第15戦 イタリアGP 2004
2004年09月11日(土)
高橋敬三DTCに聞く:予選
事前テストの効果大。ロングランのタイムもトップと遜色なく、決勝に期待
約1カ月にわたったテスト禁止期間が終わり、いよいよ終盤戦に突入した今シーズンのF1。第15戦のイタリアGPはヨーロッパラウンドの最後を飾ると同時に、ここから残るシーズン、そして来季へと向けた「開発競争」のラストスパートが始まるのだ。
テスト禁止期間が始まるドイツGPで改良型のTF104Bを敢えて実戦投入したトヨタにとっても、先週のモンツァテストはTF104Bを使った初の本格的なテスト。このニューカーのポテンシャルを実戦でどこまで引き出し、具体的な結果へと繋げることがチームとって終盤戦最大の課題となる。
「先週のテストでようやくTF104Bを本格的にテストすることができ、このクルマのポテンシャルを確認すると同時に、それを活かすためのセッティングの方向性などをじっくり探る機会になりました。ここ3戦でもデータを通じてTF104からの確実な進化というのはある程度確認できていましたが、それが結果に繋がっていませんでしたから」と高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)は語る。
「先週のテストではベルギーで起きたエンジントラブルの対策を確認するのはもちろん、このイタリアGPに向けてレースでのタイムをどうやって安定させるか? また、このモンツァで重要なポイントになるブレーキの耐久性などを中心にテストプログラムを消化したのですが、おかげで今週末は金曜日の走り出しからセットアップでは全然悩まずにココまで来れたと思います」
午前中のフリー走行ではオリビエ・パニスが計27周、リカルド・ゾンタが29周と、全チームで最も多くの周回を消化しプラクティス4ではパニスが1分21秒889で12番手、ゾンタが1分22秒114と14番手のタイムをマーク。
「今日は、昨日のオリビエを悩ませたリアからのバイブレーションも解決し、オリビエはゾンタのセットアップを参考に走り出したのですが、2台とも比較的早い段階でタイムが安定するセットアップを見つけることができ、ほぼ満足のいくセッションでした。今回持ち込んだ2種類のタイヤにはそれほど大きな差はなく、片方は予選で少し有利な反面、ロングランでは若干のタイムロスがあり、もう片方はその逆という感じですが、我々は予選で多少不利になっても決勝のロングランを重視する方向でタイヤや燃料の戦略を立てています。このモンツァではトップと同等のロングランのタイムを出せないとすぐに置いていかれて勝負にならなくなりますから、まずは安定したロングランのタイムを出すことが重要だという考え方ですね」
そして予選、プレクオリファイではゾンタが1分21秒829で14番手、パニスが1分22秒169をマークして16番手。他チームの多くがやや軽めの燃料積載量で1回目の走行に臨んだのに対して、トヨタはここでもより「内容」を重視する戦略を採り、プレクオリファイでも本番の予選とほぼ同じ燃料積載量で走ることで、クルマのフィーリングをしっかりと確認できるようにしたのだという。
「1回目のアタックを軽いタンクで行うのは、その結果予選での走行順を遅くして、より有利な路面状態で走ろうという考え方だと思うのですが、実を言うとこのモンツァでは走行順の影響はあまり大きくないんですね。だから我々は2度のアタックをほぼ同じ燃料を積んで走ることにしました」と高橋DTC。その言葉通り、2回目のタイムアタックでは多くのドライバーがプレクオリファイに比べてタイムを落とす中、ゾンタが1分21秒520、パニスが1分21秒841と2台揃って1回目のタイムを更新。決勝レースはゾンタが11番手、パニスが13番手のポジションからスタートすることになった。
「オリビエは1回目のアタックでややクルマがオーバーステア気味ということで、ちょっとウイングを調整して2回目に臨んだところ、バランスは良くなったと言っていました。ゾンタのほうは全く問題なく、2回ともいいアタックをしてくれたと思います。何より、ふたりともロングランのタイムはトップと遜色ない1分22秒の中ごろあたりで走れていますから、明日は良いレースができると期待しています。後半はエンジンだけでなく、ブレーキの耐久性も大きなポイントになりますが、そのあたりも先週のテストでキッチリと確認できているし、ここは追い抜きのポイントもありますから、決勝で平均して安定したラップタイムが出せて、いいタイミングでピットインできれば十分に可能性はある。明日は2台ともポイント圏内に入れたいと思っています」。そう語る高橋DTCの言葉に、決勝レースへの期待が膨らむ。
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