2013年8月12日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第22戦 Cheez-It 355 at The Glen

開催日:8月11日

カイル・ブッシュがロードコース戦を制し今季3勝目

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今季3勝目を挙げたカイル・ブッシュ

 8月11日(日)、米国東部ニューヨーク州ワトキンス・グレン・インターナショナルのロードコース、ワトキンス・グレン・インターナショナルでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第22戦「Cheez-It 355 at The Glen」が開催された。
 NASCARで年間2戦のみ行われるロードコース戦、今大会はその2戦目となる。ここワトキンス・グレンでは、カイル・ブッシュが2008年にポール・トゥ・ウィンを飾り、過去7年連続トップ10フィニッシュと、得意にしている。しかし、Ky.ブッシュは昨年、一昨年共に終盤まで首位を走行しながら惜しくも勝利を逃しており、5年ぶりの勝利を目指し今大会に臨んだ。

 10日(土)午前11時40分より予選が行われ、クリント・ボウヤーが最前列2番手、マーティン・トゥルークス・Jr.が3番手、今大会スポット参戦のAJ.アルメンディンガーが4番手、Ky.ブッシュが5番手、マット・ケンゼスが10番手につけ、13台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 11日(日)、好天の下、午後1時26分に2.45マイルロードコースを90周(220.5マイル:約355km)して競われる決勝レースがスタート。
 グリッドの順位を守ったまま、大きな混乱もなくスタートが切られ、2位から5位を占める"トヨタ カムリ"が首位を追う展開。7周目にデイビッド・ロイティマンがコース途中で止まってしまったため、この日初のイエローコーション。
 上位勢はピットに入らなかったが、再スタート直後、アルメンディンガーとKy.ブッシュがトゥルークス・Jr.をパス。15周目にもクラッシュ車両によりイエローコーションとなり、19周目に再スタートが切られると、トゥルークス・Jr.がアルメンディンガーを抜き返すという、"トヨタ カムリ"同士での激しい上位争いが展開。23周目にはハンドリング不調に見舞われたボウヤーが6位へとポジションダウン。Ky.ブッシュが2位に浮上した。
 NASCARのレースとしては平均速度が低く、1周のラップタイムが長いワトキンス・グレンでは、周回遅れになりにくいため、グリーンピットが多用される。全90周のレースを約30周ずつ、3スティントに分ける作戦を採ったチームが多く、30周前後から各車グリーンピットを開始。先のイエローコーションでピットインし、給油タイミングをずらした車両が一時は先行したものの、再び首位のマーコス・アンブローズ(フォード)をKy.ブッシュが追う展開となった。アンブローズは過去2年のワトキンス・グレン戦を制しており、Ky.ブッシュとは毎年首位争いを繰り広げている。
 40周目、中団グループで争っていたトラヴィス・クヴァピルが他車と接触しクラッシュ。コース上にオイルが撒かれたため、レースはコース清掃のために赤旗中断。20分ほどの中断の後に再開された。
 Ky.ブッシュはその後も2位でアンブローズを追い、59周目に最後の給油のためにグリーン下でピットイン。幸運なことに、このグリーンピット作業中にクラッシュ車両が出たためにイエローコーション。まだピットに入っていなかったアンブローズら上位勢は一斉にピットへ。このため、Ky.ブッシュが首位、トゥルークス・Jr.が2位、ボウヤーが3位と、"トヨタ カムリ"の1−2−3体制で再スタートとなった。
 Ky.ブッシュが得意の再スタートを決め逃げる一方で、トゥルークス・Jr.とボウヤーはブラッド・ケゼロウスキー(フォード)にかわされ3位、4位に後退。ケゼロウスキーが激しくKy.ブッシュを追い、2台による首位争いとなった。
 78周目にクヴァピルが再び壁にヒットし、イエローコーション。残り10周での再スタートが切られた直後に、S字コーナーで多重クラッシュが発生。このコーションからの再スタートでも、S字での接触で多重クラッシュとなり、ブライアン・ヴィッカーズが巻き込まれてしまった。
 レースは残り2周での再スタートが切られ、Ky.ブッシュは首位をキープ。2位のケゼロウスキーとのテール・トゥ・ノーズでの首位争いは最後まで続いたが、Ky.ブッシュは逃げ切り、トップチェッカー。今季3勝目、ワトキンス・グレンでの2勝目を挙げた。トゥルークス・Jr.が3位、ボウヤーが6位、アルメンディンガーが10位に入った。この勝利で、Ky.ブッシュはランキングでも5位へと一つ順位を上げた。

