ファイナルラップの混乱で"トヨタ カムリ"無念の後退
デニー・ハムリンが9位フィニッシュ
NASCAR最長、タラデガのスーパースピードウェイで開催されたスプリント・カップ・シリーズは、最後まで3台の"トヨタ カムリ"がトップ10でのバトルを繰り広げていたが、ファイナルラップの混乱で後退。デニー・ハムリンが9位に終わった。エクスフィニティ・シリーズでは若手勢はクラッシュに巻き込まれ、最後までベテラン勢が健闘。J.J.イェリーが4位でフィニッシュした。
NASCAR SPRINT CUP SERIES
第10戦 GEICO 500
開催日:5月3日
ファイナルラップの混乱で"トヨタ カムリ"無念の後退
デニー・ハムリンが9位フィニッシュ
"トヨタ カムリ"は3台が最後まで首位を争うも、デニー・ハムリン(#11)が9位
5月3日(日)、米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第10戦「GEICO 500」が開催された。
NASCARのレースが開催されるオーバルコースでは最長の1周2.66マイル(約4.3km)と33度というハイバンクを持つタラデガは、リストリクター・プレートという吸気量を制限するパーツを装着することで馬力と最高速を制限する。このため、全周を通してほぼ全開、ドラフティングと呼ばれる、空気抵抗を低減するために他の車両と隊列走行するテクニックが重要となる。
また、ハイスピードでの接近戦となるため、僅かな車両の乱れなどをきっかけに多くの車両が巻き込まれる多重クラッシュ"ビッグワン"が起こりやすい。
年に2回シリーズ戦が行われるタラデガでは、トヨタはこれまでに3勝。昨年の春にはデニー・ハムリンが勝利を挙げている。秋の大会は"チェイス"の1戦でもあり、それに向けた準備という意味でも重要な一戦となる。
1日(金)の2度の練習走行を経て、2日(土)正午より予選が行われ、マット・ケンゼスが8番手、エクスフィニティ・シリーズの開幕戦での負傷により欠場しているカイル・ブッシュに代わり18号車を駆るデイビッド・レーガンが9番手。クリント・ボウヤーが10番手、ハムリンが17番手、カール・エドワーズが22番手につけ、8台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
3日(日)午後0時21分、2.66マイルスーパースピードウェイを188周(500.08マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタートした。
スタートしてまもなく隊列は3列に。22番手スタートのエドワーズが一気にポジションを上げ上位へ。
3列で周回が重ねられていった18周目、中団グループの1台がスピン。今大会スポット参戦しているマイケル・ウォルトリップがその直後にいたため避けられず追突。この日最初のイエローコーションとなった。
全車ピットに向かい、エドワーズが5位、レーガンが8位、ケンゼス、ハムリンは13位前後でピットアウト。再スタート後は隊列を入れ替えながらのバトルが続き、ここではケンゼスとハムリンがポジションアップ。エドワーズはハンドリング不調に見舞われ後退。
47周目、第2ターンの立ち上がりで3ワイドから4ワイド状態になろうかというバトルの中で、中央の車両がバランスを崩し、これを避けようとした後続が大混乱に。15台が巻き込まれる"ビッグワン"が発生した。このクラッシュには、20位前後を争っていたレーガンとマット・ディベネデットが巻き込まれてしまった。
このクラッシュによる車両の排除とコース清掃のためにレースは赤旗中断。11分間の中断の後にレースは再開された。
再開後のイエローコーション中に全車ピットへ向かい、再スタート後には再び3ワイドでのバトルが再開された。エドワーズ、ケンゼス、ハムリンの3台は順位を入れ替えながらも上位争いを展開。104周目にはハムリンが首位を奪った。
レースが後半に入ると、ボウヤーも順位を上げ、残り40周の時点ではエドワーズがアウト側の先頭、そのすぐ後にボウヤー、そのイン側にはハムリンと、"トヨタ カムリ"が上位を争うことに。ケンゼスは他車との接触でハンドリングに不調をきたし後退。
155周目、前のコーション時のピットから35周が過ぎ、フィニッシュまで残り33周となったところで、上位勢がグリーンピット開始。2位につけていたエドワーズもここでピットへ向かった。
