2014年7月 7日(月)配信

雨に翻弄された3日間。
カップ・シリーズでブライアン・ヴィッカーズが2位

「聖地」デイトナで開幕戦以来今季2度目の開催となったNASCARは、スプリント・カップ・シリーズが降雨のために予定日翌日の7月6日(日)に延期。6日(日)も途中で強くなった雨のために短縮終了となり、ブライアン・ヴィッカーズが2位フィニッシュ。ネイションワイド・シリーズも予選から突然の雨で大混乱を喫し、決勝も遅れてのスタート。終盤のクラッシュで燃費戦が崩れ、トヨタ勢はダレル・ウォレス・Jr.の7位が最上位となった。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第18戦 Coke Zero 400

開催日:7月6日

雨で翌日に延期後、短縮終了。ブライアン・ヴィッカーズが2位

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2位に入ったブライアン・ヴィッカーズ(#55)と6位フィニッシュのデニー・ハムリン(#11)

 7月6日(日)、米国南東部フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第18戦「Coke Zero 400」が開催された。
 年間36戦という長いシリーズの、前半戦を締めくくる第18戦は、開幕戦が行われた「聖地」デイトナで今季2度目のレース。デイトナでのトヨタは、2008年の夏の大会でカイル・ブッシュが勝利を挙げたのみ。しかし、トヨタ移籍前のマット・ケンゼスが2勝を挙げており、ケンゼスの今季初勝利にも期待がかかった。

 3日(木)に2回予定されていた公式練習は、降雨のために予定よりも遅れて1回目が開始されたが、短縮終了。2回目はキャンセルと、最初から雨にたたられたレースウィークのスタートとなった。
 4日(金)は午後5時10分より予選開始。開幕戦はデイトナ500独自の予選方式だったため、今季より導入されたグループ走行・3セグメントでのデイトナでの予選は初めてとなったが、こちらも降雨のためにセグメント2,3はキャンセルとなり、セグメント1のタイムでグリッドが決定された。
 マット・ケンゼスが6番手グリッドを獲得したが、速度差が大きい、混乱状態のセッションの中、多くの車両は満足にアタック出来ず、ブライアン・ヴィッカーズが30番手、クリント・ボウヤーが34番手、デニー・ハムリンが37番手、Ky.ブッシュが39番手と後方からのスタートとなった。"トヨタ カムリ"は9台が決勝へと進んだ。

 5日(土)に決勝レースが予定されていたが、降雨のため翌日に順延。6日(日)、コースの一部が小雨に見舞われたため予定よりも数周長いフォーメーションラップの後、午前11時21分に2.5マイルオーバルを160周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタートした。
 6番手スタートのケンゼスが順位を上げ、5周目に首位を奪取したが、その直後にターン2付近で雨が降り始めイエローコーション。そのまま赤旗が出され、25分ほどの中断の後にケンゼス首位でレースが再開された。
 3列でのハイスピードバトルが展開されていた21周目、先頭争いの中で接触があり、クラッシュ。密集状態での先頭でのクラッシュだけに、後続はこれを避けようと大混乱となった。引き金となった接触のすぐ後方にいたケンゼスは後続から追突されるなど車体にダメージを負い、ピットでの修復を余儀なくされた。
 16台が巻き込まれたこの多重クラッシュで、ハムリンもわずかに接触したが、他のトヨタ勢は大きな影響を受けることなく、Ky.ブッシュが4位、今回スポット参戦のマイケル・ウォルトリップが11位、ハムリンが14位で再スタート。ケンゼスも修復が間に合い、33位ながら首位と同一周回のままレースに復帰した。
 再スタート後はハムリンがポジションを上げ、Ky.ブッシュと共に上位争いを展開。42周目にコース上の異物でイエローコーションが出たあとは、50周にわたりコーションが出ず、85周目前後に全車グリーンピット。この長いグリーンランの間にボウヤーとヴィッカーズもトップ10圏内まで浮上。ケンゼスはオーバーヒート症状に見舞われ周回遅れとなってしまった。
 コース上の異物により95周目にこの日4回目のイエローコーションが出され、98周目に再スタートが切られたが、2列の隊列で速度を上げて行ったバックストレート上で、アウト側3番目の車両がバランスを崩しスピン。後続が次々に巻き込まれ、26台が絡む大クラッシュとなった。Ky.ブッシュも巻き込まれ、横向きに止まったところに後続が突っ込んだため、車両が横転、上下反転したまま停止した。Ky.ブッシュは無事に脱出したが、車両は大破しており、ここでレースを終えることとなった。
 コース清掃のために5分ほどの赤旗中断となり、105周目に再スタート。4位でスタートしたヴィッカーズが2位に上がり、更に上位を狙おうとした108周目、降雨によりイエローコーション。雨は強さを増し、そのままこの日3度目となる赤旗中断に。
 レース再開を待ったが、雨は弱まることなく、50分ほどを経て、正式にレースの終了が発表された。レースは規定の半分の周回を超えていたため、112周終了時点で成立となった。
 トヨタ勢はヴィッカーズが2位、ハムリンが6位、ボウヤーが9位フィニッシュ。この結果、"チェイス"入りを争っているボウヤーとヴィッカーズは、"チェイス"ランキングでそれぞれ15位、18位へと順位を上げた。

