2012年9月10日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第26戦 Federated Auto Parts 400

開催日:9月8日

クリント・ボウヤーが今季2勝目
カイル・ブッシュは僅か3ポイント及ばずチェイス入りを逃す


"チェイス"12名のドライバーが決定。トヨタ勢はデニー・ハムリン(後列左から3番目)、
マーティン・トゥルークス・Jr.(後列右から3番目)、クリント・ボウヤー(前列右から2番目)の
3名がタイトルを争う

 9月8日(土)、米国東部バージニア州リッチモンドのリッチモンド・インターナショナル・レースウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第26戦「Federated Auto Parts 400」が開催された。
 年間36戦で争われるスプリント・カップ・シリーズは、終盤の10戦で、それまでのランキング上位12台がポイントをリセットしてタイトルを争う、"チェイス・フォー・ザ・スプリント・カップ"(通称チェイス)というシステムが採用されている。今大会はこの"チェイス"前の最後のレースとなり、全ての"チェイス"ドライバーが決定する。
 トヨタ勢は既にデニー・ハムリン、マーティン・トゥルークス・Jr.、クリント・ボウヤーの3名が"チェイス"入りを確定。ランキング12位につけているカイル・ブッシュが最後の椅子を争っている。年に2回開催されるリッチモンド戦、春の大会は3連勝中、過去4勝とリッチモンドを得意とするKy.ブッシュの活躍に期待がかかった。

 7日(金)2度の練習走行とネイションワイド・シリーズの予選を経て、午後5時35分からスプリント・カップ・シリーズの予選が実施。ボウヤーが4番手、マーク・マーティンが6番手、ハムリン7番手、ロガーノ8番手、トゥルークス・Jr.が9番手と好グリッドを確保。"チェイス"入りを狙うKy.ブッシュは15番手グリッドとなり、12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 8日(土)はあいにくの雨模様。雨が止んだところでジェットドライヤーカーで路面を乾燥させ、予定よりも1時間半ほど遅れた午後9時31分に0.75マイルオーバルを400周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
 第4ターンにまだ濡れているところが残っていたため、安全を確認するために、イエローコーションのままレースはスタート。7周目にグリーンフラッグが振られ、本格戦が開始された。
 序盤戦はボウヤーが2位、ハムリン3位、トゥルークス・Jr.4位とポジションを上げ、激しい順位争いを展開。Ky.ブッシュもトップ10圏内に浮上。59周目にはハムリンが首位に立った。
 ハムリンが首位を争い、ボウヤーが3位につけていた138周目、降雨によりイエローコーション。10周以上に渡るイエローコーションで様子を見ていたが、雨脚は強くなり、152周目に赤旗中断となった。
 その後50分あまりの中断を経て、午後11時36分にレース再開。再スタート直後こそ首位の座を譲ったハムリンだったが、すぐに首位を奪い返し快走。ボウヤーとトゥルークス・Jr.が続き、"トヨタ カムリ"がトップ3を占めてレースは折り返しの200周を迎えた。
 各車がグリーン下でのピットを終えた235周目、4位を走行していたボウヤーが、周回遅れとなっていた元F1ドライバー、ファン・モントーヤ(シボレー)をパスしようとした際に接触し、左リアタイヤをパンク。スピンを喫し、イエローコーションとなった。
 再スタートでは3位のトゥルークス・Jr.がハムリンに続き、バトルの末に首位を奪取。しかし、この日速さを見せたハムリンは、248周目に首位を奪還した。
 276周目、再び雨が降り始めイエローコーション。既に午前1時を回っており、首位につけていたハムリン、3位のトゥルークス・Jr.ら上位勢は、そのままレースが終了する可能性を読んでコース上に残ったが、13位につけていたボウヤーらはピットへ。
 結局雨は強くならず、ハムリンはグリーンフラッグ直前の282周目にピットへと向かい、16位へと後退。ボウヤーが5位へとポジションを上げた。
 再スタート後、ボウヤーは見事な追い上げを見せ313周目には首位に浮上。
 "チェイス"争いで注目を集めるKy.ブッシュは、335周目にグリーン下で最後のピットインを行ったが、ここでタイヤを止めるラグナットを失うピット作業アクシデント。2周遅れとなってしまった。
 レースも終盤に近づくと、ボウヤーにハムリン、マーティンが続き、上位勢は燃費戦の様相を呈してきた。一方で、Ky.ブッシュと、"チェイス"入りを争うジェフ・ゴードン(シボレー)とのポイント争いも加熱。レース前12ポイントのアドバンテージを持っていたKy.ブッシュは2周遅れで17位前後を走行。上位につけるJ.ゴードンと、周回ごとに僅差での"チェイス"争いを繰り広げることとなった。
 トップ3につけていた"トヨタ カムリ"勢のうち、ハムリンは残り8周でついに給油のためピットへ向かい、後退。しかし、ボウヤーとマーティンは徹底した燃費作戦で走り抜き、ボウヤーはトップでチェッカー。今季2勝目を挙げた。マーティンは3位。Ky.ブッシュは1周遅れの16位でフィニッシュしたが、J.ゴードンが2位に入ったため、僅か3ポイント及ばず、惜しくも"チェイス"入りを逃すこととなった。
 "チェイス"は12名のドライバーが2000点にポイントをリセット。今季の勝利数×3ポイントがボーナスとして加えられるため、最多の4勝を挙げているハムリンはランキングトップで"チェイス"開幕を迎えることとなった。

