第10戦 フランスGP 2004

2004年07月04日(日)

高橋敬三DTCに聞く:決勝

原因不明? 予想外のタイムの伸び悩み。次戦イギリスGPで出直し

日曜日は予想通り気温も上がり、雲ひとつない快晴となった。レース前、その天気を見て高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)は「天気も作戦通りですね」とレースに向けて自信をのぞかせた。暑くなったほうがミシュランタイヤの性能を生かしやすいからだ。

「先週のヘレス・テストでは路面温度50度近くのなかでテストをして好結果を得ていますから。昨日のロングランでは1分16秒台で安定してラップできてますし、問題ないはずです」。しかし、レースではその自信がもろくも崩れてしまった。

午後2時のスタート時には、気温は27度まで上がり、路面温度も43度となっていた。最初の誤算はスタートだった。スタートのシグナルが消える前、オリビエ・パニスのマシンが一瞬動く。その間にスタートとなり、パニスは出遅れてしまう。

「パニスのスタートのミスは、クラッチにトラブルが出てクルマが動いてしまい、それにアンチストールシステムが作動してしまったため、スタートが遅れてしまいました」。そのため、パニスは最後尾まで順位を落としてしまった。クリスチアーノ・ダ・マッタもスタートで1台に抜かれ12番手で1周目を終えた。

ここから追い上げたいトヨタの2台だったが、思ったよりペースが上がらない。ダ・マッタは1分17秒から18秒のタイムで前のクルマに引き離され始めていた。一方、2周目にはミナルディの2台をかわしたパニスだったが、ジョーダンのハイドフェルドがなかなか抜けずにいた。ラップタイムは1分19秒から20秒台と遅いのだが、抜くことができずに引っかかってしまった。結局、最初のピットストップまで、その背後で我慢の走行を強いられた。最初のピットストップはダ・マッタが11周目、パニスは13周目だった。

「走り始めてすぐにダ・マッタからグレーニングが出ていると無線で伝えてきました。タイヤの空気圧も合ってなかったみたいです。1、2セット目のタイヤは空気圧が高かったようで、調整しました。後半は空気圧も合っていたようですが、ペースは上がりませんでした」

その後、ペースは上がることもなく。淡々とした形でレースは進んでいった。順位もパニスはジョーダンの2台をかわしたものの、トヨタの2台は、13、14位あたりを走っていた。

「路面コンディションは予想通りでしたが、タイヤが予想に反してグレーニングとデグラデーションが出てしまい、思うようなペースで走れませんでした。何が起きたのかは、今の時点ではわかりませんが、ミシュラン勢全体にいえるトラブルのようです。データを見て、ミシュランともよく話さないと何とも言えませんね。通常、このサーキットは走れば走るほど、デグラデーションが良くなるはずなんですが。それがレース後半になって逆にタイムが落ちてきていた。ヘレスでは路面温度が50度になるような条件だったけど、こんなことは起こりませんでした」と高橋DTCも予想しない状況に困惑気味だった。

結局、トヨタの2台は3ストップの作戦を採るが、最後までペースを上げることはできず、ダ・マッタが14位、パニスが15位と下位での完走を果たすのが精一杯という状態だった。

「タイヤの問題を除いても、マクラーレンやウイリアムズなどが今回、クルマを大幅に改良してきて速くなってきました。我々ももっとクルマの改良を進め、一刻も早くポテンシャルアップを目指すつもりです」

次戦は、昨年、一時トップを走行したシルバーストンだけに、巻き返しを図りたいところ。アメリカGPでの勢いを取り戻し、ポイント獲得を期待したい。