大荒れのロードコース戦でマット・ケンゼスが9位
ニューヨーク州の伝統のロードコース、ワトキンス・グレンでスプリント・カップ・シリーズ戦とネイションワイド・シリーズ戦が開催。カップ・シリーズでは接触やクラッシュが多発する波乱の展開となり、マット・ケンゼスが9位、ブライアン・ヴィッカーズが10位。ネイションワイド・シリーズではカイル・ブッシュが最後首位を追ったが届かず2位。ケンゼスが5位、シリーズレギュラーのエリオット・サドラーが7位に入った。
NASCAR SPRINT CUP SERIES
第22戦 Chees-It 355 at The Glen
開催日:8月10日
接触頻発の荒れたレースでマット・ケンゼスが9位、
ブライアン・ヴィッカーズが10位
荒れたレースで9位フィニッシュを果たしたマット・ケンゼス(#20)
8月10日(日)、米国東部ニューヨーク州ワトキンス・グレンのロードコース、ワトキンス・グレン・インターナショナルでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第22戦「Chees-It 355 at The Glen」が開催された。
カップ・シリーズでは年に2回ロードコース戦が行われるが、今大会は第16戦ソノマに続く今季2戦目。過去F1も開催されたことがある、60年以上の歴史を持つ伝統のコース、ワトキンス・グレンのカップ・シリーズ戦では、2008年と昨年2013年にカイル・ブッシュが勝利を挙げている。
8日(金)に練習走行を行い、9日(土)午前11時40分より予選開始。第2セグメントに進んだマット・ケンゼスが8番手、ブライアン・ヴィッカーズが12番手。デニー・ハムリンは17番手、Ky.ブッシュは19番手となり、9台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
10日(日)午後1時22分、1周2.45マイルロードコースを90周(220.5マイル:約350km)して競われる決勝レースがスタートした。
序盤戦は大きな波乱もなく、19番手スタートのKy.ブッシュが3周で12位までポジションアップ。10周目にコール・ウィットがクラッシュしこの日最初のイエローコーションとなったが、上位勢はピットインせず。
1周が約70秒と長いため、グリーンピットでも周回遅れになる可能性が低いロードコース戦では、グリーンピットによる多彩な燃料戦略が採られる。ワトキンス・グレンでは燃料をフルに入れた状態で約32周ほど走れるため、20周を過ぎたあたりから各車グリーンピットが開始された。
22周目に13位走行中のKy.ブッシュがグリーンピット。しかし、ここでKy.ブッシュは給油用の燃料缶を抜く前に発進したため、ストップ・アンド・ゴーのペナルティを受けることに。
これで周回遅れ、ほぼ最後尾まで後退したKy.ブッシュは、追い上げを図る中で他車と接触し、車体左側に大きなダメージ。ピットまでは戻ったが、ダメージはフレームやサスペンションにまで及んでおり、ガレージでの長い修復を余儀なくされることとなってしまった。
ほぼ全車が1回目のグリーンピットを終えた40周目過ぎにはケンゼスとヴィッカーズがトップ10,ハムリンとクリント・ボウヤーが15位前後を走行。
51周目、コース上に止まった車両によりこの日2度目のイエローコーション。残り39周と、ここで給油しても最後まで走り切るのは厳しい周回でのコーションに、作戦が分かれた。5位、6位のケンゼスとヴィッカーズはピットへ。一方で11位まで順位を上げていたハムリンはピットインせず。18位につけていたボウヤーは、他車がタイヤを4本交換するのに対し、2本交換作戦を採り、7位へとジャンプアップ。ハムリン4位、ケンゼスとヴィッカーズは10位、11位で再スタート。
55周目に再スタートが切られたが、その翌周、ターン5の立ち上がりで多重クラッシュが発生。アレックス・ボウマンが巻き込まれた。このクラッシュで、コース脇のタイヤバリアとガードレールが破損したため、この修復とコース清掃のためにレースは赤旗中断に。
1時間20分という長い中断の後にレースは再開された。残り周回が31周と丁度良かったこともあり、再開直後のコーションラップ中にほとんどの車両がピットへ。給油のみのケンゼス7位、ヴィッカーズ10位、タイヤも交換したボウヤー15位、ハムリン19位で再スタート。
その後は19周にわたってグリーン下での走行が続き、ケンゼスは7位をキープ。ボウヤー、ハムリンも徐々にポジションを上げていった。
78周目にコース上に車両がストップしイエローコーション。ケンゼスを含むトップ10はコース上に残ったが、ハムリン、ヴィッカーズ、ボウヤーらはピットへ向かい、タイヤを交換。最後の逆転を狙った。
残り9周での再スタートでは、1コーナー進入でケンゼスら7位あたりを争っていた数台が接触、スピンした車両に後続が突っ込み、イエローコーション。ケンゼスは幸運にもほとんど車両にダメージはなくレースを続行。
