第16戦 中国GP 2004

2004年09月25日(土)

高橋敬三DTCに聞く:予選

2台そろってのポイント獲得に期待。レースは接近した戦いに

高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)は水曜日にコースを1周し、初めて挑戦するサーキットの特徴を頭にたたき込んだ。上海の「上」の字を模した上海インターナショナルサーキットの全長は5・451km。7つの左コーナーと、同じく7つの右コーナーで構成されている。1・2kmの長さを持つバックストレートエンドや1コーナーなど、複数の追い越しポイントが設けられているのも特徴だ。

「コース幅が広いからいろんな走り方ができるかもしれませんね」と高橋DTCは口を開いた。「走り始めはダウンフォースをつけて走り、セットアップを煮詰めるにつれてダウンフォースを徐々に抜くことになると思います。ただ、ダウンフォースを減らすとタイヤのデグラデーション(ささくれ状の摩耗)が大きくなりやすく、逆にダウンフォースを増やすとデグラデーションは減るのですが、ラップタイムが落ちる傾向にある。空力だけでなく、タイヤを考えたセットアップを迫られます」

こうしたテーマを掲げて臨んだ初めての公式セッションは、パナソニック・トヨタ・レーシングにとって順調に推移した。リカルド・ゾンタ、オリビエ・パニス、ライアン・ブリスコの3人のドライバーが9番手、10番手、11番手につける。

「初めてのサーキットにしてはすごく順調に進んで、初日としては満足のいく結果が残せたと思います。特に、走行前から気にしていた最高速とラップタイムの妥協点をどのあたりで落ち着かせるか。この点については非常にバランスのいいところに持っていくことができたと思っています」

午前中の走行ではフロントタイヤにグレーニングが発生するなどしたが、これは折り込み済みで、路面にラバーが付着し、グリップレベルが向上するにつれて問題は解消。走行するにつれてラップタイムが向上していった。

「午後に向けて、ギヤ比など、セットアップをいろいろと見直しました。3台ともしっかりとタイヤの比較を行い、データを収集することができました。予選に向けてはまだまだ改良の余地は残っていますが、最高速、ラップタイム、クルマのバランスと、新しいサーキットの初日としては、エンジニア、ドライバーともに満足する結果を残すことができました」

土曜日は、ふたりのドライバーで明暗を分けた。午前中のフリープラクティスではゾンタが好調にプログラムを消化した一方で、パニスはセットアップの調整に苦しむことになった。

「リカルドはセットアップが決まっていましたし、ロングランのタイムも安定していました。非常に上機嫌でしたね。一方で、オリビエはセットアップを変えて臨んだのですが、それが路面に合わず、グリップ感がないと訴えました。おかげで、午前中は混乱した状態で終わりました」

ところが、状況は一変。午前中まで好調だったゾンタが午後の予選で下降線をたどり、逆にパニスは復調する。

「1回目の予選に向けて、リカルドは何も変えずに、オリビエは好調だった昨日のセットアップに戻して臨みました。日が照った影響か、路面温度が上がったので、全体的にグリップ感がなくなったような気がします。その影響か、午前中好調だったリカルドが午後になってオーバーステアに陥ってしまいました。逆にオリビエのほうは、非常にバランスが良くなりました」

パニスは1回目の予選を9番手、ゾンタは16番手で終える。

「2回目の予選に向けて、リカルドはばねとフロントウイングでセッティングを合わせ込んだのですが、今度はアンダーステアに転じてしまいました。さらに、リカルドが走行した際は風が強く、ロングストレートで損をしました。ミスをしたのも響き、セクター3でコンマ4秒くらいロスしてしまいました。でも、明日に向けて十分調整できる範囲ですので、心配はしていません。一方、オリビエはフロントウイングを少し調整するくらいで2回目の予選に臨みました。ミスなくアタックできて、いいタイムをマークしてくれたと思っています。コンマ1秒上げれば5番手になるくらいの争いですから、いい予選だったと思います」

パニスは今シーズン最高位タイとなる8番手から、ゾンタは13番手から決勝レースのスタートを迎える。

「他車がどれくらい燃料を積んでいるかわかりませんが、非常に接近した戦いになるでしょう。ロングランのタイムは2台とも安定していますので、なんとか明日は2台そろってポイントを獲りたい。獲れるのではないかと思っています」