"チェイス"コンテンダー・ラウンド初戦で
トヨタドライバーは3人共にランキングトップ8入り
"チェイス"第2ラウンドの初戦となる4戦目がカンザスで開催。"チェイス"を争うドライバーが次々にクラッシュで脱落していく波乱のレースとなったが、トヨタ勢は着実に走り切り、カイル・ブッシュが3位、ハムリンが7位、ケンゼスが13位でフィニッシュ、3人共に次ラウンド進出の条件であるランキング8位以内につけた。ネイションワイド・シリーズではKy.ブッシュが終盤の逆転で今季6勝目を挙げた。
NASCAR SPRINT CUP SERIES
第30戦 Hollywood Casino 400
開催日:10月5日
"チェイス"コンテンダー・ラウンドスタート
カイル・ブッシュ3位、デニー・ハムリン7位フィニッシュ
3位でフィニッシュしたカイル・ブッシュ(#18:中央)、10位フィニッシュのブライアン・ヴィッカーズ(#55:中央後方))13位フィニッシュのマット・ケンゼス(#20:右)、18位フィニッシュのクリント・ボウヤー(#15:左)
10月5日(日)、米国中西部カンザス州カンザスシティのカンザス・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第30戦「Hollywood Casino 400」が開催された。
シーズン終盤の10戦でランキング上位がタイトルを争うプレーオフ"チェイス"は序盤3戦の"チャレンジャー・ラウンド"を終え、対象のドライバーは16名から12名へと絞り込まれた。
"トヨタ カムリ"を駆る"チェイス"ドライバー、カイル・ブッシュ、デニー・ハムリン、マット・ケンゼスの3名は全員が第2ラウンド"コンテンダー・ラウンド"へと進出。12人が3000点にポイントをリセットし、今大会からの3戦で上位8名が第3ラウンドへと進む。今季新たなシステムとなった"チェイス"は、これまで以上に一戦も落とせない、厳しいレースが続くこととなる。
今大会が開催されるカンザスは、2011年から年2回開催。トヨタ勢では、2012年の春にハムリン、2013年の春にケンゼスが勝利を挙げている。一方で、Ky.ブッシュはこれまで未勝利のみならず、過去14回の出場でトップ10がわずか2回と、結果を残せていない。しかし、Ky.ブッシュは今年春のキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ戦で勝利、前日に行われたネイションワイド・シリーズ戦でも勝利を挙げており、勝利経験者のハムリン、ケンゼスと共に、好結果を目指してカンザスに臨んだ。
3日(金)正午からの練習走行に続き、午後4時45分から予選開始。ブライアン・ヴィッカーズが最前列2番手。Ky.ブッシュが7番手。ハムリンとケンゼスは25番手、27番手と後方からのスタート。9台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
4日(土)の2回の練習走行を経て、5日(日)午後1時21分に1.5マイルオーバルを267周(400.5マイル:約640km)で競われる決勝レースがスタートした。
序盤はイエローコーションが出ず、45周目あたりからグリーンピット開始。給油とタイヤ交換、セッティングの調整を行った。全車がピットを終えた時点でKy.ブッシュが9位、ケンゼスが13位、ハムリンは22位。ヴィッカーズはハンドリング不調で15位あたりまで後退。
ハムリンはピットでの調整が功を奏しポジションアップ。15位へと浮上した71周目、コース上の異物によりこの日最初のイエローコーション。トラブルで周回遅れとなっていたボウヤーはここで"ラッキー・ドッグ"を獲得した。
好ピット作業でいくつか順位を上げ、Ky.ブッシュ8位、ケンゼスとハムリンが12,13位で再スタート。僅か数周の79周目にクラッシュが発生。これによるコーションからの再スタートからまた僅か2周で多重クラッシュと一転荒れ模様となったが、トヨタ勢はかろうじて巻き込まれることなくレースを続けた。
91周目の再スタート後、Ky.ブッシュとハムリンはトップ10圏内での走行を続けたが、ケンゼスはコーションラップ中に車両前部に軽いダメージを負い、その影響でペースダウン。
122周目、クラッシュ車両によりこの日4度目のイエローコーション。全車ピットへ向かい、ケンゼスは車両前部を修復。それまで8位につけていたKy.ブッシュは、ピットアウト時に痛恨のピットロードスピード違反。長いピットでの修復作業で首位と同一周回最後尾へとポジションを落としたケンゼスと共に、20位以下からの追い上げを強いられることとなった。
再スタート後、Ky.ブッシュとケンゼスは追い上げを開始。一方でハムリンは再びハンドリング不調に見舞われポジションダウン。レースが折り返す頃には、3台が揃って10位から15位のあたりを走行。
