カップ戦でデニー・ハムリンが4位。トラックは開幕6連勝
スプリント・カップ・シリーズはポコノで開催され、同コースを得意とするデニー・ハムリンが4位フィニッシュ。テキサスで行われたキャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは、マット・クラフトンが今季2勝目を挙げ、"トヨタ タンドラ"は開幕6連勝を飾った。
NASCAR SPRINT CUP SERIES
第14戦 Pocono 400
開催日:6月8日
デニー・ハムリンが4位フィニッシュ
4位フィニッシュを果たしたデニー・ハムリン(#11)
6月8日(日)、米国東部ペンシルバニア州ロングポンドのポコノ・レースウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第14戦「Pocono 400」が開催された。
ポコノはNASCARの行われるオーバルでは珍しく、3本のストレートを3つとも異なる曲率のコーナーで繋いだ3角形をしており、比較的低いバンク角と相まって「トリッキー・トライアングル」と呼ばれる。このコースはデニー・ハムリンが比較的得意としており、過去4勝(トヨタで2勝)を挙げている。
シーズン終盤の10戦でタイトルを争うプレーオフ"チェイス"へ向けての26戦の戦いも、折り返しを過ぎ、後半戦に入った。トヨタ勢では、1勝を挙げているカイル・ブッシュとハムリンがそれぞれ1勝ずつを挙げており、"チェイス"入りは有望。マット・ケンゼス、ブライアン・ヴィッカーズも未勝利ながら獲得ポイントで"チェイス"圏内にいるほか、クリント・ボウヤーもあと一つで"チェイス"圏内という位置につけている。ケンゼス、ヴィッカーズ、ボウヤーは"チェイス"入りを確実にするための勝利が期待された。
6日(金)正午からの練習走行の後、午後4時10分から予選が行われ、ハムリンが今季2度目となるポールポジションを獲得。Ky.ブッシュが6番手、ヴィッカーズが9番手につけ、9台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
8日(日)午後1時20分、2.5マイルトライアングルオーバルを160周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
ポールポジションのハムリンは1周目に4位まで後退を余儀なくされたがトップ5はキープ。序盤はイエローコーションが出ないまま、25周を過ぎたあたりからグリーンピットが始まった。
全車がグリーンピットを終えた直後の32周目にこの日最初のイエローコーション。ハムリン5位、Ky.ブッシュ8位、ヴィッカーズ10位、19番手スタートからポジションを上げてきたボウヤーが11位で再スタート。
26番手スタートから20位まで順位を上げていたケンゼスは、第1ターン進入時に先行車に軽く追突し、フロントグリル付近に大きな穴が空くというアクシデント。しかしイエローコーションは出ず、長いストレートを持つポコノでの車両前部破損による空力的な影響は大きく、ケンゼスは徐々にポジションを落としていくこととなった。
また、Ky.ブッシュもこの再スタート後にハンドリングの不調に見舞われポジションダウン。
57周目あたりから再びグリーンピットが始まり、ケンゼスは修復のためにピットイン。Ky.ブッシュもピットへ向かい、この2台が周回遅れとなった60周目にコース上の異物でこの日2度目のイエローコーション。Ky.ブッシュは幸運にも"ラッキー・ドッグ"を獲得し首位と同一周回に復帰した。
グリーンピットを最後まで引っ張り、首位に浮上していたハムリンはこのコーションでピットへ向かい、グリーンピットしていたボウヤー、ヴィッカーズらはコース上に残ったため順位が入れ替わり、ボウヤーが8位、ヴィッカーズが10位、ハムリン14位、Ky.ブッシュ27位で再スタート。
72周目に3度目のイエローコーションが出されると、上位4台がコース上に残るピット作戦に。レースが折り返しとなった80周目にもイエローコーションが出され、ここでもコース上に残る車両とピットに向かう車両が分かれた。このコーションではピットのたびに修復を続けていたケンゼスが"ラッキー・ドッグ"を獲得した。
96周目、先の2回のコーションでピットに入らなかった上位勢がグリーンピットを開始し、ハムリンが首位に浮上。ハムリンも翌周グリーンピットを行った。
残り周回を見据えての各チームそれぞれの給油戦略を取ったが、結局全車がグリーンピットを行うこととなり、順位が元に戻った118周目、この日5度目のイエローコーション。しかし、ここで給油しても最後まで走りきることは出来ない残り周回。Ky.ブッシュはピットへ向かったが、多くの車両はコース上に残り、ハムリンが3位、ボウヤー8位、ヴィッカーズ10位、ケンゼス15位、Ky.ブッシュは22位で再スタート。
