2002年9月 2日(月)配信

トヨタチーム CART初開催のデンバーで今季3度目の表彰台独占!
B.ジュンケイラ優勝。2位S.ディクソン。3位C.ダ・マッタ

予選
今季2勝目を挙げたB.ジュンケイラのトヨタ・ローラ
今季2勝目を挙げたB.ジュンケイラのトヨタ・ローラ
 8月の4連戦の締めくくりは、初開催のデンバー戦。コロラド州デンバーは、米国中西部、ロッキー山脈の麓、標高1700mの高地に位置する大都市。高層ビルの林立する ダウンタウンの中心部に特設コースが作られた。1周1.647マイル(2.65Km)のコースは、デンバー州立大学に隣接したエキスポセンター周辺の公道を閉鎖したもので、公道特設コースならではのコースコンディションの悪さは否めない。
 路面は凹凸が激しく第5ターンのみが幅広いものの、他はコース幅は狭く、CARTシリーズでも難しい市街地コースのひとつ。また、標高が高いことで大気圧も低く、ターボを装着する"チャンプカー"にとっては、過給圧設定にも影響を及ぼす。
 8月30日(金)に行なわれた予選第1日目は、気温32度とジリジリと太陽が照りつける中で行なわれ、遅めのタイムアタックが裏目に出たC.フィッティパルディがA.フェルナンデス(ホンダ)に首位を譲り2番手。
 31日(土)の予選第2日目は、予選第1日目の教訓を活かして、予選開始早々にタイムアタックしたB.ジュンケイラがポールポジションを奪還。トヨタチームは、予選トップ7に5台が入り、決勝レースへと臨む事となった。

決勝
 9月1日(日)曇り空で、やや過ごし易くなった気候のもとで午後1時に、100周の決勝レースがスタートした。
 スタート直後に、D.フランキッティ(ホンダ)の接触でいきなりイエローコーションとなるが、再スタート後は、イエローコーションの出ない、淡々としたレース展開となり、ポールポジションからスタートしたB.ジュンケイラが後続を引き離し、首位独走。
 2位争いは、A.フェルナンデスとS.ディクソンが激しいバトルを繰り広げていたが、3回目のピットインでS.ディクソンが首位争いへと躍り出て、後半戦は、チームメイト同士の首位攻防戦へと持ち込んだ。そして、3位争いはA.フェルナンデスとC.フィッティパルディに絞られたかに見えたが、レースも終盤となる88周目に上位争いに新たな展開が待っていた。
 今回は、予選からセッティングが合わず苦戦を強いられていた高木虎之介が、M.ドミンゲス(フォード)と接触、高木虎之介は、惜しくもレースを去ってしまった。しかし、このイエローコーションでのピットイン争いを巧みにかわしたのはC.ダ・マッタ。なんと、一気に5位から3位に躍進。トヨタチームは1位、2位、3位体制を確立して残り8周の再スタートからチェッカーへと向かった。
 B.ジュンケイラは、一度も首位の座を譲ることなくポール・トゥ・ウィンで今季2勝目を獲得。トヨタチームは、第5戦ラグナセカ、第8戦トロントに続き3度目の表彰台独占をものにした。
 チャンピオンシップポイント争いで2位に付けていたD.フランキッティがこのレースで早々に戦列を去ったことで、3位フィニッシュのポイントリーダー、C.ダ・マッタは、 さらに点差を広げチャンピオンへ大きく前進するとともに、B.ジュンケイラはポイント2位へと順位を上げることとなった。
 マニュファクチャラーズポイントでは、この完全勝利でトヨタが22ポイントを獲得。念願のチャンピオン獲得へと邁進している。

B.ジュンケイラ(チップ・ガナッシ・レーシング)のコメント:
いろいろトラブルも多いシーズンになりつつあっただけに今日の優勝は本当に嬉しい。レース終盤では、S.ディクソンからのプレッシャーは確かにあったけれど、とにかく ミスを犯さないでチェッカーフラッグをくぐることに集中した。チャンピオンポイントで2位に躍進出来、さらに闘志が沸いた。

高木虎之介(ウォーカー・レーシング)のコメント:
今回は、プラクティス、予選ともセッティングがまったく決まらず苦戦した。決勝は荒れる展開を予想し、早めのピットインで 一気に躍進しようと試みたが、結果的には失敗だった。中盤戦でセッティングを調整し、クルマも少し良くなったのだが、遅すぎた。最後は、先行車と明らかな速度差があったので、インが空いた瞬間を逃さずパスしようとしたが、扉を閉じられ行き場が無くなり接触してしまった。次戦ロッキンガムは久々のオーバルなので、気を取り直し、この雪辱を果たすべく全力でアタックする。

TRD-USA社長 J.オーストのコメント:
デンバーは、どのチームも経験が無く、標高も高いために、技術的には色々と心配だったが、最高の結果を得られて満足している。前戦も悪い結果ではなかったが、メカニカルなトラブルが多かったので、今回に向けてかなり慎重に準備をしてきた。今日の表彰台独占は、TRDスタッフ、各チーム皆の努力の結果だ。

TRD-USA 林 博美のコメント:
心配した波乱の展開もなく快勝をものにすることが出来た。これは、"トヨタRV8Fα"の 優れた性能、燃費、信頼性のバランスによる実力通りの結果ともいえる。しかし、シリーズ終盤戦へと、全く気が抜ける状況ではなく、残り5戦は、今まで以上に気合を入れて臨むつもりだ。また、今回の高木選手は、可哀そうなほどセッティングに苦しんでいたが、次戦は、得意とするオーバルコースなので気を取り直して頑張ってもらいたい。

リザルト

決勝結果
順位No.ドライバーエンジンシャシーチームLapタイム/差ST
14B.ジュンケイラトヨタローラチップ・ガナッシ10001:49:22.5471
244S.ディクソントヨタローラチップ・ガナッシ1000.2824
36C.ダ・マッタトヨタローラニューマン・ハース1008.1917
451A.フェルナンデスホンダローラフェルナンデス10011.9112
511C.フィッティパルディトヨタローラニューマン・ハース10012.5625
610T.カナーンホンダローラモー・ナン10013.2889
712K.ブラックトヨタローラチップ・ガナッシ10013.7056
826P.トレーシーホンダローラグリーン10014.49615
99M.ジョルダインJr.フォードローラレイホール10015.49710
108J.バッサーフォードローラレイホール10016.58611
1120O.セルビアトヨタレイナードパトリック10026.50713
155高木虎之介トヨタレイナードウォーカー8515 Laps18
Race DATA
ポールポジションB.ジュンケイラ (1:01.703)
ファステストラップK.ブラック (1:01.648)
最多リードラップB.ジュンケイラ(100周)
気温摂氏28度
天候曇り
ドライバーズポイント
順位ドライバー名エンジンポイント
1位C.ダ・マッタトヨタ175
2位B.ジュンケイラトヨタ123
3位D.フランキッティホンダ106
5位C.フィッティパルディトヨタ98
10位S.ディクソントヨタ81
11位K.ブラックトヨタ74
16位高木虎之介トヨタ37
19位O.セルビアトヨタ18
マニュファクチャラーズポイント
順位エンジンポイント
1位トヨタ248
2位ホンダ214
3位フォード178