2011年10月24日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第32戦 Good Sam Club 500

開催日:10月23日

超高速バトルで5台の"トヨタ カムリ"がトップ10入り

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常に上位を争い、5位/6位に入ったブライアン・ヴィッカーズ(#83)とケイシー・カーン(#4)。
アウト側には10位に入ったマーティン・トゥルークス・Jr.(#56)と
13位のデイビッド・ロイティマン(#00)

 10月23日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第32戦「Good Sam Club 500」が開催された。
 今季2度目の開催となる、NASCARで最も1周が長い超高速オーバルであるタラデガは、新規定車両になってから2台のみが連なって空気抵抗を低減する「タンデム・ドラフト」でのバトルが続いており、ドラフティングパートナーの選択もレースを左右。2台ずつのペアで、320km/hの超高速スピードで3ワイド、4ワイドでの大迫力のバトルを展開する。

 22日(土)午前11時15分から予選が行われた。トヨタ勢は、全車トップ20に入れず、ケヴィン・コンウェイが20番手、ボビー・ラボンテが21番手、スポット参戦のマイケル・ウォルトリップが23番手につけ、13台の"トヨタ カムリ"が決勝へ進出。"チェイス"を戦うデニー・ハムリンは31番手、カイル・ブッシュは34番手と後方スタートとなったが、コース幅が広く、ドラフティングで激しく順位の入れ替わるタラデガでは上位進出のチャンスも多く、レース中の追い上げに期待がかかった。

 23日(日)午後1時22分、2.66マイルオーバルを188周(500.08マイル:約800km)して競われるレースがスタート。
 序盤から、それぞれ26番手、30番手からスタートを切ったケイシー・カーンとブライアン・ヴィッカーズのチームメイト同士によるペアが好調に順位を上げ、8周目には首位争いに加わった。Ky.ブッシュもチームメイトのジョーイ・ロガーノとペアを組み、20周過ぎにはトップ10圏内に浮上した。一方で、ペアの相手を失ったハムリンは失速。中団グループのパックからも脱落したハムリンは、周回遅れとなってしまった。
 25周目にコース上の異物により初のイエローコーション。これでハムリンは"ラッキー・ドッグ"を獲得しトップと同一周回に復帰。全車ピットへ向かうと、カーンとヴィッカーズはタイヤ2本交換作戦を採り、トップに浮上、再スタートとなった。
 しかし、カーンとヴィッカーズは、アウト側でのバトルの中で行き場を失い、一気に後退。かわって、Ky.ブッシュとロガーノのコンビが順位を上げ、33周目にこの日初めてKy.ブッシュが首位に立った。
 65周目、イエローコーションが出ないまま、再び上位争いに復帰していたカーンとヴィッカーズが先陣を切ってグリーン下でピットイン。しかし、その直後、目の前で急に車線を変えてピットに向かおうとした車両とロガーノが接触。ロガーノは車両の左前部を大きく破損し、2度目のイエローコーションとなった。
 先にピットへ入っていたカーンとヴィッカーズはポジションダウン。また、Ky.ブッシュもピットレーンでのスピード違反ペナルティを科され、トップと同一周回の最後尾近く、35位まで後退を余儀なくされてしまった。
 再スタート後はもう一回のイエローコーションを経て、ハムリンとペアを組んだKy.ブッシュが、2台で猛烈な追い上げを開始。レースが折り返しを過ぎた90周目には、Ky.ブッシュが再び首位へと返り咲いた。
 しかし、104周目、ハイスピードバトルの中で、Ky.ブッシュのアウトサイドにいたA.J.アルメンディンガーがスピンを喫し、Ky.ブッシュと接触。ここに後続勢が突っ込み、多重クラッシュ。すぐ後ろにいたハムリンはかろうじて避けたが、Ky.ブッシュは車両に大きなダメージを受け、ガレージでの長い修復を余儀なくされてしまった。
 Ky.ブッシュは、ピットの懸命な修復により、11周遅れでコースに復帰。また、先のクラッシュで3周遅れとなっていたロガーノは、他に周回遅れの車両が居なかったことも幸いし、それまでに出された3回のイエローコーション連続で"ラッキー・ドッグ"を獲得し、120周目過ぎには首位と同一周回に復帰。その後、ダメージ跡の残る車両にもかかわらず、首位争いにも加わった。
 トヨタ勢を引っ張ったカーンとヴィッカーズは、129周目にカーンがまさかのスピンを喫したが、幸いにもどこにもぶつかることはなく、それでも30位以下までポジションを落として再スタート。再び素晴らしい走りで上位へと復帰すると、150周過ぎには、ロガーノらと首位争いを展開した。
 174周目には中団グループにいたB.ラボンテがコントロールを失いクラッシュ。再スタート後の181周目にも他車のクラッシュでイエローコーションとなり、186周目に残り2周での再スタートとなった。
 イン側2列目と3列目にヴィッカーズ、カーンが並び、マーティン・トゥルークス・Jr.とデイビッド・ロイティマンのチームメイト同士も10、11番手からの再スタート。上位勢が3ワイドでの激しいバトルを展開する中で、この再スタートを20位と24位から切ったウォルトリップとハムリンが一気に順位を上げ、上位に浮上。
 最後は、ヴィッカーズとカーンが5位、6位。ハムリンが8位。ウォルトリップが9位、トゥルークス・Jr.が10位でチェッカーを受け、"トヨタ カムリ"は5台がトップ10フィニッシュを果たした。カーンはこれで5戦連続のトップ10フィニッシュ。
 多重クラッシュからのレース復帰後、最後まで走り抜いたKy.ブッシュは、33位まで順位を上げてフィニッシュ。しかし、ランキングでは首位と40ポイント差の6位へと後退。ハムリンは11位へとひとつ順位を上げた。