翌周にはボウヤーもピットへ。しかし、同じタイミングでピットインしようとした車両から出火。イエローコーションが出された。
まだピットインしておらず、首位に立っていたハムリンを含む上位勢がここでピットへ。先にピットインしていたエドワーズらは周回遅れになっていなかったため、コースに残り、エドワーズが6位、ハムリン10位、ボウヤー11位で残り26周の再スタートとなった。
3ワイドでの激しいポジション争いの末に、一番アウト側のラインが伸び、その中にいたハムリンが4位。中央列の1,2位につけていたボウヤーとエドワーズはやや遅れ、その隊列の後方、10位前後でついて行く形となった。
イエローコーションは出ないまま、"トヨタ カムリ"3台を含む上位10台の隊列が後続を1秒近くも引き離す形となったが、残りが10周を切ると、この後続勢が猛追。再び20台以上に及ぶ長い列となり、全車終盤の逆転のチャンスを伺うこととなった。
ハムリン4位、ボウヤー9位、エドワーズ10位の長い隊列のまま周回が重ねられたが、残り2周、ファイナルラップを示すホワイトフラッグを目前に各車ラインを変え、最後のバトルに。
ファイナルラップに入った第1ターンで3ワイドとなり、第2ターンに入ったところで、エドワーズが後方から接触され、バランスを崩しスピン。他の車両はこれを避けたが、第2ターン立ち上がりでも別車両がスピンし、後方は混乱状態に。
しかし、イエローコーションは出されず、上位勢はそのままチェッカー。ハムリンはクラッシュには巻き込まれなかったものの、最後の逆転を狙ってのライン変更で後方支援が得られず、9位でチェッカーとなった。
最後のクラッシュに巻き込まれたボウヤーとエドワーズは30位、32位に終わった。
次戦第11戦は5月9日(土)、米国中西部カンザス州カンザスシティのカンザス・スピードウェイで行われる。
TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。
ドライバー デニー・ハムリン:
「最後の1周は味方の助けが欲しかったが、チームメイトはクラッシュに巻き込まれていた。ライバルは台数が多く、彼らの中で最善を尽くすしかなかった。我々の"トヨタ カムリ"にはかすり傷一つ無く、そういう意味で素晴らしい一日だったが、勝ちたかった。最後のライン変更は勝とうとした結果だ。いつもなら残り10周くらいから複数のラインになるはずだが、今日は最後まで1列だった。それはちょっと驚きだったが、それだけライバルチームが列の上位を占めていたということだ」
ドライバー クリント・ボウヤー:
「最後は何が起こったのかわからない。最後の数周まで、上位フィニッシュ出来るはずだった。よく分からないが、誰かが突っ込んできて、どうすることも出来なかった。チームが素晴らしい"トヨタ カムリ"を与えてくれただけに残念だ」
ドライバー カール・エドワーズ:
「我々の"トヨタ カムリ"は本当に好調だった。ファイナルラップのターン1で後続車に押されてスピンしてしまった。残念だ。我々は良いレースが出来ていたし、トップ5には入れる速さがあると感じていた。全体的に見て、素晴らしいパフォーマンスを見せられたと思うが、望んでいた結果は得られなかった。来週は大好きなカンザスだ。この悪い流れを断ち切り、勝ちに行く」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | 周回 | No. | ドライバー名 | 車種 | ||
1 | 4 | 188 | 88 | デイル・アーンハート・Jr. | シボレー | ||
2 | 5 | 188 | 48 | ジミー・ジョンソン | シボレー | ||
3 | 7 | 188 | 27 | ポール・メナード | シボレー | ||
9 | 17 | 188 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | ||
14 | 42 | 188 | 23 | J.J.イェリー | トヨタ カムリ | ||
18 | 43 | 188 | 83 | マット・ディベネデット | トヨタ カムリ | ||
25 | 8 | 188 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | ||
