NASCAR SPRINT CUP SERIES
第10戦 Aaron's 499
開催日:5月5日
降雨中断で7時間に渡ったサバイバル戦
3台の"トヨタ カムリ"がトップ10フィニッシュ
4位に入ったマイケル・ウォルトリップ(#55)、7位のマーティン・トゥルークス・Jr.(#56)、
8位のマット・ケンゼス(#20)らがハイスピードでの上位争いを繰り広げた
5月5日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第10戦「Aaron's 499」が開催された。
NASCARが開催されるコースで最長の1周2.66マイル(約4.3km)で、吸気口径を制限し、馬力を抑えるリストリクター・プレート・レースとして開催されるタラデガでは、年に2回シリーズ戦が開催されるが、トヨタは2008年に2勝を挙げた後、未勝利。しかし、今季"トヨタ カムリ"をドライブしているクリント・ボウヤーとマット・ケンゼスは過去3年の秋の大会を制しており、久しぶりのタラデガ制覇に期待がかかった。
今大会、第5戦フォンタナのクラッシュで負傷、欠場していたデニー・ハムリンが"チェイス"入りのためのポイント獲得を目指し復帰。但し、大事を取ってスタートから最初のイエローコーションまでをドライブし、コーション時のピットでドライバー交代する。NASCARではレース中のドライバー交代が認められており、その場合はレースをスタートしたドライバーにレースの結果及びポイントが与えられる規則となっている。
4日(土)併催のネイションワイド・シリーズ戦決勝を前に予選が予定されていたが、降雨のためにキャンセルに。このためスターティンググリッドは規定に則り、1回目の公式練習走行でのタイムと、現時点でのオーナーポイントで決定。マーティン・トゥルークス・Jr.が2番手、マット・ケンゼスが6番手、ハムリンは7番手につけ、11台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
5日(日)午後12時10分に2.66マイルオーバルを188周(500.08マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタート。いきなり長い3列での集団戦となる中、最前列2番手グリッドのマーティン・トゥルークス・Jr.が好スタートを切り首位へ。5周目にこれをかわしたケンゼスが首位に立った。
ケンゼスは快調に首位をキープ。22周目にエンジンブローした車両によりコースにオイルが出たため、この日初めてのイエローコーション。全車ピットへ向かい、ハムリンは予定通り、1分ほどの時間をかけてブライアン・ヴィッカーズへとドライバー交代。周回遅れにはならずに戦列に復帰した。
ケンゼスが首位、トゥルークス・Jr.が5位、13番手スタートのカイル・ブッシュが9位で再スタートが切られ、再びタラデガならではの、長い隊列でのドラフティングバトルが展開。そんな中、36位での再スタートとなったヴィッカーズは"トヨタ カムリ"の速さを活かしポジションアップ。40周目にはトップ10圏内での争いに加わった。
43周目、ケンゼスの後方で2位争いを繰り広げていたKy.ブッシュが前走車と接触し、これをきっかけとした「ビッグ・ワン」と呼ばれる多重クラッシュが発生。Ky.ブッシュは壁に激しくクラッシュしたところに後続が突っ込み、車両には大きなダメージ。また、ヴィッカーズの車両もこのクラッシュに巻き込まれ、共にガレージでの修復を余儀なくされてしまった。
ケンゼスが首位を守ったまま、52周目に再スタート。その後はイエローコーションが出ないまま、一度のグリーンピットを経て、順位の入れ替わりはあったが、常にケンゼスは首位争いを展開した。
124周目、雨が降り始め、イエローコーション。雨は強さを増し、レースは赤旗中断となった。
その後、雨が止むのを待ち、コースをドライヤーカーで乾燥させ、3時間半以上もの中断の後に、レースは再開。再開後のイエローコーションで各車ピットへ向かったが、ここでコース上に残ったボビー・ラボンテが首位浮上。今大会が記念すべきキャリア700戦目の出場となるベテラン、ボビー・ラボンテが3周に渡って首位を走行。これをケンゼスが133周目にパスし、首位を奪還した。
レースは終盤まで長い3列でのハイスピード集団バトルが展開されたが、残り6周となったところで、この日2度目の「ビッグ・ワン」が発生。集団の中でバトルを繰り広げていたボウヤーがこれに巻き込まれ、修復のためピットへ。レースは4周延長され、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることとなった。
次々と"トヨタ カムリ"勢がクラッシュに巻き込まれ脱落していく中、孤軍奮闘を続けるケンゼスがトップ、トゥルークス・Jr.とウォルトリップが12位、13位で残り2周での再スタート。
時間は午後7時を回り、かなり暗くなったコースで、ケンゼスは好スタートを切ったが、3ワイドでの大混戦となったファイナルラップ、行き場をふさがれる形で順位を落とし、この間隙を突いたベテランのウォルトリップが"トヨタ カムリ"勢最上位の4位でフィニッシュ。トゥルークス・Jr.が7位、ケンゼスは8位でフィニッシュした。
