第17戦 日本GP 2004

2004年10月10日(日)

高橋敬三DTCに聞く:決勝

予選の順位を活かせず悔しい思い。タイヤを上手く使いきれず

予選が終わって、僅か3時間半で決勝レースがスタートするという変則的なスケジュールとなった日本GP。慌しく準備するスタッフたちだったが、予選で今季最高の6番手をヤルノ・トゥルーリが獲得したこともあり、チーム内の雰囲気は明るかった。

午前中は厚い雲に覆われていた天気も、午後には日が差してきて気温も上がってきていた。トゥルーリは、周囲の期待通りに好スタートを切り、順位をひとつ上げて5位で1周目を通過する。その後もトップグループと同じペースで食い下がっていた。序盤は非常に良い感じのレース展開だった。

「トゥルーリとパニスは戦略を変えました。タイヤもトゥルーリはハードで、パニスはソフト。ピットストップは二人とも3回でしたが、タイヤによって最初に入るタイミングを変えました。最初の1、2回は路面も出来ていないから、グレーニングが出るのを覚悟していましたので、ちょっと早めに入れて3回目は伸ばす作戦でいきました」と高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)。その言葉どおり、オリビエ・パニスは8周目、ハードタイヤのトゥルーリは12周目に1回目のピットストップに入る。しかし、2スティント目に入るとトゥルーリのペースが思ったように上がらなかった。ピットストップで一度落ちた順位もなかなか上がらず、7~8位あたりに沈んでいた。

「スタートは2台とも良かったのですが、オリビエがイン側に入っちゃって、少し抜かれたんです。トゥルーリは6番手スタートから5番手で帰ってきて、非常に好調にラップを重ねていました。このまま行ってほしいなという期待はあったんですが、1回目のピット以降、リアタイヤがたれちゃってペースが上がらなくなってしまった。それ以降苦しめられました。実際にレース中にセッティングできるのはフロントウイングの角度と電子制御だけなんですが、なかなかそれだけでは対応できませんでした。終盤、思ったよりもペースが上がらなかったのが悔しかったですね」

序盤は1分34秒台で走っていたトゥルーリだったが、ピットストップ後は1分36秒台までペースが落ちていた。後ろからはウイリアムズのモントーヤやフェラーリのバリチェロらが追い上げてきて激しいバトルを繰り広げていた。

一方、最後のレースとなるパニスは下位でそれ以上に苦しいレースを強いられていた。

「オリビエの方は、タイヤはオプションを選択しました。それはリスクを承知の上の選択だったんですが、やっぱりちょっとこの条件だとオプションタイヤはきつかったと本人も言っていました。ただ、オリビエ自身が最後のレースでなんとかいい結果を残したいということで、賭けに出て、それが結果的には報われなかったんです。しかし、彼自身は全力尽くしたから、みんなありがとうと言ってくれました。2年間一緒に戦ってくれたオリビエには、十分なセットアップにできなくて非常に申し訳ないと思います。僕の方こそ、オリビエに2年間一緒にやってくれてありがとうと言いたいですね」

パニスは終始、ポイント圏外での苦しいレースを強いられていた。ソフト系のオプションタイヤは4、5周でリアがたれてしまい。それ以降はペースも上がらず、完走はしたものの14位と現役最後のレースでいいところを見せることができなかった。

入賞圏内で激しいバトルを繰り広げていたトゥルーリも徐々に順位を下げていく。こちらはハード系のプライムタイヤを選んでいたため、パニスよりはタイヤのたれも少なかったが、完全にセッティングが合ってなかったこともあり、徐々に順位を落としていった。結局は11位とポイントを取ることはできなかった。

「予選は6番手と10番手からスタートして、なんとか2台ポイントとりたいということでやりましたが、全体的にはタイヤをうまく使い切れずに、日本のファンの期待に応えられずに申し訳なく思っています。」と高橋DTCはレース後にがっくりと肩を落として語った。

「今年の日本GPは、実力が伯仲しているなかで、予選は比較的いいところにいったと思います。レースで少なくともそのポジションをキープするということができなかったので、それが非常に悔しいですね。3年目の鈴鹿は結果を日本のファンのみなさまの前で残したかった。昨日、雨でセッティングできなかったのが大きいと思いますが、でも全チーム同じ条件ですから。その部分では、我々はちょっと劣っているのかなというのは認めざるを得ません。この悔しさをバネに、今シーズンまだ1戦残っていますので、一旦、ケルンに戻ってしっかり準備をして最後のレースに挑みたいと思います」

次の最終戦ブラジルGPはトゥルーリとリカルド・ゾンタで挑む。今シーズンの締めくくりにふさわしいレースとなることを期待したい。