2012年10月22日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第32戦 Hollywood Casino 400

開催日:10月21日

マーティン・トゥルークス・Jr.が2位
"チェイス"は11台中10台がトップ13フィニッシュの大混戦


トヨタ勢最上位の2位でフィニッシュし、ランキングも6位へと
一つ順位を上げたマーティン・トゥルークス・Jr.(#56)

 10月21日(日)、米国中西部カンザス州カンザスシティのカンザス・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第32戦「Hollywood Casino 400」が開催された。
 シーズン終盤の10戦で争われる"チェイス"も6戦目となり後半戦に入った。トヨタ勢ではデニー・ハムリンが首位と15ポイント差の3位、クリント・ボウヤーが4位で続いている。
 今大会の行われるカンザスは、年に2度レースが開催されるが、春に行われた第8戦では、ハムリンが勝利、トヨタ3人目の"チェイス"ドライバーであるトゥルークス・Jr.が2位フィニッシュを果たしており、タイトル獲得へ向け期待の高まるレースとなった。

 カンザスは前回のレースの後、コース路面が全面的に再舗装されたため、17日(水)と18日(木)にテスト走行が実施された。
 19日(金)1時間半の練習走行を経て、午後4時10分から予選開始。ベテランのマーク・マーティンが最前列2番手グリッドを獲得。地元カンザス出身のボウヤーが3番手、カイル・ブッシュが4番手で2列目に並んだ。ジョーイ・ロガーノが8番手。前日のテスト走行でクラッシュを喫したハムリンはそれでも9番手とトップ10グリッドを確保。12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 21日(日)午後1時23分、1.5マイルオーバルを267周(400.5マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。最前列アウト側のマーティンが好スタートを切り、いきなり首位に立った。
 7周目に首位を奪われたもののマーティンは2位をキープ。Ky.ブッシュがこれに続き、順位を上げてきたハムリンが5位へと浮上した。
 32周目にこの日最初のイエローコーションが出され、各車ピットへ。ほとんどの車両が2本タイヤ交換を選択したのに対し、4本タイヤを交換したハムリンは17位へ後退。2位で再スタートを切ったKy.ブッシュだったが、41周目の第4ターンでスピン。どこにもぶつからなかったものの、33位へと後退してしまった。
 71周目にこの日3度目のイエローコーションが出され、各車2度目のピットへ向かうと、各車タイヤ交換本数の作戦が先のピットと逆になり、順位が入れ替わった。序盤トップ10圏外にいた地元ボウヤーが4位、トゥルークス・Jr.が5位へと浮上。3位のマーティンと共に、3-4-5位での再スタート。ハムリンも7位へポジションを上げた。
 120周目過ぎからグリーン下でのピットインが始まり、マーティン、トゥルークス・Jr.、ハムリンらがピットイン。しかし、その直後にイエローコーションとなり、ピットインを遅らせてトップに立っていたボウヤーを先頭に上勢はピットへ。グリーンピットを行い周回遅れとなっていたハムリンらは、このコーションで首位と同一周回へは復帰したが、25位以下へと大きく順位を落としてしまった。
 しかし、ハムリンらは追い上げを開始。155周目にランドン・カシルが人気女性ドライバーのダニカ・パトリック(シボレー)に押される形でスピンを喫し、パトリックもクラッシュ。この日8度目のイエローコーションが出されたが、マーティンとハムリンはピットに入らず、一気に1-2位にポジションアップ。ピットインした中では、タイヤ無交換作戦を採ったボウヤーが6位へと順位を上げた。
 163周目に再スタートとなったが、165周目、169周目、172周目、181周目と、再スタートからまもないタイミングでのクラッシュが連発。181周目にはトップ10圏内につけていたKy.ブッシュが後ろから押されてクラッシュし、レースを終えることとなってしまった。
 188周目にマーティンが首位、ボウヤー2位、ハムリン4位で再スタート。この連続するコーションの間にピットに入っていなかったハムリンとマーティンは、それぞれ208周目、212周目にグリーンピットを行ったが、その直後、またしても不運なタイミングとなる213周目にクラッシュでイエローコーション。周回遅れとなっていたマーティンとハムリンは、マーティンが"ラッキー・ドッグ"を獲得。ハムリンも上位勢がピットに入っている間に首位と同一周回へと復帰したが、共に首位と同一周回最後尾の24位、25位と大きくポジションダウンを強いられた。
 ボウヤーが5位、トゥルークス・Jr.が8位で222周目に再スタート。トゥルークス・Jr.がボウヤーをかわし5位にポジションを上げる一方で、ハムリンとマーティンも徐々に順位を上げていった。
 234周目に、コース新記録となるこの日14回目のイエローコーションが出されると、上位勢はコース上に残ったが、ハムリン、マーティンらがピットイン。ハムリンは給油と共にタイヤを4本新品に交換。マーティンはエンジン不調に見舞われて後退。
 残り28周で、トゥルークス・Jr.4位、ボウヤー7位で再スタート。トゥルークス・Jr.が再スタート直後の混乱の中で好走を見せ2位に浮上。チェッカーまで首位を追い続けたが、惜しくも0.495秒届かず2位でフィニッシュ。春の大会に続き、カンザス戦2戦連続2位となった。
 ボウヤーが6位。ハムリンは23位での再スタートから追い上げ、13位でチェッカーを受けた。
 今レース、"チェイス"を争う11台(1台欠場)のうち、10台がトップ13に入る着実なレースとなったが、ランキング上位のブラッド・ケゼロウスキー(ダッジ)、ジミー・ジョンソン(シボレー)がそれぞれ8位、9位に終わったことで、"チェイス"争いは更に差が詰まって混戦模様に。ハムリンは13位に終わったがランキング3位は変わらず。首位との差は20ポイント。4位のボウヤーが25ポイント差まで詰め、トゥルークス・Jr.も6位へと一つ順位を上げた。

