NASCAR SPRINT CUP SERIES
第33戦 Goody's Headache Relief Shot 500
開催日:10月27日
マット・ケンゼスが2位、クリント・ボウヤー3位。
ケンゼスはランキング同点首位で残り3戦へ
2位、3位でフィニッシュしたマット・ケンゼス(#20:右)とクリント・ボウヤー(#15:左)
10月27日(日)、米国東部バージニア州マーティンズビルのマーティンズビル・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第33戦「Goody's Headache Relief Shot 500」が開催された。
シーズン終盤の10戦でタイトルが争われるプレーオフ"チェイス"も残り4戦となった。前戦タラデガで20位に終わったマット・ケンゼスがランキング2位、カイル・ブッシュが3位、クリント・ボウヤーが8位につけている。
NASCARのシリーズでは最短の1周0.526マイル(約850m)ショートオーバルであるマーティンズビルは、その形状からペーパークリップの愛称をもつ。ここでは地元バージニア州出身のデニー・ハムリンが過去4勝を挙げているが、ケンゼスとタイトル首位を争っているジミー・ジョンソン(シボレー)も過去7勝と得意としており、終盤戦に向けての"チェイス"争いはますます激しさを増すことが予想された。
25日(金)午後3時40分より予選が行われ、地元ハムリンがコースレコードを更新する速さで今季5回目となるポールポジションを獲得。Ky.ブッシュが3番手、ケンゼスが4番手、ボウヤー5番手とトヨタ勢が好調さを見せ、11台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
27日(日)午後1時47分、0.526マイルショートオーバルを500周(263マイル:約420km)して競われる決勝レースがスタート。
スタートではポールポジションのハムリンが首位を守ったが、2周目に後続にインからパスされ後退。かわしていったKy.ブッシュとケンゼスが首位を追う展開となった。
24周目にはKy.ブッシュが首位浮上、これを36周目にかわしたケンゼスは、70周以上にわたって首位を快走した。
狭く、タイトなコースでのバトルで、周回遅れも続出。接触からのスピンが多発する中、ケンゼス、Ky.ブッシュ、ボウヤー、ハムリンの4台は順位を入れ替えながらも上位争いを繰り広げた。
182周目、多重クラッシュでこの日5回目のイエローコーション。このクラッシュでは、直前のコーションでピットインし、中団へと順位を下げていたハムリンが巻き込まれてしまった。しかし、ハムリンは車両を修復し、首位と同一周回を維持してレースへと復帰。
一時は20位以下まで順位を落としたハムリンだったが、204周目のイエローコーションでコース上に残り、トップ10圏内へと復帰すると、再び上位争いに加わった。
中盤戦は、ライバルと異なるピット戦略を取ったケンゼスが古いタイヤでの走行を強いられ順位を落とす一方で、ボウヤーとハムリンが首位を争った。
この間に、後方から徐々に順位を上げていったケンゼスは、362周目にボウヤーに次ぐ2位まで順位を上げると、365周目、この日15度目のイエローコーションでハムリンに続く2位でピットアウト。シーズン終盤戦、55号車をドライブすることになったネイションワイド・シリーズレギュラーのエリオット・サドラーがこのコーションでピットに入らずコース上に残ったことで、サドラーに続き、ハムリン、ケンゼス、ボウヤーと4台の"トヨタ カムリ"が上位を占めて再スタート。この再スタートで一気にケンゼスが首位に立った。
416周目、シーズン最多を更新する、この日17度目のイエローコーションが出され、全車この日最後となるであろうピットへ。ここでもケンゼスが首位を守り、ボウヤー4位、ハムリン5位、Ky.ブッシュが11位で再スタート。
ケンゼスはこの後半戦、100周以上に渡って首位をキープ。前半戦123周にわたって首位を走ったジョンソンをリードラップ数で逆転し、貴重なリードラップボーナスを確定した。
終盤戦は、追い上げてきたジェフ・ゴードン(シボレー)とケンゼスの一騎打ちとなり、残り30周を切ると、周回遅れをかいくぐりながら、2台はテール・トゥ・ノーズ、サイド・バイ・サイドでのバトルに。
首位を死守したかったケンゼスだったが、残り20周で惜しくもゴードンの先行を許し、2位へ後退。その後は3位のボウヤーと共に、ゴードンを追った。
周回遅れに阻まれ、首位ゴードンの追撃に苦しむケンゼスに、ボウヤーが追い着き、ファイナルラップには、ケンゼスとボウヤーがサイド・バイ・サイドでの2位争いとなったが、僅差でケンゼスが2位、ボウヤーが3位でチェッカー。ケンゼスは500周中202周にわたって首位を走り、最多リードラップボーナスも獲得。これにより、5位でフィニッシュしたジョンソンとのタイトル争いは、全くの同点で残り3戦に臨むこととなった。
