2014年9月23日(火)配信

トヨタ勢苦難の"チェイス"2戦目。
クラッシュから追い上げたカイル・ブッシュが8位

"チェイス"2戦目はニューハンプシャー州ロードンの"マジック・マイル"で開催。"チェイス"を戦う3人のトヨタドライバーは、上位を争いながらもメカニカルトラブルやクラッシュで後退。最後の7周で20位から追い上げたカイル・ブッシュが8位に入った。ネイションワイド・シリーズはケンタッキーで行われ、シリーズデビュー戦となったジャスティン・ボストンが9位フィニッシュ。ロードンで行われたキャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは"トヨタ タンドラ"勢が最後まで首位を争ったが、勝利は叶わず、2位から5位を占めるにとどまった。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第28戦 Sylvania 300

開催日:9月21日

トヨタ勢にトラブルとクラッシュの苦難。
カイル・ブッシュが残り7周の猛追で8位

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クラッシュから追い上げ8位でフィニッシュしたカイル・ブッシュ(#18)

 9月21日(日)、米国北東部ニューハンプシャー州ロードンのニューハンプシャー・モーター・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第28戦「Sylvania 300」が開催された。
 タイトルを争うプレーオフ"チェイス"は2戦目を迎えた。"チェイス"開幕戦では"トヨタ カムリ"を駆るデニー・ハムリン、カイル・ブッシュ、マット・ケンゼスの3名が揃ってトップ10フィニッシュを飾る、まずまずのスタートを切った。
 バンク角が浅く、"マジック・マイル"とも呼ばれるロードンは、シリーズでは年間2戦開催されているが、2008年以来の13戦は全て勝者が異なる。その中には、2012年秋にハムリン、2013年夏にブライアン・ヴィッカーズ、2013年秋にケンゼスと3人のトヨタドライバーが含まれている(クリント・ボウヤーも2010年のトヨタ移籍前に勝利)。また、Ky.ブッシュもトヨタ参戦前の2006年に勝利を挙げている他、今季春の大会まで3戦連続2位という結果を残しており、トヨタ勢の活躍に期待がかかった。

