。一応、明日の午前中の走行までタイヤ選択は行えることとなったが、そうなるともう1セット余分にテストしなくてはならなくなる。今日中にタイヤを決めてしまってレースセッティングを詰めるか、明日もう一度タイヤの比較をするか。非常に悩ましいところです」

土曜日は気温も上がり、天気も曇ってはいたが雨は降りそうもなく、安定した天候となった。
「タイヤは昨日のうちに決めてしまいました」と高橋DTC。午前中のフリー走行で、昨日できなかったロングラン、レースセッティングをこなし、さらに予選用のセッティングまで決めなくてはならない。

「最初のうちは気温も低く、路面温度も低かったのでタイヤのグレーニングが出てしまって、セッティングするような状況ではありませんでした。ミシュラン・タイヤにはちょっと路面温度が低すぎたようです。ほかのチームも同じような状況だったはずです。最後の方には路面温度も上がり、グレーニングも出なくなってセッティングできるようになりました」

フリー走行の結果はパニスが5番手、ダ・マッタ11番手とまずまずの速さを見せてくれた。
「普通は金曜日にやることを土曜日の半日でやった割には、ほぼ仕事をこなせました。ただ、予選の結果を見ると狙った順位よりも悪く、残念な結果に終わってしまいました」

1回目の予選は、先に走ったパニスがタイヤの空気圧が低すぎたためにボトミングに悩まされた。そのため、後から走るダ・マッタはタイヤの空気圧を調整して出て行く。パニスは11番手、ダ・マッタ10番手だった。クルマが多少アンダーステア気味だということで、2回目の予選に向けてはウイングを調整し、燃料を補正した程度で挑んだ。

2回目も先に走ったパニスはまだボトミングするクルマに手を焼きタイムが伸びない。ダ・マッタの方は、ここでも再度タイヤの空気圧を調整し、ほぼ納得いくバランスが得られたのだが、意外にタイムは伸びず11番手。パニスは14番手に沈んだ。

「非常に接近した予選でしたが、そのなかで一番後ろだったというのが、非常に残念です。特にパニスはセクター3でクルマが跳ねてしまって、ダ・マッタに比べて0・4秒ほどもロスしてしまった。でも、明日のレースに向けてはロングランのデータも悪くないし、十分ポイントを狙える自信はあります。天気予報も明日は気温が30度近くまで上がるということなので、ミシュラン・タイヤにとっても良い条件となるはずです。明日、予報どおり気温が上がるとしたら、ミシュランは非常に安定したタイヤを用意したと思います」

気温、天気に苦労したフリー走行と予選だったが、レースに向けて天気も安定するようで、チームの成績も安定しそうな気配だ。