 次戦第19戦は7月13日(日)、米国北東部ニューハンプシャー州ロードンのニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー ブライアン・ヴィッカーズ:
「様々な戦略が考えられたので、焦ることなく後方からの追い上げを図った。後方で遭遇した最初のクラッシュも、ポジションを上げてからの最後のクラッシュも、避けることが出来たのは幸運だった。チームの素晴らしい働きもあり、勝利を狙える位置につけることが出来たが、前走車をパスするには1周足りなかった。我々にとっては不運なタイミングで雨が降ってきてしまった。しかし、素晴らしい仕事をしてくれたチームを誇りに思っている。また新たなウィナーが生まれ、"チェイス"争いは更に厳しさを増すが、我々も毎週勝利を狙っている。今週もあと一つというところまで来たが、天気に阻まれてしまった。しかし、今日の勢いを活かし、来週のレースに挑む」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 15 43 アリック・アルミローラ フォード 112
2 30 55 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 112
3 40 41 カート・ブッシュ シボレー 112
6 37 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 112
9 34 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 112
13 43 23 アレックス・ボウマン トヨタ カムリ 112
19 41 66 マイケル・ウォルトリップ トヨタ カムリ 111
20 6 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 111
28 39 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 97
32 42 83 ライアン・トゥルークス トヨタ カムリ 97
34 17 26 コール・ウィット トヨタ カムリ 97
"チェイス"争い順位(上位16台が"チェイス"入り)
順位ドライバー名メーカー勝利数ポイント
1 ジミー・ジョンソン シボレー 3 596
2 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 2 624
3 ブラッド・ケゼロウスキー フォード 2 586
8 カイル・ブッシュ トヨタ 1 524
9 デニー・ハムリン トヨタ 1 493
12 マット・ケンゼス トヨタ 0 580
15 クリント・ボウヤー トヨタ 0 509
18 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 0 484
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ジェフ・ゴードン シボレー 651
2 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 624
3 ジミー・ジョンソン シボレー 596
5 マット・ケンゼス トヨタ 580
9 カイル・ブッシュ トヨタ 524
12 クリント・ボウヤー トヨタ 509
14 デニー・ハムリン トヨタ 493
16 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 484
32 コール・ウィット トヨタ 254
35 アレックス・ボウマン トヨタ 227
37 ライアン・トゥルークス トヨタ 134
41 パーカー・クリガーマン トヨタ 54
42 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 48
46 ブレット・モフィット トヨタ 32
47 ジェフ・バートン トヨタ 27
53 トミー・ドリッシ トヨタ 6
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 806
2 フォード 786
3 トヨタ 723

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第16戦 Subway Firecracker 250

開催日:7月4日

今季シリーズ2戦目のダレル・ウォレス・Jr.が7位

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序盤、エリオット・サドラー(#11)、カイル・ブッシュ(#54)、ダレル・ウォレス・Jr.(#20)の3台が首位を争ったが、終盤のコーションで順位は大きく変わり、ウォレス・Jr.が7位フィニッシュとなった