 19日(金)正午から練習走行を行い、午後4時40分より予選開始。ハムリンが2列目4番手、Ky.ブッシュが5番手、ヴィッカーズ12番手、クリント・ボウヤー14番手、ケンゼスが16番手につけ、10台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 20日(土)の2回の練習走行を経て、21日(日)午後2時13分に1.058マイルオーバルを300周(317.4マイル:約510km)して競われる決勝レースがスタート。2列目4番手グリッドのハムリンは好スタートを切り、2位へジャンプアップ。首位を追った。
 35周目にコンペティション・コーションが出され、全車ピットへ。ハムリンは好ピットで首位に浮上。41周目に再スタートが切られると、5番手につけていたKy.ブッシュが好ダッシュを決め3位へ。ケンゼスも14番手からトップ10圏内に浮上した。
 首位に立ったハムリンは、後続の猛追を受けながらもポジションをキープ。70周目に先行を許したが、2位で首位争いを続けた。
 グリーン下での走行が続く中、2位走行中のハムリンの車両は給油系の不具合により、燃料がフルに入っていなかったことが判明し、ライバルより早めの95周目にグリーンピット。周回遅れとなってしまった。
 105周目にこの日2度目のイエローコーションが出され、全車ピットへ。ハムリンはここでトランク部のハッチを開け、給油系の修復を行ったが、4周遅れの41位まで大きく順位を落としてしまった。
 スタートしてまもなくトップ10圏内に浮上していたヴィッカーズが、ここで5位へとポジションを上げ、トヨタ勢の最上位に。ケンゼスは7位、Ky.ブッシュは14位で再スタートを切ったが、得意のダッシュを決め、トップ10へ。ヴィッカーズも3位へと順位を上げた。
 その後は再び長いグリーンランとなり、ヴィッカーズ4位、ケンゼス5位、Ky.ブッシュ8位で周回。170周目に3度目のイエローコーションが出され、全車ピットへ。ハムリンはここで1周分周回遅れを取り戻した。
 しかし、再スタートが切られて間もない180周目、バトルをしていた2台が接触しスピン。その後方にいたハムリンはスピンした車両を避けられずに接触。サスペンションを含む、車両右前部に大きなダメージを負い、ガレージでの長い修復を余儀なくされることとなってしまった。
 このハムリンが絡んだ多重クラッシュによるイエローコーションから再スタートが切られた188周目、今度は6位を争っていたケンゼスが他車と軽く接触しハーフスピン状態になったところに、直後にいたKy.ブッシュが追突。その後方車両も玉突き状態でKy.ブッシュに追突するという多重クラッシュに。Ky.ブッシュはボンネットフードを含む車両前部にダメージを負い、修復を余儀なくされたが、ピットの素早い作業により、周回遅れになることなく22位でレースに復帰。ケンゼスはそのまま7位でレースを続行した。
 このコーションからの再スタート直後にもケンゼスは他車と接触したが、レースは続行。多発するコーションでピット戦略が分かれる中、211周目の8度目のコーション時には、唯一コースに残ったヴィッカーズが首位に浮上。再スタート後にはケンゼスも3位へとポジションを上げた。
 その後も、数周毎にクラッシュ等でイエローコーションが出される荒れた展開となる中、269周目、残り32周での再スタートを5位で切ったケンゼスは、翌周、サイド・バイ・サイドのバトルの中で接触されスピン。後ろ向きで壁にヒットし、車両左側にダメージを負ってしまった。ピットで修復しコースへ復帰したケンゼスだったが、周回遅れの26位へ後退。
 再スタート後、レースが残り10周を切った292周目にクラッシュ車両によりイエローコーション。ケンゼスは"ラッキー・ドッグ"を獲得し、首位と同一周回へと復帰。9位走行中のヴィッカーズはコース上に残ったが、19位のKy.ブッシュはピットへ。最後の逆転に向け、タイヤを4本交換して20位でコース復帰。ケンゼスもピットへ向かい、25位で再スタート。
 残り4周での再スタートが切られると、Ky.ブッシュが素晴らしいダッシュを見せ12位へと浮上。298周目に、コース記録を大きく塗り替えるこの日15回目のイエローコーション。レースは3周延長され、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることとなった。
 ヴィッカーズ10位、ボウヤー11位、Ky.ブッシュ12位、ケンゼス24位で再スタート。ここでも得意のスタートダッシュを決めたKy.ブッシュは、8位へとジャンプアップ。クラッシュによる修復痕も痛々しい車両ながら、最後の7周で12ものポジションアップを果たしたKy.ブッシュが、サバイバル戦を8位でフィニッシュ。ランキングでも5位へと2つポジションを上げた。
 ヴィッカーズが10位、ボウヤーが14位。ケンゼスは21位でフィニッシュし、ランキングでは8位へと2つポジションを上げる結果となったが、次ラウンドへと進出する上位12台の争いでは、ケンゼスを含む5人が2ポイント差で競っている状況。
 また、長いガレージでの修復からレースに復帰したハムリンは、いくつかポジションを上げ37位フィニッシュ。こちらもランキングでは次ラウンド進出当落線上の13位へと大きく落とすこととなり、次戦ドーバーに"チェイス"の次ラウンド進出をかけて臨むこととなった。

 次戦第29戦は9月28日(日)、米国東部デラウェア州ドーバーのドーバー・インターナショナル・スピードウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「チームにとって残念な結果だ。ケンゼスは上位争いをしていたが、相手がオーバーステア症状でスピンし当てられてしまった。すぐ後ろにいた私は避けようとしたが、間に合わず追突、続いて後続も私に追突した。後ろはケイシー(ケイン:シボレー)だったと思うが、彼は私の前で何が起こっていたか、スポイラーで視界がふさがれてわからなかっただろう。その後は車両を修復しながら戦い続けた。最後は新しいタイヤで逆転のチャンスを得るべく、全力を尽くした。それまでに起こったことを考えれば、本当に良い位置でフィニッシュ出来たといっていいだろう」

ドライバー マット・ケンゼス:
「失望している。自分にはどうにもならないクラッシュで、結果が悪かったときはなおさらだ。次戦ドーバーについては、いつも通りベストを尽くすだけだ。今日もベストを尽くしたが、何が違ったのかは分からない。カイル(ブッシュ)への影響がそれほど大きくなかったのは幸いだった。あの状況では何も出来なかった」

