2014年11月10日(月)配信

デニー・ハムリンがランキング首位で"チェイス"最終戦へ!
マット・ケンゼスは3位フィニッシュも3点届かず

残り2戦となったNASCARスプリント・カップ・シリーズではデニー・ハムリンが5位フィニッシュでランキング首位に浮上。最終戦でタイトルを決める"チェイス"の4人に残った。マット・ケンゼスは健闘し3位でフィニッシュしたが、3ポイント届かず"チェイス"争いからは脱落。ネイションワイド・シリーズでは、カイル・ブッシュがレースの大半を支配したが、"グリーン・ホワイト・チェッカー"となったファイナルラップで逆転を許し2位。トラック・シリーズは近郊地域の停電によりスタートが遅延、予定よりも短い周回での終了となったが、18歳のエリック・ジョーンズが今季4勝目を挙げた。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第35戦 Quicken Loans Race for Heroes 500

開催日:11月9日

デニー・ハムリンがランキング首位で"チェイス"最終戦へ!
マット・ケンゼスは3位フィニッシュも3点届かず

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5位フィニッシュでランキング首位浮上。4人がタイトルを争う"チェイス"最終戦へ挑むこととなったデニー・ハムリン(#11)

 11月9日(日)、米国南西部アリゾナ州エイボンデールのフェニックス・インターナショナル・レースウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第35戦「Quicken Loans Race for Heroes 500」が開催された。
 年間36戦という長いシーズンもいよいよ残り2戦。シーズン終盤の10戦でタイトルを争うプレーオフ"チェイス"も、最終戦に進む4人を決定する"エリミネイター・ラウンド"の最終戦となった。トヨタ勢ではデニー・ハムリンとマット・ケンゼスが"チェイス"の8人に残っているが、今大会の結果で、ランキング上位4人のみがタイトル獲得の可能性を残して最終戦に臨むこととなる。
 年に2戦カップ・シリーズが行われるフェニックスでは、トヨタは過去2勝。2012年の春大会でハムリンが勝利を挙げている。ハムリンはポイントの首位タイで今大会に臨んでおり、11位よりも上位でフィニッシュすれば最終戦を争う4人に進出出来る。

 7日(金)、練習走行に続き午後4時45分から予選が行われ、ハムリンが今季3度目のポールポジションを獲得。ケンゼスが5番手、チームメイトのカイル・ブッシュが6番手、ブライアン・ヴィッカーズが9番手につけ、9台の"トヨタ カムリ"が決勝に進んだ。

