ロードコース戦で"トヨタ カムリ"が上位を争うも10位/9位
この週末はスプリント・カップ・シリーズがカリフォルニア州ソノマ、ネイションワイド・シリーズ戦がウィスコンシン州のロードアメリカと、離れた2カ所のロードコースで開催。カップ・シリーズでは上位を争う"トヨタ カムリ"が次々に後退する中、終盤猛烈な追い上げを見せたクリント・ボウヤーが10位フィニッシュ。ネイションワイド・シリーズは珍しいウェットレースとなり、前半戦を支配したサム・ホーニッシュ・Jr.は雨に足を取られ苦戦。エリオット・サドラーが9位でフィニッシュした。
NASCAR SPRINT CUP SERIES
第16戦 Toyota/Save Mart 350
開催日:6月22日
今季初のロードコース戦でクリント・ボウヤーが10位
トップ10フィニッシュを果たしたクリント・ボウヤー(#15)
6月22日(日)、米国西部カリフォルニア州ソノマのロードコース、ソノマ・レースウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第16戦「Toyota/Save Mart 350」が開催された。
今季初のロードコースでのレース。ソノマでは、過去9年間で9人の異なる勝者が出ている。トヨタ勢では2008年にカイル・ブッシュが勝利。また、昨年、一昨年と連続でマイケル・ウォルトリップ・レーシングの"トヨタ カムリ"が勝利を挙げている。
20日(金)に2度の練習走行を行い、21日(土)午前10時40分より予選開始。ブライアン・ヴィッカーズが8番手、マット・ケンゼスが14番手、デニー・ハムリンが16番手で続き、9台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
22日(日)好天に恵まれたソノマの丘陵地帯で、午後0時22分に1周1.99マイルのロードコースを110周(218.9マイル:約350km)して競われる決勝レースがスタート。重いNASCARの車両がコーナーごとに接触しあう大迫力のバトルが繰り広げられた。
NASCARのロードコース戦は、1周にかかる時間が長く、グリーン下のピットでも周回遅れになりにくいため、様々な燃料戦略が採られる。21周目に15位走行中のヴィッカーズ、26周目に14位走行中のケンゼスと、ハンドリング不調及び序盤の接触で24位まで後退していたKy.ブッシュがグリーン下でピットイン。30周目には、他車のピットもあり5位まで浮上していたボウヤーがピットへ。
その翌周にエンジンブロー車両によりこの日初めてのイエローコーションが出された。ここでピットインしていなかったハムリンと、ヴィッカーズもピットイン。コースに残ったボウヤー9位、ケンゼス10位で再スタート。
ボウヤーがトップを上回るペースで追い上げ、レースが折り返しとなる55周目過ぎにはグリーンピットが始まったこともあり、3位に浮上。23位で再スタートを切ったヴィッカーズもトップ10圏内へと入ってきた。
他車とピットタイミングをずらしているボウヤーが2位、ヴィッカーズが5位、ハムリンが8位へとポジションを上げた61周目、33位を走行していたライアン・トゥルークスがコース上にストップし、この日2度目のイエローコーション。ボウヤー、ヴィッカーズ共にピットには入らず、2位、5位で再スタートを切ると、ヴィッカーズがジャンプアップを果たし、ボウヤーに続く3位へ。"トヨタ カムリ"同士の激しい2位争いが展開され、コーナーで押し出される形となったボウヤーが4位へ後退。
残りが40周ほどとなり、ボウヤーとハムリンが最後の給油のためにグリーン下でピットに向かった69周目、その直後にコース上の異物によりイエローコーション。ヴィッカーズ、ケンゼスはこのタイミングでピットイン。ボウヤーが2位、ハムリン5位、ヴィッカーズ10位、ケンゼス13位で再スタートが切られると、ボウヤーが好スタートを決めて首位を奪取。
しかし、その周の上りのS字コーナーで、他車とのバトルで接触したケンゼスが激しくタイヤバリアにクラッシュ。ケンゼスは無事だったがここでレースを終えることとなってしまった。
これにより出された5度目のイエローコーションから、首位で再スタートを切ったボウヤーだったが、スタートダッシュで先行を許し、3位に後退した後、第11コーナーの立ち上がりでは、後続から追突されスピン。真後ろを向いたまま止まったボウヤーの車両に他車が突っ込み、これを再スタート直後の大集団が一気にパス。ピットインも強いられたボウヤーは、30位近くまで順位を落とすこととなってしまった。
86周目、ヴィッカーズ7位、ハムリン9位で再スタート。しかし、またしても第11コーナーの立ち上がりで接触からスピンした車両が発生。そのすぐ後方にいたヴィッカーズは避けきれず、車両と壁に挟まれる形で接触。イエローコーションが出なかったため、ダメージを負った車両のままレース続行を余儀なくされ、19位へと後退。
91周目にはヴィッカーズと接触した車両がスピンし、イエローコーション。ヴィッカーズはこの間にピットへ向かい修復。
