2012年5月 1日(火)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第9戦 Capital City 400

開催日:4月28日

カイル・ブッシュが得意のコースで今季初優勝!
ブッシュ兄弟と"トヨタ カムリ"がリッチモンドを完全制覇


今季初優勝を飾ったカイル・ブッシュ(#18)

 4月28日(土)、米国東部バージニア州リッチモンドのリッチモンド・インターナショナル・レースウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第9戦「Capital City 400」が開催された。
 年に2回シリーズ戦が行われるショートオーバルのリッチモンドは、カイル・ブッシュが得意としており、目下春の大会では3連勝中。2008年以降の8戦中6戦でトップ5フィニッシュを果たしている。また、Ky.ブッシュのチームメイトであり、地元バージニア州出身のデニー・ハムリンもリッチモンドでは2勝。参戦した12戦のうちトップ10フィニッシュ8回という強さを誇っている。

 27日(金)正午からの2度にわたる練習走行とネイションワイド・シリーズの予選を経て、午後5時35分から予選が行われ、53歳のベテラン、マーク・マーティンが今季2度目、通算53度目となるとなるポールポジションを獲得。Ky.ブッシュが5番手、その後方7番手にハムリン。目下ランキング2位につけるマーティン・トゥルークス・Jr.が8番手で続き、12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 28日(土)はあいにくの雨模様となったが、夕方には雨は止み、ジェットドライヤーカーで路面を乾かし、午後7時51分に0.75マイルオーバルを400周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。
 序盤はポールポジションのマーティンが首位をキープしたが、周回を重ねていく中で変化していったハンドリングに苦しみ徐々に後退。35周目にはマーティンをかわし、Ky.ブッシュとハムリンが3位、4位へとポジションアップ。ハムリンは49周目には2位へと浮上した。
 50周目にコンペティション・コーション(主催者による予定されていたコーション)が出され、各車ピットイン。ハムリン2位、Ky.ブッシュ4位、マーティンとトゥルークス・Jr.が7、8位で再スタートとなった。
 116周目にこの日2度目のイエローコーションとなり、再スタートが切られると、23位スタートだったクリント・ボウヤーが好調に順位を上げ、150周目にはトップ10に浮上。
 その後はなかなかイエローコーションが出ず、レースが折り返しとなる200周目前後からグリーン下でのピット作業が始まった。それまで3位を走行していたKy.ブッシュはピットで他車と交錯しタイムロス。8位に後退。しかし、227周目にコース上の異物により3度目のイエローコーションが出されると、ここでKy.ブッシュのピットが好作業を見せ、Ky.ブッシュは5位へ。ボウヤーが6位へとポジションアップ。ハムリンが10位で再スタートとなった。
 5位で再スタートしたKy.ブッシュは見事な走りで順位を上げ、253周目には2位へ。首位のトニー・スチュワート(シボレー)とのサイド・バイ・サイドでのバトルを展開。286周目には首位を奪取した。
 300周を過ぎたあたりでこの日2度目となるグリーン下でのピット作業が開始されたが、大半の車両がピットを終えた311周目にイエローコーションとなり、再び各車ピットイン。3位で再スタートを切ったKy.ブッシュはすぐに2位に浮上すると、再びスチュワートとの首位争いを展開。上位の2台は3位以下を大きく引き離してのバトルを繰り広げた。
 残り15周を切った386周目、この日5度目のイエローコーション。各車最後のピットへと向かうと、ここでも好ピット作業に助けられたKy.ブッシュはトップでピットアウト。残り8周での再スタートでも好ダッシュを決め、首位を快走した。
 終盤はデイル・アーンハート・Jr.(シボレー)の追撃を受けたが凌ぎきり、Ky.ブッシュは見事トップでチェッカー。今季初勝利を挙げ、春のリッチモンド戦4連勝を飾った。昨年夏の第23戦ミシガン以来20戦ぶりの勝利となるKy.ブッシュは、前日のネイションワイド・シリーズ戦でも、自らがオーナーを務めるチームで実兄のカート・ブッシュが勝利を挙げており、"トヨタ カムリ"はこの週末のリッチモンド戦完全制覇となった。
 ハムリンが4位。ボウヤーが7位、マーティンが8位に入り、"トヨタ カムリ"は4台がトップ10フィニッシュ。
 ランキング上位のトゥルークス・Jr.はハンドリングに苦しみ、25位フィニッシュ。これにより、ドライバーズランキングではハムリンが3位へ浮上。トゥルークス・Jr.が5位、Ky.ブッシュも11位で"チェイス"圏内へと浮上した。

