2012年5月 7日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第10戦 Aaron's 499

開催日:5月6日

超高速バトルでカイル・ブッシュが2位フィニッシュ


惜しくも2位に終わったカイル・ブッシュ(#18)と
6位フィニッシュを果たしたクリント・ボウヤー(#15)

 5月6日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイ でNASCARスプリント・カップ・シリーズ第10戦「Aaron's 499」が開催された。
 タラデガはNASCARのレースが行われるオーバルコースの中で1周が最も長い2.66マイル(約4.3km)。速度が出すぎないようにリストリクター・プレートというエンジンへの吸気量を制限する装置を取り付けてレースを行うため、複数台が縦に連なって空気抵抗を軽減する『ドラフティング』というテクニックが使用される。1周の平均速度が310km/h以上に達する超高速で接近戦を繰り広げるため、"ビッグ・ワン"と呼ばれる多重クラッシュが多く発生するレースでもある。

 5日(土)午前11時10分から予選が行われ、リストリクターを装着するスーパースピードウェイでのレースを得意とするマイケル・ウォルトリップが9番手グリッドを確保。前戦今季初勝利を飾ったカイル・ブッシュは21番手、デニー・ハムリンは22番手からのスタートとなり、13台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 6日(日)は朝方雷雨に見舞われたが、レーススタートまでにはやみ、ジェットドライヤーカーでコース完走を行い、予定よりも30分ほど遅れて午後12時51分に2.66マイルスーパースピードウェイを188周(500マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタートした。
 序盤は今季初の決勝出走となったウォルトリップが好走を見せ、25周目にはハムリンを従える形で首位に浮上。21周にわたって首位をキープした。
 レースは序盤の16周目に最初のイエローコーションが出されたが、その後はコーションが出ず、60周目前後と100周目前後に各車グリーン下でピットイン。
 序盤ウォルトリップとのペアで上位を走行していたハムリンは、周回遅れに阻まれる形で隊列から外れ、大きく後退。また、58周目のグリーンピットでもタイムロス。周回遅れの30位以下まで順位を落としてしまった。
 一方、序盤のイエローコーションでトラブルに見舞われ、大きく順位を落としていたクリント・ボウヤーは着実にポジションを上げていき、2度目のグリーンピットを終えた時点でトップ10圏内に浮上。Ky.ブッシュ、ウォルトリップと共に上位争いを展開した。
 141周目、3回目のグリーンピットが始まるかというタイミングで多重クラッシュが発生。集団の後方を走っていたマーティン・トゥルークス・Jr.が避けきれず巻き込まれ、車両に大きなダメージを負ってしまった。
 このクラッシュでこの日2度目のイエローコーションとなり、全車ピットへ。Ky.ブッシュが6位、ウォルトリップが7位、ボウヤーが8位で再スタート。
 このコーションでトップと同一周回へと復帰、17位で再スタートを切ったハムリンは一気にポジションアップ。ボウヤーとのコンビで159周目に首位に浮上すると、時に4ワイドとなるハイスピードバトルの中で首位争いを展開した。
 ハムリンが首位を走行していた175周目にクラッシュによるイエローコーションが発生。ハムリン、ボウヤー、ウォルトリップらがピットへ向かい給油とタイヤ交換。ピットに入らなかったKy.ブッシュは6位に浮上。再スタートしてまもない181周目にも他車のスピンでイエローコーションとなった。
 残り4周となった184周目、再スタートが切られてすぐに、ストレート上で9台が絡む多重クラッシュ"ビッグ・ワン"が発生。このクラッシュにハムリン、ウォルトリップ、ロガーノらが巻き込まれてしまった。
 これでレースは延長され"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることに。3位につけていたKy.ブッシュはブラッド・ケゼロウスキー(ダッジ)を押す形でケゼロウスキーが首位に浮上。2位で続いたKy.ブッシュはファイナルラップでの逆転を狙ったが惜しくも届かず、2位でフィニッシュ。
 "ビッグ・ワン"をかろうじてかわし、13位で再スタートを切ったボウヤーは、6位までポジションを上げてフィニッシュした。
 この結果、Ky.ブッシュとボウヤーはランキングを2つ上げ、それぞれ9位、10位とトップ10入り。ランキング4位のハムリン、6位のトゥルークス・Jr.と共に、トヨタ勢は4人がランキングトップ10に入っている。