 いよいよ"チェイス"がスタートする次戦第27戦は9月16日(日)、米国中部イリノイ州ジョリエットのシカゴランド・スピードウェイで行われる。

ドライバー クリント・ボウヤー:
「信じられない。チームスタッフ、チームメイト、クルーチーフ全員を本当に誇らしく思う。今年からの全く新しいチームにもかかわらず、こうして再びヴィクトリーレーンに経つことができた。先週末はチェイス入りを決めたが多くの不運にも見舞われ良くないレースとなってしまった。しかしこのレースで勝ち、良い感触の状態でチェイスに臨むことができる。私に接触してきたファン・パブロ(モントーヤ)には感謝している。2位か3位を走行していたとき、彼が接触してきて左リアタイヤがパンクしてしまった。しかし、幸運にもスピンしただけで済み、コーションを得て周回遅れにならずにレースに復帰し、勝つことができた。このスポーツは絶対に諦めないことが大事だ」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 4 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 400
2 2 24 ジェフ・ゴードン シボレー 400
3 6 55 マーク・マーティン トヨタ カムリ 400
16 15 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 399
18 7 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 399
19 12 83 ランドン・カシル トヨタ カムリ 399
21 9 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 399
25 29 47 ボビー・ラボンテ トヨタ カムリ 397
27 32 93 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 397
30 8 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 396
37 31 30 デイビッド・ストレミー トヨタ カムリ 127
38 34 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 90
40 40 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 70
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 デニー・ハムリン トヨタ 2012
2 ジミー・ジョンソン シボレー 2009
3 トニー・スチュワート シボレー 2009
6 クリント・ボウヤー トヨタ 2006
10 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 2000
13 カイル・ブッシュ トヨタ 774
18 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 678
24 ボビー・ラボンテ トヨタ 557
26 マーク・マーティン トヨタ 492
30 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 434
31 ランドン・カシル トヨタ 421
35 デイビッド・ストレミー トヨタ 184
36 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 177
43 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 75
57 パトリック・ロング トヨタ 2
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 179
2 トヨタ 155
3 フォード 129
4 ダッジ 109

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第25戦 Virginia 529 College Savings 250

開催日:9月7日

カート・ブッシュとデニー・ハムリンが3-4位


首位を争い、3位フィニッシュを果たしたカート・ブッシュ(#54)

 9月7日(金)にNASCARネイションワイド・シリーズの第25戦「Virginia 529 College Savings 250」がリッチモンド・インターナショナル・レースウェイで開催された。