160周目にもクラッシュでイエローコーション。この3回のコーションを引き起こしたクラッシュでは、それぞれ"チェイス"を争うライバルのトップドライバーがクラッシュを喫し、レースから脱落する大波乱の展開となった。
10、11、12位にKy.ブッシュ、ハムリン、ケンゼスが続き再スタート。好ダッシュを決めたハムリンが7位へジャンプアップ。Ky.ブッシュはグリルに異物が張り付き、水温が上がるトラブルに見舞われたものの、近い順位を走るチームメイトとのドラフティング走行でこれを取り除き、再び追い上げを開始した。
190周目にもイエローコーションが出され、各車ピットへ。しかし、絶対にもう一回ピットが必要な残り周回。再スタート後にポジションを上げ、Ky.ブッシュと共にトップ10圏内に浮上したケンゼスだったが、車両後部の挙動異常から、予定よりも早めの220周目にグリーン下でピットへ。その後は無給油でぎりぎり最後まで走り切れる残り周回ではあったが、周回遅れとなってしまった。
一方で、Ky.ブッシュはハイペースでの周回を重ね、5位に浮上。
225周目あたりから他の車両もグリーンピットを開始したが、Ky.ブッシュとハムリンらがピットを引っ張る中、229周目にクラッシュが発生しイエローコーション。
Ky.ブッシュとハムリンは2本タイヤ交換作戦を採り、2,3位へ浮上。ケンゼスは上位がピットに向かう間に周回遅れを取り戻した。
234周目に再スタート。最前列2番手のKy.ブッシュは得意の好スタートを決めて首位を奪取。翌周にはかわされたものの、貴重なリードラップボーナスを獲得した。
再スタートしてまもなく、やはり"チェイス"を争うライバルがクラッシュしイエローコーション。この日は4人の"チェイス"ドライバーがアクシデントに巻き込まれることとなった。
上位勢はコース上に残ったが、後方のケンゼスはピットへ向かい、逆転へ向けタイヤを4本交換。Ky.ブッシュが4位、ハムリン7位、ケンゼス20位で残り28周での再スタート。
Ky.ブッシュは3ワイドのバトルで2位争いを展開。ケンゼスも着実にポジションを取り戻していった。終盤には、Ky.ブッシュがエンジンの水温上昇に見舞われたが、何とか最後まで走り切り、3位でチェッカー。自身にとってのカンザスでのベストフィニッシュを更新した。
ハムリンが7位、ヴィッカーズが10位でフィニッシュ。ケンゼスも追い上げ13位。
この結果、Ky.ブッシュはランキング2位に浮上。ハムリンは5位。ライバルの"チェイス"コンテンダーがアクシデントで脱落したこともあり、ケンゼスも7位と、トヨタの"チェイス"ドライバーは、コンテンダー・ラウンドの初戦を終えて、次ラウンド進出圏内であるトップ8に3台が入る結果となった。
次戦第31戦は10月11日(土)、米国東南部ノースカロライナ州コンコードのシャーロット・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ:
「"チェイス"で上位に浮上出来たのは良いことだ。素晴らしい"トヨタ カムリ"を仕上げてくれたクルーチーフやチームに感謝したい。今年は1.5マイルオーバルでは決して好調とは言えず、多分今年のベストフィニッシュはケンタッキーの3位だったと思う。上位フィニッシュへ向けさらなる努力が必要なことは分かっていた。前の2台は、今日は空を飛んでいるかのごとく速かった。他にも速い車両がいたので、我々は6番目か7番目の速さだった。そんな中での3位フィニッシュは悪くない結果であり、特にカンザスでトップ5に入れて良い気分だ。最後はエンジンの水温が上がり、祈りながらの走行だったが最後まで持ってくれた。TRDが馬力アップのためにハードワークを続けてくれたことに感謝している。そのおかげで上位争いが出来たし、来週以降のレースも楽しみだ」
ドライバー デニー・ハムリン:
「今日は着実な一日で、予定通りだと言える。優勝を争うのは難しかったので、トップ5,トップ10でのフィニッシュを目指し、その通りに出来た。ピットでもミスなく、スムースにレースを運んでくれたチームを誇りに思う。今日はライバルが次々にトラブルに見舞われるのを間のあたりにした。我々には彼らほどの速さはなかったが、トラブルなく走り抜いた。更に努力する必要はあるが、着実にこのラウンドを勝ち抜ければ、最後にはチャンスが来るはずだ」
ドライバー マット・ケンゼス:
「車体前部に若干のダメージを負い、修復に長い時間を要してしまった。それでポジションを大きく落とし、追い上げを強いられた。最後はひどいオーバーステアに見舞われ、予定外のピットインを強いられた。あのポジションからの上位浮上は不可能だった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 4 | 22 | ジョーイ・ロガーノ | フォード | 267 | ||
