2008年10月 5日(日)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第30戦 Amp Energy 500

開催日:10月5日

トニー・スチュワートが今季初勝利! トヨタは今シーズンのタラデガを完全制覇

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大荒れのレースを制し今季初優勝を飾ったトニー・スチュワート(#20)

 NASCARスプリント・カップ・シリーズ第30戦「Amp Energy 500」が10月5日(日)米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。シーズン終盤の10戦で、上位12名がタイトルを争う"チェイス"も4戦目となる。
 1周2.66マイル(約4.3km)と、NASCARが開催されるオーバルコース最長を誇るタラデガでは、4月に第9戦が開催されており、今季2度目の開催となる。4月のレースでは、スプリント・カップ・シリーズでカイル・ブッシュ、ネイションワイド・シリーズでトニー・スチュワートが勝利を挙げ、"トヨタ カムリ"による完全制覇を飾っている。

 3日(金)に行われた最終公式練習時に、タイヤブローを起因とする多重クラッシュが発生。このアクシデントにトニー・スチュワート、デニー・ハムリン、デヴィッド・ロイティマンが巻き込まれ、ロイティマンはスペアカーでの出走を余儀なくされてしまった。
 4日(土)午前11時15分から予選が行われ、"トヨタ カムリ"勢はブライアン・ヴィッカーズが9番手で最上位グリッド。スペアカーに乗り換えたロイティマンが19番手。"チェイス"組は、クラッシュのダメージを修復したスチュワートとハムリンがそれぞれ34番手、36番手。カイル・ブッシュはセットアップに苦しみ、37番手。10台の"トヨタ カムリ"が決勝の超高速バトルに挑むこととなった。

 5日(日)午後1時23分に、2.66マイルトライ(三角形)オーバルを188周(500マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタート。
 9番手グリッドのヴィッカーズが好スタートで序盤から上位争いを展開。10周目に首位に立った。
 吸気制限プレートの装着が義務づけられ、空気抵抗との戦いとなるタラデガらしく、複数台が連なったまま、3列、時には4列での激しいバトルが展開され、めまぐるしく順位が変動するレースとなった。
 タイヤにも厳しいレースとなり、19番手スタートから中団での争いを繰り広げていたロイティマンが、53周目にタイヤブローでスピン、大きなダメージを負ってしまった。
 この時点で2位を走行していたヴィッカーズは、このイエローコーションでピットに入らず、再スタートで首位に立ったが、68周目、先頭争いをしている最中に突然右フロントタイヤがバースト。後方集団を巻き込む大クラッシュとなり、レースは赤旗が出されることとなった。
 約17分間の中断の後、再スタート。"チェイス"を争うスチュワート、ハムリン、Ky.ブッシュの3人は後方スタートながら、着実に上位へとポジションを上げて行き、上位に浮上。51周目にはKy.ブッシュ、60周目にハムリン、80周目にはスチュワートが、それぞれこの日初めて首位に立つなど、トップ争いを展開した。
 しかし、ハムリン、Ky.ブッシュ、スチュワートが1-2-3体制となった99周目、ハムリンの右フロントタイヤが破裂。ハムリンは激しくウォールへとクラッシュし、無念のリタイアとなってしまった。
 その後もスチュワートとKy.ブッシュは上位に付けていたが、175周目に多重クラッシュが上位グループで発生。この日2度目の赤旗中断となった。首位を走っていたスチュワートは難を逃れたものの、Ky.ブッシュはこのクラッシュに巻き込まれ、車体にダメージを負ってしまった。
 スチュワートは、延長となった最後の2周で競われる"グリーン・ホワイト・チェッカー"でも首位の座を守り、見事トップでチェッカー。嬉しいスプリント・カップ・シリーズ今季初優勝を念願の"タラデガ"で飾った。この勝利で、スチュワートは"チェイス"のランキングを7位へと上げた。
 2度の赤旗中断を含む大荒れのレースとなり、首位と同一周回でフィニッシュを果たしたのは僅か18台。また、出走43台中28台がリードラップ(首位走行)を獲得するという新記録を更新した。
 "トヨタ カムリ"は今季シリーズ10勝目。前日行われたクラフツマン・トラック・シリーズでも"トヨタ タンドラ"が勝利を挙げており、4月の前大会に続き、トヨタは今季タラデガで行われたNASCARトップ3カテゴリーの全レースを制することとなった。