 次戦第10戦は5月6日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「最高のチームと"トヨタ カムリ"のおかげだ。ロングランでは(トニー)スチュワートを破るまでには至らず、タイヤをセーブする必要があったが、最後はタイヤの心配をせずに攻めることができた。最後のイエローコーションは、我々にとっては千載一遇のチャンスだった。ピットへ向かい、クルーチーフやピットクルーが素晴らしい作業で、トップでコースに戻してくれた。彼らの与えてくれたチャンスに報いるために、狙った通りの再スタートを切って首位を守り、勝つことができた。ようやくヴィクトリーレーンに立つことができ、最高の気分だ」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 5 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 400
2 10 88 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 400
3 22 14 トニー・スチュワート シボレー 400
4 7 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 400
7 23 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 400
8 1 55 マーク・マーティン トヨタ カムリ 400
17 19 47 ボビー・ラボンテ トヨタ カムリ 400
20 21 83 ランドン・カシル トヨタ カムリ 399
24 18 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 399
25 8 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 399
30 29 93 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 397
37 34 30 デイビッド・ストレミー トヨタ カムリ 139
41 35 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 28
42 39 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 23
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 グレッグ・ビッフル フォード 338
2 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 333
3 デニー・ハムリン トヨタ 329
5 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 316
11 カイル・ブッシュ トヨタ 265
12 クリント・ボウヤー トヨタ 264
15 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 241
19 マーク・マーティン トヨタ 218
27 ボビー・ラボンテ トヨタ 188
33 ランドン・カシル トヨタ 125
34 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 119
35 デイビッド・ストレミー トヨタ 76
36 J.J.イェリー トヨタ 73
37 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 66
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 60
2 トヨタ 52
3 フォード 49
4 ダッジ 37

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第7戦 Virginia 529 College Savings 250

開催日:4月27日

"トヨタ カムリ"2台併走のファイナルラップ!
カート・ブッシュが初優勝。デニー・ハムリンが2位


カート・ブッシュ(#54)とデニー・ハムリン(#18)
2台の"トヨタ カムリ"が並んで1-2フィニッシュ

 4月27日(金)にNASCARネイションワイド・シリーズの第7戦「Virginia 529 College Savings 250」がリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで開催された。
 今大会、前戦に続きカイル・ブッシュ・モータースポーツの54号車は、チームオーナー カイル・ブッシュの実兄であるカート・ブッシュが今季2度目となる"トヨタ カムリ"をドライブ。
 また、エクストリームスポーツのスーパースターであり、米国ラリーでも活躍しているトラヴィス・パストラーナが"トヨタ カムリ"でネイションワイド・シリーズにデビューすることでも注目を集めた。パストラーナは昨年夏に同シリーズに出場する予定であったが、直前のX-GAMESで負傷し、デビューは延期となっていた。