赤旗中断を含むと7時間にも渡る長いレースで、全192周中実に142周で首位を快走し、"トヨタ カムリ"の速さを見せつけたケンゼスは、惜しくも8位フィニッシュとなったが、これで3戦連続のトップ10フィニッシュ及び最多リードラップを獲得。ランキングも11位に浮上した。
次戦第11戦は5月11日(土)、米国南東部サウスカロライナ州ダーリントンのダーリントン・レースウェイで行われる。
ドライバー マイケル・ウォルトリップ:
「素晴らしい走りが出来た。最後はクルーチーフの好判断が活きた。長年共にやってきた我々のスポンサーが冠のレースで好成績を挙げることが出来、本当に嬉しい。私はTVでの解説も行っているので、それほど多くのレースに出るわけには行かないが、コースの中で、ドライバー達がどれだけ激しいレースをしているのか久しぶりに体感し、楽しい一日だった」
ドライバー マット・ケンゼス:
「何が起こったかわからない。とても良いレースが出来ただけに、結果には失望している。最後はカール(エドワーズ)がロケットスタートを決め、私をバックストレートでパスしたが、まだ私は2位につけていた。そして彼をパスし返そうとしたが、ブロックされた。これは当然の行為だ。その後ターン1で広がってのバトルで行き場が無くなり、我慢のレースを強いられた。勝てる"トヨタ カムリ"だっただけに、本当に残念な結果だ」
ドライバー デニー・ハムリン:
「レースに復帰できて良かった。序盤、私と共に後方で慎重な走行をしてくれたドライバー達に感謝したい。ドライバーチェンジは本当にスムーズに行った。今日の結果はカムバックの第一歩であり、ブライアン(ヴィッカーズ)が得てくれた今日のポイントはボーナスだ。我々は来週のダーリントンへ向けて集中している」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 19 | 34 | デイビッド・レーガン | フォード | 192 | ||
2 | 31 | 38 | デイビッド・ギルランド | フォード | 192 | ||
3 | 1 | 99 | カール・エドワーズ | フォード | 192 | ||
4 | 14 | 55 | マイケル・ウォルトリップ | トヨタ カムリ | 192 | ||
7 | 2 | 56 | マーティン・トゥルークス・Jr. | トヨタ カムリ | 192 | ||
8 | 6 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 192 | ||
12 | 27 | 30 | デイビッド・ストレミー | トヨタ カムリ | 192 | ||
18 | 20 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | 192 | ||
20 | 39 | 47 | ボビー・ラボンテ | トヨタ カムリ | 192 | ||
34 | 7 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 148 | ||
37 | 13 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 138 | ||
38 | 32 | 93 | トラヴィス・クヴァピル | トヨタ カムリ | 128 | ||
39 | 41 | 87 | ジョー・ネメチェク | トヨタ カムリ | 53 | ||
41 | 35 | 83 | デイビッド・ロイティマン | トヨタ カムリ | 43 | ||
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NASCAR NATIONWIDE SERIES
第8戦 Aaron's 312
開催日:5月4日
チェッカー目前の「ビッグ・ワン」
パーカー・クリガーマンが6位
上位争いを繰り広げたパーカー・クリガーマン(#77)とアレックス・ボウマン(#99)、
ブライアン・ヴィッカーズ(#20)
5月4日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第8戦「Aaron's 312」がタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。
3日(金)午前11時10分から予選が行われ、エリオット・サドラーが7番手、カイル・ブッシュ・モータースポーツからキャンピング・ワールド・トラック・シリーズに参戦しているジョーイ・コールターが今季ネイションワイド・シリーズに初出場し、10番手グリッドを確保。12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
決勝レースは4日(土)午後2時過ぎから予定されていたが、降雨のためにスタートが順延。雨が止み、路面が乾いた午後5時20分、2.66マイルオーバルを117周(311.22マイル:約500km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