ハムリンが7位、Ky.ブッシュは終盤ハンドリング不調に見舞われ、15位でフィニッシュ。この結果、ランキングではKy.ブッシュは首位と36ポイント差の5位に後退。3位フィニッシュのボウヤーが55ポイント差の6位へと浮上した。
次戦第34戦は11月3日(日)、米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで行われる。シリーズ終盤の3戦は、NASCARトップ3カテゴリーが揃っての3週連続開催となる。
ドライバー マット・ケンゼス:
「チームが良い車両を仕上げてくれて、良いポジションに戻してくれたのに、首位を守りきれなかったというのは確かに残念だし、その点について弁解の余地はない。しかし、ジェフ(ゴードン)はここマーティンズビルで強く、経験も豊富で、今日の彼は本当に速かった。全体的に見れば、ランキング首位に再び立つことが出来たし、満足行くレースだった。残り3戦は更に厳しい戦いになるだろう。しかし、これまでも終盤戦では様々な事が起こってきた。これからどうなるかは誰にもわからない」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 9 | 24 | ジェフ・ゴードン | シボレー | 500 | ||
2 | 4 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 500 | ||
3 | 5 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | 500 | ||
7 | 1 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 500 | ||
15 | 3 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 500 | ||
16 | 15 | 56 | マーティン・トゥルークス・Jr. | トヨタ カムリ | 500 | ||
24 | 32 | 93 | トラヴィス・クヴァピル | トヨタ カムリ | 499 | ||
25 | 35 | 55 | エリオット・サドラー | トヨタ カムリ | 499 | ||
32 | 34 | 47 | ボビー・ラボンテ | トヨタ カムリ | 494 | ||
33 | 40 | 87 | ジョー・ネメチェク | トヨタ カムリ | 493 | ||
35 | 30 | 30 | コール・ウィット | トヨタ カムリ | 459 | ||
37 | 43 | 83 | デイビッド・ロイティマン | トヨタ カムリ | 451 | ||
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NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第19戦 Kroger 200
開催日:10月26日
ダレル・ウォレス・Jr.が歴史的な初勝利!
キャリア初勝利を挙げたダレル・ウォレス・Jr.
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第19戦「Kroger 200」が10月26日(土)にマーティンズビル・スピードウェイで開催された。
今大会、地元バージニア州出身のカップ・シリーズドライバー、デニー・ハムリンがカイル・ブッシュ・モータースポーツから"トヨタ タンドラ"で出場。ハムリンは毎年1,2戦のみトラック・シリーズ戦に出場しているが、2011年、2012年の秋のマーティンズビル戦で2連勝を飾っており、3年連続勝利を目指しての参戦となった。
年間2回シリーズ戦が開催されるマーティンズビルだが、春の第2戦では、ジョニー・ソーターが勝利。現在ランキング首位のマット・クラフトンが2位で続き、"トヨタ タンドラ"が1-2フィニッシュを飾っている。
25日(金)、午後5時から予選開始。1年ぶりのトラック・シリーズ戦となるハムリンが、自身シリーズ初となるポールポジションを獲得。ハムリンは直前に行われたカップ・シリーズの予選でもポールポジションを獲得しており、今週末のマーティンズビル両レースをトップからスタートすることとなった。ソーターが2番手、ダレル・ウォレス・Jr.が3番手で続き"トヨタ タンドラ"が予選トップ3を独占。ジャーマン・キロガが6番手、ティモシー・ペターズが10番手で続き、10台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。
26日(土)午後1時47分、0.526マイルショートオーバルを200周(105.2マイル:約170km)して競われる決勝レースがスタート。