 27日(土)の午前中に練習走行を行った後、スプリント・カップ・シリーズの練習走行セッションを経て、午後4時5分から予選開始。地元バージニア州出身のデニー・ハムリンが最前列2番手を確保。Ku.ブッシュが10番手。注目のパストラーナは27番手グリッドとなり、12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 スプリント・カップ・シリーズの予選の後、午後7時46分、0.75マイルオーバルを250周(187.5マイル:約300km)して競われる決勝レースがスタート。最前列のハムリンが好スタートを切り、1周目のリードラップを獲得。その後かわされるも、2位で首位のケヴィン・ハーヴィック(シボレー)を追った。10番手スタートのKu.ブッシュも徐々にポジションを上げ、61周目にはハムリンをかわして2位へ浮上した。
 68周目、24位前後を走行していたJ.J.イェリーがタイヤのパンクによりクラッシュ。この日2度目のイエローコーションとなり、全車ピットイン。76周目に2番手で再スタートを切ったKu.ブッシュは、好ダッシュで首位に浮上。その後もハムリンを含めた3台による首位争いが展開された。
 115周目、周回遅れの27位を走行していたジェイソン・ボウルズが後続から接触される形でスピンを喫し、この日3度目のイエローコーション。このピット作業で、3位につけていたハムリンが、ピット位置を見逃すというまさかのアクシデント。さらに一周してピットに入ったハムリンは、周回遅れこそ免れたものの、首位と同一周回最後尾の24位へと大きく後退してしまった。
 125周目、2番手で再スタートを切ったKu.ブッシュは、166周目についに首位に浮上。24番手で再スタートしたハムリンも追い上げを開始し、142周目にはトップ10に復帰、192周目には首位を争うKu.ブッシュとハーヴィックに続く3位に浮上した。
 194周目あたりから、この日最後となるであろう、グリーン下での給油ピットストップが開始。202周目に首位のKu.ブッシュ、代わって首位に立ったハムリンも208周目にピットへ向かった。
 デビュー戦ながら、ここまでトップ20圏内につけていたパストラーナは、このグリーンピットで痛恨のスピード違反ペナルティ。2周遅れの27位まで後退してしまった。
 大半の車両が給油ピットを行う中、この日レースを通して10位前後を走行していたジョーイ・ロガーノは、イエローコーションを期待して燃料をセーブ、ピットを遅らせる作戦に出た。ペースを押さえながらピットに入らず、首位を走行したロガーノだったが、後続からの追い上げを凌ぎきれず、徐々にポジションダウン。イエローコーションは出ないまま、232周目についにピットへ向かい、大きく順位を落としてしまった。
 首位争いは、Ku.ブッシュが222周目にハーヴィックをかわし、ロガーノもかわして首位に浮上。しかし、ショートオーバルでの長いグリーン下走行で周回遅れが非常に多く、これをかわすのに苦しむ中、ハムリンが再び猛追。
 230周目に2位に浮上したハムリンは、Ku.ブッシュとの差を徐々に詰めていき、残り2周の時点で、ほぼ2台はテール・トゥ・ノーズ状態に。なおも攻めるハムリンは、ファイナルラップを示すホワイトフラッグが振られたストレート上でイン側に並び、2台はサイド・バイ・サイドのままファイナルラップへ。
 共に一歩も譲らぬままのファイナルラップのバトルは、最終コーナー出口でわずかにスライドしたハムリンが、アウトのKu.ブッシュに接触。Ku.ブッシュも壁にわずかにヒットしたが、2台はそのまま並んでチェッカー。わずかに前に出ていたKu.ブッシュが、0.062秒差で今季初勝利を飾った。今季よりネイションワイド・シリーズに参戦しているカイル・ブッシュ・モータースポーツにとっても初優勝。
 ハムリンが2位で続き、"トヨタ カムリ"は1-2フィニッシュとなった。デビュー戦のパストラーナは2周遅れの22位でチェッカーを受けた。

 次戦第8戦は5月5日(土)、タラデガ・スーパースピードウェイで行われる。

ドライバー カート・ブッシュ:
「今シーズンは新たな体制で挑み、序盤これまで苦戦を強いられてきただけに、今大会KBM(カイル・ブッシュ・モータースポーツ)にとっての初勝利を挙げることができ、素晴らしい結果となった。スタッフの大変な努力の賜物だ。これまでも多くの名門チームのために戦ってきたが、ブッシュという名前の下で戦い、今夜勝利を届けられて本当に嬉しい。最後の(デニー)ハムリンとのバトルは激しかった。彼が追い上げてくるとは思っておらず、自分のペースを守っていたが追いつかれてしまった。ホワイトフラッグが振られたときアウトにはらみ、並ばれてしまったが、押さえきることができた。素晴らしいレースだった」

ドライバー デニー・ハムリン:
「何とかカート・ブッシュに追いつくことはできたが、それで終わりだった。1周足りなかった。勝てなかったのは確かに残念だが、カイル(ブッシュ)は素晴らしいチームメイトであり、彼やスタッフがどれだけ努力してきたかを知っている。それだけにフェアなレースを望んでいたし、カートもフェアに戦って勝った。彼らの勝利を祝福したい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 10 54 カート・ブッシュ トヨタ カムリ 250
2 2 18 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 250
3 1 33 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 250
13 17 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 249
14 15 11 ブライアン・スコット トヨタ カムリ 249
17 20 44 マイク・ブリス トヨタ カムリ 249
18 14 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 249
22 25 99 トラヴィス・パストラーナ トヨタ カムリ 248
25 27 19 テイラー・マルサム トヨタ カムリ 246
30 28 81 ジェイソン・ボウルズ トヨタ カムリ 243
31 34 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 243
37 22 17 J.J.イェリー トヨタ カムリ 66
43 41 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 3
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 エリオット・サドラー シボレー 285
2 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 283
3 オースティン・ディロン シボレー 262
8 テイラー・マルサム トヨタ 182
10 マイク・ブリス トヨタ 174
11 ジョー・ネメチェク トヨタ 163
15 ブライアン・スコット トヨタ 134
16 ジェイソン・ボウルズ トヨタ 133
17 エリック・マクルーア トヨタ 125
21 ケニー・ウォレス トヨタ 104
27 ライアン・トゥルークス トヨタ 59
42 トラヴィス・パストラーナ トヨタ 22
50 ジェフ・グリーン トヨタ 11
54 ジョン・ジャクソン トヨタ 2
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 46
2 トヨタ 39
3 フォード 38
4 ダッジ 31