トップ10圏内につけていたハムリンも、100周目の第11コーナーで他車に接触されスピン。前半ハンドリング不調から後方に沈み、徐々に追い上げてきていたKy.ブッシュが残り10周でようやくトップ10圏内まで浮上したが、残り4周というところでスピンを喫し、大きく順位を落としてしまった。
次々にトヨタ勢が後退していく中、接触で29位まで後退しながらも、終盤見事な追い上げを見せたボウヤーがトップ10でフィニッシュ。ヴィッカーズも14位まで順位を上げてチェッカーを受けた。
次戦第17戦は6月28日(土)、米国中東部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで行われる。
ドライバー クリント・ボウヤー:
「我々の"トヨタ カムリ"は週末を通して速かった。決勝レースでも良い位置につけていたのだが、接触でタイヤのパンクに見舞われてしまった。運がなかった。今季のこれまでのレースもそうだが、終盤良いところまで上がることは出来る。それを最後まで維持出来れば結果に繋がるはずだ」
ドライバー ブライアン・ヴィッカーズ:
「我々のポテンシャルを示すことが出来ず本当に残念だ。我々の"トヨタ カムリ"は時に最速であり、アクシデントがなければトップ5には入れたはずだ。最初は恐ろしいほどのアンダーステア症状で、30位を走れれば良いレベルだったが、チームが素晴らしい仕事でトップ5のレベルに仕上げてくれた。後半は好調でトップ5まで順位を上げられたが、コーションのタイミングに恵まれなかった。私の直前で数台が接触したのを避けきれず大きなダメージを負ってしまい、ピットに向かわざるを得なかった。アクシデントからレースに復帰し、14位でフィニッシュ出来たことはチームを誇りに思う。しかしもっと良い成績が得られたはずだと思うと残念だ」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 4 | 99 | カール・エドワーズ | フォード | 110 | ||
2 | 15 | 24 | ジェフ・ゴードン | シボレー | 110 | ||
3 | 17 | 88 | デイル・アーンハート・Jr. | シボレー | 110 | ||
10 | 25 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | 110 | ||
14 | 8 | 55 | ブライアン・ヴィッカーズ | トヨタ カムリ | 110 | ||
25 | 20 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 110 | ||
26 | 16 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 110 | ||
27 | 32 | 26 | コール・ウィット | トヨタ カムリ | 110 | ||
29 | 38 | 23 | アレックス・ボウマン | トヨタ カムリ | 110 | ||
38 | 43 | 66 | トミー・ドリッシ | トヨタ カムリ | 108 | ||
41 | 34 | 83 | ライアン・トゥルークス | トヨタ カムリ | 91 | ||
42 | 14 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 74 | ||
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NASCAR NATIONWIDE SERIES
第14戦 Gardner Denver 200
開催日:6月21日
5年ぶり3回目のウェットレース
前半支配のサム・ホーニッシュ・Jr.は雨で苦戦
エリオット・サドラーが9位
ウェットレースで9位フィニッシュを果たしたエリオット・サドラー(#11)
6月21日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第14戦「Gardner Denver 200」が米国北部ウィスコンシン州エルクハートレイクのロードコース、ロードアメリカで開催された。
同じ週末、スプリント・カップ・シリーズは遠く離れたカリフォルニア州ソノマで開催されるため、掛け持ちのドライバーは2人しかおらず、シリーズレギュラーとスポット参戦、特に「ロードコース・スペシャリスト」と呼ばれるロードコースを得意とするドライバーが複数出場した。
トヨタ勢では今季4戦目のシリーズ出場となるサム・ホーニッシュ・Jr.が54号車の"トヨタ カムリ"をドライブ。今季出場した3戦共にトップ5フィニッシュと速さを見せているホーニッシュ・Jr.は、元インディカーチャンピオンであり、ロードコースも得意としている。
20日(金)に2回予定されていた練習走行は、降雨のために予定よりも開始が遅れ、1回のみのセッションとして実施。この練習走行ではホーニッシュ・Jr.がトップタイムをマークした。