スタートしてすぐにソーターが首位に立つが、10周目にはウォレス・Jr.がこれをかわして首位浮上。41周目には再びハムリンが首位を奪取し、前半戦は3台の"トヨタ タンドラ"が4位以下を大きく引き離しての首位争いを展開した。
69周目にこの日最初のイエローコーション。この時点で首位と同一周回は19台、4位以下と首位の差は7秒近くに広がっていたが、マージンは帳消しに。全車がピットへ向かってのピット作業争いでは、ハムリンが首位をキープ。ウォレス・Jr.は3位、ソーターは5位へとポジションを落としたが、再スタート後は再びウォレス・Jr.とソーターが順位を上げ、ハムリンと共にトップ3を形成した。
しかし、この日3度目のイエローコーションからの再スタートが切られた98周目、再スタート直後の混乱の中でソーターは他車と接触し車両左前部を破損。この破片により再びイエローコーションが出され、ソーターは修復のためにピットインを余儀なくされてしまった。
レースを折り返しての、このイエローコーションからの再スタートでは、首位のハムリンが大きく出遅れ、10位へとポジションダウン。ウォレス・Jr.がこの日2度目の首位に立った。しかし、ウォレス・Jr.は後続からの猛追を防ぎきれず、121周目に2位へと後退。
その後、イエローコーションによるピットで順位は入れ替わったものの、ウォレス・Jr.が2位、ハムリンが5位、クラフトン6位で迎えた144周目、激しいポジション争いの中でクラフトンとハムリンが接触。ハムリンはスピンを喫し、イエローコーションに。ピットインを強いられたハムリンは、首位と同一周回最後尾の21位へと大きく順位を落としてしまった。
151周目に再スタートが切られると、ウォレス・Jr.が首位を奪還。その後2回にわたる他車のスピンによるイエローコーションからの再スタートでも首位を守った。
187周目、ウォレス・Jr.が首位を逃げる後方で2位を争っていた2台が接触し、共にスピン。このすぐ後にいたクラフトンは避けきれず、車両前部にダメージを負ってしまった。
残り6周で再スタートが切られると、ウォレス・Jr.は好ダッシュで後続を引き離し、そのままトップでチェッカー。今季初めてトラック・シリーズに参戦した20歳のアフリカ系アメリカ人ルーキーが、19戦目にして初勝利を挙げた。
NASCARのトップシリーズでアフリカ系アメリカ人が勝利を挙げたのは、50年前のカップ・シリーズでのウェンデル・スコット以来であり、トラック・シリーズでは初。ウォレス・Jr.は歴史的な勝利をNASCARに刻むこととなった。
終盤の混乱の中でジャンプアップを果たしたハムリンが6位、キロガが7位。ソーターが8位。クラフトンは車両を修復してレースに復帰し、首位と同一周回の17位でチェッカーを受けた。クラフトンはランキング争いで若干差を詰められたものの、51ポイントの差をつけており、残り3戦でのタイトル獲得へと挑む。
次戦第20戦は11月1日(金)にテキサス・モーター・スピードウェイで開催される。
ドライバー ダレル・ウォレス・Jr.:
「感無量だ。ついに願いが叶った。下位カテゴリーで勝って以来、1年以上も勝利から離れていたので、勝ち方も、勝った時の気分も忘れていた。ファイナルラップの最終コーナーを立ち上がった時、後続との差は十分だと分かっていたが、チェッカーを受けるまで神に祈った。涙でスロットルが十分に踏めていたかわからなかった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 3 | 54 | ダレル・ウォレス・Jr. | トヨタ タンドラ | 200 | ||
2 | 15 | 62 | ブレンダン・ゴーアン | シボレー | 200 | ||
3 | 9 | 4 | ジェブ・バートン | シボレー | 200 | ||
6 | 1 | 51 | デニー・ハムリン | トヨタ タンドラ | 200 | ||
7 | 6 | 77 | ジャーマン・キロガ | トヨタ タンドラ | 200 | ||
8 | 2 | 98 | ジョニー・ソーター | トヨタ タンドラ | 200 | ||
12 | 22 | 18 | ジョーイ・コールター | トヨタ タンドラ | 200 | ||
13 | 17 | 7 | ジョン・ウェス・タウンリー | トヨタ タンドラ | 200 | ||
16 | 30 | 22 | ジョン・ハンター・ネメチェク | トヨタ タンドラ | 200 | ||
17 | 13 | 88 | マット・クラフトン | トヨタ タンドラ | 200 | ||
26 | 10 | 17 | ティモシー・ペターズ | トヨタ タンドラ | 195 | ||
36 | 34 | 7 | ジミー・ウェラー3世 | トヨタ タンドラ | 6 | ||
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