第10戦 フランスGP 2004

2004年07月06日(火)

オリビエ・パニス - フランスGPを終えて

インディアナポリスのアメリカGPで4ポイントを獲得できたことで、ここ数ヶ月の努力が報われた。僕は、レーシングドライバーだから、ポイント圏外より、ポイントを獲得してフィニッシュする方がいいに決まっている。でもまだ勝利には至っていない。勝利は、トヨタの皆と同じく僕の目標だ。インディの結果以上に満足したのは、僕らが高いレベルのパフォーマンスを示せたことだ。僕は、決勝中、Mシューマッハーに0.6秒とせまる4番目の最速ラップタイムを記録し、これは、チーム皆の良い刺激となった。

インディのお祝いの後、僕はマニクールに行く前の水曜日にパリのシャンゼリゼ通りで行われたランデブー・トヨタのイベントでとても楽しい時間を過ごした。長い時間にわたってサインをしたり、ファンと話をしたりと有意義だった。F1に対する意見をファンから聞けるというのは貴重な時間だと思っている。

マックス・モズレーがFIAの会長を辞任することについて、僕はとても驚いた。マックスは、10年前にアイルトン・セナやローランド・ラッツェンバーガーが亡くなった事故が起きたときなど、F1界が直面した困難な時代から責任者を務めていた。大変な仕事だ。Mシューマッハーが言うように、全てに賛同できないかもしれないけれど、彼がモータースポーツ界に、そして特にF1に対して素晴らしい貢献をしてくれたことは否定できない。彼の後任者となる人物が、今後更なる発展をもたらしてくれるのかどうかがとても興味深いところだ。

2006年からのテクニカル・レギュレーション変更案について意見を言うことは容易なことではない。サーキットにおいて納得の出来るクルマの安全性を保つのは重要であり、また、多くの人達が経費について懸念材料が色々とあるというのは理解できるが、変更には熟慮を重ねる事が大切だと思う。僕らは、われわれが「ショー」としているレースを、サーキットに来ている観客にも、テレビの視聴者にも、もっと楽しめるものにしていかなくてはならないと思う。F1は既に素晴らしいスポーツだが、もっと良くしていけるはずだ。

もしクルマが速すぎると感じるなら、僕は、レースドライバーを辞めて家に居ると思うよ!いや、冗談じゃなく、今後、将来的にスピードに対して上限を設けなくてはいけないようになっていくだろうけれども、先にも言ったように、それは、とても慎重に進めなくてはならないことだと思うんだ。現状に満足すること無く、クルマとサーキットの安全は進化させ続けなくてはならないことは変わらない。だが、行き過ぎた安全対策になってしまわないようにも注意しなくてはならないと思うよ。

マニクールのレースに関しては、全く良い週末だったとは言えないね。昨年のように、ポイントの獲得ができると期待していたのに、大変な週末となってしまった。インディアナポリスでは、ダウンフォースが足りなくても、それほどの支障ではなかったのだけれど、フランスではそうはいかなかった。ダウンフォース不足に関しては、われわれも認識している問題であって、だからこそ、ケルン工場内の風洞施設では空力部門が全力で改善への努力を重ねてくれている。週末のレースでは、練習走行中に安定しない天候に翻弄され、セッション時間を活用しきれなかった。僕の予選セットアップは良くなくて、何カ所かでクルマが路面に底着きしてしまった。これまで何度もトップ10グリッドの実力を見せながらも、今回の予選結果は14番手だった。そして、決勝では、スタートでクラッチにトラブルが発生し、オープニングラップで最後尾にまで落ちてしまった。そこから力の限り頑張ったけれど、18台が完走したレースで順位を上げるのはあれが限界だった。

シルバーストーンは、ここ11週間で8つ目のレースとなる。あまりの忙しさに地面にしっかり立っている時間がないような気持ちさえしているよ!ドライバーは別にして、レースチームのスタッフや、工場で働くスタッフたちは、この過酷なスケジュールに忙殺されている。レースをしている僕たちドライバーにも、身体的に過酷なスケジュールであることは間違いないけれど、僕らは工場の人達よりは少しリラックスする時間が持てていると思う。今は、全員が110%の力を出して働き、7月25日のホッケンハイムに投入する改良車を製作してくれている。僕のやる気も自然と最高潮まで高まってるよ。僕はこのクルマでスタッフの努力が実るのを見たいし、僕がこれまで頑張った2シーズンの結果をしっかり出していきたいと思っているよ。