 次戦第11戦は5月12日(土)、米国南東部サウスカロライナ州ダーリントンのダーリントン・レースウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「我々の"トヨタ カムリ"はレースを通して快調だった。チームスタッフの素晴らしい仕事によって上位をキープしたが、なかなか他車と上手くドラフティングで繋がることができなかった。最後は2号車(ブラッド・ケゼロウスキー)とのペアで首位に浮上し、彼と私とのバトルになるはずだったが、第3ターンを過ぎたところで彼に離され、レースは終わってしまった」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 13 2 ブラッド・ケゼロウスキー ダッジ 194
2 21 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 194
3 10 17 マット・ケンゼス フォード 194
6 24 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 194
16 41 93 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 194
19 9 55 マイケル・ウォルトリップ トヨタ カムリ 194
21 42 47 ボビー・ラボンテ トヨタ カムリ 192
23 22 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 192
26 30 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 184
27 39 23 ロバート・リチャードソン・Jr. トヨタ カムリ 182
28 15 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 166
34 40 83 ランドン・カシル トヨタ カムリ 141
37 36 97 ビル・エリオット トヨタ カムリ 37
39 27 30 デイビッド・ストレミー トヨタ カムリ 30
41 37 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 7
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 グレッグ・ビッフル フォード 378
2 マット・ケンゼス フォード 371
3 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 369
4 デニー・ハムリン トヨタ 351
6 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 332
9 カイル・ブッシュ トヨタ 308
10 クリント・ボウヤー トヨタ 302
15 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 259
24 マーク・マーティン トヨタ 218
26 ボビー・ラボンテ トヨタ 211
32 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 148
34 ランドン・カシル トヨタ 135
35 デイビッド・ストレミー トヨタ 81
36 J.J.イェリー トヨタ 73
37 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 66
44 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 26
48 ビル・エリオット トヨタ 7
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 63
2 トヨタ 58
3 フォード 53
4 ダッジ 46

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第8戦 Aaron's 312

開催日:5月5日

ジョーイ・ロガーノがタラデガで念願の初勝利
トヨタは1-2フィニッシュでNASCAR通算200勝達成


タラデガでの初勝利を挙げたジョーイ・ロガーノ

 5月5日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第8戦「Aaron's 312」がタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。
 タラデガでのネイションワイド・シリーズでは、昨年カイル・ブッシュが勝利。ジョーイ・ロガーノとジョー・ネメチェクが2位、3位で続き"トヨタ カムリ"は1-2-3フィニッシュ。また、ロガーノは初出場の2009年に3位、2010年と2011年は2位と、3戦連続でのトップ3フィニッシュを続けている。

 雨のために3日(木)に予定されていた練習走行が4日(金)に延期。このために予選はキャンセルとなり、規定に則りオーナーポイント順でグリッドが決定。ジョーイ・ロガーノが4番手、カイル・ブッシュが12番手につけ、12台の"トヨタ カムリ"が決勝に進んだ。