 7日(金)午前中の練習走行を経て、決勝を前に午後4時5分から予選が行われ、デニー・ハムリンが6番手、チームメイトのブライアン・スコットが7番手、マイク・ブリスが9番手グリッドを確保。12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 午後7時46分、0.75マイルショートオーバルを250周(187.5マイル:約300km)して競われる決勝レースがスタート。
 序盤はハムリンがトップ5圏内をキープする一方で、17番手スタートのカート・ブッシュが徐々にポジションを上げ、20周目過ぎにはトップ10圏内に浮上。
 35周目、周回遅れとなっていたターナー・ベリーヒルが右フロントタイヤのバーストに見舞われ壁にクラッシュ。この日初めてのイエローコーションとなり、全車ピットへ。
 コーション前は11位走行中のスコットが好ピットに助けられ5つポジションをアップ。一方で6位につけていたハムリンは、ピット時に他車に阻まれ、20位前後まで後退してしまった。しかし、ハムリンは再スタート後見事な追い上げを見せ、60周目過ぎにはトップ10に再び復帰。
 110周目にこの日2度目のイエローコーションで全車ピットへ向かうと、Ku.ブッシュは5位、ハムリンは7位をキープ。シリーズデビュー3戦目のルーキー、ダレル・ウォレス・Jr.がこのピットでトップ10へと浮上した。
 194周目、15位前後でのバトルを繰り広げていたライアン・トゥルークスとスコットが接触し、スピンしたスコットは壁にヒット。この日6度目のイエローコーション。この時点で2位に浮上していたKu.ブッシュは、再スタートでアウト側から好ダッシュを見せ、首位に立った。
 チェッカーまで残り50周を切り、レースは首位を行くKu.ブッシュと、それを追うケヴィン・ハーヴィック(シボレー)が激しく首位争い。226周目、Ku.ブッシュは周回遅れの車両をかわそうとして接触。この周回遅れ車両がスピンし、この日7度目のイエローコーション。
 残り18周で再スタート。Ku.ブッシュはアウト側の最前列、その後方にハムリン、D.ウォレス・Jr.が続いての再スタートとなったが、イン側の2台の先行を許すことに。
 Ku.ブッシュとハムリンは最後まで前の2台を追ったが届かず、3位、4位でチェッカー。ジョー・ネメチェクが8位。終盤、ライバル車両から数多くの接触の洗礼を受けながらも走り抜いたD.ウォレス・Jr.は10位でフィニッシュし、シリーズデビューから3戦連続でのトップ10フィニッシュを果たした。

 次戦第26戦は9月15日(土)、シカゴランド・スピードウェイで行われる。

ドライバー カート・ブッシュ:
「まずまずの結果だ。今夜我々は激しくプッシュしたが、コーナー進入での安定が得られなかった。ブレーキに異常振動が発生し、レースを通してこのトラブルに苦しめられた。またアンダーステア症状にも見舞われ、(ケヴィン)ハーヴィックを抑えきることができなかった。スポンサーやトヨタ、エンジンチューナーの全ての関係者に感謝する。ピットクルーも素晴らしい働きをしてくれた。彼らと同じチームでレースを戦えることを嬉しく思っている」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 3 33 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 250
2 1 6 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 250
3 17 54 カート・ブッシュ トヨタ カムリ 250
4 6 18 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 250
8 14 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 250
10 20 20 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ カムリ 250
15 9 44 マイク・ブリス トヨタ カムリ 250
16 33 99 ライアン・トゥルークス トヨタ カムリ 250
19 30 19 テイラー・マルサム トヨタ カムリ 250
26 41 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 249
28 7 11 ブライアン・スコット トヨタ カムリ 246
34 42 24 デレック・ホワイト トヨタ カムリ 45
35 34 17 ターナー・ベリーヒル トヨタ カムリ 35
43 18 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 3
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 エリオット・サドラー シボレー 936
2 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 935
3 オースティン・ディロン シボレー 906
8 マイク・ブリス トヨタ 691
9 ジョー・ネメチェク トヨタ 605
10 ブライアン・スコット トヨタ 599
13 テイラー・マルサム トヨタ 562
17 エリック・マクルーア トヨタ 385
21 ライアン・トゥルークス トヨタ 262
27 ケニー・ウォレス トヨタ 202
34 ジェフ・グリーン トヨタ 152
39 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ 107
49 ケニー・ハブル トヨタ 62
51 ターナー・ベリーヒル トヨタ 58
52 アレックス・ケネディ トヨタ 56
53 ヴィクター・ゴンザレス・Jr. トヨタ 55
61 ブレット・モフィット トヨタ 35
79 パトリック・カーペンティア トヨタ 15
83 ジョン・ジャクソン トヨタ 10
85 アレックス・パポウ トヨタ 6
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 163
2 トヨタ 138
3 フォード 129
4 ダッジ 120