第18戦 ブラジルGP 2004
2004年10月18日(月)
リカルド・ゾンタ - ブラジルGPに向けて
日本GPは、僕が2003年にパナソニック・トヨタ・レーシングに加わって以来、初めて同行しなかったレースだった。しかし僕は、予定を早め、2005年の準備という意味も含めてヤルノがレースチームに加わることが、どれほど重要かはよく分かっている。
鈴鹿に行く変わりに、僕はブラジルの自宅に居て、ブラジルでの放映時間が午前3時だったこともあり、レースをベッドから観戦していた。もちろん、昨年と今年の前半はそうだったので、僕はテレビでレースを観ているということには、慣れているんだ。
われわれのチームが2台揃って予選でトップ10に食い込んだことは、うれしい驚きだった。この結果から、少なくとも1台はポイント獲得ができるだろうと期待が高まったけれど、見たとおり、それは実現できなかった。今までのわれわれの結果からもわかるけれど、他チームが戦列を離れずにレースが展開すると、われわれは11位から13位でレースを終えている。鈴鹿でもそうだった。当然のことながら、ポイントの獲得が重要だった鈴鹿のレースで、ポイント獲得を逃したことに関して残念な気持ちで一杯だが、一方で、われわれは、クルマにまだまだ改善が必要だるということもよくわかっていることだった。
僕らがブラジルで、どう戦っていけるかは予測が難しい。インテルラゴスサーキットは、バンピーなコースだし、僕らのクルマが、今シーズンはこのバンピーなデコボココースにてこずっている。けれど、われわれは昨年も同じような問題をかかえていたにも関わらず、ブラジルでは上々の走りができていた。当然のことながら、ポイント獲得争いという上位で走ることが可能なように、クルマの仕上がりが良いことを願っているよ。なんといっても、僕にとってはホームレースなんだからね!
1人のレースファンとし、僕は一度インテルラゴスのグランプリを見に行ったことがある。それは、1990年で、ネルソン・ピケがベネトン、アイルトン・セナがマクラーレンで走っていたころだ。僕が最初にインテルラゴスでレースしたのは、1993年にフォーミュラ・オペルで走っていたときで、それ以来、その他多くのフォーミュラレースでこのコースを走ってきた。ポールポジションも数多く獲得してきたし、最速ラップを記録したことも何度もある。僕にとっては、いつでもとても楽しめるサーキットなんだ。最高に楽しかったのは、F3でクリスチアーノ・ダ・マッタやエリオ・カストロネベスと戦っていた頃だね。
僕はこのコースが好きだ。このコースはなかなか難しい。狭くてバンピーなところなんて、他のトラックとは全然違う。だからこそ、このトラックがおもしろいんだ。また、現在のF1カレンダーに残っている中では、数少ない逆時計回りのコースにもなっている。たいていのサーキットは、左コーナーよりも右コーナーが多い。だから、しっかり鍛えていなければ、インテルラゴスのようなサーキットでは首に故障を起こしかねない。もちろん、鍛えておけば問題ないから、僕は大丈夫だと思っている。
インテルラゴスは、中程度のダウンフォースが必要なサーキットだ。インフィールドは、曲がりくねっていて高いダウンフォースを必要とするが、同時に長い直線コースもある。ダウンフォースを高くしすぎると、直線では不利になる。つまり、上海のようなバランスを考えたセットアップが必要なんだ。唯一の追い抜きポイントは、ストレートの終わりとなる。
ブラジル人がブラジルでレースするというのには、大きな意味がある。その盛り上がりの違いが、現地にいたら誰でもわかってもらえると思う。僕らがピットから出るたびに、ファンは拍手喝采を送ってくれる。彼らは僕らの名前を叫んでくれたりして、他のサーキットでは得られないような大きな声援を送ってくれる。こういうのは、いつでも大歓迎だ。それをプレッシャーに感じることなんて全くなくて、逆に大きな支えになる。また、僕自身の友達や家族も応援に駆けつけてくれる。今年は、何人ぐらいの人たちが応援に来てくれるのかは、正確には分からないけれど、沢山来るのは間違いない。父親の会社の人達が、全員来るということだしね。彼らはバスを何台も借りきって、僕の故郷であるクリチバから400キロの道のりをやってきてくれるんだよ。すごいだろ!
僕は、スパと上海でポイント獲得をかけて戦ったけれど、めったに起こることのない技術的信頼性の問題が発生してしまい、諦めざるを得なかった。だから、今週末のインテルラゴスでは少なくとも1ポイントを獲得できるはずだと思っているし、是非実現したいと思っている。
今の僕の心境は、100%以上の力を出し切って走りたいということだ。もちろん、全てのグランプリで、どのコースを走っていても全力を尽くしている。だが、過去にサンパウロでは何度もレースをしているし、その経験を生かして、より速い走りを見せたいと思っている。他のコースよりもこのコースでは自信があるので、特別なことも試してみて、速く走ることができるか判断し、できる限り良い形でシーズンを締めくくれるようにしたい。
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