 5日(土)午後2時48分、2.66マイルスーパースピードウェイを117周(311マイル:約500km)して競われる決勝レースがスタート。
 序盤はKy.ブッシュが、実兄であり前戦自らのチームに初優勝をもたらしたカート・ブッシュ(今大会はシボレーで出場)とのペア、ケニー・ウォレスが実兄のマイク・ウォレス(シボレー)との、共に兄弟ペアで上位争いを展開。ロガーノやネメチェクらも加わったバトルは、3ワイドでめまぐるしく順位を入れ替えることとなった。
 1回目のイエローコーションを挟んでの29周目、3ワイドの中央列でK.ウォレスに続いていたスコットが、後続から接触されてバランスを崩し、壁にクラッシュ。無念のリタイア。
 その後もロガーノ、Ky.ブッシュ、K.ウォレス、ネメチェクらが順位を入れ替えながら、タラデガならではの超接近戦を繰り広げた。
 107周目にマイク・ブリスがクラッシュ。再スタートが切られてすぐに再びスピンした車両によりイエローコーション。レースは"グリーン・ホワイト・チェッカー"で116周目にKy.ブッシュとネメチェクが最前列に並んでの再スタートとなったが、バックストレートで、その後方2位以下の集団で多重クラッシュが発生。エリック・マクルーアがハイスピードでイン側の壁にクラッシュし、レースは赤旗中断となった。
 19分の中断の後、レースが再開され、121周目に2度目の"グリーン・ホワイト・チェッカー"で再スタート。Ky.ブッシュとネメチェクが最前列、先の多重クラッシュのまっただ中にいながらも間一髪で避けたロガーノが3位と、昨年トップ3フィニッシュを果たした3台の"トヨタ カムリ"が上位を占めての再スタートとなった。
 首位のKy.ブッシュはイン側から、スプリント・カップ・シリーズでのチームメイトであるロガーノを従えて首位をキープ。ネメチェクはアウト側から若干スタートで出遅れたところで、他車に接触されてタイヤをパンク。後退してしまった。
 Ky.ブッシュとロガーノのペアに、コール・ウィット(シボレー)とリッキー・ステンハウス・Jr.(フォード)のペアが追いすがり、4台が団子状態でファイナルラップまでバトルを継続。最終コーナー立ち上がりでロガーノがアウトへとラインを変え、Ky.ブッシュに並ぶと、2台はサイド・バイ・サイドのままチェッカーへ。わずか0.034秒差でロガーノがレースを制し、念願のタラデガでの初勝利を飾ることとなった。Ky.ブッシュは2位に入り、"トヨタ カムリ"は1-2フィニッシュ。
 トヨタにとっては、2004年にキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ(当時はクラフツマン・トラック・シリーズ)でNASCARトップ3カテゴリーへの参戦を開始して以来、通算200勝目(スプリント・カップ・シリーズ42勝、ネイションワイド・シリーズ67勝、キャンピング・ワールド・トラック・シリーズ91勝)となる記念すべき勝利となった。

 次戦第9戦は5月11日(金)、ダーリントン・レースウェイで行われる。

ドライバー ジョーイ・ロガーノ:
「ここタラデガでヴィクトリーレーンに立つことができ、本当に嬉しい。また、これはトヨタにとっての200勝目でもあり、非常に大きな勝利だ。チームは私に素晴らしい"トヨタ カムリ"を用意してくれた。最後はカイル(ブッシュ)を押す状態で、後方をミラーで確認していた。ファイナルラップの最終コーナーでミラーを見て、(首位を争っていた)後続2台との差が十分あることを確認し、後はパッシングのタイミングを計るだけだった。本当にエキサイティングなフィニッシュだった」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 4 18 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 122
2 12 54 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 122
3 2 6 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 122
9 20 99 ケニー・ウォレス トヨタ カムリ 122
11 18 20 ライアン・トゥルークス トヨタ カムリ 122
15 26 24 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ カムリ 122
18 15 44 マイク・ブリス トヨタ カムリ 122
19 16 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 122
24 14 19 テイラー・マルサム トヨタ カムリ 116
27 29 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 116
34 25 81 ジェイソン・ボウルズ トヨタ カムリ 32
36 22 11 ブライアン・スコット トヨタ カムリ 29
39 32 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 9
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 325
2 エリオット・サドラー シボレー 320
3 オースティン・ディロン シボレー 290
8 テイラー・マルサム トヨタ 202
9 マイク・ブリス トヨタ 201
10 ジョー・ネメチェク トヨタ 189
15 ジェイソン・ボウルズ トヨタ 143
16 ブライアン・スコット トヨタ 142
17 エリック・マクルーア トヨタ 142
18 ケニー・ウォレス トヨタ 140
24 ライアン・トゥルークス トヨタ 93
42 トラヴィス・パストラーナ トヨタ 22
47 ジェフ・グリーン トヨタ 16
55 ジョン・ジャクソン トヨタ 2
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 50
2 トヨタ 48
3 フォード 44
4 ダッジ 34