 次戦第33戦は10月28日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイで行われる。

ドライバー マーティン・トゥルークス・Jr.:
「カンザスで2戦連続の2位となったが、気分は前回とは全く異なる。前回は本当に残念だったが、今回の結果には満足している。コーションのタイミングで順位を落としたこともあったが、ずっとハードなバトルを続け、2位でフィニッシュできた。最後まで諦めずに戦ってくれたチームを誇りに思う」

ドライバー クリント・ボウヤー:
「長く、厳しいレースだった。序盤、一度だけアウト側からの再スタートを切ったが、それ以外は全てイン側からの再スタートとなり、辛いレースを強いられた。燃費を重視したセットアップをしてきたが、今回はコーションが連発するレースになり、度々の再スタートで苦戦した。しかし、十分とは言えないものの、ポイントリーダーとの差を詰めることができたのは朗報だ」

ドライバー デニー・ハムリン:
「今日はチャンスの全くない、我慢のレースだった。我々は序盤トップ5という好位置につけたが、コーションでのタイヤ戦略が合わず、後方からの追い上げを強いられた。少なくとも8位か9位に入って、ライバルとの差を詰めるチャンスだったが、戦略も、セッティングも合わなかった。次戦マーティンズビルは得意なコースであり、反撃したい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 12 17 マット・ケンゼス フォード 267
2 16 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 267
3 14 27 ポール・メナード シボレー 267
6 3 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 267
13 9 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 267
17 31 93 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 267
18 26 83 ランドン・カシル トヨタ カムリ 267
19 8 20 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 267
24 2 55 マーク・マーティン トヨタ カムリ 266
31 4 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 181
33 22 47 ボビー・ラボンテ トヨタ カムリ 140
36 30 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 47
40 36 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 22
41 34 91 リード・ソレンソン トヨタ カムリ 18
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ブラッド・ケゼロウスキー ダッジ 2250
2 ジミー・ジョンソン シボレー 2243
3 デニー・ハムリン トヨタ 2230
4 クリント・ボウヤー トヨタ 2225
6 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 2207
13 カイル・ブッシュ トヨタ 964
18 ジョーイ・ロガーノ トヨタ 857
24 ボビー・ラボンテ トヨタ 678
25 マーク・マーティン トヨタ 623
29 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 559
31 ランドン・カシル トヨタ 519
35 デイビッド・ストレミー トヨタ 216
36 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 213
43 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 94
58 パトリック・ロング トヨタ 2
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 213
2 トヨタ 191
3 フォード 160
4 ダッジ 140

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第30戦 Kansas Lottery 300

開催日:10月20日

チェッカー目前で首位のカイル・ブッシュが痛恨の燃料切れ
ジョーイ・ロガーノが3位フィニッシュ


ポールポジションからスタート。接触で一時は2周遅れになりながら
追い上げ3位でフィニッシュしたジョーイ・ロガーノ(#18)

 10月20日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第30戦「Kansas Lottery 300」がカンザス・スピードウェイで開催された。