序盤からデイトナ同様、ネイションワイド・シリーズ車両特有の、2台でのタンデムドラフトによるバトルが展開。サドラーとチームメイトのブライアン・ヴィッカーズがペアとなり、ポジションアップ。コールターもサム・ホーニッシュ・Jr.(フォード)とのペアで首位を争った。
複数回にわたり首位を奪うなど前半戦好走を見せたサドラーだったが、68周目に突然トラブルに見舞われスローダウン。その直後に他車のクラッシュでイエローコーションが出されたため、サドラーは周回遅れになることなく、ピットでの作業を終えレースに復帰したが、順位を大きく落としてしまった。
代わって上位争いに加わったのが、開幕戦デイトナでも後半見事な走りを見せ3位、5位に入ったアレックス・ボウマンとパーカー・クリガーマンの若手コンビ。再スタートが切られてまもなく首位を奪うと、その後も上位争いを繰り広げた。
87周目、トップ10圏内へと浮上していたブレイク・コッホが後ろから押されてバランスを崩し、壁にクラッシュ。この日4度目のイエローコーション。93周目には、11台もの車両が絡む「ビッグ・ワン」が発生。レース開始が遅れた今大会、日没が迫っているために、レースは10周短縮され、107周に。残り7周での再スタートが切られることとなった。
クリガーマンとボウマン、そして他チームのドラフティングパートナーを得たヴィッカーズとコールターが上位で最後のバトルを繰り広げたが、残り3周というところで、7位を走行していたコールターが痛恨のクラッシュ。レースは"グリーン・ホワイト・チェッカー"の最後の2周スプリントとなった。
クリガーマンとボウマンはそれそれ3位、4位で2列目に並び、最前列の車両を押す形に。イン側のクリガーマンは、前を行くオースティン・ディロン(シボレー)と共に後続を引き離し、最後はその2台のバトルになるかと思われたが、ファイナルラップに入ると後続勢も巻き返し、最後は団子状態に。
ファイナルラップの最終コーナーを立ち上がったところで、ヴィッカーズの後方に追い上げてきたサドラーが接触し、ヴィッカーズがスピン、そのまま壁にクラッシュ。後続がこれに次々と巻き込まれる、最後の「ビッグ・ワン」となった。レースはファイナルラップに入っていたため、イエローコーションが出された瞬間で順位凍結。クリガーマンが6位、ジェイソン・ホワイトが8位、サドラーが11位、ボウマンが13位、マイク・ブリスが14位、ヴィッカーズは15位に終わった。
ドライバーズランキングでは、クリガーマンが4つ順位を上げ4位に浮上。サドラーは変わらず5位。ヴィッカーズは2つ落として8位。ルーキーのボウマンが9位とトップ10入りし、ルーキーランキングでも首位に浮上した。
次戦第9戦は5月10日(金)、ダーリントン・レースウェイで行われる。
ドライバー パーカー・クリガーマン:
「我々はチームメイトである99号車(アレックス・ボウマン)と共に戦った。アレックスは素晴らしい仕事をしてくれた。開幕戦のデイトナに続き、2人で良い走りが出来たことを誇らしく思っている。最後の再スタートでは、オースティン・ディロン(シボレー)とのペアで好スタートを切り、そのまま逃げ切れるかと思ったが、後続がペースをつかんでから追い上げられてしまった。最後の大クラッシュを避けて6位フィニッシュできたのは幸運だった。今季序盤の2つのスーパースピードウェイで5位、6位の結果を得られたというのは、私にとっては勝利にも等しい。ポイントの面でも良い結果であり、更に上位を目指す」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 20 | 7 | リーガン・スミス | シボレー | 110 | ||
2 | 12 | 22 | ジョーイ・ロガーノ | フォード | 110 | ||
3 | 11 | 5 | ケイシー・ケイン | シボレー | 110 | ||
6 | 18 | 77 | パーカー・クリガーマン | トヨタ カムリ | 110 | ||
8 | 31 | 24 | ジェイソン・ホワイト | トヨタ カムリ | 110 | ||
11 | 7 | 11 | エリオット・サドラー | トヨタ カムリ | 110 | ||
13 | 14 | 99 | アレックス・ボウマン | トヨタ カムリ | 110 | ||
14 | 24 | 19 | マイク・ブリス | トヨタ カムリ | 110 | ||
15 | 21 | 20 | ブライアン・ヴィッカーズ | トヨタ カムリ | 110 | ||
21 | 10 | 54 | ジョーイ・コールター | トヨタ カムリ | 104 | ||
23 | 23 | 14 | エリック・マクルーア | トヨタ カムリ | 94 | ||
33 | 34 | 0 | ブレイク・コッホ | トヨタ カムリ | 87 | ||
34 | 32 | 44 | ハル・マーティン | トヨタ カムリ | 84 | ||
37 | 30 | 87 | ジョー・ネメチェク | トヨタ カムリ | 64 | ||
40 | 13 | 10 | ジェフ・グリーン | トヨタ カムリ | 3 | ||
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