NASCAR SPRINT CUP SERIES
第33戦 Amp Energy Juice 500
開催日:10月31日
超高速オーバルでデイビッド・ロイティマンが4位
デニー・ハムリンは9位に入るもタイトル争いは更に激化
超高速バトルで常に上位を争い4位フィニッシュを果たした
デイビッド・ロイティマン(#00)と5位フィニッシュのジョーイ・ロガーノ(#20)
10月31日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第33戦「Amp Energy Juice 500」が開催された。
NASCARが開催されるオーバルの中で最長の一周2.66マイル(約4.3km)のタラデガは、超高速のレースが展開されるが、リストリクター・プレートと呼ばれる吸気量制限装置を取り付け、最高出力が制限されるため、他車と縦に連なって
走行する"ドラフティング"というテクニックや戦略が非常に重要となり、それ故にレース中も激しく順位が入れ替わるコースである。
30日(土)併催のキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第22戦決勝レースを前に、午前11時15分から予選が
行われ、ジョー・ネメチェクが4番手、ケイシー・メアーズが9番手グリッドを確保。5年連続の"チェイス"入りを果たし、悲願のタイトルを狙うデニー・ハムリンは17番手。カイル・ブッシュは32番手からのスタート。13台の"トヨタ カムリ"が
決勝へと進んだ。
31日(日)午後1時23分、好天に恵まれたコースで、11万人もの観客が見守る中、 2.66マイルオーバルを188周(500.08マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタートした。
1周目に、2列目4番手スタートのネメチェクが首位を奪うが、タラデガならではのドラフティングによるバトルで、序盤から毎周のように首位が入れ替わる展開。12周目にはスーパースピードウェイを得意とし、久しぶりの出場となるマイケル・ウォルトリップが首位に浮上。
30台近い車両が一団となっての首位争いは、時には5列にもなるという激しいバトルとなったが、グリーン下でのピットを終えた後の41周目には、2本タイヤ作戦を採ったマーティン・トゥルークス・Jr.が首位。その翌周には、最後にピットインしたデイビッド・ロイティマンがトップに立った。49周目にはハムリンが首位に立ち、貴重なリードラップボーナス5ポイントを獲得。その後もKy.ブッシュ、マーコス・アンブローズ、ジョーイ・ロガーノらが首位に立つなど、めまぐるしく首位が入れ替わった。
そんな中、一時は首位を争っていたハムリンは、70周目に出されたこの日初めてのイエローコーション時のピットでポジションダウン。再スタート後も、ドラフティングの列から外れ、単独走行となってしまったハムリンはペースを上げられず、周回遅れとなってしまった。
ハムリンは142周目、この日3度目のイエローコーションで、ようやくラッキードッグ(イエローコーション発生時に周回
遅れの最上位が首位と同一周回に戻れる措置)を獲得し、追い上げを開始した。
145周目の再スタートでは、ロガーノが首位に立ち、別の車列の先頭につけたトゥルークス・Jr.と首位争いを展開。
152周目にもイエローコーションが出されると、上位グループの多くはコース上に残ったが、Ky.ブッシュ、ハムリンらがピットイン。ハムリン18番手、Ky.ブッシュ21番手で155周目に再スタートが切られると、この2台は素晴らしいコンビネーションを見せ、イン側からごぼう抜きで一気にポジションアップ。アウトサイドの長い車列をもパスし、159周目にハムリンがついに首位に浮上。翌周にはポジションを入れ替える形でKy.ブッシュが首位に立った。
175周目まで首位を守ったKy.ブッシュであったが、ドラフティング・バトルで順位が入れ替わる中で、残り8周となった180周目、コース上の異物によりイエローコーション。イン側のラインで順位を落としていたKy.ブッシュは17番手、
ハムリンが18番手で184周目に再スタート。ポジションアップを狙ったが、ロイティマンを含む上位の4台以外は、時に4車列になるほどの団子状態で厳しい展開。
そんな中、ファイナルラップを前にロガーノとトゥルークス・Jr.の2台が連なって抜け出し、首位争いに加わろうとしたが、首位の2台にホワイトフラッグ(ファイナルラップを示す)が降られた直後、後続で多重クラッシュが発生。順位はその時点で凍結され、イエローフラッグ下でのチェッカーとなった。
これにより、レースを通して上位争いを繰り広げたロイティマンが4位、ロガーノが5位、トゥルークス・Jr.が6位でフィニッシュ。ハムリンも9位とトップ10フィニッシュを果たした。この日はシリーズ史上2番目に多い、87回も首位が入れ替わる
(26台がリードラップ獲得)乱戦であった。
ハムリンとランキングを争うジミー・ジョンソン(シボレー)が7位でフィニッシュしたため、ハムリンとの差は14ポイントと僅かに広がった。また、ランキング3位のケヴィン・ハーヴィック(シボレー)が2位に入ったため、上位2台との差を縮め、残り3戦で上位3台が僅か38ポイント差という、"チェイス"史上最も僅差での終盤戦を迎えることとなった。