 次戦第23戦は8月18日(日)、米国北東部ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「過去数年、我々は勝てる"トヨタ カムリ"と共に戦いながらも、勝利を逃してきたが、ようやく今日その雪辱が果たせた。ヴィクトリーレーンに戻ることが出来て嬉しい。チームが本当に良くやってくれて、ドライブするのが楽しかった。支えてくれたスポンサーや、TVで見てくれたファン、そしてこのコースに来てくれた大勢のファンに感謝したい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 5 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 90
2 8 2 ブラッド・ケゼロウスキー フォード 90
3 3 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 90
6 2 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 90
10 4 47 AJ.アルメンディンガー トヨタ カムリ 90
19 20 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 90
23 10 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 90
29 37 19 アレックス・ケネディ トヨタ カムリ 90
32 15 55 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 84
33 39 30 デイビッド・ストレミー トヨタ カムリ 83
39 43 52 ブライアン・ケゼロウスキー トヨタ カムリ 47
40 38 93 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 41
42 42 87 トミー・ドリッシ トヨタ カムリ 39
43 36 83 デイビッド・ロイティマン トヨタ カムリ 4
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ジミー・ジョンソン シボレー 808
2 クリント・ボウヤー トヨタ 733
3 カール・エドワーズ フォード 728
5 カイル・ブッシュ トヨタ 693
7 マット・ケンゼス トヨタ 659
10 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 625
25 デニー・ハムリン トヨタ 414
29 マーク・マーティン トヨタ 361
31 ボビー・ラボンテ トヨタ 328
32 デイビッド・ロイティマン トヨタ 308
34 デイビッド・ストレミー トヨタ 296
36 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 275
38 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 102
45 アレックス・ケネディ トヨタ 21
49 ブライアン・ケゼロウスキー トヨタ 9
50 トミー・ドリッシ トヨタ 8
52 ジェイソン・リフラー トヨタ 1
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 156
2 トヨタ 144
3 フォード 111

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第21戦 Zippo 200 at The Glen

開催日:8月10日

ブライアン・ヴィッカーズが2戦連続の3位

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3位に入ったブライアン・ヴィッカーズ(#20)と5位フィニッシュのエリオット・サドラー(#11)

 8月10日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第21戦「Zippo 200 at The Glen」がワトキンス・グレン・インターナショナルで開催された。
 ロードコース戦も得意とするカイル・ブッシュだが、ネイションワイド・シリーズのワトキンス・グレンでは"トヨタ カムリ"で参戦した過去5年、2位2回を含む、全てのレースでトップ6フィニッシュを果たしながらも未勝利。悲願の優勝を目指し、今大会に臨んだ。

 9日(金)の公式練習を経て、10日(土)午前9時35分から、NASCARのロードレース規定で予選が行われ、Ky.ブッシュが最前列2番手を確保。ブライアン・ヴィッカーズが8番手、パーカー・クリガーマンが9番手で続き、13台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 予選に続き、午後2時37分、2.45マイルロードコースを82周(200.9マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタート。最前列2番手のKy.ブッシュは、2位で進入して行った第1コーナーの立ち上がりで、首位の車両をクロスラインでかわそうとしてスピン。イン側の壁にヒットし、停止したところに後続車両が激しく突っ込み、車両前部左側に大きなダメージを負ってしまった。
 レースは1周目からイエローコーションという波乱の幕開け。何とかピットへと戻ったKy.ブッシュはガレージでの修復を余儀なくされ、レースへは復帰したものの、7周遅れとなってしまった。
 再スタート後は、ヴィッカーズが6位、サドラーが9位、クリガーマンが10位とトップ10圏内をキープ。16周目にケニー・ハブルがシケインでストップし、この日2度目のイエローコーションが出されると、上位勢は一斉にピットへ。3台のみコース上に残り、そのうちの1台、クリガーマンが首位に浮上。サドラーが14位、ヴィッカーズは16位で再スタート。
 クリガーマンは、激しくプッシュするカップ・シリーズのトップドライバー達を抑え、5周にわたって首位を走行したが、25周目にグリーンピット。その直後にイエローコーションが出された。
 その時点でトップ10圏内まで浮上していたサドラーとヴィッカーズだったが、このイエローコーションでピット戦略が分かれ、サドラーは7位、クリガーマンは14位、ヴィッカーズは17位へと後退。
 しかし、速さを見せた"トヨタ カムリ"勢は徐々に順位を上げ、レースが折り返しとなる40周目過ぎには、サドラー6位、クリガーマン7位、ヴィッカーズ10位まで順位を取り戻した。
 43周目にこの日4度目のイエローコーションが出されると、9台がコース上に残り、再び順位がシャッフル。コース上に残ったクリガーマンが4位、ヴィッカーズが6位に上がったのに対し、ピットで給油とタイヤ4本交換を行ったサドラーは11位へ後退。
 給油すれば最後まで走り切れる、残り30周を切ると、グリーンピットが始まった。サドラー、ヴィッカーズ、クリガーマンらがグリーンピットを終えた後、58周目にこの日5度目のイエローコーション。これで残りの車両もピットへと向かい、レースは残り21周、サドラー4位、ヴィッカーズ6位、クリガーマン9位で終盤戦を迎えた。
 終盤はイエローコーションが出ず、20周以上のロングスティントとなったが、ヴィッカーズが好走を見せ、残り2周で3位へと浮上し、そのままチェッカー。トップ3は、前戦と全く同じ顔ぶれとなった。
 サドラーが5位、クリガーマンが6位、17番手スタートから着実に追い上げたコール・ウィットが8位に入った。サドラーも2戦連続トップ10フィニッシュ。Ky.ブッシュは5周遅れまで巻き返し、24位でフィニッシュした。
 今大会、ドライバーズランキング首位のオースティン・ディロン(シボレー)が12位に終わったことで、上位のポイント差は詰まり、トップ3は5点差。4位、5位のサドラーとヴィッカーズも首位と12、18ポイント差と僅差の争いになっている。また、オーナーズポイントでも、今大会カイル・ブッシュがドライブした54号車が、不運なクラッシュに見舞われながらも修復して最後まで走りきり、貴重なポイントを獲得したことで首位をキープしたが、2位の22号車が勝利したことで、その差は僅か5ポイントまで詰め寄られることとなった。

