新居レポート - 2009 第9戦 ドイツGP

ドイツGP 新居レポート

2009年7月13日

いつもご声援ありがとうございます。17戦で争われる09年のF1は折り返し点となる9戦目のドイツGPを迎えました。舞台となるニュルブルクリンクはファクトリーがあるケルンからわずか約100km、我々ドイツに本拠地を構えるチームにとっては日本GP同様、ホームグランプリとなります。それでは、さっそく2年ぶりにニュルブルクリンクで開催されたドイツGPの模様を報告しましょう。

第2のホームグランプリは中低速コース、新空力パーツを導入

ニュルブルクリンクにおける過去の決勝成績は2005年の8位入賞が最高順位。ホームであることに加え、ティモにとっては母国GPとなる。やや複雑化したフロントウイングなど、サーキットの特性に合わせた新空力パーツを追加した。

前戦イギリスGPの後、いつもより1週間長いインターバルを経て、3週間ぶりの開催となった第9戦ドイツGP。トルコGPで予選5位、イギリスGPでは予選4位と、バーレーンGP以来となる表彰台への道を着実に上がっており、第2のホームグランプリとなる今回のドイツGPでは、ぜひとも地元で再び表彰台が獲得できる走りを披露したいと考えていました。
ニュルブルクリンクは低速コーナーと中速コーナーが多いので、いくつか新しい空力パーツを投入しました。具体的にはフロントウイングが新しくなり、リアウイングとモノコックの両サイドに新しいパーツを追加しました。チームとしては、未だニュルブルクリンクでは好成績を出すことができていませんが、ドライバーとしてはヤルノもティモもこのコースを得意としているだけに、今回こそ結果を残したいと思って、ニュルブルクリンクに乗り込んできました。

季節外れの低温でプログラムを変更、タイヤ評価を残して終えた金曜日

7月にしては異例の気温の低さから、タイヤグリップの確保にはかなり苦しんでいた。それでも新型パーツの効果は確認でき、ヤルノもクルマの仕上がりにはおおむね満足していると金曜フリー走行後にコメントしてした。

1週間前は20℃以上の好天が続いたニュルブルクリンクですが、今週に入って天候が急変。金曜日、初日のドイツGPは気温10℃、路面温度も14℃というウインターテストのような低温でスタートしました。このようなコンディション下ではグリップ不足が考えられたため、プログラムを変更して、新しく持ち込んだウイングの比較から先に行いました。
午後に入っても気温は12℃とほとんど変わりませんでしたが、路面温度は20℃を超えたのでタイヤの比較を行いました。ところが、セッションの途中で雨が降ってきたため、コンパウンドが硬いほうのミディアムタイヤでのロングランが消化できず、きちんとした評価が下せないまま初日のフリー走行を終えることとなりました。
そのような状況にもかかわらず、ヤルノが5番手のタイムを記録するなど、今回持ち込んだ新しい空力パーツが効果を発揮していることを確認することができ、力強い結果を残せました。とはいえ、初日のフリー走行では今シーズンここまで不振だったライバルチームのいくつかがスピードを上げてきていたので、予選はこれまで以上に激しい戦いになるだろうと予想されました。

予選中は天候の読みがすべて裏目に。まったくの想定外の結果に終わる

天候が味方してくれなかったことも理由としてあげられるが、予選時にうまくタイヤを温められない事態がイギリスGPから続いているとティモが指摘している。天候に対応できるよう対策をとってはいたが、Q3進出を逃してしまった。