30 | 10 | 188 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | ||
32 | 22 | 188 | 19 | カール・エドワーズ | トヨタ カムリ | ||
36 | 23 | 151 | 55 | マイケル・ウォルトリップ | トヨタ カムリ | ||
38 | 9 | 123 | 18 | デイビッド・レーガン | トヨタ カムリ | ||
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NASCAR XFINITY SERIES
第9戦 Winn Dixie 300NASCAR XFINITY SERIES
開催日:5月2日
J.J.イェリーが4位フィニッシュ
ベテランのJ.J.イェリー(#28)がトヨタ勢最上位の4位でフィニッシュ
5月2日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第9戦「Winn Dixie 300」がタラデガ・スーパースピードウェイで開催された。
年1回シリーズ戦が行われるタラデガでは、トヨタは参戦以来8年間で4勝。昨年の大会でも勝利を飾っている。
1日(金)に練習走行を行い、2日(土)決勝を前に午前10時より予選開始。18歳のエリック・ジョーンズが4番手。開幕戦で負傷し、欠場中のカイル・ブッシュに代わり54号車を駆るのはロードコーススペシャリストとしても知られる、52歳のベテラン、ボリス・セイド。そのセイドが5番手、23歳のメキシコ人ルーキー、ダニエル・サレスが6番手で続き、12台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
予選後、カップ・シリーズの予選を経て、午後2時19分に2.66マイルスーパースピードウェイを113周(300.58マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。スタートが切られてすぐに、首位の車両がコースオフ。後続も混乱状態となり、いきなりのイエローコーション。トヨタ勢は巻き込まれなかったが、すぐ後方にいたジョーンズとセイドは混乱を避けるためにポジションダウン。サレスが2位、ジョーンズは20位、セイドは22位で再スタート。
最前列のサレスが好スタートを切り、首位に立つも、3ワイド状態となった隊列で後続に恵まれず、一気に後退。僅か半周で首位から25位近くまで順位を落としてしまった。
サレス、ジョーンズ、セイドの3台は同じラインで周回。イエローコーションが出ない展開となり、35周目あたりからグリーンピットが始まったが、ここでピットに向かったサレスは痛恨のピットロードスピード違反。ドライブスルーのペナルティを受けるべく2度目のピットロードを通過中に他車のクラッシュによりイエローコーション。
各車再度の給油ピットを行い、ジョーンズが12位、セイド14位、サレス26位で47周目に再スタートが切られた。
セイドはトップ10へ浮上。ジョーンズとサレスも第2グループでの3ワイドバトルに。
残り周回が40周を切ると、最後の給油へ向け、この日2度目となるグリーンピットが開始。トヨタ勢ではまずセイドがピットへ。約半分の車両がグリーンピットを終えたあたりで、続いてピットへ向かおうとした車両との交錯で"ビッグワン"が発生。10台以上が巻き込まれたこの多重クラッシュで、サレスも車両に大きなダメージを負ってしまった。
車両排除のため8分ほどの赤旗中断となり、再開後、各車ピットへ。ジョーンズも車両前部にダメージを負っており、これを修復。ジョーンズは首位と同一周回でコースに復帰したが、サレスは修復に時間を要し、2周遅れでの復帰となってしまった。
上位車両にピットロードスピード違反ペナルティが科されたことで、セイドがイン側最前列の2位、ジョーンズ20位で再スタート。
再スタート後、シリーズレギュラーのベテラン、デイビッド・スターがアウト側の先頭へ。若きチームメイトのケール・コンリーの後押しを得て、アウトから首位を奪った。