 7月4日(金)にNASCARネイションワイド・シリーズの第16戦「Subway Firecracker 250」がデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された。
 開幕戦に続き、今季2度目となる「聖地」デイトナでのレース。翌日には同じコースでのスプリント・カップ・シリーズ戦があるだけに、多くのカップ・ドライバーが出場した。

 3日(木)に一度だけ練習走行が行われ、4日(金)決勝を前に午後3時10分より3セグメント方式、グループ走行での予選開始。しかし、25分間のセグメント1が17分ほどを過ぎたところで、突然の雨に見舞われ、一気にウェットとなったバックストレート付近で複数台がスピン、そこに後続が巻き込まれる形となり、多重クラッシュに。マイク・ブリス、エリック・マクルーア、ジョー・ネメチェクらが巻き込まれた。
 その後の天候の回復も見込めないため、予選は8分ほどを残してセグメント1のみで終了。カイル・ブッシュが5番手、ドライバーズランキング首位で今大会を迎えたエリオット・サドラーが6番手、キャンピングワールド・トラック・シリーズのレギュラーであり、今季2度目のネイションワイド・シリーズ参戦となったダレル・ウォレス・Jr.が9番手。11台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 米国の独立記念日である4日(金)、予選に続き、午後7時50分に決勝レースのスタートが予定されていたが、直前に再び降り始めた雨によりスタートは順延。コース1周が長いため、"トヨタ タンドラ"に装備された新型コース乾燥装置、"エア・タイタン2.0"を20台も投入し、雨の止んだコースを乾燥する作業が続けられた。
 予定よりも1時間20分ほど遅れた午後9時10分に2.5マイルオーバルを100周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
 デイトナはハイスピードオーバルでの速度を抑制するために吸気量を制限する「リストリクター・プレート」を取り付けてのレースとなるため、複数台が連なって空気抵抗を軽減するテクニック「ドラフティング」が特に有効となる。5番手スタートのKy.ブッシュは、チームメイトのサドラー、ウォレス・Jr.とチームを組み、3台は揃ってポジションアップ。8周目にはサドラーが首位浮上。その後ろにKy.ブッシュ、ウォレス・Jr.が続いた。Ky.ブッシュは自らのチームでトラック・シリーズを戦うウォレス・Jr.にドラフティングでのテクニックを伝えながら、"トヨタ カムリ"がトップ3を占めての序盤戦となった。
 イエローコーションは出ず、36周目に上位勢が一斉にグリーン下でピットイン。全車がグリーンピットを終えた41周目には、Ky.ブッシュが首位に浮上、これにサドラーが続いた。ウォレス・Jr.は8位あたりに後退。
 しかし、2位のサドラーはホイール締め付けの不備により再ピットを強いられ、大きくポジションダウン。先頭集団がコースに戻ったサドラーを含む数台を周回遅れにしようとする際、首位のKy.ブッシュがチームメイトのサドラーを援護。"ラッキー・ドッグ"が獲得出来る周回遅れ最上位になるまでサドラーをパスせずに後方でプッシュ。その後先頭集団にパスされたサドラーだったが、周回遅れの最上位に浮上。Ky.ブッシュは6位へと後退。
 レースはコーションのないまま折り返しを迎えたが、52周目、9位を走行していたウォレス・Jr.がバランスを崩してハーフスピン。ウォレス・Jr.はコースのバンクと水平な部分との狭間で車両前後を路面に擦り、激しく火花を散らしながらも、見事なリカバリーを見せ、いくつか順位を落としただけでコース復帰。しかし、このときに出た破片により、この日最初のイエローコーションとなった。
 このコーションでサドラーは"ラッキー・ドッグ"を獲得し首位と同一周回に復帰。ダメージを負ったフロントスポイラー等を修復したウォレス・Jr.も周回遅れにはならず、Ky.ブッシュが3位、サドラー22位、ウォレス・Jr.27位で再スタート。
 Ky.ブッシュは首位を争い、69周目には再び首位に浮上。サイド・バイ・サイドでの首位争いを展開したが、その後もイエローコーションが出ないままとなったレースは燃費戦の様相に。Ky.ブッシュは12位まで順位を落としながらも、燃料をセーブし、最後の逆転に賭けた。
 残り6周というところでスピン車両によりこの日2度目のイエローコーション。ここでKy.ブッシュを含む上位勢はピットに向かわず、最後まで走りきる作戦に。Ky.ブッシュがイン側の12位、サドラーがその後方14位、ウォレス・Jr.は18位で再スタート。
 しかし、グリーンフラッグが振られ、全車がフル加速を始めた瞬間に、イン側最上位の車両が燃料切れに見舞われスローダウン。イン側の後続車両は大混乱となった。
 サドラーは前方のKy.ブッシュに追突し、イン側のグリーンエリアに飛び出してスピン。Ky.ブッシュはかろうじて前走車との接触を避けたが、この混乱でイエローコーションが出され、レースは3周延長、グリーン・ホワイト・チェッカーとなったため、Ky.ブッシュは燃料切れの可能性を考慮し給油のためにピットへ。Ky.ブッシュは22位、サドラーは25位へ後退。
 最後の2周スプリントレースで、15位再スタートのウォレス・Jr.が7位まで順位を上げフィニッシュ。ジェイムズ・ブッシャーが14位、ジョニー・ソーターが15位、Ky.ブッシュは17位でレースを終えた。
 サドラーは21位でチェッカーを受けたが、ライバルが上位フィニッシュとなったため、ランキングでは2位に後退。首位との差は12ポイントとなっている。

