2010年4月26日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第9戦 Aaron's 499

開催日:4月25日

チェッカー目前の追い上げ及ばず。
デニー・ハムリンが4位フィニッシュ

写真
終盤追い上げたが惜しくも4位に終わったデニー・ハムリン(#11)

 4月25日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第9戦「Aaron's 499」が開催された。
 年に2回レースが開催されるタラデガは、1周2.66マイルとNASCARが開催されるコースの中で最長であり、デイトナと共にリストリクタープレート(吸気制限板)を取り付け、最大出力を制限されるレースであるが、それでもNASCARでの最高速をマークする、屈指の高速オーバルである。
 このため、レースではドラフティング(複数台の車両が縦に1列となり空気抵抗を低減するテクニック)でのテクニックや戦略が非常に重要となる。

 23日(金)に2度の練習走行を終え、24日(土)に予定されていた予選は、降雨のために中止。規定に則り、前戦までのオーナーポイントでグリッドが決定された。トヨタ勢はカイル・ブッシュが6番手、デニー・ハムリンが11番手、ジョーイ・ロガーノが12番手につけ、13台が決勝に進んだ。

 25日(日)午後12時20分に2.66マイルオーバルを188周(500マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタート。6番手グリッドのKy.ブッシュは好スタートを切り1周目から首位に浮上。しかし、僅かなポジショニングで大きく順位の入れ替わるタラデガらしく、その後は毎周のようにトップが入れ替わっていく展開となった。
 そんな中で、トヨタ勢ではKy.ブッシュとロガーノ、ハムリンに加え、19番手スタートのブライアン・ヴィッカーズ、30番手スタートから序盤一気に順位を上げたデイビッド・ロイティマンらが上位争いを展開した。
 76周目には、壁に接触したマイケル・ウォルトリップを避けようとしてハムリンが単独スピン。しかし、ハムリンはどこにも接触することなく、トップと同一周回でコースに復帰した。
 83周目、先のイエローコーションで好ピット作業を見せ、順位を上げたロイティマンが首位に立った直後、後続で多重クラッシュが発生。この日3度目のイエローコーションとなった。
 その後はイエローコーションが出ず、150周前後に、各車最後の給油のためにグリーン下でピットストップ。その後トヨタ勢はドラフティングで良い位置を得ることができず、中団グループに後退。
 残り12周となった176周目に他車のスピンによりこの日5度目のイエローコーション。再スタート直後の183周目には後方グループで接触からクラッシュとなり、レースは延長。189周目に"グリーン・ホワイト・チェッカー"で再スタートが切られたが、その直後に多重クラッシュが発生。9台が絡む大クラッシュとなり、好走を見せていたロガーノ、ヴィッカーズ、マーコス・アンブローズが巻き込まれてしまった。
 195周目、この日2度目の"グリーン・ホワイト・チェッカー"で再スタート。またしてもスタート直後に多重クラッシュが発生し、イエローコーション。3度目の"グリーン・ホワイト・チェッカー"となった。
 198周目、ハムリンが4番手、マーティン・トゥルークス・Jr.が5番手、Ky.ブッシュが6番手、ロイティマン9番手で最後の再スタート。インサイドの上位2台、アウトサイドの上位2台が最後の争いとなり、アウトサイド後方から追い上げたハムリンは、チェッカー目前でのパスを狙い、前を行くファン・モントーヤ(シボレー)に並びかけたが僅かに及ばず、4位でチェッカー。トップとは僅か0.25秒差でのフィニッシュであった。Ky.ブッシュは9位。トゥルークス・Jr.が12位、ロイティマンが14位、スコット・スピードが15位でフィニッシュした。
 今大会、総周回数200周はコース新記録であり、首位の入れ替わりが88回、首位に立ったドライバーは29人と、この2つもNASCARの新記録を更新する、激しいレースであった。
 今大会の結果、ランキングではKy.ブッシュが5位、ハムリンが9位へとそれぞれ順位を上げた。

 次戦第10戦は5月1日(土)、米国東部ヴァージニア州リッチモンドのリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで行われる。