 次戦第31戦は10月11日(土)米国東南部ノースカロライナ州シャーロットのロウズ・モーター・スピードウェイで開催される。

ドライバー トニー・スチュワート:
「やっと勝つことが出来た。しかもその勝利がタラデガだったというのは格別だ。タラデガは、私がカップ・シリーズでまだ勝ったことのない4つのコースの一つだったからだ。ずっとここでの勝利を夢見てきた。レースの前半は注意深く走ることを心がけ、後半は、ポジションを守るために、ひたすら我慢を続けた。それは今日一日ずっと素晴らしい走りが出来たということであり、正しいドライバーと共に走り続けたということだ。今年はあまり運に恵まれてこなかったが、勝利を挙げることが出来て本当に嬉しい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 34 20 トニー・スチュワート トヨタ カムリ 190
2 5 15 ポール・メナード シボレー 190
3 16 6 デヴィッド・レーガン フォード 190
12 14 0 ケニー・ウォレス トヨタ カムリ 190
15 37 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 190
16 43 96 ケン・シュレーダー トヨタ カムリ 190
19 25 55 マイケル・ウォルトリップ トヨタ カムリ 187
22 29 22 デイヴ・ブレイニー トヨタ カムリ 176
31 21 84 マイク・スキナー トヨタ カムリ 160
35 9 83 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 134
37 19 44 デヴィッド・ロイティマン トヨタ カムリ 110
39 36 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 98
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ジミー・ジョンソン シボレー 5718
2 カール・エドワーズ フォード 5646
3 グレッグ・ビッフル フォード 5641
7 トニー・スチュワート トヨタ 5515
11 カイル・ブッシュ トヨタ 5387
12 デニー・ハムリン トヨタ 5383
16 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 3168
25 デビッド・ロイティマン トヨタ 2820
29 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 2410
31 デイヴ・ブレイニー トヨタ 2356
36 A.J.アルメンディンガー トヨタ 1828
39 マイケル・マクドウェル トヨタ 1466
40 J.J.イェリー トヨタ 1263
46 マイク・スキナー トヨタ 688
61 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 113
65 P.J.ジョーンズ トヨタ 52
66 ブラッド・コールマン トヨタ 49
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 トヨタ 185
2 フォード 175
3 シボレー 174
4 ダッジ 126

NASCAR CRAFTSMAN TRUCK SERIES
第20戦 Mountain Dew 250

開催日:10月4日

ファイナルラップの大逆転! トッド・ボダインが今季2勝目を挙げる

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ファイナルラップにカイル・ブッシュ(#51)をかわし、
今季2勝目を挙げたトッド・ボダイン(#30)

 NASCARクラフツマン・トラック・シリーズの第20戦「Mountain Dew 250」が10月4日(土)、米国南東部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。

 3日(金)午前11時から行われた予選では、昨年のタラデガ戦も制しているトッド・ボダインが5番手、今大会初めて"トヨタ タンドラ"に乗り、クラフツマン・トラック・シリーズにデビューを果たす18歳のルーキー ジョーイ・ロガーノが6番手。前戦、今季初勝利を挙げたマイク・スキナーとマイク・ウォレスが9,10番手で5列目に並び、11台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。

 4日(土)午後2時半、2.66マイルオーバルを94周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。
 5番手スタートのボダインが3位へとポジションを上げ、序盤からトップ争いを展開。好位置からデビュー戦のスタートを切ったロガーノは、スタートしてまもなく、助手席側のウィンドウが外れるというトラブルに見舞われ、無念の後退となった。
 ボダインはポールポジションから首位を逃げるエリック・ダーネル(フォード)らと激しく首位を争い、33周目には一旦首位に立つものの、チームメイトの助けを得て編隊走行を続けるフォード勢に再びかわされてしまった。
 レースが後半戦に入った50周目前後に、上位勢はグリーン下でのピットインとなったが、素晴らしいピット作業にも助けられ、ボダインは全車がピット作業を終えた時点で再び首位に浮上。
 一方、9番手から一時は3位を走行していたスキナーは、67周目のイエロー時、ピットで他車と接触、再度のピットインを強いられ、ポジションを落としてしまった。
 残り18周でグリーンフラッグが振られると、各車はチェッカーへ向け、3ワイド(横3列に並んでの走行)、時には4ワイドで激しく順位を入れ替えながらの超高速接近戦を展開。 13番手スタートからトップ10圏内を走行していたカイル・ブッシュがこのチャンスを活かしてトップに浮上。ボダインが続く展開となった。
 アウトサイドからはこの日常にトップグループで争っていたコリン・ブラウン(フォード)が首位を狙い、残り2周の時点で、この2台の差はわずか0.002秒差。トップを争う数台はほとんど差がないままファイナルラップに突入した。
 トップがファイナルラップに入ってまもなく、後方では多重クラッシュが発生したが、レースはそのままグリーンフラッグで続行。イン側のラインを守るKy.ブッシュに続いていたボダインは、第4ターンでアウト側にラインを取ると、すぐ後につけるロン・ホーナディ(シボレー)と共にKy.ブッシュをパス。そのままチェッカーを受け、今季2勝目を挙げた。Ky.ブッシュは3位でフィニッシュ。
 優勝したボダインは、昨年のタラデガ戦も制しており、タラデガでは2連勝。また、今シーズンの開幕戦が行われたデイトナのスーパースピードウェイ戦でも勝利を挙げており、スーパースピードウェイ3連勝となった。
 僅か1ポイント差ながらポイントランキング首位で今大会に臨んだジョニー・ベンソンは、 17番手からスタートし、トップ10圏内での走行を続けたものの、後半ペースが上がらず、 11位でフィニッシュ。ランキング2位に後退した。

