2012年7月 9日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第18戦 Coke Zero 400

開催日:7月7日

終盤の大乱戦を切り抜けたジョーイ・ロガーノが4位
ロガーノは"チェイス"圏内に浮上


アクシデントから追い上げ4位でフィニッシュしたジョーイ・ロガーノ(#20)
終盤まで首位を争ったがアクシデントで後退したデニー・ハムリン(#11)

 7月7日(土)、米国南東部フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第18戦「Coke Zero 400」が開催された。
 タラデガと共に、吸気量を制限する「リストリクター・プレート」を装着し、馬力を抑えてのレースとなるデイトナでのシリーズ戦は、開幕戦「デイトナ500」に続き今季2度目の開催。レース距離は若干短い400マイル(約640km)で戦われる。7月のデイトナ戦では、2008年にカイル・ブッシュが勝利を飾っている。

 6日(金)午後4時10分より予選が行われ、マーティン・トゥルークス・Jr.が18番手、ジョーイ・ロガーノが19番手。Ky.ブッシュは22番手、デニー・ハムリンが23番手。ここデイトナで過去3勝を挙げているマイケル・ウォルトリップがスポット参戦し28番手、チームメイトのクリント・ボウヤーが29番手につけ、12台の"トヨタ カムリ"が決勝に進んだ。

 7日(土)午後7時54分、2.5マイルオーバルを160周して競われる決勝レースがスタート。予選では中団グループ以降に留まったトヨタ勢だったが、スタート直後から徐々にポジションアップ。
 前日行われたネイションワイド・シリーズ戦では2台のペアによる「タンデム・ドラフト」による激しい順位の入れ替わりが見られたが、スプリント・カップ・シリーズでは規則が変更されたため、それ以前のように長い隊列で、大きな集団となってのレースが展開。序盤はKy.ブッシュ、トゥルークス・Jr.、ウォルトリップらが上位を争った。
 前半戦はイエローコーションが出ず、40周目過ぎから1回目のグリーンピット。レース折り返しの80周を前に2回目のグリーンピットが始まったが、81周目にこの日初めてのイエローコーション。全車ピットへ。
 このイエローコーションを、3位でピットアウトしたKy.ブッシュに、前半のハンドリング不調をピットでの調整で回復したハムリンとロガーノが追い着き、トゥルークス・Jr.との4台が連なって上位をキープ。
 124周目、ピットレーン入り口手前でスピンした車両を避けようとした後続勢が大混乱に陥り、多重クラッシュが発生。ロガーノ、ウォルトリップ、トゥルークス・Jr.らが巻き込まれた。この3台はピットで修復を行い、首位と同一周回でコースに復帰したものの、順位を大きく落としてしまった。
 一方、このクラッシュには巻き込まれなかったハムリンとKy.ブッシュはピット作業を行い、2位、3位で再スタート。このピットでタイヤ2本交換作戦を採ったボウヤーも順位を上げ、トップ10圏内に浮上。共に逆転に向けた絶好のポジションに付け、終盤のチャンスを待った。
 しかし、残りが10周を切った152周目、4位を走行していたハムリンが、ライバルとのポジション争いの中で接触を喫し、スピン。密集していた集団の前方で発生したスピンだったため後続が次々に突っ込み、14台もの車両が巻き込まれる大クラッシュとなった。ハムリンのすぐ後方にいたKy.ブッシュもバランスを崩しスピン。ボウヤーは車両に大きなダメージを負い、レースを終えることとなってしまった。
 長い修復を余儀なくされたKy.ブッシュとハムリンは周回遅れに。トヨタ勢ではアクシデントでの後退から順位を戻してきたロガーノが11位、ウォルトリップが16位で残り2周での再スタート。
 ファイナルラップ、最終コーナーを立ち上がったところで上位勢のポジション争いはより激しくなり、チェッカー目前で接触、スピンした車両に後続が突っ込み、この日4度目となる多重クラッシュ。この上位争いのすぐ後方、8位前後を走行していたロガーノは、間一髪で前方のスピン車両を避け、4位でチェッカー。ウォルトリップが9位、ボビー・ラボンテが10位でフィニッシュした。
 ロガーノは前日のネイションワイド・シリーズに続きこの週末の2レース共にトップ5フィニッシュ。また、ドライバーズランキングでも2つ順位を上げ、勝利数により"チェイス"圏内に浮上した。

