2014年4月 8日(火)配信

NASCARテキサス戦でカイル・ブッシュが両レーストップ3

NASCARはテキサス・モーター・スピードウェイでスプリント・カップ・シリーズとネイションワイド・シリーズが開催。雨で決勝が月曜日に順延されて行われたカップ・シリーズは、トヨタ勢が上位を争ったがカイル・ブッシュが3位。ネイションワイド・シリーズでも、ほぼ最後尾スタートから追い上げ、最後まで首位を争ったKy.ブッシュが2位でフィニッシュ。"トヨタ カムリ"は両レースで4台がトップ10フィニッシュを果たした。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第7戦 Duck Commander 500

開催日:4月7日

"トヨタ カムリ"は上位を争い4台がトップ10フィニッシュ
カイル・ブッシュが最上位の3位

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トヨタ勢最上位の3位フィニッシュを果たしたカイル・ブッシュ(#18)

 4月7日(月)、米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第7戦「Duck Commander 500」が開催された。
 テキサスでは年に2回カップ・シリーズ戦が開催されているが、2010年は両レース共にデニー・ハムリンが勝利。昨年の春大会では、カイル・ブッシュがネイションワイド・シリーズとの両方を制する週末スイープを成し遂げている。

 この週末はネイションワイド・シリーズとの併催だが、通常とは若干異なるスケジュールとなり、カップ・シリーズは4日(金)、5日(土)にかけて練習走行を行った後、土曜日の午後2時10分から予選が開始。
 1.5マイルオーバルのテキサスなので、3セグメントに分けての予選となり、最後のQ3へ唯一進出したハムリンが6番手。ブライアン・ヴィッカーズが23番手、クリント・ボウヤー25番手、マット・ケンゼス26番手、Ky.ブッシュが29番手につけ、8台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 決勝レースが予定されていた6日(日)は雷雨に見舞われた。雨が小康状態となったタイミングで"トヨタ タンドラ"が搭載・牽引する新型コース乾燥システム"エア・タイタン2"でコース乾燥を行ったが、その後再び雨が強くなり、午後6時過ぎ、決勝レースは翌日月曜日の正午に延期されることが決定された。

 7日(月)は曇天。まだコース上に若干濡れた場所が残り、コース一部にジェットドライヤーカーが残ったまま、低温のコースを完全に乾燥させ、路面温度を上げるために、最初の10周はイエローコーションのまま周回と決定。午後12時11分、1.5マイルオーバルを334周(501マイル:約800km)で競われる決勝レースのグリーンフラッグが、イエローフラッグと共に振られた。
 ジェットドライヤーカーの強烈な風圧で、本来スピン時に開閉するフラップが空いてしまう車両が発生するなどのアクシデントもあったが、再び車列を整え、10周目終了時にセーフティカーが去り、本格戦がスタート。
 序盤こそトップ10圏内にはハムリンのみがつけている状況だったが、100周を前にこの日最初のグリーンピットが始まると、素早いピット作業にも助けられ、後方スタートから徐々に追い上げを図っていたトヨタ勢は大きくポジションアップ。ハムリンが2位、Ky.ブッシュが4位、ボウヤーもトップ10圏内へ。
 一方、太陽が顔を出し、コンディションが変化していく中でケンゼスはハンドリングに苦しみ、順位を落としてしまった。
 ハムリンは123周目に首位を奪取。しかし、140周目前後にこの日2回目となるグリーンピットが開始されると、ハムリンはピットレーンで僅か0.03マイル時(約0.05km/h)のスピードオーバーを取られ痛恨のペナルティ。周回遅れになるのは逃れたものの、16位まで後退してしまった。
 代わってKy.ブッシュが首位浮上。Ky.ブッシュは153周目に2位に後退したものの、その後も首位を追った。
 Ky.ブッシュが首位を争う後方では、ボウヤーもトップ5をキープ。ハンドリングに苦しむケンゼス、ペナルティで遅れたハムリンもトップ10圏内へと復帰。ヴィッカーズもトップ10を狙える位置まで浮上し、長いグリーンランでトップと同一周回が15台以下と少なくなっていく中で、5台の"トヨタ カムリ"が上位争いを続けた。
 254周目、この日6度目となるイエローコーションで全車ピットへ向かうと、5位をキープしていたボウヤーが、ホイールナットの締め忘れで再度ピットイン。首位と同一周回最後尾の16位へと無念の後退。
 フル給油で最後まで走り切れる残り40周ほどになると、各車グリーン下でのピットを開始。全車がピットを終えた時点でKy.ブッシュは首位と4秒差の4位、ケンゼスが7位、ヴィッカーズが9位、ハムリンが10位。Ky.ブッシュは激しく前走車を攻め、サイド・バイ・サイドのバトルの末に323周目、3位へと浮上した。
 そのままグリーンが続いて終わるかと思われたが、残り3周でクラッシュ車両が発生しイエローコーション。レースは6周延長され、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることとなった。
 ここで全車、最後の逆転を目指しピットへ。大半の車両がタイヤを4本交換したのに対し、ヴィッカーズは2本交換作戦を採り、2位に浮上。その後方に4本交換のKy.ブッシュが4位で続き、アウト側に2台の"トヨタ カムリ"が連なって最後の2周に臨んだ。
 再スタートではヴィッカーズが若干出遅れ、これを避けようとアウトに逃げたKy.ブッシュも後退。しかし、Ky.ブッシュはファイナルラップに3ワイドのバトルの末に3位に浮上。更に前の2台を追ったが届かず、3位でチェッカー。ヴィッカーズが4位、ケンゼスが7位、ボウヤーが8位に入り、"トヨタ カムリ"は4台がトップ10フィニッシュを果たした。
 今大会も新たなウィナーが誕生し、今季は2003年以来となる、開幕からの7戦で7人の異なるウィナーが生まれるという混戦となっている。