ドライバー デニー・ハムリン:
「何があったのか正確なことは分からないが、燃料が完全に入っておらず、それが今日のレースを決めてしまった。これまでにほとんど無かったメカニカルな不具合がここで出るとは、あまりにタイミングが悪かった。チームはレースへの復帰に努力してくれた。我々の"トヨタ カムリ"は序盤トップ2の速さを持っていただけに、本当に残念だ」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 7 22 ジョーイ・ロガーノ フォード 303
2 10 42 カイル・ラーソン シボレー 303
3 3 4 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 303
8 5 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 303
10 12 55 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 303
14 14 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 303
21 16 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 303
28 35 23 アレックス・ボウマン トヨタ カムリ 301
32 40 83 トラヴィス・クヴァピル トヨタ カムリ 300
34 42 66 マイク・ウォレス トヨタ カムリ 296
37 4 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 265
38 31 26 コール・ウィット トヨタ カムリ 264
43 33 93 クレイ・ロジャース トヨタ カムリ 45
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ブラッド・ケゼロウスキー フォード 2097
2 ジョーイ・ロガーノ フォード 2096
3 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 2090
5 カイル・ブッシュ トヨタ 2077
8 マット・ケンゼス トヨタ 2057
13 デニー・ハムリン トヨタ 2049
19 クリント・ボウヤー トヨタ 781
22 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 736
33 コール・ウィット トヨタ 387
36 アレックス・ボウマン トヨタ 335
37 ライアン・トゥルークス トヨタ 193
44 パーカー・クリガーマン トヨタ 54
45 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 48
49 ブレット・モフィット トヨタ 44
55 トミー・ドリッシ トヨタ 6
56 クレイ・ロジャース トヨタ 1
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 1251
2 フォード 1230
3 トヨタ 1121

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第27戦 VisitMyrtleBeach.com 300

開催日:9月20日

シリーズ初参戦のジャスティン・ボストンが9位

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デビュー戦でトップ10フィニッシュを果たしたジャスティン・ボストン(#20)

 9月20日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第27戦「VisitMyrtleBeach.com 300」が米国中東部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで開催された。
 この週末はスプリント・カップ・シリーズとキャンピング・ワールド・トラック・シリーズがニューハンプシャーで行われているため、掛け持ちのドライバーはおらず、シリーズレギュラーとスポット参戦ドライバーによりレースが争われた。
 オーナーズポイントランキング首位につける"トヨタ カムリ"54号車は元インディカーチャンピオンのサム・ホーニッシュ・Jr.が今季8度目の出場。また、20号車は下位カテゴリーに参戦中の24歳、ジャスティン・ボストンがネイションワイド・シリーズデビューを果たすこととなった。