 8日(土)の2回の練習走行を経て、9日(日)午後1時20分、好天の下で1マイルオーバルを312周(312マイル:約500km)して競われる決勝レースがスタートした。
 ポールポジションのハムリンは首位をキープ。5位、6位のケンゼスとKy.ブッシュもポジションを守り、上位勢は順当なスタート。その後方ではヴィッカーズがトップ10圏内を争い、サイド・バイ・サイドの激しいバトルを序盤から展開した。
 31周目にこの日最初のイエローコーションが出され、全車ピットへ。狭いピットロードが大混乱となる中、ケンゼスが3位、ハムリン4位でピットアウトしたが、その直後、まだ再スタートが切られる前に、ハムリンが右リアタイヤのパンクに見舞われ、再ピットイン。35位へと順位を落としてしまった。
 後続グループの中でポジションアップに苦戦したハムリンは、74周目には周回遅れに。しかし、95周目に出されたこの日3度目のイエローコーションで"ラッキー・ドッグ"を獲得し、首位と同一周回に復帰した。
 29位で再スタートしたハムリンはじりじりと順位を上げ、続く123周目のコーションでは左側の2本だけ交換するという戦略に出て15位へとジャンプアップ。しかし、この作戦は上手く行かずペースダウン。50周以上に渡ってイエローコーションが出ないスティントとなったこともあり、ハムリンは163周目に再び周回遅れとなってしまった。
 厳しいポジションでの走行を続けることとなったハムリンだったが、レースが折り返しを過ぎ後半戦に入ると、イエローコーションが連発し、206周目に再び"ラッキー・ドッグ"を獲得した。
 一方、ケンゼスはKy・ブッシュと共にトップ10圏内をキープ。しかし、213周目の再スタート直後、5位走行中のKy.ブッシュがオーバーステアでバランスを崩し、スピンし壁にヒット。コース上に止まったKy.ブッシュの車両に17位走行中のクリント・ボウヤーが接触し、壁にクラッシュ。ボウヤーはここでレースを終えることに。Ky.ブッシュも車両前部を大きく破損し、ガレージでの修復を余儀なくされた。
 車両排除のためにレースは赤旗中断。6分間ほどの中断の地、レースは再開され、ケンゼスは6位、ハムリンが19位で221周目に再スタート。
 ハムリンが目覚ましい追い上げを見せ、再スタート後僅か6周で12位まで浮上。237周目にイエローコーションが出され、全車ピットへ向かうと、ケンゼス、ハムリン共に2本タイヤ交換作戦を採り、それぞれ3位、6位へとポジションを上げた。
 残り25周というところで、この日11回目のイエローコーション。ここでケンゼスを含む上位勢がコース上に残ったのに対し、ハムリンはピットインしタイヤを2本交換と、作戦が分かれた。ケンゼス3位、ハムリン8位で残り20周での再スタートが切られると、ハムリンはすぐに6位へとポジションアップ。
 297周目にもクラッシュでイエローコーションが出されたが、上位勢はピットインせず。残り12周での再スタートとなった。この時点で、3位のケンゼス、5位のハムリンを含む上位5台は全車が"チェイス"の8人に残っており、ポイント上位のハムリンはこのまま5位フィニッシュでも最終戦へ進む4人に残ることが出来るが、ケンゼスを含むトップ4は僅差でランキング4位を競り合っており、全車が必勝状態(勝利すればポイントにかかわらず最終戦へのキップを手にする)で再スタート。
 上位陣は順位変動の無いまま周回が重ねられていき、3位のケンゼスは勝利を目指し懸命に首位を追ったが届かず、3位でチェッカー。わずか3ポイント届かず、ランキング6位で"チェイス"第3ラウンドでの敗退が決まった。
 一方、ハムリンは5位でチェッカーを受け、ランキング首位に浮上。見事最終戦でタイトルを争う4人の中に入った。ハムリンを含む4名はポイントを5000ポイントにリセット。最終戦ではリードラップや最多リードラップのボーナスを含めず、その4名の中で最も上位フィニッシュを果たしたドライバーが2014年のカップ・シリーズチャンピオンとなる。
 今大会の熾烈な"チェイス"争いで、2003年のシリーズチャンピオンであるケンゼスを含め、3人のチャンピオン経験者が脱落し、最終戦に進む4人は全員がチャンピオン未経験。来週、NASCARの新たなチャンピオンが誕生することとなる。

 シーズンの最終戦となる次戦第36戦は11月16日(日)、米国南東部フロリダ州ホームステッドのホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われる。

ドライバー マット・ケンゼス:
「チームにとっては期待以上の素晴らしいレースだった。3位という結果は、チームを誇りたい。最終戦まで"チェイス"に残りたかったが、前戦厳しい結果に終わっただけに、今日"チェイス"入りをかけて戦えたことは楽しかった。デニー(ハムリン)が"チェイス"に進めたので、彼が次戦やってくれると期待している。確かに残念だが、"チェイス"で浮き沈みの激しい戦いをしてきて、最後まで残るには足りなかったということだ。チームは本当によくやってくれた」

