NASCARスプリント・カップ・シリーズ第5戦「Food City 500」が3月16日(日)米国南部テネシー州ブリストルのブリストル・モーター・スピードウェイで開催された。
ブリストル・モーター・スピードウェイは、36度という高いバンク角を持つ1周0.533マイル(約860m)のオーバルコースで、「世界最速のハーフマイル」と呼ばれる。
14日(金)に予定されていた予選は、降雨のために中止となり、開幕5戦までは前年のオーナーズポイントに準ずるというNASCARのルールに則り、決勝のグリッドが決定された。その結果、T.スチュワートの6番手をはじめとして、10台の"トヨタ カムリ"が決勝レースへと進んだ。
16日(日)午後2時16分に0.533マイルを500周(266マイル:約430km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
6番手スタートのT.スチュワートは96周目にトップに立つと、レースを支配。チームメイトのD.ハムリンも12番手グリッドから順当に追い上げ、T.スチュワートと共に激しく首位争いを展開した。
一方、22番手とやや後方からのスタートを強いられたKy.ブッシュだったが、前半戦で着実にポジションを上げ、レース折り返しとなる250周の時点では4位まで浮上し、更にポジションアップを狙って健闘。
ジョー・ギブス・レーシングの1-2-3体制なるかと思われたが、278周目に首位を走行していたD.ハムリンが周回遅れと接触し、車体にダメージを負ってしまった。大きなダメージではなかったが、修復のためにピットインを強いられ後退。
代わってKy.ブッシュが284周目に首位に浮上したが、291周目に突如ステアリングのトラブルに見舞われスピン。修復してレースへ復帰したものの2周遅れとなってしまった。
その後はT.スチュワートが首位を維持していたが、一時は16位まで後退していたD.ハムリンが怒濤の追い上げを見せ、レース終盤には再びT.スチュワートとの1-2体制となった。
レースも残り5周となった495周目にイエローコーションからの再スタートが切られると、好スタートを切ったD.ハムリンが首位を奪還。498周目には、後方で2位を争っていたT.スチュワートとK.ハーヴィック(シボレー)が接触し、T.スチュワートがスピン。レースはこの日10度目のイエローコーションとなり、周回数は延長。504周目、最後の2周でレースが決されることとなった。
最後の2周スプリントの再スタートをトップで切ったD.ハムリンは、好スタートで首位を堅持したが、チェッカーを目前にして突然のスローダウン。痛恨の燃料トラブルに見舞われ、6位でレースを終えた。
T.スチュワートは14位。2周遅れながら17位でフィニッシュしたKy.ブッシュは、スプリント・カップ・シリーズのドライバーズランキング首位の座を守った。
また、1999年のカップ・シリーズチャンピオンであり、2007年より"トヨタ カムリ"をドライブしていた名ドライバーD.ジャレットが今レース限りの引退を表明。ファンからは暖かい声援が送られていた。次戦より、D.ジャレットが着けていた栄光のゼッケン「44」はチームメイトのD.ロイティマンが引き継ぐこととなる。
次戦第6戦は3月30日(日)米国東部ヴァージニア州マーティンスビルのマーティンスビル・スピードウェイで開催される。
ドライバー D.ハムリン:
「そのまま行けば、ライバル勢を最後まで抑えられるのは分かっていた。しかし、燃料系のトラブルに見舞われてしまった。我々はレースが延長された上でグリーン・ホワイト・チェッカー(残り2周での再スタート)を含めて最後まで走り切れるだけの燃料を計算していた。しかし、トラブルのためにその全てを使い切ることが出来なかった。我々は今シーズンなかなか幸運に恵まれない。今日の"トヨタ カムリ"は素晴らしい仕上がりだっただけに、本当に無念だ。我々は多くの周回で首位を走行し、その後も最後に首位でチェッカーを受けるために戦い続けた。そしてチェッカー直前に首位に立つことが出来たが、そのままフィニッシュすることだけは叶わなかった」