ドライバー デニー・ハムリン:
「あと1周、あとコーナーひとつ欲しかった。私が後方から押す形になっていたドライバーは多くのポジションアップを果たしていた。とはいえ、我々のチームとトヨタにとっては良い一日だった。"チェイス"入りを果たすためにも重要な結果だ。今日のレースは、これまでに経験したことがないほど、まるで大きなヨーヨーのように順位が変わった。コース上でのポジションを維持するのは非常に困難だった。今日のレースは誰にも勝つチャンスがあった。それは間違いない。あとは最後の10周でどのポジションにいられるかということだ」

リザルト

第9戦 Aaron's 499 決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 4 29 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 200
2 21 1 ジェイミー・マクマーレイ シボレー 200
3 24 42 ファン・モントーヤ シボレー 200
4 11 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 200
9 6 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 200
12 17 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 200
14 30 0 デイビッド・ロイティマン トヨタ カムリ 200
15 20 82 スコット・スピード トヨタ カムリ 200
20 38 7 ロビー・ゴードン トヨタ カムリ 200
29 19 83 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 195
36 12 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 188
37 28 47 マーコス・アンブローズ トヨタ カムリ 188
39 43 55 マイケル・ウォルトリップ トヨタ カムリ 84
40 40 13 マックス・パピス トヨタ カムリ 83
42 41 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 47
43 42 66 デイヴ・ブレイニー トヨタ カムリ 33
観客数(主催者発表):123,500人
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ジミー・ジョンソン シボレー 1323
2 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 1297
3 グレッグ・ビッフル フォード 1237
5 カイル・ブッシュ トヨタ 1163
9 デニー・ハムリン トヨタ 1138
15 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 1045
16 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 1001
21 スコット・スピード トヨタ 949
25 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 916
27 デイビッド・ロイティマン トヨタ 849
30 マーコス・アンブローズ トヨタ 787
34 ロビー・ゴードン トヨタ 721
38 マックス・パピス トヨタ 423
39 ジョー・ネメチェク トヨタ 380
40 デイヴ・ブレイニー トヨタ 345
41 マイケル・マクドウェル トヨタ 293
45 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 200
53 リード・ソーレンソン トヨタ 46
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 70
2 トヨタ 48
3 フォード 42
4 ダッジ 38

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第8戦 Aaron's 312

開催日:4月25日

2週連続降雨によるダブルヘッダー開催
ジョーイ・ロガーノが惜しくも2位

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惜しくも2位に終わったジョーイ・ロガーノ(#20)、10位に入ったブライアン・スコット(#11)、
一時は首位を争いながらも無念のリタイアに終わったカイル・ブッシュ(#18)

 4月25日(日)にNASCARネイションワイド・シリーズの第8戦「Aaron's 312」がタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。

 23日(金)午前10時半より予選が行われ、リード・ソーレンソンが6番手、ジェイソン・リフラーが7番手、カイル・ブッシュが11番手、ジョーイ・ロガーノが15番手につけ、10台の"トヨタ カムリ"が決勝に進んだ。