ドライバー デニー・ハムリン:
「クレイジーな一日だった。我々は苦戦した。当初良いポジションにいたのに、ピットでのアクシデントで後退し、2度にわたって周回遅れから"ラッキー・ドッグ"を獲得するという戦いを強いられた。それでも終盤は調子を取り戻し、バトルで何台かをパスして5位フィニッシュを果たせた。信じられない一日だったが、今日の結果は、来週に向けての自信となった。次戦は4人での争いとなるが、2010年に私は3人でタイトルを争う最終戦に臨んだことがある。ただ、当時とはフォーマットが全く違うので、今回は、ライバルの3人よりも確実に前でフィニッシュしなくてはならない。トップに出たものがチャンピオンだ。我々は2週間前にマイアミでテストを行っているので、心強い。今はリラックスして休息を取り、マイアミでの週末の戦いに備えたい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 3 4 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 312
2 7 24 ジェフ・ゴードン シボレー 312
3 5 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 312
5 1 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 312
19 9 55 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ カムリ 312
30 41 83 J.J.イェリー トヨタ カムリ 309
32 37 23 アレックス・ボウマン トヨタ カムリ 308
34 6 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 308
36 43 66 マイク・ウォレス トヨタ カムリ 303
40 17 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 211
42 40 26 コール・ウィット トヨタ カムリ 147
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 デニー・ハムリン トヨタ 5000
2 ジョーイ・ロガーノ フォード 5000
3 ライアン・ニューマン シボレー 5000
4 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 5000
7 マット・ケンゼス トヨタ 2296
8 カイル・ブッシュ トヨタ 2280
19 クリント・ボウヤー トヨタ 943
22 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 900
33 コール・ウィット トヨタ 514
35 アレックス・ボウマン トヨタ 401
39 ライアン・トゥルークス トヨタ 193
42 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 76
46 パーカー・クリガーマン トヨタ 54
47 ブレット・モフィット トヨタ 52
55 トミー・ドリッシ トヨタ 6
56 クレイ・ロジャース トヨタ 2
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 1572
2 フォード 1530
3 トヨタ 1406

NASCAR NATIONWIDE SERIES
第32戦 DAV 200

開催日:11月8日

レースを支配したカイル・ブッシュが惜しくも2位フィニッシュ

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レースを支配したカイル・ブッシュ(#54)が2位、エリオット・サドラー(#11)が3位、シリーズデビュー3戦目のエリック・ジョーンズ(#20)が6位フィニッシュを果たした

 11月8日(土)にNASCARネイションワイド・シリーズの第32戦「DAV 200」がフェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催された。
年に同シリーズ戦が2戦行われるフェニックスでは、トヨタは過去7勝。直近では4連勝中で、そのうちカイル・ブッシュが3連勝を続けている。
 今大会には、ジョー・ギブズ・レーシングの20号車として、トラック・シリーズにスポット参戦している18歳のエリック・ジョーンズが出場。ジョーンズはキャリア3戦目となるネイションワイド・シリーズ戦となるが、過去出場した2戦共にトップ10フィニッシュを果たしており、来季名称の変わるエクスフィニティ・シリーズにも同チームからスポット参戦することが発表された。

 7日(金)の2度の練習走行に続き、8日(土)決勝を前に午前10時45分より予選開始。カイル・ブッシュが今季7度目、フェニックスの同シリーズ戦でも7度目となるポールポジションを獲得。前日のトラック・シリーズ戦で勝利を挙げたジョーンズが3番手、エリオット・サドラーが4番手で続き、11台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。

 予選に続き、午後2時15分に1マイルオーバルを200周(200マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタート。ポールポジションのカイル・ブッシュは好スタートを切り、序盤から後続との差を広げていった。
 36周目にクラッシュ車両によりイエローコーションが出され、全車ピットへ。Ky.ブッシュは2本タイヤ交換で首位のままコース復帰。一方で、トップ5につけていたジョーンズは、タイヤ交換でトラブルがあり、首位と同一周回の最後尾19位へと後退。
 再スタート後もKy.ブッシュは首位をキープ。サドラーが3位、ジョーンズは徐々に順位を取り戻し、76周目には13位まで浮上した。
 82周目にクラッシュ車両によりこの日2度目のイエローコーション。ここまで全ラップ首位を守ってきたKy.ブッシュだったが、このピットではタイヤを4本交換。先のピットで4本交換していた2台が2本交換作戦を採ったため、3位に後退。ジョーンズもここで2本タイヤ交換とし、一気に8位までジャンプアップした。
 91周目の再スタートでは、2列目に並んだKy.ブッシュと、オーナーズタイトルを争う22号車のブラッド・ケゼロウスキー(フォード)がサイド・バイ・サイドのバトルを展開。これを制したKy.ブッシュは93周目に2位、95周目には首位を奪還した。
 109周目に3度目のイエローコーション。このピットではKy.ブッシュが首位を守り、再スタート後もポジションを堅守。ケゼロウスキーが2位、サドラーが3位と、前半戦と同じ展開が続いた。
 165周目にコース上の異物でイエローコーション。先のコーションからの再スタートが残り83周と、無給油でもぎりぎり走り切れる周回だったため、このコーションでサドラー、ケゼロウスキーを含む3台がコース上に残る作戦。Ky.ブッシュはピットへ向かいタイヤを4本交換。5位で再スタートとなったが、新しいタイヤの優位性も活かし、僅か5周で首位を奪い返した。
 そのままKy.ブッシュが逃げ切るかと思われたが、ファイナルラップを目前にして1台の車両が燃料切れでスローダウン。イエローコーションとなり、レースは6周延長。最後の2周"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることとなった。
 Ky.ブッシュが2位のケゼロウスキーを抑えて再スタートを切ったが、ショートランでのハンドリングに苦しむKy.ブッシュは、ファイナルラップを迎えるメインストレート上でケゼロウスキーの先行を許し、最後まで逆転を狙い追撃したが届かず、2位でチェッカー。全200周中187周にわたってレースを支配したKy.ブッシュだったが、無念の2位に終わった。
 サドラーが3位。ジョーンズは6位でフィニッシュ。ドライバーズタイトルでは、最終戦を待たず、18歳のチェイス・エリオット(シボレー)のシリーズ史上最年少チャンピオンが確定した。
 トヨタの54号車がタイトルを争っているオーナーズポイント部門では、ランキング首位の22号車が優勝したため、54号車との差は26ポイントへと広がったが、最終戦での逆転タイトルを目指す。