次戦第34戦は11月7日(日)、米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー デイビッド・ロイティマン:
「我々の"トヨタ カムリ"は今日一日を通して素晴らしいパワーを発揮してくれた。トヨタとTRDには感謝している。水温はずっと安定しており、『そのまま攻め続けろ』と言われた。こんなエンジンはそうはない。エンジニアの努力には頭が下がる。チームのピット作業も素晴らしかった」
ドライバー デニー・ハムリン:
「あまり楽しいレースではなかったが、ある意味で狙い通りの結果と言える。48号車(ジミー・ジョンソン)と29号車
(ケヴィン・ハーヴィック)に対して若干ポイントを失ってしまったが、このレースでは大きなポイント差を生じないことが
大切だった。後は、我々がどのコースで優位に立てるかということだ。昨年我々は終盤3レース全てでトップ3フィニッシュを果たしている。タイトル戦いは更にタイトとなったが、残り3レースが楽しみだ」
リザルト
第33戦 Amp Energy Juice 500 決勝結果 | |||||
---|---|---|---|---|---|
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 |
1 | 2 | 33 | クリント・ボウヤー | シボレー | 188 |
2 | 14 | 29 | ケヴィン・ハーヴィック | シボレー | 188 |
3 | 1 | 42 | ファン・モントーヤ | シボレー | 188 |
4 | 21 | 0 | デイビッド・ロイティマン | トヨタ カムリ | 188 |
5 | 25 | 20 | ジョーイ・ロガーノ | トヨタ カムリ | 188 |
6 | 18 | 56 | マーティン・トゥルークス・Jr. | トヨタ カムリ | 188 |
9 | 17 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 188 |
18 | 42 | 7 | ロビー・ゴードン | トヨタ カムリ | 188 |
24 | 9 | 13 | ケイシー・メアーズ | トヨタ カムリ | 188 |
25 | 32 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 188 |
26 | 16 | 83 | ケーシー・カーン | トヨタ カムリ | 188 |
27 | 4 | 87 | ジョー・ネメチェク | トヨタ カムリ | 188 |
28 | 20 | 55 | マイケル・ウォルトリップ | トヨタ カムリ | 188 |
29 | 29 | 82 | スコット・スピード | トヨタ カムリ | 188 |
34 | 35 | 47 | マーコス・アンブローズ | トヨタ カムリ | 187 |
43 | 13 | 97 | ジェフ・フューラー | トヨタ カムリ | 2 |
観客数(主催者発表):110,000人 |
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NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第22戦 Mountain Dew 250
開催日:10月30日
1000分の2秒差でカイル・ブッシュが今季6勝目
"トヨタ タンドラ"が1-2フィニッシュ
3台がほぼ横一線でのフィニッシュ。カイル・ブッシュ(#18:左)が
0.002秒差でアリック・アルミローラ(#51:中央)をかわし優勝。
"トヨタ タンドラ"が1-2フィニッシュを飾った
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第22戦「Mountain Dew 250」が10月 30日(土)にタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。
ここタラデガでは、2007年と2008年にトッド・ボダイン、2009年はカイル・ブッシュが勝利を挙げており、"トヨタ タンドラ"が3連勝中と圧倒的な強さを見せているコースである。
29日(金)午後3時40分から予選が行われ、ランキング2位のアリック・アルミローラが5番手。クリス・フォンティーンが6番手、ランキング首位のボダインが10番手につけ、10台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。
30日(土)午後3時26分、2.66マイルオーバルを94周(250.04マイル:約400km)して競われる決勝レースのグリーンフラッグが振られた。
スタート直後から、2列、3列の車列による超高速バトルが展開。10番手スタートのボダインが上位に浮上する一方で、18番手と中団からのスタートを強いられたKy.ブッシュは、スタート直後に一旦はトップ10圏内に上がるも、その後のポジショニングで20位以下まで後退してしまった。
