第14戦 ベルギーGP 2004
2004年08月24日(火)
リカルド・ゾンタ - ベルギーGPに向けて
ハンガリーGPの後、僕は家族との時間を過ごすために数日間だけブラジルに戻っていた。けれど、先週末にケルンで行われたトヨタ・シティー・グランプリがあったので、すぐにヨーロッパに帰ってきた。
このシティー・グランプリは素晴らしいイベントで、トヨタと、トヨタのモータースポーツ活動が一般の人たちにも身近に感じてもらえるようなイベントだった。このイベントは、F1のデモンストレーションに留まらず、ラリーカー、ル・マンカー、そしてヤリス(ヴィッツ)カップのクルマなど、各種のクルマが揃った。聞くところによると、1日に5万人もの人達がこのイベントに来てくれていたという。すごいことだ!われわれチームは、F1シーズン中に多くの応援を受け、それに支えられている。だから、このような機会に、ファンの人たちに少しでも恩返しが出来れば良いと思っている。
インタビューやサイン会が次々にあるので、イベント中は本当に忙しかったけれど、一番の目玉は、午後遅くに行われた8台のレース車両によるケルン市内の公道で行われたデモ走行だった。そのうち2台はF1カーで、僕が今年のTF104を、そしてオリビエが昨年のTF103を運転して、このデモ走行に参加していた。観客の盛り上がりは素晴らしく、僕自身もとても楽しめたイベントとなった。
次のレースは、とても素晴らしいコースで有名なスパ・フランコルシャンサーキットで行われる。1周はとても長くて約7キロにおよび、中速、高速コーナーが多いコースになっている。そして、オールージュもこのサーキットの名物だ。このセクションでは、ドライバーの腕とクルマの性能の差が明らかに現れる場所なんだ。今となっては、オールージュをアクセル全開で攻めるのも昔ほど難しくはないのかもしれないけれど、それでもいまだに攻め甲斐のあるセクションであることには違いない。今週末の走り出しとなる金曜日の練習走行では、少し押さえ気味に走ってクルマの限界を見極めるつもりだけれど、その分、少しリスクを背負わなくてはならない。
僕が最後にスパを走ったのは2000年のこと。MハッキネンとMシューマッハーの闘いをもちろんみんな憶えていると思うけれど、僕はあのときのハッキネンの走りは素晴らしいものがあったと思う。ミハエルが僕の左にいたと思ったら、ミカが右から来たんだ。僕はこのミカの動きは全く見えなかったんだよ。これには、本当に驚かされたね。
スパは、だいたい中速と高速コーナーで構成されている。ダウンフォースをできるだけ少なくして走るので、直線でのスピードに妥協をおよぼすことなく、ベストなバランスでセットアップしていくというのがコツなんだ。エンジンの性能とパワーは、コースの長いストレートと上りのセクションで重要になってくるけれど、その点、僕はRVX-04エンジンには確固たる自信があるよ。
ミシュランタイヤをスパに向けてテストしていないのだけれど、特に決勝に向けて安定した良いタイヤをしっかり選んで、追い抜きにも対応できるようにしなくてはならない。1ヶ月前に行ったテストというのは、スパとは全く違ったコースでのテストだったので、金曜日に行うタイヤ比較テストというのが非常に重要になってくる。これは、われわれが運転する2台のレースカーはもちろんのこと、ライアン・ブリスコが運転するクルマでも、もちろん重要だ。
TF104Bでもたらされた進化は、スパでこそ発揮されることになると思っている。というのも、新しい空力のパッケージはスパには多い高速コーナーで大きな違いを発揮するからだ。だから、スパのコースはわれわれのクルマにとって、良いコースとなるはずだ。
ハンガリーGPで、第3ドライバーからレースドライバーへの移行があったわけだけれど、この移行はとてもスムーズだった。当然ながら、今までよりもクルマをドライブする時間は増えた。そして、金曜日に関して言えば、決して容易なわけではなかった。TF104Bをドライブしたのが初めてだったので、クルマを自分用に詳細にわたって設定していくのに時間を費やさなくてはならなかった。土曜日の練習走行ではスピードを示すことはできたものの、1周のアタックによる予選システムは、僕にとっては新しい要素だったので、1周でまとまりのある走りをするのには手こずってしまった。3年間レースから遠ざかっていたということ自体は、何ら特別なことだとは考えていないし、今週末までには調整できる程度のことだと考えている。スパでは、全ての面でスムーズになると思うし、僕自身も、良い意味でリラックスできているし、クルマの性能だってわかっている。
1周の予選アタックというのはとてもエキサイティングだ。ミスは許されず、ドライバーには、その点でプレッシャーはあるのだけれど、そのプレッシャーがまた良いんだ。
スパではいつも雨が降る。でも、僕はドライバーとして、どんなコンディションでも自信がある。今シーズンは、ミシュランのウエットコンディション用テストをたくさんこなしてきている。しかし、僕らが雨のコンディションになった場合で問題となり得るのは、TF104Bでのウエットコンディションテストができていないということだ。だから、ドライコンディションでさえこのクルマの限界が把握しきれていない現時点で、ウエットコンディションでのパフォーマンスを過信しすぎないようにしなくてはならない。
今シーズン残されたレースで僕らが目標とするのは、選手権ポイントをできるだけ多く獲得することだ。だから、僕自身としても、ベルギーGPで最初のトップ8フィニッシュをしたいと思っているよ。
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