2013年10月21日(月)配信

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第32戦 Camping World RV Sales 500

開催日:10月20日

カイル・ブッシュが5位フィニッシュでランキング3位浮上

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トヨタ勢最上位の5位でフィニッシュしたカイル・ブッシュ(#18)は
"チェイス"争いでも3位に浮上した

 10月20日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第32戦「Camping World RV Sales 500」が開催された。
 全10戦で争われるプレーオフ"チェイス"も後半戦に入った。前半の5戦を終え、マット・ケンゼスがランキング首位をキープ。カイル・ブッシュは4戦目にクラッシュを喫したがランキング5位。クリント・ボウヤーが8位につけている。
 今大会の行われるタラデガはNASCAR開催コース中最長の1周2.66マイル(約4.3km)ハイバンク・ハイスピードオーバル。速度が上がりすぎるのを抑制するために、リストリクター・プレートと呼ばれる吸気量を制限する部品を付け、出力を抑えている。
 このため、スリップストリームを利用した複数台連なっての走行(ドラフティング)テクニックが重要となる。300km/hを越える速度での超接近戦は順位の入れ替わりが激しく、クラッシュは多くの台数が巻き込まれる"ビッグ・ワン"となることが多い。一戦も落とさず着実にポイントを重ねて行く必要がある"チェイス"では、この"ビッグ・ワン"に巻き込まれないようにすることが重要となる。

 19日(土)午前11時10分より予選が行われる予定であったが、降雨によりキャンセル。規定に則り、練習走行のタイムでグリッドが決定され、マーティン・トゥルークス・Jr.が4番手、ケンゼスが12番手、デニー・ハムリンが15番手、ボウヤー20番手、Ky.ブッシュが27番手につけ、11台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 20日(日)午後1時24分、2.66マイルオーバルを188周(500.08マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタートした。
 3周目に故障車によりイエローコーションが出され、Ky.ブッシュ、ボウヤー他数台が、給油と調整のためにピットイン。ここでコースに残り6位に上がったケンゼスは、再スタートで更に順位を上げ、2位に浮上。11周目にはトップに躍り出た。
 3ワイド、4ワイドの隊列でめまぐるしく順位が入れ替わる、タラデガらしいレースが展開される中、ケンゼスは26周目にも再び首位へ。40周目過ぎから始まったグリーンピットまで、首位の座を守った。
 このグリーンピットでは、複数台の車両が同時にピットへ向かう混乱状況下で、Ky.ブッシュが他の車両に阻まれる形となり自身のピットボックスを一旦通過。翌周ピットインを強いられ、更に後退。
 これで上位の隊列から離されてしまったKy.ブッシュは、ドラフティングパートナーも失い、周回遅れに。しかし、首位を争っていたチームメイトのハムリンがKy.ブッシュをフォローし、周回遅れの最上位を守ったKy.ブッシュは、80周目に発生したこの日2度目のイエローコーションで、"ラッキー・ドッグ"を獲得。首位と同一周回に復帰した。
 このコーションで全車ピットへ向かい、ケンゼスが2位で再スタートを切ると、再び首位争いを展開。11位で再スタートしたボウヤーも調子を上げ、93周目にこの日初めて首位浮上。貴重なリードラップボーナスを獲得した。
 その後はイエローコーションが出ず、2度にわたってグリーンピットが続いた。前半戦首位を争ってきたケンゼスは、徐々にハンドリングの不調に見舞われ後退。変わって、周回遅れから復帰したKy.ブッシュが、実兄のカート・ブッシュ(シボレー)をドラフティングパートナーに上位浮上。147周目にはついに首位に立った。
 最後のグリーンピットを終えた後の終盤戦は、コースのアウト側を長い1列で連なったまま周回が重ねられていった。ポジションアップを狙ってこの隊列から抜け出した車両もあったが、空気の壁に阻まれる形で後退。レースはファイナルラップでの勝負になると思われた。
 Ky.ブッシュが7位、トゥルークス・Jr.が9位で1列に連なって迎えたファイナルラップ、バックストレートに入ったところで、3位を走行中のオースティン・ディロン(シボレー)がバランスを崩しスピン。これに後続が突っ込み、ディロンの車両が舞い上がる大クラッシュに。イエローコーションが出され、その瞬間で順位は凍結。レースはイエローコーション下でのフィニッシュとなった。
 目前でのスピンをかわしたKy.ブッシュが5位、トゥルークス・Jr.が8位、ボウヤーが10位でフィニッシュ。ケンゼスは20位でチェッカーを受けた。
 今大会の結果、ケンゼスとランキングを争うジミー・ジョンソン(シボレー)が13位でフィニッシュしたため、ケンゼスはランキング2位に後退。しかし、首位との差は僅か4ポイントとなっている。また、5位と着実な結果を残したKy.ブッシュは首位と26ポイント差のランキング3位に浮上。ボウヤーはランキング8位キープとなった。

