小林 可夢偉 -サードドライバー-

小林可夢偉に聞く2009.01.15

パナソニック・トヨタ・レーシングのサードドライバーとして2年目のシーズンを迎えることについてどう考えていますか?

今年もチームと共にいられることはとても嬉しいし、“TF109”の開発に挑戦することを楽しみにしている。今年もGP2アジアシリーズとGP2シリーズに参戦しながらトヨタのサードドライバーの役割を果たすことになり、忙しいシーズンになるだろうが、私は若いし、レーシングカーをドライブすることを愛しているので問題はない。今年は私にとって重要な年になるだろう。F1へ向けてのキャリアを完璧なものとするために、是非ともGP2での成功を果たしたい。将来どうなるかはわからないが、今年は決して諦めることなく、常に全力を尽くして戦っていくつもりだ。

F1ドライバーとしての生活はどのようなものですか?

とても楽しいが、非常に疲れるのは確かだ。F1ドライバーになるということがどのようなものなのか、私が子供の頃想像していたものとは違う。なぜなら単にドライビングして、レースカーに関する作業をすればいいというものではなく、やらねばならないことが非常に多くあるからだ。今でこそ私は理解しているが、私がもっと若かった頃は、レーシングドライバーはただレースだけのために過ごせばいいと思っていた。実際にレースカーをドライビングするのに費やす時間は1年のうち5から10%位だろう。残りの時間はトレーニングや車両開発のためのチームミーティング、広報やその他様々な活動のために使われる。これらのことが、F1ドライバーの生活全体を構成している。プライベートな面では、自分自身ではほとんど何も変わっていない。これまで経験したことがないほど忙しいということを除けばね! トヨタのF1ドライバーとGP2レーサーをかけ持つということは、多くの仕事で忙しいということではあるが、私自身はそれを楽しんでいる。

レーシングドライバーとしての目標は?

これまで日本人によるF1優勝は達成されていないという大きな事実があり、それを成し遂げることが究極の目標だ。もし日本人ドライバーがトヨタでレースに勝つことが出来れば、それは日本人にとって最高の誇りになるであろうことは分かっている。それは大きな意味を持つだろう。しかしそのようなことを考える前に、私が優先すべきことは着実に自分自身を向上させて行き、最終的にF1のレギュラーシートを獲得することだ。

何があなたをモータースポーツに駆り立てたのですか?

小さかった頃、偶然レンタルカートのTVコマーシャルを見て、それを父親に伝えたところ、彼は私を連れて行ってくれた。それがカートを始めたきっかけだったのだが、私はすぐにカートに親しむことが出来、当時幼稚園児だった私の将来の夢はレーシングドライバーになった。当時はF1であるとか他のカテゴリーとかと言ったことは考えておらず、ただ純粋に4輪でのレースがしたかった。実際のところ、しばらくの間私はコメディアンになろうと思っており、学校でも喜劇部に入った。しかしすぐにレースこそが自分が本当に望んでいたものだと分かった。

パナソニック・トヨタ・レーシングの一員としての生活はどのようなものですか?

素晴らしい経験であり、ドライバーとしての成長の大きな助けとなってくれる。非常に多くの、様々なフィールドにおける経験豊かなプロフェッショナルと共に働くことは、知識を深めることと共に、F1を支える技術について多くを教えてくれる。チームスタッフ全員の非常に献身的でプロフェッショナルな働きぶりは、とても刺激になる。他にも、多くのスタッフが、過去に若いドライバーと共に働いた経験を持っているので、F1を学ぼうとしている若いドライバーが直面する問題についてよく知っている。だから彼らの存在は本当に助けになった。

ヤルノ・トゥルーリとティモ・グロック、2人のレースドライバーから得られたものは?

彼らのようなドライバーと共に働くのは非常に興味深い。彼らが与えてくれるアドバイスを常に自分のものにしようとしている。ヤルノとティモからはとても多くのことを学んだ。彼らはF1カーの挙動について正確に理解し、正しい方向へ修正する能力を持っている。サーキットでも、彼らは全力でアタックするタイミングか、そうでないかを正しく把握している。このようなことについて彼らから学ぶべきことは多く、それを自分のものにしたいと思っている。とはいえ、我々が共にやるべき作業は、どうやってF1カーを開発し、改善していくかのミーティングが主だ。なぜならそれこそが今の私たちの仕事だからだ。

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