第12戦 ドイツGP 2004

2004年07月27日(火)

オリビエ・パニス - ドイツGPを終えて

金曜日の練習走行が新型車投入の初日となったわけだけれど、バランスを見いだすのに苦労してしまった。タイム的にもあまり良い出だしではなかったかもしれないが、あれは決して現状を表しているものではない。われわれは、午前中に新しいタイヤでの性能テストを実施し、午後は新しいタイヤは使用せずユーズドタイヤで走行した。セットアップと新しい部品を試すには多くの時間が必要である。だから金曜日の時点では、われわれの真価がどの程度なのかわからなかった。その夜、エンジニアと共にセットアップ作業を行い、その結果、土曜日の午前中にクルマの状態は飛躍的に良くなった。クルマの戦闘力が増して、予選9番手という、僕らのまさに期待していた結果を得ることができた。差を縮めるのは本当に大変なことなんだよ。というのも、どのチームもそれぞれが進歩しているんだからね。でも今回のことで、風洞実験の精度が高いというのがよくわかったね。マイク・ガスコインは、風洞実験を元に色々と改良を加えたけれど、その改良が正確に機能しているのを確認できたわけだからね。

TF104Bの主な改良部分はグリップが増したことだ。これにより、クルマへの自信が増し、乗れば乗るほどその自信は確固たるものになるので、もっと攻めの走りを展開できるようになっていく。予選でMシューマッハーから1秒差というのは、なかなか良いペースだ。あとコンマ1秒か2秒速ければ、トップ6に食い込んでいけるところまで来ていたんだ。

土曜日午前中で、TF104Bは前のクルマと比較するとロングランにおいて力を発揮できることがわかった。1周でコンマ5秒の差を付けることができるのであれば、レース終了までには30秒以上速くできるということだから、結果だって完全に違うものが見えてくるはずだ。それを見据えて、僕は午前中にロングランを行い、クリスチアーノも同じだった。そして、そのロングランのペースからは、決勝は期待できるものだった。

決勝のスタートについてはコメントし辛いよ。あれで、金曜日、土曜日と全ての努力が水の泡となってしまったのだから、落胆も大きかったよ。新型車の手応えから、決勝でのポイント獲得へは自信があった。僕は、レースが始まるのを本当に楽しみにしていた。エンジンが止まってしまった原因については、しっかりと調査していかなくてはならないね。

僕らは、TF104Bで大きな進歩を遂げたと認識している。コンマ3秒からコンマ5秒は速くなっている。風洞実験で得たことを実車に反映して、ちゃんとした結果を得ることができている。つまり、風洞実験が正確だと言うことの実証もできているんだ。次は、モンツァのような高速サーキットで必要となってくる空力の新パッケージの開発に全力を尽くしている。ついにわれわれもペースをつかんだ、ということだ。

クルマが良くなったのは、空力の改良によるところが大きい。僕らのエンジンは素晴らしく、クルマの剛性においても全く問題ない。しかし、タイムに影響を与えるのはダウンフォースと空力なんだ。

ホッケンハイムは、最大のダウンフォースが必要なサーキットといっても過言ではない。レイアウトは異なるけれど、ある意味ブダペストのサーキットに似ていて、多くのダウンフォースが必要なんだ。現在のホッケンハイムは低速のコースだ。僕は旧コースの方が本当は好きだったけれど、安全性の点ではしょうがないと思う。旧コースは、現在とは全く違って、どちらかといえばモンツァのようだった。でも、現在のコースも悪くない。長いストレートの手前にある低速コーナーは、前のクルマとの差を詰めることができるし、その先の第6コーナーのヘアピンではブレーキングバトルを展開することもできる。

9月の初旬までテストを行うことができないのは誰にとっても同じことだ。もちろん、われわれは新車を投入したばかりだから、ブダペストに行く前に2、3日のテストがあれば、かなり有効なセッションを展開できるだろう。でも、2週間半の休暇というのも、皆にとって、大事な休暇だと思うんだ。僕は、ドライバーだけのことを考えて言っているわけではなくて、メカニック達を始めとする他のみんなも、プレッシャーの中で過密スケジュールをこなしてきたんだ。誰もが大変な思いで開発を進めてきたのだから、ゆっくりと休暇を取って充電し、ブダペストで再スタートを切るというのも大事だと思うよ。

今年は、なかなか大変なシーズンになっている。昨年と比べ身体的に大差があるとは思っていないけれど、レースやテストのスケジュールをこなし、プレッシャーだって常に感じている。そんな中では、時間の管理を少し変えて、うまく休養を取るようにしなくてはならない。時には、自分への気遣いも大切になってくるんだ。僕は、自分のためのトレーニングとリラックスだけに使える時間を1週間ぐらい持ちたいと思ってる。幸いにも、僕はケガを抱えてないけれど、背中に痛みがあったりする場合には、しっかりと時間をかけなければ完治しにくいものだからね。

ガープからそれほど遠くない山中に別荘があるので、今週末から妻と子供達とともに1週間ほどそこに行く予定にしている。きれいな空気の中で自由な時間を楽しむ。こういうのがたまには必要なんだよ!