その直後に、コース上の異物でイエローコーション。ここでは誰もピットに向かわず、イン側にスター、コンリー、セイドと続いて再スタート。2列の周回がやや崩れたタイミングで、アウト側から追い上げてきたのはこちらもベテランのJ.J.イェリー。イェリーがトップに立った直後、スターとセイドの間に挟まれバランスを崩したコンリーがスピン。イン側の壁にヒットし、イエローコーションとなった。
イェリー2位、スター7位、セイド10位、ジョーンズ20位で残り21周での再スタート。当初イェリーはアウト側の先頭を走行していたが、後続のプッシュが受けられなくなると後退。スターと共に8位、9位あたりへと後退し、3ワイド、時に4ワイドの中団グループに飲み込まれた。
99周目、3ワイドの接近戦でめまぐるしく順位が入れ替わっていた中団グループで、この日2度目となる"ビッグワン"が発生。レースは残り8周での戦いに。
イェリー8位、スター9位、ジョーンズ12位、セイド15位での再スタートとなったが、ジョーンズは、先の多重クラッシュの際に受けたダメージで、冷却水系にトラブルを抱えており、ここでついにオーバーヒートでストップ。レースを終えることとなってしまった。
イェリーはアウト側4番手のポジションをキープしたままファイナルラップへ。ファイナルラップの最終コーナー立ち上がりで、上位10台程が一気に広がり激しい首位争いに。互いにけん制しあう2位争いの隙を突き、そのアウトに回ったイェリーは、サイド・バイ・サイドの3ワイド状態でチェッカーへ。惜しくも届かなかったものの4位でフィニッシュ。NASCAR参戦12年目のベテランが、昨年の第14戦以来となるトップ5フィニッシュを果たした。
約1年ぶり2戦目の参戦となる44歳のベニー・ゴードンが13位。47歳のスターが14位、セイドが16位と、トヨタ勢ではベテランの活躍が目立ったレースとなった。
次戦第10戦は5月17日(日)、米国中部アイオワ州ニュートンのアイオワ・スピードウェイで行われる。
TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。
ドライバー J.J.イェリー:
「予想以上に良い結果だ。今日乗った"トヨタ カムリ"は、開幕戦デイトナで壊してしまった車両だが、当時も非常に速かった。ただ、イン側のラインではそれほど良くなく、アウト側を走らざるを得なかった。幸運なことに再スタートのたびにアウト側につけられた。ひたすらプッシュし続けた。レースが半分を過ぎた頃にはトップ5は狙えると思っていた。4位フィニッシュは嬉しい」
リザルト
決勝結果 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 予選 | 周回 | No. | ドライバー名 | 車種 | ||
1 | 16 | 113 | 22 | ジョーイ・ロガーノ | フォード | ||
2 | 3 | 113 | 2 | ブライアン・スコット | シボレー | ||
3 | 1 | 113 | 33 | オースティン・ディロン | シボレー | ||
4 | 27 | 113 | 28 | J.J.イェリー | トヨタ カムリ | ||
13 | 25 | 113 | 17 | ベニー・ゴードン | トヨタ カムリ | ||
14 | 18 | 113 | 44 | デイビッド・スター | トヨタ カムリ | ||
16 | 5 | 113 | 54 | ボリス・セイド | トヨタ カムリ | ||
21 | 34 | 113 | 24 | エリック・マクルーア | トヨタ カムリ | ||
23 | 24 | 113 | 8 | ブレイク・コッホ | トヨタ カムリ | ||
24 | 26 | 113 | 14 | ケール・コンリー | トヨタ カムリ | ||
30 | 4 | 105 | 20 | エリック・ジョーンズ | トヨタ カムリ | ||
31 | 6 | 101 | 18 | ダニエル・サレス | トヨタ カムリ | ||
34 | 23 | 98 | 19 | マイク・ブリス | トヨタ カムリ | ||
38 | 22 | 72 | 26 | ケニー・ウォレス | トヨタ カムリ | ||
40 | 30 | 3 | 10 | チャールズ・ルワンドスキ | トヨタ カムリ | ||
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