残り30周が近づくと、各車最後の給油のためにグリーン下でピットへ。138周目にクラッシュ車両によりイエローコーションが出されたが上位勢はピットへ向かわず、再スタートが切られた直後の143周目、素晴らしい追い上げでトップ10圏内を伺っていたKy.ブッシュが壁にヒットし、その後方では多重クラッシュが発生。Ky.ブッシュのダメージは大きくなかったものの、確認・修復のためにピットインを余儀なくされ、29位まで後退。
ハムリン5位、ボウヤー6位、ピット戦略により後退したヴィッカーズは21位、ケンゼス27位、Ky.ブッシュ29位で、残り12周で再スタート。ハムリンはスタートダッシュで4位に浮上。後続を抑えながら先行するライバルを追った。一方、Ky.ブッシュが再び後方から目覚ましい追い上げを開始。周回ごとにみるみる順位を上げていった。
ハムリンは4位を守ってチェッカー。再スタート後やや順位を落としたボウヤーは11位。Ky.ブッシュは終盤の12周で17台をパスする走りを見せ、12位フィニッシュ。ヴィッカーズは19位、ケンゼスは25位に終わった。
次戦第15戦は6月15日(日)、米国北東部ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われる。
ドライバー デニー・ハムリン:
「周回遅れによる空力の乱れが影響するため、誰にとってもチャレンジングなレースだった。我々には素晴らしい戦略とピットストップがあり、クルーチーフやチームクルーは良い仕事をしてくれた。2戦連続でのトップ5フィニッシュは悪くない結果だ。レース自体は大きな波乱もなく、後続を抑えながら前との差を詰めていくしかなかったので、タフなレースだった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 8 | 88 | デイル・アーンハート・Jr. | シボレー | 160 | ||
2 | 3 | 2 | ブラッド・ケゼロウスキー | フォード | 160 | ||
3 | 2 | 41 | カート・ブッシュ | シボレー | 160 | ||
4 | 1 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 160 | ||
11 | 19 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | 160 | ||
12 | 6 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 160 | ||
19 | 9 | 55 | ブライアン・ヴィッカーズ | トヨタ カムリ | 160 | ||
25 | 26 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 160 | ||
30 | 40 | 26 | コール・ウィット | トヨタ カムリ | 159 | ||
31 | 34 | 23 | アレックス・ボウマン | トヨタ カムリ | 159 | ||
32 | 41 | 83 | ライアン・トゥルークス | トヨタ カムリ | 159 | ||
36 | 39 | 66 | ティミー・ヒル | トヨタ カムリ | 158 | ||
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NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第6戦 WinStar World Casino & Resort 400
開催日:6月6日
マット・クラフトンが今季2勝目 "トヨタ タンドラ"開幕6連勝
今季2勝目を挙げたマット・クラフトン(#88)
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第6戦「WinStar World Casino & Resort 400」が6月6日(金)に米国南部テキサス州フォートワースのテキサス・モーター・スピードウェイで開催された。
3カテゴリー同週開催だったドーバーから一転、この週末はカップ・シリーズがポコノ、トラック・シリーズはテキサスと離れた地での開催。トラック・シリーズのレギュラーによる戦いとなった。
年に2戦開催されるテキサスでは、トヨタは2004年の参戦以来11勝。2012年はジョニー・ソーターが2レース共に制している。
5日(木)2回の練習走行を経て、6日(金)決勝を前に午後4時10分から予選開始。マット・クラフトンが最前列2番手。ソーターが4番手、18歳になったばかりのルーキー、エリック・ジョーンズが5番手、6番手のベテラン、ジョー・ネメチェクの後方に、ダレル・ウォレス・Jr.、ジャーマン・キロガ・Jr.、ジョン・ウェス・タウンリーと若手が続き、10台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。