ドライコンディションで行われた最終ピリオドでのライバルチームのラップタイムを見る限り、今回の予選で我々パナソニック・トヨタ・レーシングのふたりのドライバーは問題なく、最終ピリオドへ進出できていたと思います。したがって、最終ピリオドへ1台も進出することができなかったという今回の結果は、まったくの想定外でした。
我々にとって最初の誤算は第1ピリオドの最初のアタックを硬いほうのミディアムタイヤを装着してふたりそろってコースインしたことでした。我々以外にミディアムを装着したチームは1チームだけで、ほかはみんな軟らかいほうのスーパーソフトを履いて最初からアタックに出ていたため、後手を踏む形となりました。
それでも、2セット目のタイヤをスーパーソフトに変えて出て行ったタイムアタックでヤルノがきっちりと第1ピリオドを通過するタイムを記録できたのですが、ティモがミスをして自己ベストを更新できませんでした。しかし、まだ時間が残っていたので、我々はあきらめずにもう1セットニュータイヤを投入して、最後のアタックに賭けたのです。ところがここで雨が降り始めて、ティモは自己ベストを上回ることができずに第1ピリオドで脱落することになりました。
これでヤルノひとりとなったわけですが、第2ピリオドではそのヤルノも気まぐれな雨に翻弄されました。ドライタイヤを履いてコースインした直後に雨が降り始めたのです。そこでインターミディエイトタイヤに履き替えてタイムアタックをやり直したのですが、降り出した雨はすぐに上がり、履き替えたばかりのインターミディエイトタイヤが痛み始めてしまったのです。すぐにピットインさせる手もあったのですが、天候がこの先どうなるか予想するのが難しく、決断するのに少し時間を要してしまいました。この間にライバル勢はドライタイヤに交換して自己ベストを続々と更新。ヤルノもドライタイヤに交換してタイムアタックに出たのですが、そこで再び雨が降り出し、タイムを更新することができませんでした。
ホームグランプリでの思いもよらぬ予選結果に終わりましたが、レースは何が起きるかわかりません。日曜日は依然50%から70%という高い降水確率となっていたので、何が起きてもきちんと対応できるよう、ふたりの作戦をしっかりと見直してレースに臨みました。

ヤルノは1周目に接触。ピットレーンスタートのティモは入賞まであと一歩及ばず

特別仕様のヘルメットで臨んだティモは、最後尾から追い上げたものの得点獲得には届かず9位完走。ヤルノもレース全体で2番目に速いタイムを記録するなど、クルマに速さはあったが、接触の影響を最後まで払拭できなかった。

前戦イギリスGPではスタートがうまく行かず、順位を落としてしまいましたが、今回はトラブルもなく、スムーズに発進することができました。しかし、ヤルノが前方のスタートを失敗した車両の影響を受け、順位をひとつ落としてしまいました。さらに5コーナーから6コーナーにかけて、他車と接触。最初はデータに異常が見あたらなかったので、そのまま走行させましたが、フロントウイングの翌端板にヒビが入っていたため、2周目にピットインさせました。これでほとんど最後尾まで脱落してしまい、ヤルノのレースは終わってしまいました。
一方、土曜日の予選で19番手に終わり、その後ペナルティを受けて最後尾からのスタートが予定されていたティモは、思い切って作戦を変えて、ピットレーンからレースを開始させました。こちらはアクシデントもトラブルもなく、9番手までポジションアップすることができましたが、入賞にはあと一歩及びませんでした。
ヤルノのひとつ後ろのポジションからスタートしていたクルマが4位を獲得していたので、決勝を普通に戦うことができていれば、表彰台に絡む戦いができていたと思うだけに残念な結果となりました。
第2のホームグランプリでポイント獲得はなりませんでしたが、クルマにスピードがあることは確認できました。次のハンガリーGPは昨年、ティモが表彰台を獲得した相性のいいサーキット。今度こそ、期待に応えられる結果を出したいと思っていますので、ご声援よろしくお願いします。


ニュルブルクリンクでの新居章年。今回、第2のホームグランプリともいえるニュルブルクリンクで、天候の読みがすべて裏目に出た予選結果が後々まで響き、惜しくもポイントを逃す。次戦、相性のいいハンガロリンクで再び表彰台を目指す!

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2009 チャンピオンシップポイント

ヤルノ・トゥルーリ
32.5pt / 8th
ティモ・グロック
24pt / 10th
小林 可夢偉
3pt / 18th
59.5pt / 5th

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