2 | 18 | 42 | カイル・ラーソン | シボレー | 267 | ||
3 | 7 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 267 | ||
7 | 25 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 267 | ||
10 | 2 | 55 | ブライアン・ヴィッカーズ | トヨタ カムリ | 267 | ||
13 | 27 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 267 | ||
18 | 19 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | 267 | ||
23 | 39 | 26 | コール・ウィット | トヨタ カムリ | 264 | ||
29 | 38 | 83 | J.J.イェリー | トヨタ カムリ | 262 | ||
32 | 33 | 23 | アレックス・ボウマン | トヨタ カムリ | 259 | ||
34 | 43 | 66 | マイク・ウォレス | トヨタ カムリ | 259 | ||
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NASCAR NATIONWIDE SERIES
第29戦 Kansas Lottery 300
開催日:10月4日
カイル・ブッシュが2連勝で今季6勝目
カイル・ブッシュが終盤の逆転で今季6勝目を挙げた
10月4日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第29戦「Kansas Lottery 300」がカンザス・スピードウェイで開催された。
トヨタは同シリーズのカンザス戦で、参戦した過去7戦中4勝。昨年の大会ではマット・ケンゼスが勝利を挙げている。カイル・ブッシュはトヨタ移籍前の2007年に勝利を挙げているが、ここ4年はトップ6フィニッシュを果たしながらも未勝利。スプリント・カップ・シリーズとの併催ということもあり、ケンゼス、Ky.ブッシュ共に掛け持ち参戦となった。
3日(金)に2回練習走行が予定されていたが、雷雨のために午前のセッションはキャンセル。午後のセッションではKy.ブッシュが4番手、ジョン・ウェス・タウンリーが6番手、ケンゼスが7番手タイム。
4日(土)決勝を前に、午前11時15分より予選が行われ、Ky.ブッシュが3列目6番手、シリーズレギュラーのエリオット・サドラーが7番手、ケンゼスが13番手につけ、10台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
予選の後、カップ・シリーズの最終練習走行セッションを経て、午後2時51分、1.5マイルオーバルを200周(300マイル:約480km)のスタートが切られた。
3周目、今大会にヒスパニック系女性ドライバーとして史上初めてNASCARトップ3カテゴリーのレース出場を果たしたベネズエラ人のミルカ・デュノーがスピンし、リアから壁にクラッシュ。デュノーは早くもここでレースを終えることとなってしまった。
6番手スタートのKy.ブッシュはハンドリングの不調に苦しみ若干ポジションダウン。再スタート後の13周目にはタウンリー、23周目にはデイビッド・スターがスピンを喫し序盤からイエローコーションが多発。23周目に上位勢はピットへ向かい、コース上に残ったタウンリーが首位へ。
タイヤを2本交換したケンゼスが9位、Ky.ブッシュが10位、サドラーが12位で再スタート。セッティング調整を施したKy.ブッシュは4位へ、サドラーも7位へジャンプアップ。ケンゼスもトップ10圏内をキープした。
30周目、4位走行していたタウンリーが前方の車両と軽く接触し、コントロールを失い壁に軽くヒット。イエローコーションは出ず、タウンリーは15位あたりまで後退。
45周目にコース上の異物によりこの日4度目のイエローコーションが出され、全車ピットへ。Ky.ブッシュは今度は先ほどとは逆サイドの左側2本を交換。ピットアウト時に他車と軽く接触したが大きなダメージには至らず。
74周目にはスピンした他車を避けきれずタウンリーがクラッシュ。このコーションでは、8位、9位につけていたケンゼスとサドラーがタイヤ2本交換作戦を採り2位、3位にジャンプアップ。Ky.ブッシュは4本交換のトップでピットアウトし5位で80周目に再スタートが切られると、ケンゼスがこの日初めて首位浮上。これにサドラー、Ky.ブッシュが続き"トヨタ カムリ"が1-2-3体制となった。