残り5周で再スタートが切られたが、最終コーナー立ち上がりで、13位を走行していたハムリンがスピン。ハムリンはピットロードを隔てる壁の入り口部分にヒット。その直後には1コーナー立ち上がりで他の車両がスピンからクラッシュし、コース清掃のため、この日2度目の赤旗が出された。
20分ほどの中断を経てレース再開。残り2周で再スタートが切られた。10位でスタートしたケンゼスはひとつポジションアップし9位でフィニッシュ。12位再スタートのヴィッカーズも2台パスし、10位でチェッカー。コース記録タイとなる8回のコーションが出されるなど、荒れたロードコース戦で、"トヨタ カムリ"は2台がトップ10フィニッシュを果たした。
次戦第23戦は8月17日(日)、米国北東部ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われる。
ドライバー マット・ケンゼス:
「終盤の複数のコーションが出されるまでは落ち着いてレースを戦っていた。結果はまずまずと言えるが、レース全般を見れば、我々はもっと上位を走っており、望んだ結果とは言えない。グリーンのまま最後までレースを戦いたかった。燃料作戦も上手く行っており、そのまま行けばトップ5フィニッシュが狙えたはずだ。しかし、全体的に見れば悪い一日ではなかった」
ドライバー ブライアン・ヴィッカーズ:
「とてもワイルドな一日だった。クルーチーフとクルーは素晴らしい仕事をしてくれたし、"トヨタ カムリ"は好調だった。クルーチーフの判断は正しかったが、終盤はイエローコーションが多すぎた。トップ5には入れると思ったが、トップ10も悪い結果では無い。長い赤旗でレースが中断されてしまうのは、レーサーにとってタフなことだ。わずかに休息が取れるという利点もあるが、再びレースに戻ってリズムを取り戻すのは難しい。大きなクラッシュもレースの一部ではあるが、ともかく全員無事で良かった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 6 | 47 | AJ.アルメンディンガー | シボレー | 90 | ||
2 | 2 | 9 | マルコス・アンブローズ | フォード | 90 | ||
3 | 5 | 41 | カート・ブッシュ | シボレー | 90 | ||
9 | 8 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 90 | ||
10 | 12 | 55 | ブライアン・ヴィッカーズ | トヨタ カムリ | 90 | ||
24 | 17 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 90 | ||
27 | 24 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | 90 | ||
30 | 40 | 66 | ジョー・ネメチェク | トヨタ カムリ | 89 | ||
36 | 36 | 23 | アレックス・ボウマン | トヨタ カムリ | 85 | ||
39 | 35 | 83 | ライアン・トゥルークス | トヨタ カムリ | 69 | ||
40 | 19 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 69 | ||
43 | 18 | 26 | コール・ウィット | トヨタ カムリ | 9 | ||
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NASCAR NATIONWIDE SERIES
第21戦 ZIPPO 200 at The Glen
開催日:8月9日
カイル・ブッシュが追い上げ及ばず3戦連続の2位
終盤追い上げたが2位に終わったカイル・ブッシュ(#54)と5位に入ったマット・ケンゼス(#20)
8月9日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第21戦「ZIPPO 200 at The Glen」がワトキンス・グレン・インターナショナルで開催された。
ネイションワイド・シリーズでは年間3戦ロードコース戦が行われており、今大会は今季2戦目。同シリーズのワトキンス・グレン戦で"トヨタ カムリ"は2009年と2010年に勝利を挙げている。
8日(金)に2回の練習走行を行い、9日(土)決勝を前に午前9時40分より予選開始。カイル・ブッシュが3番手、マット・ケンゼスが10番手、シリーズレギュラーでランキング3位につけるエリオット・サドラーが14番手につけ、9台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
予選後、スプリント・カップ・シリーズの予選を挟み、午後2時37分、1周2.45マイルのロードコースを82周(200.9マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタートした。
