第18戦 ブラジルGP 2004

2004年10月23日(土)

高橋敬三DTCに聞く:予選

ロングランも安定したタイムで、ポイント獲得に手応え

3月に開幕した2004シーズンもいよいよ最終戦ブラジルGPを迎えた。全長4・309kmのインテルラゴスサーキットは、長いストレート2本とインフィールドにS字セクションを持ち、高橋敬三技術コーディネーション担当ディレクター(DTC)は、インディアナポリスや上海サーキットに似た傾向にあると分析する。

「最高速とダウンフォースレベルのバランスをどう見いだすかがカギになると思います」と高橋DTC。

「サーキットの各所にある路面のバンプ対策用に車高を上げ過ぎると、ダウンフォースを失ってしまいますし、決勝日は雨との予報もあるので雨がどうか気になるところです。このサーキットは反時計回りなので、ドライバーへの負担も大きいです。サーキットが標高800mにあるため空気が薄く、パワーが減る分だけ燃費はよくなります。1周が短いわりには燃費はいいほうですね」

今回トヨタが持ち込んだエンジンは信頼性とパフォーマンスが十分に確認されている日本GPスペック。最終セクションから1コーナーにかけては登りが続き、強力なエンジンほど有利になるが、高橋DTCは「サーキットとの相性はいいと思います」と自信を覗かせた。

金曜日の公式セッション、パナソニック・トヨタ・レーシングはライアン・ブリスコ、リカルド・ゾンタ、ヤルノ・トゥルーリの3人のドライバーがそれぞれ9番手、14番手、16番手につけた。

「ロングランで安定したいいセットアップが見つかりました。ライバルチームと比較しても非常にコンペティティブですし、予想していた以上にタイムを安定させることができました」

午前中の走行では、走行開始当初に再舗装された路面に入るとタイヤがグリップし過ぎる現象が見られたが、路面にラバーが乗ると問題は解消。グリップレベルも上がり、タイムがぐんぐん向上する。

「午後のセッションに向けて、バンプによるマシンの底打ちのためスキッドプレートが摩耗したので、若干車高を上げました。トゥルーリが1分12秒台中盤のタイムでロングランを走れたのが最高の収穫でした。空力の最後の詰めは土曜日にやろうと思います」

通常のグランプリより1時間早いタイムスケジュールで行われた土曜日のプログラム。午前中のフリープラクティスではコース上に犬が進入する珍事と、ミハエル・シューマッハーのクラッシュのため2度に渡り赤旗が掲示され、走行時間が大幅に制限されてしまった。

「前半のセッションでは路面温度が低くて待っていたら犬が入って25分間中断してしまいました。その後、一度セットアップの確認はできたので、あまり影響はなかったと思います。後半のセッション終了直前にマイケル(シューマッハー)のクラッシュで赤旗が出たときは、予選に向けて温存したタイヤでアタックラップ中でした。最後の確認ができなかったのはちょっと残念です。ただし、レースに向けていいセットアップを見つけました」

午後に入ると気温が30度近くまで上昇し、路面温度は40度を超えた。そのため1回目の予選は軽い燃料でアタックしたにもかかわらずアンダーステア傾向となり、特にゾンタのマシンにその傾向が強かった。そのためトゥルーリが10番手で1回目の予選を終えたのに対し、ゾンタは15番手で終える。

「1回目の予選の後、2回目の予選に向けてゾンタのマシンはアンダーステアを解消するため調整をしました。それでも1コーナーでクリッピングポイントにつけずタイムをロスしてしまいました。低速コーナーでもアンダーが出てしまったようです。トゥルーリは完璧でした。強いて言うと、選択したタイヤが暖まりにくいのでアウトラップをプッシュしたら、アタック中にタイヤを使いきってしまったようです」

ポールシッターから予選11番手までが1秒以内にひしめく僅差の予選をトゥルーリは10番手で終えた。ゾンタは15番手。ただし、シューマッハーがエンジンを積み換えたことにより規則で10グリッドダウンとなるため、トゥルーリが9番手、ゾンタが14番手グリッドから決勝レースのスタートを迎える。

「決勝レースでは雨の可能性が50%ということで、最後まで最高速をどこにつけるか悩みました。ロングランも安定させるためにも、雨を考慮してもダウンフォースは必要だと判断しました。アンダーステアについてはレースでは周回を重ねるにつれて路面がアンダーステアからオーバーステアになる傾向があるので、そこまで心配はしていません。2台ともレースペースがいいので、とにかくポイントを獲りたいです」

現在ランキング7位を1ポイント差で争うパナソニック・トヨタ・レーシングは、最終戦で逆転の手応えを感じている。