 シーズン最終戦となる次戦第33戦は11月15日(土)、ホームステッド・マイアミ・スピードウェイで行われる。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「今日の"トヨタ カムリ"は好調だったのだが、再スタート直後は望み通りに曲がらず、パスされてしまった。数周すれば調子は戻ったのだが。再スタートも最後は完璧には決められなかった。我々の"トヨタ カムリ"はロングランでは敵無しだったが、ショートランでは若干のアンダーステア症状が見られ、ロングランのようにはセットアップ出来なかった」

ドライバー エリオット・サドラー:
「まずチャンピオンを獲得したチェイス(エリオット:シボレー)とチームに祝福を送りたい。最後は前を行く2台がもっと争ってくれればチャンスもあるかと思ったが、2人は最後まで素晴らしいバトルを繰り広げ、追いつけなかった。とはいえ、チームは素晴らしい"トヨタ カムリ"を用意してくれた。予選も、決勝も速かった。もう少し速さがあれば、前の2台ともバトル出来たかも知れないが、全体的に見れば良いレースだった。あの2人に続く3位という結果には満足している。 前戦の体調不良による途中交代は、7歳からの私のレースキャリアでも初めてのことだった。体が何も受け付けず、2日で3.5kgも体重が落ちた。しかし、今は完全に回復しており、助けてくれたクリント(ボウヤー)に感謝している。シーズンは残り1戦で、チャンピオンは決まったが、まだ2位以下のランキング争いは終わっていない。昨年のホームステッドでも我々は速かった。多くの友人が出来、これまで私のためにハードワークを続けてくれたチームのためにも、一つでも上位でシーズンを終えるべく、次戦も全力を尽くす。」

ドライバー エリック・ジョーンズ:
「予想以上の結果で満足している。最初のピットストップで最後尾近くまで順位を落としてしまい、追い上げを強いられた。我々の"トヨタ カムリ"はトップ3の速さを持っていたと思うが、ポジションに恵まれなかった。とはいえ、このお気に入りのコースの一つであるフェニックスで好結果を得られた。来年このシリーズでまた戦うのが待ちきれない」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 2 22 ブラッド・ケゼロウスキー フォード 206
2 1 54 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 206
3 4 11 エリオット・サドラー トヨタ カムリ 206
6 3 20 エリック・ジョーンズ トヨタ カムリ 206
14 16 99 ジェイムズ・ブッシャー トヨタ カムリ 206
16 20 19 マイク・ブリス トヨタ カムリ 206
18 26 44 ブレイク・コッホ トヨタ カムリ 204
22 23 29 ケリー・アドミラール トヨタ カムリ 204
23 17 25 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ カムリ 203
26 35 14 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 202
33 30 17 ターナー・ベリーヒル トヨタ カムリ 58
34 29 10 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 51
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
48 ケリー・アドミラール トヨタ 53
56 ハーミー・サドラー トヨタ 37
58 ハル・マーティン トヨタ 34
60 スコット・レガセイ・Jr. トヨタ 31
64 パウリー・ハラッカ トヨタ 25
65 ケニー・ウォレス トヨタ 25
66 ジェイソン・ホワイト トヨタ 25
71 マット・カーター トヨタ 15
76 ミルカ・デュノー トヨタ 4
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 1409
2 トヨタ 1379
3 フォード 1361
4 ダッジ 800