2列目3番手グリッドのKy.ブッシュはスタートで1台先行を許し、4位に後退。しかし、トップ4はほぼ一団となっての首位争いを繰り広げた。
5周目、インナーループと呼ばれるターン5手前のシケイン進入でKy.ブッシュは前を行く車両のインをついたが、2台は接触し、スピン。広いランオフエリアのおかげでどこにもぶつからず、そのままレースに復帰したが、Ky.ブッシュは15位まで後退してしまった。
一方で序盤から先行車をパスしていったケンゼスは5位、サドラーは8位へとポジションアップ。
12周目、周回遅れとなっていたケニー・ハブルが他車と接触し、コース上に破片が散ったためこの日最初のイエローコーション。ケンゼスを含む上位勢はコース上に残ったが、9位のサドラー、10位まで順位を戻していたKy.ブッシュらはピットへ。ケンゼスは5位、サドラーとKy.ブッシュは17位、18位で再スタート。
ケンゼスは再スタートで4位へ。Ky.ブッシュもわずか2周でトップ10圏内に浮上した。
20周目あたりから次々にグリーンピット開始。26周目にこの日2度目のイエローコーションが出され、上位に残っていた車両もピットへ向かい、Ky.ブッシュが2位、ケンゼス5位、サドラー6位での再スタートとなった。
サドラーはじりじりと順位を落としトップ10圏外に後退。35周目、41周目とイエローコーションが連発したが、上位勢はピットに入らず。Ky.ブッシュ3位、ケンゼス4位で先行車を追った。
給油すれば最後まで走り切れる周回数となった50周すぎから、上位勢は次々にグリーン下でピットイン。Ky.ブッシュは前の2台がピットインし首位に立った翌周にピットへ。全車がピットを終えた時点で、Ky.ブッシュは首位と4秒差の3位、ケンゼスは5位。
61周目にこの日5度目のイエローコーションが出され、レースは仕切り直し。残り20周で再スタートが切られると、3位のKy。ブッシュは先行車を攻め、77周目に2位浮上。
その時点で2秒近くあった首位との差をみるみる詰めていったKy.ブッシュは、ファイナルラップの最終コーナーではテール・トゥ・ノーズ状態にまで迫ったが、惜しくも届かず、2位でフィニッシュ。ケンゼスは5位。後半ポジションを戻したサドラーは7位でチェッカーを受けた。Ky.ブッシュは出場したネイションワイド・シリーズ戦3戦連続、今季5度目の2位。今季のシリーズ戦出場16戦で15回目のトップ5フィニッシュとなった。
次戦第22戦は8月16日(土)、米国北部オハイオ州レキシントンのロードコース、ミッドオハイオ・スポーツカー・コースで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ:
「また2位に終わってしまった。我々の"トヨタ カムリ"はとても速かったが、良いポジションにつけられなかった。望んでいた予選結果が得られず、ポジションを上げようとしたが、コーナーでドアを閉められ、行き場を失ってスピンしてしまった。それで大きく順位を落とし、追い上げを強いられた。しかし、クルーチーフの素晴らしいピット戦略もあり、終盤には上位争いに復帰出来た。"トヨタ カムリ"は速く、12号車(ジョーイ・ロガーノ:フォード)をパス出来たが、彼も速かったので、パスするのに10周ほどかかってしまい、その間に首位との差が広がってしまった。マルコス(アンブローズ:フォード)を捕らえようとチャレンジしたが、残り周回数が足りなかった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 4 | 9 | マルコス・アンブローズ | フォード | 82 | ||
2 | 3 | 54 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 82 | ||
3 | 2 | 12 | ジョーイ・ロガーノ | フォード | 82 | ||
5 | 10 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 82 | ||
7 | 14 | 11 | エリオット・サドラー | トヨタ カムリ | 82 | ||
11 | 17 | 99 | ジェイムズ・ブッシャー | トヨタ カムリ | 82 | ||
14 | 19 | 19 | マイク・ブリス | トヨタ カムリ | 82 | ||
23 | 20 | 44 | カリオス・コントレラス | トヨタ カムリ | 81 | ||
24 | 29 | 14 | エリック・マクルーア | トヨタ カムリ | 81 | ||
26 | 27 | 75 | ケニー・ハブル | トヨタ カムリ | 81 | ||
38 | 39 | 10 | ブレイク・コッホ | トヨタ カムリ | 6 | ||
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