 次戦第33戦は10月27日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「ピットロードでのアクシデントは、自分のピットボックスに入る直前に他の車両にふさがれる形になってしまっただけだ。ここでは何度か経験しており、珍しくないことだ。しかし、おかげで混乱状態ではないピットロードで作業が出来た。最後は、不思議なことに誰も仕掛けなかった。それ以前に何人かがポジションアップを狙って隊列から離れたが、皆後退してしまった。そして最後に私の目の前でクラッシュが起きたが、間一髪で避けられた。タラデガで無事にフィニッシュ出来、しかもトップ5に入れて満足している」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 9 1 ジェイミー・マクマーレイ シボレー 188
2 8 88 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 188
3 21 17 リッキー・ステンハウス・Jr. フォード 188
5 27 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 188
8 4 56 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ カムリ 188
10 20 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 188
19 38 93 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 188
20 12 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 188
31 31 30 コール・ウィット トヨタ カムリ 187
32 22 55 マイケル・ウォルトリップ トヨタ カムリ 187
34 29 47 ボビー・ラボンテ トヨタ カムリ 187
38 15 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 142
40 25 83 デイビッド・ロイティマン トヨタ カムリ 119
42 42 87 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 60
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ジミー・ジョンソン シボレー 2254
2 マット・ケンゼス トヨタ 2250
3 カイル・ブッシュ トヨタ 2228
8 クリント・ボウヤー トヨタ 2197
17 マーティン・トゥルークス・Jr. トヨタ 864
24 デニー・ハムリン トヨタ 614
31 トラヴィス・クヴァピル トヨタ 454
32 デイビッド・ロイティマン トヨタ 424
34 AJ.アルメンディンガー トヨタ 402
35 ボビー・ラボンテ トヨタ 374
36 デイビッド・ストレミー トヨタ 362
39 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 114
45 アレックス・ケネディ トヨタ 21
49 ブライアン・ケゼロウスキー トヨタ 9
50 トミー・ドリッシ トヨタ 8
52 ジェイソン・リフラー トヨタ 1
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 221
2 トヨタ 204
3 フォード 176

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第18戦 fred's 250

開催日:10月19日

チェッカー目前、上位グループ3ワイドでの"ビッグ・ワン"
逃げ切ったジョニー・ソーターが今季3勝目。
"トヨタ タンドラ"1-2フィニッシュ

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ファイナルラップの最終コーナー立ち上がりで"ビッグ・ワン"発生。
逃げ切ったジョニー・ソーター(#98)が今季3勝目を挙げた

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第18戦「fred's 250」が10月19日(土)にタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。
 全22戦で争われる同シリーズも残り5戦。シリーズタイトル争いでは、"トヨタ タンドラ"を駆るマット・クラフトンが2位に40ポイント以上の差をつけ、ランキング首位につけている。
 NASCAR最長の超高速オーバル、タラデガでは、同シリーズ戦は2006年より開催されているが、過去7戦中"トヨタ タンドラ"が5勝を挙げている。

 18日(金)午後4時10分より予選が行われ、過去2勝を挙げているカイル・ブッシュが3番手、Ky.ブッシュのチームで走るジョーイ・コールターとダレル・ウォレス・Jr.が9,10番手につけ、12台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。