 18日(木)4時間にわたる練習走行、19日(金)の午後にも2度の練習走行を行い、20日(土)決勝を前に、午前11時5分より予選開始。目下シリーズ2連勝中と好調なジョーイ・ロガーノが今季5度目となるポールポジションを獲得。チームメイトのブライアン・スコットが3番手、ベテランのケニー・ウォレスが4番手で2列目に並んだ。カイル・ブッシュも6番手と好位置につけ、11台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 午後2時49分、1.5マイルオーバルを200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。ポールポジションのロガーノは序盤首位をキープ。チームメイトのスコットは、一時ロガーノに続く2位につけたものの、ハンドリングに苦しみ、14周目に単独スピン。この日最初のイエローコーションとなった。
 再スタート後もロガーノは首位を守ったが、31周目にこの日2度目のイエローコーションが出され、全車ピットに向かうと、多くの車両が2本タイヤ交換を選択したのに対し、ロガーノは4本交換し、12位へと後退して再スタートとなった。
 再スタートが切られてまもない40周目、先のコーションで順位をトップ10圏内へと取り戻していたスコットが再びスピン。この時はどこにも接触しなかったスコットだが、57周目にもスピンを喫し、壁にクラッシュ。ガレージでの長い修復を余儀なくされた。
 舗装が全面的に改修されたせいもあってか、この日はスコット以外にもスピンが連発。イエローコーションが多発する中、ポジションを戻し上位を争っていたロガーノだったが、105周目、4位を争うリッキー・ステンハウス・Jr.(フォード)にアウト側に押される形となり、壁にヒット。ロガーノはステンハウス・Jr.共々、グリーン下でのピットによる修復を余儀なくされ、2周遅れとなってしまった。
 その後も連発したイエローコーションを上手く利用し、ロガーノは140周目には首位と同一周回に復帰。
 一方、トヨタ勢ではカイル・ブッシュが上位争いを展開。171周目にマイク・ブリスがスピンを喫したことでこの日11度目のイエローコーションが発生すると、175周目の再スタートで、Ky.ブッシュが見事首位に立った。
 終盤、同じカップ・シリーズのレギュラーであるポール・メナード(シボレー)の猛追を受けながらも、首位をキープし続けたKy.ブッシュだったが、残り3周となった197周目、今大会がネイションワイド・シリーズのデビュー戦となったハル・マーティンが他車と絡んでクラッシュ。レースは車両排除のため6周延長され、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることとなった。
 燃料が厳しい展開で、終盤レースが延長されることとなったが、上位勢はコース上に残り、数台のみが給油のピットへ。しかし、再スタートを待つフォーメーションラップ中の202周目、3位のサム・ホーニッシュ・Jr.(ダッジ)が燃料切れ。続いて8位につけていたK.ウォレスも燃料切れに見舞われ、K.ウォレスは実兄のマイク・ウォレス(シボレー)に押される形でピットへ。
 再スタートが切られる直前には、Ky.ブッシュと最前列に並んでいたメナードがスローダウンと、上位が次々に燃料切れで脱落する波乱の展開となった。
 Ky.ブッシュは好スタートで首位をキープ。自身のチームでのネイションワイド・シリーズでの初勝利を飾るかと思われたが、ファイナルラップの最終コーナーに入るところで、まさかの燃料切れに見舞われスローダウン。後続の逆転を許し、6位でチェッカー。
 一時2周遅れになりながらも見事な追い上げを見せたロガーノがトヨタ勢最上位となる3位フィニッシュを果たした。

 次戦第31戦は11月3日(土)、米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー ジョーイ・ロガーノ:
「ワイルドなレースだった。序盤からとにかくアンダーステア症状に苦しんだ。そしてフェンスに押しつけられてしまった。2周遅れになり、車両の修復を行ってリードラップに復帰するのは大変だった。クルーの素晴らしい修復作業のおかげで、可能な限り最上の順位でフィニッシュできたと思う。オーナーポイントの点で考えれば3位フィニッシュは良い結果だ」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 10 6 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 206
2 2 3 オースティン・ディロン シボレー 206
3 1 18 ジョーイ・ロガーノ トヨタ カムリ 206
6 6 54 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 206
12 22 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 206
13 23 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 206
15 15 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 205
18 4 99 ケニー・ウォレス トヨタ カムリ 203
25 16 44 ハル・マーティン トヨタ カムリ 182
26 3 11 ブライアン・スコット トヨタ カムリ 177
29 40 24 デレック・ホワイト トヨタ カムリ 130
36 25 0 ブレイク・コッホ トヨタ カムリ 24
42 18 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 4
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 エリオット・サドラー シボレー 1136
2 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 1130
3 オースティン・ディロン シボレー 1110
8 マイク・ブリス トヨタ 820
9 ブライアン・スコット トヨタ 758
11 ジョー・ネメチェク トヨタ 738
15 テイラー・マルサム トヨタ 609
17 エリック・マクルーア トヨタ 495
22 ライアン・トゥルークス トヨタ 292
26 ケニー・ウォレス トヨタ 252
28 ジェフ・グリーン トヨタ 224
30 ブレイク・コッホ トヨタ 214
34 ベニー・ゴードン トヨタ 198
36 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ 139
51 ターナー・ベリーヒル トヨタ 64
53 ケニー・ハブル トヨタ 62
55 アレックス・ケネディ トヨタ 56
56 ヴィクター・ゴンザレス・Jr. トヨタ 55
59 デレック・ホワイト トヨタ 51
62 ドリュー・ヘリング トヨタ 41
65 ブレット・モフィット トヨタ 35
71 アンジェラ・コープ トヨタ 25
86 パトリック・カーペンティア トヨタ 15
90 ジョン・ジャクソン トヨタ 10
92 アレックス・パポウ トヨタ 6
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 194
2 トヨタ 170
3 フォード 158
4 ダッジ 138