 次戦第20戦は7月15日(日)、米国北東部ニューハンプシャー州ロードンのニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー ジョーイ・ロガーノ:
「ラッキーだった。4位でフィニッシュできて嬉しい。チームが素晴らしい仕事で車両を修復してくれたのがこの結果に繋がった。誰かに後ろから押されてスピンし、グリーンエリアにコースオフしてしまったため、オーバーヒートや修復などで順位を落としてしまった。しかし、その後の多重クラッシュは避けることが出来たため、最後の再スタート時には11位まで順位を上げ、最後も目の前の車両がスピンしたのを避けて4位でフィニッシュできた。諦めずに戦い続けたのが良かった。この週末のデイトナでの2戦共にトップ5フィニッシュできたのはラッキーだと思っている」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 42 14 トニー・スチュワート シボレー 160
2 20 31 ジェフ・バートン シボレー 160
3 1 17 マット・ケンゼス フォード 160
4 19 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 160
9 28 55 マイケル・ウォルトリップ トヨタ カムリ 160
10 41 47 ボビー・ラボンテ トヨタ カムリ 160
16 40 93 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 160
17 18 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 160
24 22 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 159
25 23 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 156
29 29 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 152
32 38 83 ランドン・カシル トヨタ カムリ 151
39 26 30 デイビッド・ストレミー トヨタ カムリ 25
40 43 49 J.J.イェリー トヨタ カムリ 16
41 36 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 10
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 マット・ケンゼス フォード 676
2 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 651
3 グレッグ・ビッフル フォード 632
7 デニー・ハムリン トヨタ 584
8 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 584
10 クリント・ボウヤー トヨタ 572
12 カイル・ブッシュ トヨタ 516
14 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 503
24 ボビー・ラボンテ トヨタ 387
28 マーク・マーティン トヨタ 341
31 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 284
32 ランドン・カシル トヨタ 258
35 J.J.イェリー トヨタ 121
36 デイビッド・ストレミー トヨタ 116
37 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 106
39 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 75
55 クリス・クック トヨタ 2
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 126
2 トヨタ 104
3 フォード 90
4 ダッジ 76

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第16戦 Subway Jalapeno 250

開催日:7月6日

ジョーイ・ロガーノが首位を争うも5位フィニッシュ


3ワイドの超接近戦を繰り広げ、5位でフィニッシュしたジョーイ・ロガーノ(#18)

 7月6日(金)にNASCARネイションワイド・シリーズの第16戦「Subway Jalapeno 250」がデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された。
 デイトナでは同シリーズ戦が年に2回開催されるが、昨年7月の大会は、ジョーイ・ロガーノが制している。