 次戦第8戦は4月12日(土)、米国南東部サウスカロライナ州ダーリントンのダーリントン・レースウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「我々の"トヨタ カムリ"は好調だった。レースをリードすることも出来た。しかし、ジェフ(ゴードン:シボレー)は中盤、明らかに我々よりも速かった。終盤は何とか同レベルに追いつけたかと感じたが、ペンスキー(フォード)の2台はそれ以上だった。しかし、面白いレースだったと思う。クルーには感謝している。グリーン・ホワイト・チェッカーではチャンスがあると思い、全力でアタックしたが、アンダーステア症状が発生してしまった。幸運にも3位でフィニッシュ出来た。最後のコーション前のポジションを考えれば、3位はまずまずの結果だろう」

ドライバー ブライアン・ヴィッカーズ:
「最後はクルーチーフの判断が素晴らしかった。ピットクルーは今日ずっと最高の仕事をしてくれたが、最後のピットストップでも助けてくれた。チームを誇りに思う。とても勝利を争える状態ではなかったが、クルーの努力でトップ5フィニッシュを果たせた。我々は今日の結果から多くを学び、次戦以降も、最後にペストな結果を得られるよう努力を続けていく」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 10 22 ジョーイ・ロガーノ フォード 340
2 12 24 ジェフ・ゴードン シボレー 340
3 29 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 340
4 23 55 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 340
7 26 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 340
8 25 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 340
13 6 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 340
31 42 26 コール・ウィット トヨタ カムリ 335
32 30 23 アレックス・ボウマン トヨタ カムリ 335
40 36 30 パーカー・クリガーマン トヨタ カムリ 313
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ジェフ・ゴードン シボレー 259
2 マット・ケンゼス トヨタ 255
3 カール・エドワーズ フォード 247
5 カイル・ブッシュ トヨタ 231
9 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 205
13 デニー・ハムリン トヨタ 197
17 クリント・ボウヤー トヨタ 187
33 コール・ウィット トヨタ 99
35 アレックス・ボウマン トヨタ 85
38 ライアン・トゥルークス トヨタ 47
39 パーカー・クリガーマン トヨタ 40
42 ジェフ・バートン トヨタ 27
47 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 4
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 311
2 フォード 302
3 トヨタ 280

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第6戦 O'Reilly Auto Parts 300

開催日:4月4日

カイル・ブッシュが2位に入り6戦連続トップ4フィニッシュ

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2位フィニッシュを果たしたカイル・ブッシュ(#54)

 4月4日(金)にNASCARネイションワイド・シリーズの第6戦「O'Reilly Auto Parts 300」がテキサス・モーター・スピードウェイで開催された。
 テキサスでの同シリーズ戦では年2回開催されるが、"トヨタ カムリ"はカイル・ブッシュが過去に6勝を挙げている。