 19日(金)に2度の練習走行を行い、20日(土)午後4時10分より予選開始。ホーニッシュ・Jr.がポールを争ったが惜しくも2番手。シリーズレギュラーのエリオット・サドラーが7番手。ボストンはデビューレースながら最終セグメントまで進出し12番手。9台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 予選に続き、午後7時46分、1.5マイルオーバルを200周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。2番手スタートのホーニッシュ・Jr.は、ハンドリングに若干の不調を訴え、5位に後退。12番手スタートのボストンがトップ10へ。
 24周目にこの日2度目のイエローコーションが出され、全車ピットへ向かうと、ホーニッシュ・Jr.はピット作業で2つポジションを上げ、3位で再スタート。すぐに2位へと順位を上げると、首位を追った。
 ホーニッシュ2位、サドラー7位、ボストン13位を走行中の68周目にこの日3度目のイエローコーション。全車ピットへ。ホーニッシュは2位を守ったがサドラーは11位へ後退。ボストンはピットエリアに入る際、手前の車両を避けるために斜めに進入してしまい、大きくタイムロス。19位へと順位を落としてしまった。
 再スタート後、ホーニッシュはひどいオーバーステア症状に苦しむこととなり、じりじりとポジションダウン。これをかわしたサドラーがトップ10圏内へ。
 114周目に出されたこの日4度目のコーションで全車ピットへ向かい、調整を施したホーニッシュは再びトップ10圏内へと復帰。一方、ボストンは着実に14位を走行していたが、長いグリーンランで、166周目に周回遅れとなってしまった。
 170周目、エンジンブロー車両によりこの日5度目のイエローコーションが出され、ボストンは"ラッキー・ドッグ"を獲得。首位と同一周回に復帰した。
 全車最後となるであろうピットへ向かい、ほとんどの車両が2本タイヤ交換とする中、ホーニッシュ・Jr.とボストンを含む数台が4本交換。2本交換のサドラーは4位、ホーニッシュ・Jr.が10位、ボストンが14位で再スタート。
 しかし、再スタート直後、周回遅れの30位前後を走行していたエリック・マクルーアが第3ターンでクラッシュ。
 レースは仕切り直しとなり、182周目に再スタートとなったが、今度は3ワイドでの7位争いを繰り広げていたホーニッシュ・Jr.が他車に接触されてスピン。壁に激しくクラッシュし、レースを終えることとなってしまった。
 このコーションでは、レースを通して20位前後を走行し、周回遅れながら徐々に順位を上げていたロス・チャスティンが"ラッキー・ドッグ"を獲得。
 残り14周での再スタートが切られたが、すぐにコース上の異物でイエローコーション。サドラーは接触でのダメージを修復すべくピットへ向かい、9位、ボストンが10位、チャスティンが13位で残り7周での再スタート。
 しかし、接触でハンドリングにも影響が出ていたサドラーは出遅れ、ボストンとチャスティンがトップ10へ浮上。ボストンは9位でチェッカーを受け、ネイションワイド・シリーズのデビューレースでトップ10フィニッシュを果たした。
 チャスティンも10位に入り、チームオーナーの元インディカードライバー、服部茂章に、NASCARトップ3カテゴリーでの初トップ10フィニッシュをもたらした。

 次戦第28戦は9月27日(土)、ドーバー・インターナショナル・スピードウェイで行われる。

ドライバー ジャスティン・ボストン:
「まず最初に、この週末レースを戦う機会を与えてくれたスポンサーやチームの全員に感謝したい。我々の"トヨタ カムリ"は週末を通して非常に安定しており、練習走行と予選を終えた時点で、決勝レースに向けての期待は高かった。クルーチーフとチームクルーはレースを通してピットでの素晴らしい仕事をこなし、私がファイナルラップに望み通りのアタックが出来るようにしてくれた。これで最初の目標は達成した。来週のドーバーが楽しみだ」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 3 62 ブレンダン・ゴーアン シボレー 200
2 5 2 ブライアン・スコット シボレー 200
3 1 3 タイ・ディロン シボレー 200
9 12 20 ジャスティン・ボストン トヨタ カムリ 200
10 15 80 ロス・チャステイン トヨタ カムリ 200
13 7 11 エリオット・サドラー トヨタ カムリ 200
14 20 99 ジェイムズ・ブッシャー トヨタ カムリ 200
24 23 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 197
25 30 44 ブレイク・コッホ トヨタ カムリ 197
30 2 54 サム・ホーニッシュ・Jr. トヨタ カムリ 186
31 28 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 170
40 32 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 3
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 チェイス・エリオット シボレー 992
2 リーガン・スミス シボレー 972
3 タイ・ディロン シボレー 954
5 エリオット・サドラー トヨタ 931
10 ジェイムズ・ブッシャー トヨタ 727
14 マイク・ブリス トヨタ 633
19 エリック・マクルーア トヨタ 430
25 サム・ホーニッシュ・Jr. トヨタ 242
26 ブレイク・コッホ トヨタ 234
28 デイビッド・スター トヨタ 207
32 ジェフ・グリーン トヨタ 131
42 ウィル・キンメル3世 トヨタ 68
43 ケニー・ハブル トヨタ 61
46 ダニエル・サレス トヨタ 54
53 ハーミー・サドラー トヨタ 37
55 ハル・マーティン トヨタ 34
59 ケリー・アドミラール トヨタ 31
60 スコット・レガセイ・Jr. トヨタ 31
64 パウリー・ハラッカ トヨタ 25
65 ケニー・ウォレス トヨタ 25
66 ジェイソン・ホワイト トヨタ 25
71 マット・カーター トヨタ 15
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 1204
2 トヨタ 1149
3 フォード 1139
4 ダッジ 693