 19日(土)午後3時22分、2.66マイルオーバルを94周(250.4マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。予選後に許可されていない調整を行ったとして、ティモシー・ペターズとクリス・クックラム、クラフトンの3台は後方グリッドへと後退してスタートを切った。
 この日最初のイエローコーションから、14周目に再スタートが切られると、11位につけていたクリス・フォンテインをKy.ブッシュが押す形で一気に順位を上げ、フォンテインが首位浮上。
 20周目、クックラムの左フロントタイヤがバーストし、2度目のイエローコーションが出されると、全車ピットへ向かったが、ここでクラフトンが1周遅れでピットインするという作戦に出て、リードラップボーナスを獲得。このピット作業では、Ky.ブッシュが首位に立った。
 35周目にはコールターが首位。39周目には、今季ネイションワイド・シリーズにレギュラーで出場、昨年のトラック・シリーズタラデガ戦を制しているパーカー・クリガーマンが、チームオーナーのKy.ブッシュからのプッシュを受けて首位に立つと、ジャーマン・キロガが続き、"トヨタ タンドラ"が3台並んでの首位グループを形成した。
 50周目過ぎからグリーンピットが始まり、首位に立ったKy.ブッシュらがピットインした55周目に、他車のクラッシュによりイエローコーション。順位は大きくシャッフルされ、Ky.ブッシュが首位、ウォレス・Jr.が2位で再スタート。
 66周目、4ワイドでの激しいバトルとなった中団グループで"ビッグ・ワン"が発生。前戦ラスベガスで勝利を挙げたティモシー・ペターズ、クックラム、キロガを含む6台が絡むクラッシュでこの日4回目のイエローコーションとなった。
 80周目と88周目にも多重クラッシュが発生。好走を見せていたコールターが巻き込まれレースを終えることとなってしまった。
 92周目、残り3周での再スタートが切られると、ロス・チャスティン(フォード)をクリガーマンが押すペアと、ジョニー・ソーターとクラフトンのチームメイト同士のペアがそれぞれタンデムドラフトによるサイド・バイ・サイドで首位争いを展開。そこに後方からダコダ・アームストロング(シボレー)をプッシュするKy.ブッシュのペアが加わり、この6台が3ワイド状態でファイナルラップに突入した。
 長い時間ドラフティングの後方につけているとラジエータに空気が当たらず、オーバーヒート症状に見舞われるが、クラフトンやKy.ブッシュはこの症状でボンネット横から水蒸気を噴きながらも、チェッカーを目指しプッシュを続けた。
 ファイナルラップの最終コーナー、3つの隊列はほぼ横並びのまま立ち上がってきたが、その後方から追ってきた車両がバランスを崩し、アウト側のKy.ブッシュに接触。これが引き金となり、チェッカー目前での"ビッグ・ワン"が発生。上下逆さまになって宙を舞う車両が出るほどの大クラッシュで、Ky.ブッシュ、ウォレス・Jr.、クリガーマン、フォンテインら12台が巻き込まれた。この中には、ソーターを押していたクラフトンも含まれたが、ソーターだけはかろうじて逃げ切り、ただ一台クラッシュを避けた形でトップチェッカー。大混乱のレースで、ソーターは開幕2連勝以来となる今季3勝目を挙げた。
 大混乱の中、上手くかわしたデイビッド・スターが2位に入り、大ベテランが今季初のトップ5フィニッシュ。"トヨタ タンドラ"は1-2フィニッシュとなった。
 クラッシュには巻き込まれたもののクリガーマンが4位。タウンリーが7位。クラフトンは9位、Ky.ブッシュが10位となった。
 クラフトンは9位に終わったが、ランキングを争うライバルがクラッシュなどで下位に沈んだため、ランキング首位の座は変わらず、2位との差を57ポイントまで広げることとなった。

 次戦第19戦は10月26日(土)にマーティンズビル・スピードウェイで開催される。

ドライバー ジョニー・ソーター:
「信じられない。チームやトヨタ、TRD、その他支援してくれた全ての人に感謝する。そしてもちろん、プッシュしてくれたチームメイトのマット・クラフトンにも。我々は最高のチームワークでこの勝利を勝ち取ったと思う。不運にも彼はクラッシュに巻き込まれてしまったようだが、この勝利はチームにとっても非常に大きなものだ」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 24 98 ジョニー・ソーター トヨタ タンドラ 94
2 25 81 デイビッド・スター トヨタ タンドラ 94
3 7 19 ロス・チャスティン フォード 94
4 18 20 パーカー・クリガーマン トヨタ タンドラ 94
7 19 7 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ タンドラ 94
9 23 88 マット・クラフトン トヨタ タンドラ 94
10 3 51 カイル・ブッシュ トヨタ タンドラ 94
15 17 83 クリス・フォンテイン トヨタ タンドラ 94
17 10 54 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ タンドラ 94
27 9 18 ジョーイ・コールター トヨタ タンドラ 79
29 31 17 ティモシー・ペターズ トヨタ タンドラ 65
31 20 77 ジャーマン・キロガ トヨタ タンドラ 65
34 34 7 クリス・クックラム トヨタ タンドラ 65
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 マット・クラフトン トヨタ 680
2 タイ・ディロン シボレー 623
3 ジェイムズ・ブッシャー シボレー 622
6 ジョニー・ソーター トヨタ 588
8 ティモシー・ペターズ トヨタ 574
9 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ 566
13 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ 520
14 ジョーイ・コールター トヨタ 506
15 ジャーマン・キロガ トヨタ 489
25 デイビッド・スター トヨタ 242
29 エリック・ジョーンズ トヨタ 147
33 チャド・ハッケンブラート トヨタ 116
38 クリス・クックラム トヨタ 77
39 ブレット・モフィット トヨタ 57
41 ジミー・ウェラー3世 トヨタ 47
43 クリス・フォンテイン トヨタ 40
45 CJ.フェイソン トヨタ 39
50 トレーシー・ハインズ トヨタ 31
55 フランク・キンメル トヨタ 23
63 スコット・ブルンキスト トヨタ 19
65 グラント・ギャロウェイ トヨタ 17
69 カレブ・ローク トヨタ 16
72 タイラー・レディック トヨタ 14
74 ネイト・モンテイス トヨタ 9
76 リッキー・アーゴット トヨタ 8
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 トヨタ 130
2 シボレー 119
3 フォード 93
4 RAM 48