 5日(木)に練習走行が2度にわたって行われ、6日(金)午後2時5分から予選開始。ジョーイ・ロガーノが8番手、ブライアン・スコットが9番手、今季初めてネイションワイド・シリーズ戦にスポット出場となったスプリント・カップ・シリーズレギュラーのクリント・ボウヤーが12番手につけ、12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 その後スプリント・カップ・シリーズの予選を経て、午後7時51分に2.5マイルオーバルを100周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。
 序盤から2台がペアとなっての「タンデム・ドラフト」走行でハイスピードな超接近戦が展開。ボウヤーが4周目に首位に立ったが、翌周以降もめまぐるしく順位は入れ替わり、7周目には、20番手スタートのカイル・ブッシュが実兄のカート・ブッシュ(シボレー)とペアを組んで首位浮上。
 その翌周、ロガーノが首位を奪取した直後に、スコットが突然スローダウン。この日最初のイエローコーションとなり、各車給油のためにピットイン。スコットは燃料系のトラブルのため、ガレージへと向かった。
 再スタート後もブッシュ兄弟、ロガーノらが首位を争った。しかし、41周目に他車のスピンによりこの日2度目のイエローコーションが出され、全車ピットへ向かって給油とタイヤ交換を行った際、Ky.ブッシュはピットクルーの作業ミスにより、再度ピットインのペナルティ。28位まで後退してしまった。
 その後も、上位の20台近くが1秒以内に入る団子状態で、ロガーノ、ジョー・ネメチェク、ボウヤー、そして再び順位を上げてきたKy.ブッシュらも上位争いを繰り広げた。
 65周目、3列でのハイスピードバトルの中で"ビッグ・ワン"と呼ばれる多重クラッシュが発生。Ky.ブッシュ、ボウヤー、ネメチェクら16台もの車両が巻き込まれ、特にダメージの大きかったボウヤー、Ky.ブッシュらはガレージで長時間の修復を余儀なくされてしまった。
 このクラッシュに巻き込まれなかったロガーノは上位のポジションをキープ。レースは残り4周となったところで、コース上の異物によりイエローコーションとなり、1周延長、最後の2周での"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることとなった。
 アウトサイドの2列目4位から再スタートを切ったロガーノは、スタート直後の3ワイドのバトルから抜け出し首位に浮上。トップでファイナルラップを迎えたが、その直後にロガーノの後方でペアを組んでいた車両が若干遅れ、2台の距離が開くと、ロガーノのペースも落ち、ライバル勢が先行。ロガーノは再びペアとなり追い上げたが時既に遅し。
 ファイナルラップの最終コーナーを立ち上がった後、ロガーノの前で上位を争っていた2台が接触。オースティン・ディロン(シボレー)がスピンを喫し、ディロンはスピン状態のままフィニッシュラインを通過。その後方でフィニッシュラインを越えた車両が大混乱に陥り多重クラッシュが発生。大波乱の幕切れとなった。
 ロガーノはこのクラッシュはかわし、5位でチェッカー。マイク・ブリスが8位に入った。レース中の首位交代は42回に及び、シリーズでのコース記録を更新した。

 次戦第17戦は7月14日(土)、ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー ジョーイ・ロガーノ:
「我々の"トヨタ カムリ"は非常に速く、勝ちを狙える仕上がりだった。エリオット(サドラー)と私は良いペアでレースを戦えた。ファイナルラップをトップで迎え、そのまま勝ちたかったが、アウトからライバルが我々をパスしようとしたので、それについて行こうとしてミスをした。エリオットが離れてしまい、再び彼が後方についたときにはもう遅かった。3号車(オースティン・ディロン)が目の前でスピンしたときには心臓が止まるかと思ったが、何とか切り抜け、フィニッシュできて良かった。何度も首位に立ち、レースをとても楽しめた。チームやトヨタ他全てのスタッフに感謝したい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 5 1 カート・ブッシュ シボレー 101
2 1 6 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 101
3 17 43 マイケル・アネット フォード 101
5 8 18 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 101
8 15 44 マイク・ブリス トヨタ カムリ 101
14 29 81 ジェイソン・ボウルズ トヨタ カムリ 101
15 22 19 テイラー・マルサム トヨタ カムリ 101
18 26 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 101
22 25 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 97
23 20 54 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 94
25 18 99 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ カムリ 89
26 12 20 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 86
27 24 24 ケイシー・ロデリック トヨタ カムリ 84
32 9 11 ブライアン・スコット トヨタ カムリ 82
43 23 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 3
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 エリオット・サドラー シボレー 591
2 オースティン・ディロン シボレー 589
3 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 573
8 マイク・ブリス トヨタ 427
10 テイラー・マルサム トヨタ 369
11 ブライアン・スコット トヨタ 365
12 ジョー・ネメチェク トヨタ 365
13 ジェイソン・ボウルズ トヨタ 341
20 エリック・マクルーア トヨタ 209
22 ケニー・ウォレス トヨタ 183
29 ライアン・トゥルークス トヨタ 136
32 ジェフ・グリーン トヨタ 123
35 トラヴィス・パストラーナ トヨタ 87
38 ケヴィン・リペイジ トヨタ 72
51 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ 35
69 ジョン・ジャクソン トヨタ 10
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 103
2 トヨタ 101
3 フォード 79
4 ダッジ 69