第18戦 ブラジルGP 2004

2004年10月27日(水)

ヤルノ・トゥルーリ - ブラジルGPを終えて

ブラジルでは、トヨタのデビューレースとなった鈴鹿よりも良いレースができるとすごく自信があった。日本GPは、新しいチームのことを学びTF104Bのことを把握するという週末だった。そしてブラジルでは練習走行で多くの周回ができたのでうまくクルマをセットアップすることができた。

僕のTF104Bの印象は、まずはとても良かった。僕らは、クルマのバランス、セットアップ、ハンドリング、そしてタイヤの選択においてうまく仕事を進められた。連続してトップ10内で予選を終えることができたけれど、それ以上に勇気づけられたのは金曜日と土曜日の練習走行における安定したロングランだった。これによって決勝レースに向けて自信がわいてきたけれど、雨は降ってほしくなかった。

複雑な天候がわれわれを困難な状況にした。コンディションは誰に対しても同じことは分かっていたけれど、完全に濡れているでもなく、完全に乾いているでもない状況でのTF104Bとの経験が僕にはなかった。序盤では調子よく、6番手まで順位を上げていたが、まだ濡れている状況をドライ用タイヤで走行するのは大変だった。コースが乾いてからは競争力を増したけれど、ポイント獲得には至らず、頑張っても12位が精一杯だった。

正直言って、僕はパナソニック・トヨタ・レーシングに難無くとけ込めたのをうれしく思っている。来シーズンには明らかにいくつかのことは改善されるだろうし、チームは僕に歓迎されているという気持ちを感じさせてくれて、僕は来年に向けて多くの可能性を見いだしている。

トヨタと闘ったふたつのレースで僕はとても良い予選結果を示してトップ10グリッドからスタートすることが可能だった。ブラジルでは特に良くて、クルマの性能を最大限に引き出せたと思うので満足だった。レース中のペースでは、鈴鹿よりインテルラゴスの方がより競争力が高かった。

全体的にグリップが不足していて、特にリヤタイヤの摩耗率が高いことが分かったけれど、これはシーズンを通じて出ていた症状だ。これは、直ぐに改善できるというものではない。風洞実験を沢山おこなってクルマにもっと多くのダウンフォースを稼げるようにしなくてはならない。それができれば、クルマのスライド量は少なく、タイヤの摩耗も少なくなって、温度も低く保てる。同時にもっと駆動力がかかる。

この冬には2005年の準備としてできる限り多くのテストを行うことだろう。正直なところ今は何をテストするのか分からないけれど、とても忙しくなるのは確かだ。最初のテストを11月の終わりにバルセロナでラルフ・シューマッハーと一緒に行うらしい。

今シーズンは、ものすごく手応えを感じた。待望していたグランプリ初優勝を成し遂げた年だった。モンテカルロでポールポジションからスタートして勝ったというのは、この勝利を一層特別なものにした。スパでもポールポジションを獲得し、その後直ぐにトヨタに加入し、早くそして競争力をつけるチャンスに恵まれた。これほど良いシーズンを過ごしたことはないけれど、来季はトヨタとともにもっと素晴らしいことがあるのを期待している。

2005年のレギュレーションは、土曜日に少ない燃料で1周のタイムアタックを行い、日曜日の午前にレース用に燃料を沢山積んで走行、両方のタイムを合算してスターティンググリッドを決めると聞いている。僕はまだそれについて真剣に考えていないけれど、僕らはそれに順応できるだろう。皆が初日に少ない燃料で走行することで今よりもクルマとドライバーのコンビネーションの真価を目の当たりにできると思う。そして2日目にもし沢山燃料を積めば、グリッドを下げる結果となってしまうので多くの燃料を入れることはできない。

新たな予選方式に対しても僕のアプローチは同じだ。ドライバーとしては、予選方式でこれ以上ミスを犯すことは考えられない。今シーズンは、2回目の予選でグリッドポジションが決定されるので1回目の予選ではリスクを冒すことはできないとハッキリ感じていた。でも来年は違う。両セッションで死にものぐるいで頑張らないといけない。僕はそれを楽しみにしている。