 次戦第21戦は10月18日(土)に米国東部ヴァージニア州マーティンスビルのショートオーバル、マーティンスビル・スピードウェイで行われる。

ドライバー トッド・ボダイン:
「ファイナルラップのバックストレートまでは、私はカイル(・ブッシュ)の後方で、彼をプッシュして2位フィニッシュすることになると思っていた。コリン(・ブラウン)が速かったので、カイルの勝利を助けることでトヨタが勝利を挙げ、私も出来るだけ多くのポイントを得られるフィニッシュにするつもりだった。しかし、ターン4で彼の後方からプッシュしたとき、彼は少しスライドしたため、私はアウトにラインを変えざるを得なかった。その後ロン(・ホーナディ)が私の後方につき、そして今私は"トヨタ タンドラ"と共にヴィクトリーレーンにいる。信じられない結末だった。私はスーパースピードウェイで3連勝を果たすことが出来たが、決してスーパースピードウェイのマスターではない。たまたま時運に乗っただけであり、今日のように幸運に恵まれただけだ。私は、真のスピードウェイ・マスターは故デイル・アーンハート・シニアだけであり、我々はまだ彼から学んでいる最中だと思っている」

ドライバー ジョニー・ベンソン:
「今の気分は言葉に出来ない。本当に感激している。今日は出来れば勝って終えたかったが、今日我々がすべきことはただ一つ、チャンピオンの獲得であり、ロン(・ホーナディ)の一つでも前でフィニッシュすることだった。彼が速いことは分かっていた。彼より前でフィニッシュするために、クルーチーフはかなり勇気が必要とする、素晴らしい判断をしてくれた。厳しいレースだったが、最後は楽しいレースが出来たし、ファンにも楽しんで貰えたと思う。私が勝ったレースには必ずいてくれて、支え続けてくれた家族、素晴らしい仕事をしてくれたスタッフ、タイトル獲得の機会を与えてくれたチームオーナーとトヨタに感謝したい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 5 30 トッド・ボダイン トヨタ タンドラ 94
2 7 33 ロン・ホーナディ シボレー 94
3 13 51 カイル・ブッシュ トヨタ タンドラ 94
5 10 9 マイク・ウォレス トヨタ タンドラ 94
7 23 16 ブライアン・スコット トヨタ タンドラ 94
9 9 5 マイク・スキナー トヨタ タンドラ 94
11 17 23 ジョニー・ベンソン トヨタ タンドラ 94
14 18 15 ジョン・アンドレッティ トヨタ タンドラ 94
15 16 22 スコット・スピード トヨタ タンドラ 94
19 26 11 デヴィッド・スター トヨタ タンドラ 94
23 15 60 テリー・クック トヨタ タンドラ 93
26 6 59 ジョーイ・ロガーノ トヨタ タンドラ 89
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ロン・ホーナディ シボレー 3027
2 ジョニー・ベンソン トヨタ 2988
3 マット・クラフトン シボレー 2809
4 トッド・ボダイン トヨタ 2791
6 マイク・スキナー トヨタ 2769
10 テリー・クック トヨタ 2460
12 デヴィッド・スター トヨタ 2396
16 テッド・マスグレイヴ トヨタ 2099
18 カイル・ブッシュ トヨタ 2017
21 ジャスティン・マークス トヨタ 1781
24 スコット・スピード トヨタ 1368
26 マーク・ミッチェル トヨタ 1295
28 シェイン・シーグ トヨタ 950
32 マイケル・アネット トヨタ 801
40 フィリップ・マギルトン トヨタ 491
43 クリシー・ウォレス トヨタ 382
44 ケン・シュレーダー トヨタ 348
47 ジョン・アンドレッティ トヨタ 291
50 デヴィッド・ストレム トヨタ 262
67 デヴィッド・ロイティマン トヨタ 124
73 デニー・ハムリン トヨタ 105
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 トヨタ 142
2 シボレー 130
3 フォード 96
4 ダッジ 72