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第16戦 UNOH 175

開催日:9月20日

ダレル・ウォレス・Jr.が惜しくも2位
"トヨタ タンドラ"は2−5位フィニッシュ

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最後まで首位を争ったが、2位、3位に終わったダレル・ウォレス・Jr.(#54)とマット・クラフトン(#88)

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第16戦「UNOH 175」が9月20日(土)にニューハンプシャー・モーター・スピードウェイで開催された。
 同コースでトラック・シリーズ戦が開催されるのは3年ぶり。トヨタは過去に5勝を挙げているが、そのうち3勝がカイル・ブッシュによるもので、2011年の前回の開催まで、3連勝を続けていた。しかし、今大会にはKy.ブッシュは出場せず、51号車の"トヨタ タンドラ"は18歳のエリック・ジョーンズがドライブすることとなった。

 19日(金)に3度に分けて練習走行が行われた後、20日(土)決勝を前に、午前10時10分より予選開始。カイル・ブッシュ・モータースポーツのダレル・ウォレス・Jr.が2列目3番手。チームメイトのジョーンズが7番手、ティモシー・ペターズが8番手、17歳のジョン・ハンター・ネメチェクが10番手で続き、10台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。
 ランキング首位につけるマット・クラフトンは、練習走行2回目でトップタイムをマークするなど速さを示していたものの、予選でバッテリ端子が緩むトラブルに見舞われノータイム。最後尾30番手からのスタートとなった。

 今大会のペーストラックとなった市販車の"トヨタ タンドラ"の先導でフォーメーションラップが開始され、午後1時19分に1.058マイルオーバルを175周(185.15マイル:約300km)して競われる決勝レースがスタート。
 3番手スタートのウォレス・Jr.はすぐに2位に浮上し、首位を追撃。ジョーンズは4位へ。そして、最後尾30番手からのスタートを余儀なくされたクラフトンは猛烈な追い上げを見せ、わずか6周で14位へ。20周目にトップ10入りを果たすと、33周目には6位まで順位を上げた。
 上位争いでは、ハンドリングに苦しみペースの落ちたウォレス・Jr.をジョーンズがかわし3位へ。前半戦はイエローコーションが出ず、60周を過ぎたあたりからグリーンピットが始まった。
 70周目、最後までピットを引っ張り首位に立っていたジョーンズがピットへ。全車がピットを終えた時点で、ジョーンズが僅差の3位、ウォレス・Jr.が4位、クラフトンが5位。まもなくクラフトンがウォレス・Jr.をかわし、ペターズが6位へ浮上。後半戦へとレースは折り返した。
 スタートから100周にわたってグリーンランが続き、首位と同一周回はわずか11台となった101周目、クラッシュ車両によりこの日最初のイエローコーション。全車ピットへ。ジョーンズ2位、ウォレス・Jr.4位、クラフトン5位で再スタートが切られ、まもなくクラフトンが3位へ。5位でペターズも続き、4台の"トヨタ タンドラ"が首位を逃げる16歳のルーキー、コール・カスター(シボレー)を追った。
 再び40周ほどのグリーンランとなり、2位のジョーンズが首位との差をじりじりと詰めて行った146周目、この日2度目のイエローコーション。先のコーションからの残り周回は70周ほどと、無給油で走り切るにはぎりぎり厳しい周回であり、ここで全車最後のピットを行うかと思われたが、ジョーンズはコース上に残り、首位に立った。
 ジョーンズ首位、クラフトン2位、ウォレス・Jr.が3位で、首位のジョーンズはアウト側を選択し残り23周での再スタート。イン側のクラフトンが先行、これにウォレス・Jr.とペターズが続き、イン側の激しいバトルに、行き場を失ったジョーンズは軽く壁にヒット。11位へと大きく順位を落としてしまった。
 再スタートからわずか3周で、先のコーションで"ラッキー・ドッグ"を獲得し12位で首位と同一周回に復帰していたジャーマン・キロガ・Jr.がスピンを喫しイエローコーション。
 これで出されたピットで、ほとんどの車両がコースに残る中、ジョーンズはピットへ向かい、11位へ後退。
 160周目に再スタートが切られたが、4位を争っていたペターズが接触を喫し、相手がスピン。わずか1周で再びコーションに。
 165周目、クラフトンとウォレス・Jr.が最前列を占め再スタートが切られたが、ウォレス・Jr.はカスターにかわされ3位に後退。ウォレス・Jr.はサイド・バイ・サイドでの3位争いの中で接触、ハーフスピンから上手く立て直したものの、相手がスピンし、この日5度目のイエローコーション。
 残り4周で、クラフトンが首位、ウォレス・Jr.が3位、ネメチェク4位、ジョニー・ソーター5位、ジョーンズ6位での再スタートが切られたが、クラフトンが痛恨のスタートダッシュミス。カスターとウォレス・Jr.がこれをかわし、テール・トゥ・ノーズでの激しい首位争いとなった。
 しかし、最後のピットで、ウォレス・Jr.がタイヤを2本交換としたのに対し、カスターは4本交換しており、追い上げは叶わず。ウォレス・Jr.が2位、最後尾スタートのクラフトンが3位。同じく18番手と後方スタートから追い上げたチームメイトのソーターが4位、ネメチェクが5位、ジョーンズが7位でフィニッシュした。