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第21戦 Lucas Oil 150

開催日:11月7日

停電に翻弄されたナイトレース
18歳エリック・ジョーンズが2年連続勝利で今季4勝目

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来季のシリーズフル参戦を発表したばかりの18歳エリック・ジョーンズが今季4勝目を挙げた

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第21戦「Lucas Oil 150」が11月7日(金)にフェニックス・インターナショナル・レースウェイで開催された。
 全22戦で戦われる同シリーズも残り2戦。タイトル争いでは"トヨタ タンドラ"を駆るマット・クラフトンが2位に23ポイント差の首位につけている。
 フェニックスでのトラック・シリーズ戦は、近年は年1戦の開催で、トヨタは2011年から3連勝中。昨年は当時まだ17歳だったエリック・ジョーンズが史上最年少となる初優勝を飾った。ジョーンズは今大会に先立ち、来シーズン、カイル・ブッシュ・モータースポーツよりトラック・シリーズにフル参戦することが発表された。
 また、今大会には、NASCARの下位カテゴリーなどで経験を積んできた尾形明紀が、日本人としては2005年の服部茂章以来となるNASCARトップ3カテゴリーへの出場を果たすこととなり、注目を集めた。

 6日(木)に2回の練習走行を行った後、7日(金)決勝を前に午後2時45分より予選が行われ、ジョーンズがコースレコードを更新する速さで、今季2度目のポールポジションを獲得。ランキング首位のクラフトンが2番手、17歳のジョン・ハンター・ネメチェクが8番手、ダレル・ウォレス・Jr.が9番手、ティモシー・ペターズが10番手で続き、10台の"トヨタ タンドラ"が決勝へと進んだ。

 予選の後、併催のスプリント・カップ・シリーズの予選を経て、午後6時半過ぎに決勝レースのスタートが切られる予定であったが、スタート進行の途中で、コースのあるフェニックス近郊のエリアが停電に見舞われ、非常電源に切り替えたものの、コース全域を照らすことが出来ないため、電源の回復を待ちスタートは順延。
 1時間以上の待機の後、午後8時4分に1マイルオーバルを150周(150マイル:約240km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
 スタート直後、22番手スタートのジョン・ウェス・タウンリー、24番手スタートのジャーマン・キロガ・Jr.を含む集団で多重クラッシュが発生。タウンリー、キロガ・Jr.共にガレージでの修復を余儀なくされた。
 コース清掃に長い時間を要し、19周目に再スタートが切られたが、わずか2周でスピン車両によりイエローコーション。このコーションからの再スタートでも多重クラッシュが発生し、こちらではティモシー・ペターズとジェブ・バートンが巻き込まれるなど、波乱の序盤戦となった。
 更にスピン車両により出された4度目のイエローコーションの後、46周目に再スタートが切られた後はグリーンでの周回が50周以上にわたって続くことに。ジョーンズは度重なるコーションからの再スタートを決め、首位をキープし続けたが、80周を過ぎるとグリーン下でのピット開始。ここまで全ラップ首位を走行していたジョーンズが92周目にピットへ向かうと、異なるピット戦略を採っていたチームメイトのウォレス・Jr.が代わって首位に立った。
 100周目、首位のウォレス・Jr.がピットへ入った瞬間にスピン車両によりイエローコーション。この時点で首位と同一周回はわずか6台となっていたが、このコーションを利用して多くの車両が首位と同一周回に復帰。ジョーンズら上位勢はピットへ向かい、好ピットに助けられたジョーンズが再び首位へ。ウォレス・Jr.はピットでのセッティング変更に時間を要し7位に後退。
 111周目に再スタートからわずか2周で再びスピン車両によりコーション。ここで上位勢はピットに向かわず、再スタート後は首位のジョーンズが2位のクラフトンを引き離し、J.H.ネメチェクがこれに続く展開となった。
 好調なジョーンズが、2位クラフトンに1秒ほどの差をつけた125周目、再びサーキット周辺が停電に見舞われ、コース上は突然非常灯のみの暗闇に。レースは赤旗中断となり、126周を持って終了、成立とすることが決まった。
 この結果、ジョーンズが昨年に続く2連勝で今季4勝目。カイル・ブッシュ・モータースポーツにとっては、1シーズンのチーム勝利数でシリーズ新記録更新となる13勝目を挙げた。
 2位にクラフトン、ウォレス・Jr.が6位、J.H.ネメチェクが7位、ソーターが9位でトップ10フィニッシュを果たした。今大会がシリーズデビュー戦となった尾形は序盤駆動系のトラブルに見舞われ、29位でレースを終えた。
 今大会の結果、ドライバーズランキングでは首位クラフトンが2位との差を25ポイントと広げた。、クラフトンは次戦最終戦ホームステッドで19位以上でフィニッシュすれば、2年連続のドライバーズタイトル獲得が決まる。オーナーズポイントでは首位につけるカイル・ブッシュ・モータースポーツの51号車をクラフトンの88号車が18ポイント差で追っており、3位の29号車(フォード)とは43ポイント離れているため、"トヨタ タンドラ"のオーナーズタイトルはほぼ確定となった。