 次戦第33戦は10月30日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイで行われる。

ドライバー ブライアン・ヴィッカーズ:
「長い一日だった。このレースは非常に神経を使う。まだ私の感覚は160km/hのままなので、眠れるまでにこの後2時間はかかるだろう。今日はチームの2台が共に素晴らしい仕事をした。ケイシー(カーン)と私は、どちらが前にいたとしても、何度か後方に下がることになっても、その後首位争いに加わっていた。最後は何台かに引っかかる形となり、逆転は叶わなかった」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 3 33 クリント・ボウヤー シボレー 188
2 25 31 ジェフ・バートン シボレー 188
3 41 36 デイヴ・ブレイニー シボレー 188
5 30 83 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 188
6 26 4 ケイシー・カーン トヨタ カムリ 188
8 31 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 188
9 23 15 マイケル・ウォルトリップ トヨタ カムリ 188
10 37 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 188
13 36 0 デイビッド・ロイティマン トヨタ カムリ 188
17 42 13 ケイシー・メアーズ トヨタ カムリ 188
24 35 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 188
33 34 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 175
35 21 47 ボビー・ラボンテ トヨタ カムリ 173
40 29 66 マイケル・マクドウェル トヨタ カムリ 6
41 27 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 4
43 20 97 ケヴィン・コンウェイ トヨタ カムリ 2
観客数(主催者発表):105,000人
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 カール・エドワーズ フォード 2237
2 マット・ケンゼス フォード 2223
3 ブラッド・ケゼロウスキー ダッジ 2219
6 カイル・ブッシュ トヨタ 2197
11 デニー・ハムリン トヨタ 2153
14 ケイシー・カーン トヨタ 896
22 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 824
23 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 811
25 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 761
28 デイビッド・ロイティマン トヨタ 673
29 ボビー・ラボンテ トヨタ 627
31 ケイシー・メアーズ トヨタ 454
37 マイケル・マクドウェル トヨタ 118
42 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 56
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 217
2 フォード 173
3 トヨタ 164
4 ダッジ 150

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第22戦 Coca-Cola 250

開催日:10月22日

トッド・ボダインが4戦連続のトップ10フィニッシュ

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"トヨタ タンドラ"勢最上位の6位でフィニッシュしたトッド・ボダイン(#5)と
9位フィニッシュのカイル・ブッシュ(#18)、ルーキーながら予選8位を獲得し、
決勝でも16位フィニッシュを果たしたルーキーのジョハンナ・ロング(#20)

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第22戦「Coca-Cola 250」が10月22日(土)にタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。
 NASCARで最長となる1周2.66マイル(約4km)の超高速コース、タラデガでは、2007年、2008年にトッド・ボダインが勝利。2009年は優勝したカイル・ブッシュに続くトップ5を独占。昨年もカイル・ブッシュが0.002秒差というシリーズ史上最小差での勝利を挙げ、"トヨタ タンドラ"が目下4年連続勝利と、得意としているコースである。

 21日(金)午前中の2時間にわたる練習走行を経て、4時10分から単独走行による予選が行われ、ルーキーの19歳女性ドライバー、ジョハンナ・ロングが最上位8番手を獲得。今大会が記念すべきトラック・シリーズ参戦100戦目となるKy.ブッシュは17番手、ボダインは25番手につけ、10台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。