 次戦第17戦は9月27日(土)に米国西部ネバダ州ラスベガスのラスベガス・モーター・スピードウェイで開催される。

ドライバー マット・クラフトン:
「我々の"トヨタ タンドラ"は速かった。3位フィニッシュという結果は本当に残念だ。理由は分からないが、00号車(コール・カスター)は本当に速かった。最後、彼が4本タイヤを交換し、我々が2本交換だったが、それほど差があるとは思えなかった。最後の再スタートで我々のレースは決まってしまった。最後尾から追い上げて首位を争い、最後にやられた、これが今日の我々のレースだ」

ドライバー ダレル・ウォレス・Jr.:
「最後のピットで、我々は2本タイヤ交換としており、4本交換した彼(コール・カスター:シボレー)には追いつけなかった。しかし、彼の優勝は祝福したい。あの少年はレースを通して速く、ずっと冷静で勝者にふさわしかったし、新たなウィナーの誕生を見るのはいつでも良いものだ。とはいえ、ヴィクトリーレーンにトヨタがいないのは残念だ。我々の"トヨタ タンドラ"は好調で、トップ3の速さを持っていた。スタート時はトップ5レベルだったが、チームのおかげで改善された。クルーを誇りに思う。彼らは決して諦めず、素晴らしいピットストップのおかげでいくつか順位を上げられた。しかし、あと一つ足りなかった。次戦ラスベガスには新車の"トヨタ タンドラ"を持ち込む予定で、勝つ準備は出来ている」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 1 0 コール・カスター シボレー 175
2 3 54 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ タンドラ 175
3 30 88 マット・クラフトン トヨタ タンドラ 175
4 18 98 ジョニー・ソーター トヨタ タンドラ 175
5 10 8 ジョン・ハンター・ネメチェク トヨタ タンドラ 175
7 7 51 エリック・ジョーンズ トヨタ タンドラ 175
11 8 17 ティモシー・ペターズ トヨタ タンドラ 175
12 15 13 ジェブ・バートン トヨタ タンドラ 175
15 14 77 ジャーマン・キロガ・Jr. トヨタ タンドラ 175
17 12 35 マンソン・ミングス トヨタ タンドラ 173
18 17 5 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ タンドラ 172
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 マット・クラフトン トヨタ 602
2 ジョニー・ソーター トヨタ 595
3 ライアン・ブレイニー フォード 578
4 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ 567
5 ジャーマン・キロガ・Jr. トヨタ 530
8 ティモシー・ペターズ トヨタ 508
9 ジェブ・バートン トヨタ 491
11 マンソン・ミングス トヨタ 401
14 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ 374
20 ジョー・ネメチェク トヨタ 279
21 ジョン・ハンター・ネメチェク トヨタ 269
22 エリック・ジョーンズ トヨタ 252
36 ブライアン・イックラー トヨタ 83
58 クリス・フォンテイン トヨタ 25
66 ジャスティン・ボストン トヨタ 14
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 トヨタ 742
2 シボレー 662
3 フォード 645
4 RAM 136