 次戦第22戦は8月17日(土)、米国北部オハイオ州レキシントンのロードコース、ミッドオハイオ・スポーツカー・コースで行われる。

ドライバー ブライアン・ヴィッカーズ:
「チーム、クルーチーフ共にとても良くやってくれた。我々の"トヨタ カムリ"は素晴らしい仕上がりだった。序盤順位を落としてしまったが、最後は取り戻すことが出来た。最後のピットストップは素晴らしかったが、これ以上の結果を得るには残りの周回数が足りなかった。ポジションが良ければ首位を争えていたと思う。とはいえ、ポイントを考えれば3位という結果には満足している」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 5 22 ブラッド・ケゼロウスキー フォード 82
2 1 12 サム・ホーニッシュ・Jr. フォード 82
3 8 20 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 82
5 11 11 エリオット・サドラー トヨタ カムリ 82
6 9 77 パーカー・クリガーマン トヨタ カムリ 82
8 17 44 コール・ウィット トヨタ カムリ 82
13 19 99 アレックス・ボウマン トヨタ カムリ 82
24 2 54 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 77
25 35 24 デレック・ホワイト トヨタ カムリ 75
27 25 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 71
28 30 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 67
29 33 70 トニー・レインズ トヨタ カムリ 47
34 32 75 ケニー・ハブル トヨタ カムリ 15
36 36 0 ブレイク・コッホ トヨタ カムリ 7
37 29 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 4
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 オースティン・ディロン シボレー 730
2 サム・ホーニッシュ・Jr. フォード 727
3 リーガン・スミス シボレー 725
4 エリオット・サドラー トヨタ 718
5 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 712
10 パーカー・クリガーマン トヨタ 656
11 アレックス・ボウマン トヨタ 584
13 マイク・ブリス トヨタ 523
18 エリック・マクルーア トヨタ 380
20 ジョー・ネメチェク トヨタ 313
22 コール・ウィット トヨタ 249
23 ブレイク・コッホ トヨタ 243
31 ハル・マーティン トヨタ 163
35 ジェイソン・ホワイト トヨタ 138
37 ジェフ・グリーン トヨタ 119
42 ケニー・ウォレス トヨタ 76
44 ドリュー・ヘリング トヨタ 72
46 ケン・バトラー トヨタ 66
51 オーウェン・ケリー トヨタ 41
55 ケニー・ハブル トヨタ 36
58 ターナー・ベリーヒル トヨタ 30
62 デレック・ホワイト トヨタ 27
67 ブレット・バトラー トヨタ 19
73 トニー・レインズ トヨタ 15
74 トラヴィス・ソーター トヨタ 14
79 デイビッド・グリーン トヨタ 6
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 トヨタ 141
1 フォード 141
3 シボレー 117
4 ダッジ 21