第12戦 ドイツGP 2004

2004年07月25日(日)

高橋敬三DTCに聞く:決勝

残念な結果だが、ポテンシャルの高さを実感。次戦では良い結果が出せるはず

日曜日は青空も見え、良い天気となった。それでも例年の暑いドイツGPのような気温30度を超えることはなかった。レースが始まる午後2時の気温は27度、路面温度46度だった。「日曜日は28度くらい、雨は降りませんね」と金曜日から言っていた高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)の予報はピタリと当たった。

スタートでチームにとっては信じられない出来事が起こった。何と、9番手からスタートのオリビエ・パニスが、フォーメーションから戻ってグリッドについた所でエンジンストールさせてしまったのだ。これによりスタートはやり直しとなり、パニスは最後尾からのスタートとなるのだが、2度目のフォーメーションに出ようとしたパニスのクルマの前をメカニックが横切り、これに驚いたパニスはブレーキを踏んで、再度エンジンストールさせてしまう。これにより、パニスは最悪のピットスタートとなってしまった。

「パニスがエンジンストールさせてしまった原因は言えませんが、深刻な理由ではありません。ただ、あのトラブルが全てでしたね」とがっくりと肩を落とす高橋DTC。クリスチアーノ・ダ・マッタは15番手スタートながら、好スタートを決め、1周目には11番手まで上がっていた。しかし、その後はジャガーのクリエンに行く手を阻まれてしまう。「ダ・マッタは、最初はジャガーのクリエン、その後はジョーダンのハイドフェルドに抑えられてしまいペースを上げることが出来ませんでした。それで、2回目のピットストップを早めることにしました」

1回目のピットストップはダ・マッタが10周目、パニスが11周目。その後、ハイドフェルドに詰まったダ・マッタは22周目に2回目のピットストップに入った。パニスは29周目だったことからみても、かなり早いタイミングだったことがわかる。

ダ・マッタは単独で走ると1分15秒台の前半のペースで走れるのだが、2回ストップのジョーダンのハイドフェルドは1分17秒台から18秒台とかなり遅いペースだった。ピットスタートから徐々に追い上げていたパニスは、2回目のピットストップに入ろうとするころには11位くらいまで順位を挽回していた。ペースは悪くなかったが、こちらも遅いクルマに引っかかって、思うようなペースで走れないでいた。

「結局、予選の順位を上げないとレースも前に詰まって走れない。今回はまだセッティングも十分でなかったから、レースでのペースもコンスタントではなかった。でも、クルマのポテンシャル自体はあることが確認できたので、あとはそのポテンシャルを100%引き出せれば、予選の順位も上がって、もっと上のほうでレースが出来るはずです」

レース後半、トヨタの2台はタイヤのトラブルに見舞われる。39周目、奥のヘアピンでブレーキングしようとしたダ・マッタの左リヤタイヤが突然バーストして、スピンしてしまった。さらに、58周目、パニスはスローパンクチャーのため急遽ピットイン、タイヤ交換して大きく順位を落とした。結局、ダ・マッタはスピンした時点でリタイヤ。パニスは最後のタイヤ交換後の61周目には1分14秒247というトップと変わらないベストラップをマークし、完走したが14位という期待はずれの結果に終わった。

「今回、テストもなく、ぶっつけ本番でTF104Bを持ってきたことで苦労することはわかってました。しかし、TF104のままでは同じ事なので、テストのつもりで走らせました。3日間走らせて、データも取れたし、TF104Bのポテンシャルの高さも実感できました。特に、ダウンフォースについては風洞で上がった数値を実車で確認できました。次のハンガリーはさらに良い結果が出せるはずです」

このドイツGP明けから、ベルギーGPまではテストが禁止されている。実戦で戦いながら、データ収集も行わなければならないという部分では、チームの苦しい状況は変わらない。しかし、TF104Bのポテンシャルの高さが確認されたいま、チームに希望の光が見えてきたことも事実だ。