予選に続き、午後8時20分に1.5マイルオーバルを167周(250.5マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。
最前列2番手のクラフトンは、1周目からサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げ首位を奪取。一方今大会を1ポイント差ながらランキング首位で迎え、15番手からスタートを切ったティモシー・ペターズは、7周目に右リアタイヤのパンクに見舞われ、イエローコーションが出なかったためグリーン下でピットイン。2周遅れとなってしまった。
2度のイエローコーションを経た54周目、13位走行中のキロガ・Jr.のエンジンがブロー。これによりまかれたオイルに乗ったペターズが壁にクラッシュ。チームメイト同士の2台が一気に戦線を去ることとなってしまった。
このコーション時のピット作業でクラフトンは8位に後退したが、再スタート後すぐに追い上げ、93周目に首位に返り咲いた。
104周目、コース上の異物によりこの日4度目のイエローコーション。全車ピットへ向かったが、最後まで走りきるのは難しい残り周回、57周を残して110周目に再スタートとなった。
再スタートでこそ先行を許したクラフトンだが、すぐに首位を奪還すると、後続との差をどんどん広げていった。後方では、ジョーンズ、ウォレス・Jr.、ソーターらがトップ5圏内でのバトルを展開。
終盤はイエローコーションが出ず、レースが残り10周ほどになると、各車最後の給油のためにグリーン下でピットイン。しかし、一時は2位に4秒以上の差をつけ首位を快走するクラフトンは、ペースを抑え、無給油で最後まで走りきると言う作戦に出た。
クラフトンの燃料が最後まで持つかどうかに注目が集まったが、クラフトンは最後まで走りきり、トップでチェッカー。最後は1周1.5マイルのテキサスでは驚異的な61周を無給油で走りきり、2位に13.302秒という、シリーズ記録を10年ぶりに更新する大差をつけての今季2勝目を挙げた。
トラック・シリーズでフル参戦14年目となるクラフトンだが、テキサスでの勝利は初。シリーズ通算5勝目、自身初となるシーズン2勝目を挙げ、ランキングは首位に復帰した。
ネメチェクが3位。50歳のネメチェクは、11年前にネイションワイド・シリーズ(当時はブッシュ・グランドナショナル・シリーズ)でテキサスでの勝利を飾っているが、トラック・シリーズでは今回が初レース。今季ネメチェクは、16歳の息子、ジョン・ハンター・ネメチェクと今季は車両をシェアし、プライベーターとして参戦している。前戦ドーバーにおける息子の6位フィニッシュに続く2戦連続の好成績となった。
タウンリーが5位、ソーターが7位、ウォレス・Jr.が10位で5台の"トヨタ タンドラ"がトップ10フィニッシュ。18歳のジョーンズ、21歳のジェブ・バートンが11位、12位で続いた。
次戦第7戦は6月14日(土)に米国中部イリノイ州マディソンのゲートウェイ・インターナショナル・レースウェイで開催される。
ドライバー マット・クラフトン:
「私は『最後まで燃料は持つのか』と無線で訪ねた。ピットの答えは『イエス』だった。最後の5周が勝負だったが、その時には既に大きなリードを保っており、ペースを抑えて走れた。ドライバーにとっては非常に困難なミッションだったが、我々の"トヨタ タンドラ"は圧倒的に速かったので成し遂げることが出来た。信じられない勝利だ。新しいエンジンパッケージも素晴らしく、彼らやチームと共に戦ってこれたことは幸運だ。テキサスのヴィクトリーレーンに立つことが出来、本当に嬉しい」
リザルト
決勝結果 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 2 | 88 | マット・クラフトン | トヨタ タンドラ | 167 | ||
2 | 1 | 20 | ジャスティン・ロフトン | シボレー | 167 | ||
3 | 6 | 8 | ジョー・ネメチェク | トヨタ タンドラ | 167 | ||
5 | 9 | 5 | ジョン・ウェス・タウンリー | トヨタ タンドラ | 167 | ||
7 | 4 | 98 | ジョニー・ソーター | トヨタ タンドラ | 167 | ||
10 | 7 | 54 | ダレル・ウォレス・Jr. | トヨタ タンドラ | 166 | ||
11 | 5 | 51 | エリック・ジョーンズ | トヨタ タンドラ | 166 | ||
12 | 11 | 13 | ジェブ・バートン | トヨタ タンドラ | 166 | ||
19 | 20 | 35 | マンソン・ミングス | トヨタ タンドラ | 156 | ||
23 | 8 | 77 | ジャーマン・キロガ・Jr. | トヨタ タンドラ | 53 | ||
24 | 15 | 17 | ティモシー・ペターズ | トヨタ タンドラ | 51 | ||
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