第11戦 イギリスGP 2004

2004年07月13日(火)

オリビエ・パニス - イギリスGPを終えて

僕は、シルバーストーンが好きだ。アクセル全開のクラブやウッドコートのコーナーがあった頃、どれだけのスピードが出るかを確かめるのが面白かった。しかし、時間の流れと共にコースも変わる。だが、シルバーストーンはその特徴の多くをとどめている。レーシングドライバーは、高速の攻め甲斐のあるコーナーが好きなので、シルバーストーンの複合ベケッツコーナーは、僕らがレースをしているサーキットの中でも最もエキサイティングなセクションのひとつだ。

このセクションは、全てがうまく行けば、リズムに乗れて流れるような走りができる。それができれば、とても満足だ。しかし、風には気をつけないといけない。シルバーストーンは第2次世界大戦時代に造られた飛行場なので、平坦でひらけた場所にある。だから、風には敏感なんだ。また、超高速サーキットでもあるので、バルセロナと同じように風がクルマのハンドリングに大きく影響を及ぼす。

シルバーストーンに持ち込んだ僕らのクルマは、コースレイアウトからいってパフォーマンスを発揮できるものと期待していた。しかし、意に反して、不運にも予選セッションと決勝との両方で全く僕のミスではないトラブルに見舞われてしまい、期待していたような走りが出来なかった。

実際、予選の走りは良かった。だからこそ、ピットに戻る周に起きた事にはすごく動転した。チームとの連絡がうまく取れず、マッサがすぐ後ろにまで迫ってきていることに全く気付かずにいた。そして、彼をミラーで確認できた時、僕はすぐに彼の走行ラインを開けるようにしたんだ。今回のことは、決して意図的にやったわけではない。後で彼には謝りはしたけれど、彼の邪魔になるようなことはなかったと思っている。頑張ってクルマの性能を引きだした走りが出来たのに、審査員達が僕の予選タイムを抹消したのには、困惑させられた。

僕は、どのグリッドからスタートしようと、どんなに困難な状況であろうと諦めないし、やる気満々でレースに臨み、全力を出し尽くしている。われわれは、タイヤ評価を行う金曜日の練習走行でタイヤの選択を確定できなかった。その後、ミシュランの2種類のタイヤから、柔らかめのタイヤを選択したのだけど、それが最初のスティントで効果を発揮してくれなかった。オープニングラップで2台のミナルディをパスしたけれど、その後はジョーダンのNハイドフェルドに引っかかってしまった。そして消火器の故障が発生し、それによって戦列を離れる結果となってしまった。

消火器は、予定していた最初のピットストップの直後に突然に噴出した。消火剤がステアリングとかヘルメットのバイザーとか、至る所に撒き散って、何も見えなくなってしまった。それで僕は、グラベルベッドに突っ込んで止まった。これが散々だった不幸な週末の終わりだった。

チーム全体がホッケンハイムで状況が好転することを待ち望んでいると思う。僕らはホッケンハイムで初レースを迎える改良型のTF104Bに期待をしている。工場のみんなが頑張ってこのクルマに込めたものが進歩を示すことを望んでいる。このクルマは、今年劣勢にある空力の分野で特に改良が加えられている。しかし、どうなるかは、レース週末の金曜日、最初の練習走行の状況を見るまでは分からない。今週、ヘレスで短時間のシェイクダウンテストを行うけれど、多くの空力パーツはホッケンハイムの現場で最初にお目見えすることとなる。忘れてはならないのは、ホッケンハイムが開発作業の最終地点ではなく、チームは残されたシーズン中も全力でパーツの開発作業を進めていく。