 決勝レースは24日(土)の午後に予定されていたが、降雨のため、翌日曜日のスプリント・カップ・シリーズ第9戦終了後に順延された。このため、スプリント・カップ・シリーズとネイションワイド・シリーズの両レースに出場するKy.ブッシュやロガーノらのドライバーは、前週のテキサスに続き、2週連続でダブルヘッダーのレース出場、今週は日曜日の一日だけで、合計約800マイル(約1300km)もの距離を走ることとなった。
 前戦テキサスとは異なり、ナイトレース用の設備のないタラデガでは、日没前にレースを終える必要があるため、スプリント・カップ・シリーズ第9戦の終了後、僅か50分ほどのインターバルで、午後4時43分に2.66マイルオーバルを117周(311マイル:約500km)して競われる決勝レースのグリーンフラッグが振られた。
 序盤はKy.ブッシュとリフラーにブライアン・スコット、ヴィッカーズらが続き上位グループを形成。まもなく後方からロガーノもポジションを上げてきた。
 20周目に13台もの車両が絡んだ多重クラッシュが発生。リフラー、リード・ソーレンソン、スティーブ・ウォレス、マイケル・アネットが巻き込まれ、ここでレースを終えることとなってしまった。
 このイエローコーション時に好ピット作業でポジションを上げたKy.ブッシュはまもなく首位に浮上。ブライアン・スコット、ヴィッカーズ、ロガーノも上位争いに加わった。
 ロガーノは47周目、2度目のイエローコーション時のピットで、燃料補給用の缶が車両から外れないままでピットアウト。ペナルティを科され、31位まで後退を余儀なくされてしまった。しかし、ロガーノはそこから目覚ましい追い上げを開始。56周目にはトップ5まで浮上し、Ky.ブッシュと共に首位争いに復帰した。
 その後はイエローコーションの出ないまま、グリーン下で92周目あたりから各車ピットイン。ここで、ピットへ向かおうとしたKy.ブッシュと後続車が接触。車両後方にダメージを負ったKy.ブッシュは再度のピットインでの修復を余儀なくされ、周回遅れとなってしまった。また、レースも残り5周となった113周目には多重クラッシュが発生。Ky.ブッシュはこれに巻き込まれ、車両に大きなダメージを負って無念の戦線離脱となった。
 レースは3周延長され、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で118周目にヴィッカーズが4位、ロガーノが10位で再スタート。大きく傾いた日差しの下で、時には3列になった車列で、互いに牽制しあいながらの首位争いが繰り広げられた。
 ファイナルラップ、ロガーノはブラッド・ケセロウスキー(ダッジ)を押す形となり2台でアウトサイドからの首位浮上を狙うと、イン側では首位争いをしていた車両が接触。スピンした車両に後続が次々と突っ込んで、10台が絡む大クラッシュが発生。しかし、レースはファイナルラップに入っていたため、その時点での順位で確定。ロガーノは2位フィニッシュとなった。直前の車両がスピンしたことで巻き込まれたヴィッカーズとスコットはそれぞれ9位、10位でフィニッシュとなった。

 次戦第9戦は4月30日(土)、リッチモンド・インターナショナル・レースウェイで行われる。

ドライバー ジョーイ・ロガーノ:
「我々の"トヨタ カムリ"は本当に速かった。しかし、それは後方から押す立場としてであり、首位を争うには足りなかった。最後も良い走りだった。直前のカップレースでも同じようなシナリオで戦うつもりで、残り3周の時点でトップ10圏内につけていた。今回は同じシナリオで同じように走って、それが上手く行ったのは良かった。とはいえ、昨年はここでデイビッド(・レーガン)を同じようにプッシュして勝利に導き、今年も勝ったブラッド(・ケセロウスキー)を押すことになった。いつか誰かが首位を走る私を押してくれるようになってくれるといいね」

リザルト

第8戦 Aaron's 312 決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 23 22 ブラッド・ケセロウスキー ダッジ 120
2 15 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 120
3 1 33 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 120
9 25 32 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 120
10 17 11 ブライアン・スコット トヨタ カムリ 120
13 39 99 トレヴァー・バイン トヨタ カムリ 120
27 36 62 ブレンダン・ゴーアン トヨタ カムリ 118
34 11 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 111
39 33 66 スティーブ・ウォレス トヨタ カムリ 23
40 6 10 リード・ソーレンソン トヨタ カムリ 20
41 7 38 ジェイソン・リフラー トヨタ カムリ 20
43 29 15 マイケル・アネット トヨタ カムリ 20
観客数(主催者発表):71,500人
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ブラッド・ケセロウスキー ダッジ 1324
2 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 1264
3 カイル・ブッシュ トヨタ 1220
7 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 1078
8 ブライアン・スコット トヨタ 876
12 ブレンダン・ゴーアン トヨタ 838
13 トレヴァー・バイン トヨタ 832
14 スティーブ・ウォレス トヨタ 784
15 ジェイソン・リフラー トヨタ 779
17 マイケル・アネット トヨタ 762
23 リード・ソーレンソン トヨタ 651
27 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 595
45 ケヴィン・リペイジ トヨタ 261
48 デイビッド・ロイティマン トヨタ 227
50 ケーシー・カーン トヨタ 210
56 デニー・ハムリン トヨタ 175
68 ケイシー・メアーズ トヨタ 70
71 マイキー・カイル トヨタ 64
73 ジャスティン・ロフトン トヨタ 52
75 チャド・ブラウント トヨタ 43
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 トヨタ 54
2 シボレー 47
3 ダッジ 43
4 フォード 32