またすぐにイエローコーションとなり、再スタートでは今度はサドラーが先行。サドラーが首位に立って間もない90周目にまたしてもスピンした車両に後続が突っ込み多重クラッシュ。レースが半分に満たない間に、7度目のイエローコーションが出されることとなった。
96周目に再スタートが切られ、サドラーは首位をキープしたままレースを折り返し。102周目には、16番手スタートからトップ10圏内まで浮上していたジェイムズ・ブッシャーが壁にヒットするもコーションは出ず。
サドラーは37周にわたって首位を走行。僅差でKy.ブッシュが続き、3位以下を引き離していった。ケンゼスはアンダーステア症状に見舞われ、周回遅れも出てくる中、空力的な影響にも苦戦。徐々に順位を落としていった。
首位のサドラーに0.5秒ほどの差で追走していたKy.ブッシュだったが、124周目に首位を奪取。
首位に立ったKy.ブッシュは後続との差を広げていったが、後半戦は一転イエローコーションの出ない展開となり、135周目あたりからグリーンピットが開始。Ky.ブッシュは137周目にピットへ。同じタイミングでサドラーは痛恨の燃料切れ。スローダウンしながら何とかピットへ戻り、給油とタイヤ交換を行った。翌周にはケンゼスも燃料切れに見舞われ、スローダウン。何とかピットへ戻ったその直後に、スピン車両によりイエローコーションが出された。
コーションが出された時点で、ピットに入っていなかったのは首位のケヴィン・ハーヴィック(シボレー)のみで、2位につけていたKy.ブッシュがラッキー・ドッグを獲得するという珍しい展開に。首位の車両がピットへ向かう間に周回遅れの車両が1周分を取り戻し、Ky.ブッシュが2位、ケンゼス7位、サドラー10位で首位と同一周回に復帰。
残り48周での再スタート翌周にスピン車両によりイエローコーション。残り40周で再スタートが切られると、各所で3ワイドのバトルが繰り広げられた。Ky.ブッシュは激しい2位争いを展開。その間に首位との差は1秒ほどに広がったが、2位争いを制したKy.ブッシュは首位追撃を開始。残り25周ほどで並びかけるまでに至った2台のバトルが数周にわたって続いたが、残り21周でついにKy.ブッシュが首位を奪還。その後は徐々に後続との差を広げていき、トップでチェッカー。Ky.ブッシュが出場した前戦ドーバーに続き2連勝で、今季6勝目を挙げた。シリーズの最多勝利記録を持つKy.ブッシュは、自身の記録を更新するシリーズ69勝目。
ケンゼスが6位。サドラーは7位フィニッシュとなった。
次戦第30戦は10月11日(金)、シャーロット・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ:
「春のカンザス戦では"トヨタ タンドラ"でトラック・シリーズを勝ち、今日"トヨタ カムリ"でネイションワイド・シリーズを勝てたのは本当に素晴らしいことであり、チームのサポートに感謝したい。今日のレースで学んだことは必ず明日のカップ戦でも活かせるだろう。チームのおかげで今日も最高の"トヨタ カムリ"だった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 6 | 54 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 200 | ||
2 | 4 | 5 | ケヴィン・ハーヴィック | シボレー | 200 | ||
3 | 2 | 22 | ライアン・ブレイニー | フォード | 200 | ||
6 | 13 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 200 | ||
7 | 7 | 11 | エリオット・サドラー | トヨタ カムリ | 200 | ||
14 | 21 | 19 | マイク・ブリス | トヨタ カムリ | 199 | ||
15 | 23 | 44 | デイビッド・スター | トヨタ カムリ | 199 | ||
19 | 28 | 14 | エリック・マクルーア | トヨタ カムリ | 195 | ||
21 | 16 | 99 | ジェイムズ・ブッシャー | トヨタ カムリ | 194 | ||
31 | 20 | 25 | ジョン・ウェス・タウンリー | トヨタ カムリ | 73 | ||
36 | 29 | 10 | ブレイク・コッホ | トヨタ カムリ | 34 | ||
40 | 34 | 29 | ミルカ・デュノー | トヨタ カムリ | 3 | ||
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