21日(土)決勝を前に、午前10時40分より予選が行われ、ホーニッシュ・Jr.が2列目4番手、シリーズレギュラーのエリオット・サドラーが11番手グリッド。8台の"トヨタ カムリ"が決勝へと駒を進めた。
決勝レースのスタートが予定されていた午後2時前には雨が降り始め、スタートは順延。車両は一旦ピットロードへと戻り、1時間ほどの延期の後、午後3時5分に1周4.048マイルのロードコースを50周(202.4マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタートした。
2列目4番手グリッドのホーニッシュ・Jr.はスタートダッシュを決め2位に上がると、1周目のうちに首位に浮上。後続との差を広げていき、その差は7周目には3秒以上となった。
13周目にクラッシュ車両によりこの日最初のイエローコーション。コース上に残った車両がいたため、ピットインしたホーニッシュ・Jr.は8位へ後退したが、16周目に再スタートが切られると、すぐに2位に浮上。翌周には首位を奪い返した。
再び2位との差を3秒以上にも広げ、独走状態としたホーニッシュ・Jr.だったが、レースが折り返しとなった25周目、降雨のためにイエローコーションが出された。
通常NASCARのレースは雨が降ると走行しないが、ネイションワイド・シリーズのロードコース戦のみ、溝付きのレインタイヤ及びワイパー装備によるウェット走行が可能となっており、2008年と2009年のモントリオール戦はウェット下で戦われている。今大会もレースを半分消化したところで、主催者よりレインタイヤへの交換が指示され、5年ぶりのウェットレースが展開されることとなった。
ピット作業で3位に後退したホーニッシュ・Jr.は、再スタートですぐに首位を奪還したが、翌周コースオフを喫し、再び3位へ。
さらに雨は強さを増していき、コース上では接触やスピンが多発する荒れた後半戦となった。
残り2周でコース上に止まった車両によりイエローコーションが出され、レースは3周延長、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることに。残り10周あたりから雨は止んでおり、太陽も顔を出し始めていたため、燃料戦略と共にタイヤの選択も悩ましい最後の2周スプリントとなった。
2位につけていたホーニッシュ・Jr.はピットインし、レインタイヤへと交換。スリックタイヤに交換した車両もあり、ピットに入らないことを選択したチームと入り乱れての再スタート。19位で再スタートを切ったホーニッシュ・Jr.はファイナルラップには6位までポジションを上げたが、他車に追突され、12位でフィニッシュ。
シリーズレギュラーのサドラーが9位、マイク・ブリスが10位でチェッカーを受けた。今大会の結果、サドラーはドライバーズランキング2位の座を守っている。
次戦第15戦は6月27日(金)、ケンタッキー・スピードウェイで行われる。
ドライバー サム・ホーニッシュ・Jr.:
「我々はドライコンディションの時点でも、コーナー進入時に若干の問題を抱えており、ウェットコンディションでは更に状況が悪化した。それでも慎重にドライブを続け、コースが乾き始めてから前を行く2台との差を詰めようとした。しかし、最後のコーションでライバルにタイヤを交換されてしまうと、ポジションを守るのは難しいと判断し、我々もピットへ向かった。最後は後方から追突され、右リアタイヤにダメージを負い、6つほどポジションを失ってしまった。今回の結果は全く望んでいたものではないが、チームは本当に良い"トヨタ カムリ"を用意してくれた。この美しいコースで、その速さは見せられたと思う」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 5 | 62 | ブレンダン・ゴーアン | シボレー | 53 | ||
2 | 1 | 22 | アレックス・タグリアーニ | フォード | 53 | ||
3 | 26 | 23 | ケヴィン・オコネル | シボレー | 53 | ||
9 | 11 | 11 | エリオット・サドラー | トヨタ カムリ | 53 | ||
10 | 17 | 19 | マイク・ブリス | トヨタ カムリ | 53 | ||
12 | 4 | 54 | サム・ホーニッシュ・Jr. | トヨタ カムリ | 53 | ||
14 | 20 | 20 | ケニー・ハブル | トヨタ カムリ | 53 | ||
15 | 35 | 44 | カルロス・コントレラス | トヨタ カムリ | 53 | ||
17 | 18 | 99 | ジェイムズ・ブッシャー | トヨタ カムリ | 53 | ||
20 | 23 | 14 | エリック・マクルーア | トヨタ カムリ | 53 | ||
36 | 30 | 10 | ジェフ・グリーン | トヨタ カムリ | 1 | ||
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