 シーズン最終戦となる次戦第22戦は11月14日(金)にホームステッド・マイアミ・スピードウェイで開催される。

ドライバー エリック・ジョーンズ:
「(昨年自身初勝利を挙げたフェニックスで)再び勝つことが出来て本当に嬉しい。今年は自分にとって最高の一年であり、2015年シーズンへと良い勢いで臨むことが出来る。今日の我々の"トヨタ タンドラ"は最高だった。トヨタやチームに感謝したい。チームのシーズン勝利記録を更新出来たことも素晴らしい。レースは短縮終了してしまったが、予定通りに残り周回も走りたかった。我々の"トヨタ タンドラ"はレースを支配していたし、結果は変わらなかったはずだ」

ドライバー マット・クラフトン:
「レースが続いていれば1000パーセント間違いなく彼(エリック・ジョーンズ)をパス出来たはずだ。51号車(ジョーンズ)はロングランでは最速だった。最後のイエローコーションで我々は若干の調整を行い、続く再スタートで彼をかわすつもりだった。しかし、残念なことに再び停電でコースのライトが消えてしまい、レース続行は不可能になってしまった。気を取り直して、最終戦ホームステッドも勝つつもりでアタックしていく。我々のゴールは、開幕戦デイトナからずっと、ポイント獲得では無く、レースに勝つことだった。いくつかのレースでは首位走行中にタイヤのバーストなどの不運に見舞われたり、その他のレースでも何度も2位フィニッシュに終わり、今季は2勝しかしていない。最終戦では是非勝利を挙げてタイトルを決めたい」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 1 51 エリック・ジョーンズ トヨタ タンドラ 126
2 2 88 マット・クラフトン トヨタ タンドラ 126
3 19 0 コール・カスター シボレー 126
6 9 54 ダレル・ウォレス・Jr. トヨタ タンドラ 126
7 8 8 ジョン・ハンター・ネメチェク トヨタ タンドラ 126
9 14 98 ジョニー・ソーター トヨタ タンドラ 126
19 10 17 ティモシー・ペターズ トヨタ タンドラ 124
25 13 13 ジェブ・バートン トヨタ タンドラ 102
26 24 77 ジャーマン・キロガ・Jr. トヨタ タンドラ 83
29 28 35 尾形明紀 トヨタ タンドラ 45
33 22 5 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ タンドラ 1
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
4 ジョニー・ソーター トヨタ 739
5 ティモシー・ペターズ トヨタ 705
7 ジャーマン・キロガ・Jr. トヨタ 654
9 ジェブ・バートン トヨタ 648
15 ジョン・ウェス・タウンリー トヨタ 490
17 エリック・ジョーンズ トヨタ 426
20 ジョー・ネメチェク トヨタ 377
23 ジョン・ハンター・ネメチェク トヨタ 337
37 ブライアン・イックラー トヨタ 122
45 クリス・フォンテイン トヨタ 62
62 ペイトン・セラーズ トヨタ 27
79 尾形明紀 トヨタ 15
80 ジャスティン・ボストン トヨタ 14
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 トヨタ 981
2 シボレー 857
3 フォード 845
4 RAM 175