23周目、トップ10圏内を走行していたジャスティン・ロフトンの直前で他車がスピンし、避けきれず接触した2台は壁にクラッシュ。この日初めてのイエローコーションとなった。ここで上位勢はピットインし、33周目に再スタート。
2番手スタートのボダインがアウトサイドのラインから先行。18番手スタートのKy.ブッシュも再スタート後僅か2周でトップ5までジャンプアップした。
60周目が近づいてきた頃にグリーン下で各車ピットイン。順位が入れ替わるが、ここでピットに入るかどうかの駆け引きの中で、他車と接触したマックス・パピスがスピンしイン側の壁にクラッシュ。
65周目に再スタート。7番手でスタートしたKy.ブッシュは、瞬く間に首位争いへと加わり、イン側の車列で首位のクラフトンに次ぐ2位、アウト側にはボダインが車列の先頭につけ、これを追う形となった。
75周目に中団グループを走行していたティモシー・ペターズがスピン。この日3度目のイエローコーションが出されると、上位勢はコース上に残ったが、ボダインはピットイン。 15位まで順位を落としてしまった。
87周目にもコース上に止まった車両が居たためにイエローコーションが出され、残り6周で再スタート。首位のフォンティーンを2番手のKy.ブッシュが再スタート直後にかわし、首位に浮上。後方では、14番手で再スタートを切ったアルミローラが、アウト側から見事な追い上げを見せ、上位争いに加わると、90周目にKy.ブッシュの前に出て首位浮上。
そのまま逃げ切るかと思われたが、残り3周、中団グループで激しい多重クラッシュが発生。このクラッシュに巻き込まれたボダインとマイク・スキナーは、共にピットでの修復を余儀なくされ、大きく順位を落としてしまった。また、終盤首位を走るなど好走を見せていたフォンティーンも電装系トラブルにより無念のリタイア。レースは1周延長され、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で、最後の2周で決されることとなった。
車両排除のため、10分弱の赤旗中断を経て、最後の2周で再スタート。イン側先頭のアルミローラを、3番手スタートのKy.ブッシュが押す形で首位をキープ。しかしその背後にもライバルが続き、テール・トゥ・ノーズでの息もつかせぬファイナルアタックとなった。
ファイナルラップの最終コーナーを抜け、後から牽制するジョニー・ソーター(シボレー)が一瞬インに車体を振り、これをブロックしようしたKy.ブッシュがインに入ると、ソーターはアウトへ。中央のアルミローラの速度が若干落ち、3台はほぼ横一線のままチェッカー。
僅か0.002秒早くフィニッシュラインを超えていたKy.ブッシュが今季6勝目。昨年と同じくアルミローラが2位で続き、"トヨタ タンドラ"が1-2フィニッシュを飾った。1位と2位の差、0.002秒は、電気式計測が始まって以来、最も僅差の
シリーズ記録となった。
ボダインは18位に終わったが、ランキング首位の座は守り、2位アルミローラとの差は残り3戦で216ポイント、3位ソーターとの差は314ポイントとなっている。
次戦第23戦は11月5日(金)にテキサス・モーター・スピードウェイで開催される。
ドライバー カイル・ブッシュ:
「勝てて最高だ。アリック(アルミローラ)は昨年同様、勝つに値する走りだった。私は最終コーナーを出るまで、彼を後からプッシュしていた。その後、ジョニー(ソーター)に押されて、トライ・オーバル故にオーバーステア状態になってしまった。なんとか51号車(アルミローラ)の後に留まろうとしたが、ジョニーがイン側に入ろうとしていたので、私もそちらをブロックせざるを得ず、その結果、あのような劇的な幕切れになった。スタンドのファンにとっても素晴らしいレースだったと思う」
リザルト
第22戦 Mountain Dew 250 決勝結果 | |||||
---|---|---|---|---|---|
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 |
1 | 18 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ タンドラ | 95 |
2 | 5 | 51 | アリック・アルミローラ | トヨタ タンドラ | 95 |
3 | 8 | 13 | ジョニー・ソーター | シボレー | 95 |
7 | 15 | 17 | ティモシー・ペターズ | トヨタ タンドラ | 95 |
10 | 19 | 46 | クレイグ・ゴース | トヨタ タンドラ | 95 |
11 | 13 | 81 | デイビッド・スター | トヨタ タンドラ | 95 |
15 | 16 | 5 | マイク・スキナー | トヨタ タンドラ | 95 |
18 | 10 | 30 | トッド・ボダイン | トヨタ タンドラ | 93 |
19 | 6 | 84 | クリス・フォンティーン | トヨタ タンドラ | 92 |
27 | 20 | 9 | マックス・パピス | トヨタ タンドラ | 59 |
33 | 17 | 7 | ジャスティン・ロフトン | トヨタ タンドラ | 22 |
観客数(主催者発表):55,000人 |
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