 3日(木)に2回の練習走行が行われたが、2回目のセッションは雷雨のために短縮終了。4日(金)決勝を前に午後3時10分より予選開始。マット・ケンゼスが最前列2番手、エリオット・サドラーが5番手につけ、9台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
 最初の練習走行で2番手タイムをマークするなど好調だったKy.ブッシュだが、予選前の車検でセッティングが規定外と判断され、予選に出走出来ず。オーナーズポイントによって36番手グリッドとなった。

 予選に続き、午後8時47分に、ネイションワイド・シリーズでは今季初となるナイトレースとして、1.5マイルオーバルを200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタートした。
 最前列2番手のケンゼスは5位へと後退。これをかわした5番手スタートのサドラーが3位へとポジションアップ。一方、ほぼ最後尾からスタートを切ることとなったKy.ブッシュは、序盤から信じられないほどの速さでポジションを上げていき、僅か10周でトップ10圏内まで浮上した。
 勢いに乗るKy.ブッシュは、チームメイトのサドラー、ケンゼスもパスし、30周目には2位へ。カップ・シリーズのレギュラードライバーと、激しい首位争いを展開した。
 サイド・バイ・サイドでのバトルの末に、Ky.ブッシュは88周目ついに首位を奪取。レース折り返しとなる100周目にはグリーンピットで一旦ポジションを落としたものの、全車がピットを終えた109周目、再び首位に返り咲いた。
 130周目過ぎまでは首位を守っていたKy.ブッシュだったが、夜が更けていき、コースコンディションが変化していく中で、ロングランでのハンドリング不調に見舞われポジションダウン。一時は5位まで後退。
 170周目、この日5度目のイエローコーションが出され、Ky.ブッシュはピットで最後の調整。5番手で再スタートを切ると再び順位を取り戻していき、2位に浮上。首位を逃げるルーキーのチェイス・エリオット(シボレー)を追った。
 しかし追い上げは届かず、2位でチェッカー。2年連続勝利はならなかった。レースを通してトップ10圏内を維持したケンゼスが6位、シリーズレギュラーのサドラーが10位に入った。
 シリーズ6戦を終えた時点で、Ky.ブッシュは全戦でトップ4フィニッシュを続けており、彼のドライブしている54号車はオーナーズランキングで2位に14ポイント差のトップに付けている。

 次戦第7戦は4月11日(金)、ダーリントン・レースウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「ロングランでポジションを維持できなかった。終盤はオーバーステア症状が強くなり、解消すべく調整を試みたが、満足いくレベルに仕上がらなかった。今夜はチェイス・エリオット(シボレー)に完敗だ。彼らに祝福を送りたい。彼の走りには本当に驚かされた。私は彼自身も、クルーチーフも、父親(元NASCARカップ・チャンピオンのビル・エリオット)も良く知っている。彼とはローカルレースでも戦ったことがあるが、必ず良いドライバーになるだろう。最後まで彼とのバトルは楽しかったが、我々がわずかに及ばなかった」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 6 9 チェイス・エリオット シボレー 200
2 36 54 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 200
3 37 42 カイル・ラーソン シボレー 200
6 2 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 200
10 5 11 エリオット・サドラー トヨタ カムリ 200
13 11 99 ジェイムズ・ブッシャー トヨタ カムリ 200
15 12 44 デイビッド・スター トヨタ カムリ 199
24 29 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 194
32 15 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 119
37 32 13 マイク・ウォレス トヨタ カムリ 23
40 40 10 ブレイク・コッホ トヨタ カムリ 2
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 チェイス・エリオット シボレー 224
2 リーガン・スミス シボレー 222
3 タイ・ディロン シボレー 214
4 エリオット・サドラー トヨタ 208
9 ジェイムズ・ブッシャー トヨタ 176
12 マイク・ブリス トヨタ 137
17 エリック・マクルーア トヨタ 103
22 デイビッド・スター トヨタ 69
23 ブレイク・コッホ トヨタ 64
30 ウィル・キンメル3世 トヨタ 33
32 ルーベン・ガルシア・メテオス トヨタ 30
36 ジェイソン・ホワイト トヨタ 25
38 スコット・レガセイ・Jr. トヨタ 18
39 ライアン・エリス トヨタ 16
43 ケリー・アドミラール トヨタ 9
45 ジェフ・グリーン トヨタ 8
46 ハリソン・ローズ トヨタ 5
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 269
2 トヨタ 266
3 フォード 251
4 ダッジ 151