 22日(土)は雲一つ無い快晴に恵まれ、気温20度の過ごしやすい気候の下で、午後3時25分に2.66マイルオーバルを94周(250.4マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタートした。
 スタート直後は、タラデガならではの2列に長い列を作っての順位争いが展開。そんな中で、ボダインがパーカー・クリガーマン(ダッジ)とのペアとなって抜け出すと、9周目にはこのペアがトップに浮上。2位につけていたボダインは、12周目にクリガーマンと順位を入れ替えて首位に立った。
 14周目、元F1ドライバーのネルソン・ピケ・Jr.(シボレー)が、3ワイドの中央で行き場を失い、Ky.ブッシュらと接触してスピン。ここに後方を走っていたロングが突っ込んでイエローコーションとなった。ロングは奇跡的にダメージは軽かったが、Ky.ブッシュは車体に大きなダメージを負い、イエローコーション中に何度もピットインして修復。しかし、クルーによる素晴らしい仕事ぶりで、周回遅れになることなく、27位で再スタートとなった。
 その後も、クリガーマンとのペアで首位を争っていたボダインだったが、レースが折り返しを過ぎた49周目に前後順位を入れ替えようとして接触し、クリガーマンがスピン。イエローコーションとなった。
 このイエローコーションで、タイヤ交換の戦略が分かれ、無交換としたブレンダン・ゴーアンが3位、マックス・パピスが5位、ティモシー・ペターズとロングもトップ10圏内に浮上した代わりに、タイヤを4本交換したKy.ブッシュは17位、接触でダメージを受けた車両前部の修復を行ったボダインは22位へと後退した。
 再スタート後は、Ky.ブッシュがチームメイトのジョシュ・リチャーズとペアになりポジションアップ。首位の2台を追う第2グループに浮上。しかし、リチャーズは徐々に後退し、Ky.ブッシュはシリーズランキング首位につけるオースティン・ディロン(シボレー)とのペアで再び上位へ。首位を逃げるシボレーの2台と、サイド・バイ・サイドで順位を入れ替えながらの首位争いを展開した。
 残り10周を切った85周目にクリス・フォンテインがスピン。このイエローコーションではほとんどの車両がピットに入らず、再スタートとなったが、すぐにコース上の異物によるイエローコーションが再び出され、レースは最後の2周で決されることに。
 しかし、後半戦Ky.ブッシュとペアを組んでいたディロンが、フォーメーションラップ中にトラブルに見舞われ突然のスローダウン。Ky.ブッシュが3位、パピスが4位、ペターズが5位、ボダインが8位で再スタートが切られ、トップ3の3グループ6台がチェッカー直前まで競り合ったが、その中にいたボダインは惜しくも逆転には至らず、6位でチェッカー。
 最後の再スタートで追い上げたゴーアンが8位、Ky.ブッシュが9位、パピスが10位に入った。

 次戦第23戦は10月29日(土)にマーティンズビル・スピードウェイで開催される。

ドライバー トッド・ボダイン:
「我々の"トヨタ タンドラ"で首位に立つのは難しかった。2台によるタンデムドラフト走行で、我々にとって、後ろから押すのに最良なドライバーはパーカー(クリガーマン)だった。2台での走行はまるで空を飛んでいるかのような速さだった。彼をスピンさせてしまったのは私のミスだ。最後はジェイソン(ホワイト:シボレー)と組んで6位フィニッシュとなったが、着実にトップ10フィニッシュできたという意味で、結果には満足している」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 6 33 マイク・ウォレス シボレー 94
2 5 2 ロン・ホーナディ シボレー 94
3 1 31 ジェイムズ・ビュッシャー シボレー 94
6 25 5 トッド・ボダイン トヨタ タンドラ 94
8 29 62 ブレンダン・ゴーアン トヨタ タンドラ 94
9 17 18 カイル・ブッシュ トヨタ タンドラ 94
10 23 9 マックス・パピス トヨタ タンドラ 94
13 22 51 ジョシュ・リチャーズ トヨタ タンドラ 94
16 8 20 ジョハンナ・ロング トヨタ タンドラ 94
18 24 7 ミゲル・パルド トヨタ タンドラ 94
23 15 17 ティモシー・ペターズ トヨタ タンドラ 94
25 14 84 クリス・フォンテイン トヨタ タンドラ 83
30 13 81 デイビッド・スター トヨタ タンドラ 37
観客数(主催者発表):45,000人
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 オースティン・ディロン シボレー 769
2 ジェームス・ビュッシャー シボレー 766
3 ジョニー・ソーター シボレー 755
5 ティモシー・ペターズ トヨタ 727
6 トッド・ボダイン トヨタ 710
12 ブレンダン・ゴーアン トヨタ 640
13 デイビッド・スター トヨタ 626
17 ミゲル・パルド トヨタ 576
18 マックス・パピス トヨタ 564
21 ジョハンナ・ロング トヨタ 310
24 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 252
26 クレイグ・ゴース トヨタ 218
31 ジョシュ・リチャーズ トヨタ 150
37 ジャスティン・ジョンソン トヨタ 88
38 ブライアン・イックラー トヨタ 86
48 ダスティ・デイヴィス トヨタ 60
51 ジョン・キング トヨタ 46
58 ジャーマン・キロガ トヨタ 28
64 マイク・スキナー トヨタ 20
70 テイラー・マルサム トヨタ 15
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 169
2 トヨタ 155
3 ダッジ 90
4 フォード 67