 次戦第17戦は7月12日(土)、ニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー ダレル・ウォレス・Jr.:
「最後は若干ミスをしてしまった。序盤は良かった。上位にジャンプアップし、カイル(ブッシュ)とエリオット(サドラー)が引っ張ってくれたこともあり、JGR(ジョー・ギブズ・レーシング)の3台でトップを走れたのは最高だった。中盤、スピンを喫したが、幸運にもどこにもヒットせずにコースに復帰出来た。レース後半は中団以降のグループで走らざるを得ず、フラストレーションが溜まったが、自分自身を冷静に保つよう意識し、最後はトップ10フィニッシュを果たせた。我々にとっては良い夜だった。最後は勝つチャンスもあったので、少し不満もあるが、前戦タラデガでのことを考えれば、私自身の成長に満足している。このチームで走ることは本当に楽しい。次のレースへの準備としても今日の結果には満足している」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 13 5 ケイシー・ケイン シボレー 103
2 8 7 リーガン・スミス シボレー 103
3 21 39 ライアン・シーグ シボレー 103
7 9 20 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ カムリ 103
14 18 99 ジェイムズ・ブッシャー トヨタ カムリ 103
15 20 80 ジョニー・ソーター トヨタ カムリ 103
17 5 54 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 103
18 27 25 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ カムリ 103
21 6 11 エリオット・サドラー トヨタ カムリ 103
22 32 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 103
25 30 44 デイビッド・スター トヨタ カムリ 103
27 40 97 ジョー・ネメチェク トヨタ カムリ 102
31 28 29 スコット・レガセイ・Jr. トヨタ カムリ 101
38 29 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 62
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 リーガン・スミス シボレー 577
2 エリオット・サドラー トヨタ 565
3 チェイス・エリオット シボレー 562
8 ジェイムズ・ブッシャー トヨタ 448
14 マイク・ブリス トヨタ 360
19 エリック・マクルーア トヨタ 269
23 サム・ホーニッシュ・Jr. トヨタ 164
25 デイビッド・スター トヨタ 153
26 ブレイク・コッホ トヨタ 144
34 ジェフ・グリーン トヨタ 90
44 ウィル・キンメル3世 トヨタ 33
45 スコット・レガセイ・Jr. トヨタ 31
46 ケニー・ハブル トヨタ 30
49 ダニエル・サレス トヨタ 25
50 パウリー・ハラッカ トヨタ 25
51 ジェイソン・ホワイト トヨタ 25
56 ハル・マーティン トヨタ 18
59 マット・カーター トヨタ 15
63 ケリー・アドミラール トヨタ 9
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 723
2 トヨタ 692
3 フォード 659
4 ダッジ 431