降雨順延で深夜3時チェッカー
デニー・ハムリンが惜しくも3位フィニッシュ
開幕戦に続く聖地デイトナでの開催。降雨で大きく遅れて深夜にスタートしたスプリント・カップ・シリーズ戦は"ビッグ・ワン"が多発し、フィニッシュ直後にも多数が巻き込まれる波乱のレースとなったが、最後まで首位を争ったデニー・ハムリンが3位フィニッシュ。エクスフィニティ・シリーズも終盤の多重クラッシュに巻き込まれたが、3台の"トヨタ カムリ"がトップ10フィニッシュを果たした。
NASCAR SPRINT CUP SERIES
第17戦 Coke Zero 400
開催日:7月5日
降雨順延で深夜3時チェッカー
デニー・ハムリンが惜しくも3位フィニッシュ
3位フィニッシュを果たしたデニー・ハムリン(#11)と、中盤まで首位を争ったが惜しくも接触で23位フィニッシュに終わったマット・ケンゼス(#20)
7月5日(日)、米国南東部フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第17戦「Coke Zero 400」が開催された。
デイトナでのレースは開幕戦「デイトナ500」に続いて今季2戦目となるが、今大会は400マイルとやや短い距離で戦われる。
1周2.5マイルと長いデイトナは、タラデガと並んでスーパースピードウェイと呼ばれ、リストリクター・プレートという吸気量を制限するパーツで出力を抑える。それでも最高速度は320km/hに達するが、空気抵抗による影響が大きくなるため、ドラフティングと呼ばれる、複数台が前後に連なって空気抵抗を低減するテクニックが重要となる。
また、このドラフティングによる超接近戦で、クラッシュが発生すると多くの台数が巻き込まれる"ビッグ・ワン"となることも多い。レースの最後まで生き残ることを考慮した戦略も時には採られる。
4日(土)夕方に予定されていた予選は、セッション開始直前からの雷雨によりキャンセル。規則により、前日3日(金)に行われた練習走行1回目のタイムでグリッドが決定された。この結果、トヨタ勢ではクリント・ボウヤーが3番手、デイビッド・レーガンが8番手、カイル・ブッシュが13番手、マット・ケンゼスが20番手、カール・エドワーズが24番手、デニー・ハムリンは35番手からのスタート。9台の"トヨタ カムリ"が決勝に進んだ。
5日(日)も降雨に見舞われ、午後8時頃予定されていたスタートはディレイに。夜が更けていく中、雨が止むのを待ち、"トヨタ タンドラ"が搭載する「エア・タイタン2.0」でコース路面を乾燥。予定よりも約3時間遅れた午後11時42分、深夜にもかかわらずグランドスタンドに残った多くのファンが見守る中、2.5マイルオーバルを160周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
3周目、3番手スタートから上位を争っていたボウヤーの前に出ようとした車両が接触し、スピン。ボウヤーの車両も軽いダメージを負ったが、そのまま走行。一方で、スピンした車両を避けようと後続は大混乱となり、3周目にして早くも"ビッグ・ワン"が発生した。
9周目に再スタートが切られ、トヨタ勢は各車徐々にポジションを上げていった。そんな中、10位前後を争っていたカイル・ブッシュが19周目に前走車をパスしようとした際にバランスを崩し、壁にヒット。大きなアクシデントには至らなかったため、イエローコーションは出されなかったが、カイル・ブッシュの車両は修復のためにピットインを強いられ、2周遅れとなってしまった。
25周目にコンペティション・コーションが出され、全車ピットへ。この間にカイル・ブッシュは1周回取り戻すと共に、更に修復を重ねた。首位を争う位置まで浮上していたハムリンとエドワーズ、ケンゼスの3台は6,7,8番手で再スタートを切ると、スーパースピードウェイならではの、順位が激しく入れ替わる接近戦を展開。
しかし、上位を争っていたエドワーズは、53周目の最終第4ターンでスピンを喫し、イン側の壁に軽くヒット。イエローコーションに。このコーションでカイル・ブッシュが"ラッキー・ドッグ"を獲得し、首位と同一周回に復帰したが、今度はエドワーズが修復のために周回遅れとなってしまった。
58周目に再スタートが切られたが、すぐにスピン車両により再びコーションに。このコーションでエドワーズは"ラッキー・ドッグ"を獲得。コーションのたびに修復を続けるカイル・ブッシュ、戦略により後方につけるレーガン、ボウヤーと共に隊列の後方に付け、ケンゼスとハムリンがトップ10前後から上位を伺う中盤戦となった。
レースが折り返しを迎える頃には、ケンゼスがアウト側隊列から順位を上げていき、79周目に首位へ。
86周目、13位前後を走行していたエドワーズの直前の車両がスピン。バランスを崩した前走車に接触され、ハーフスピンを喫したエドワーズは、なんとか立て直そうとしたが、スローダウンしてアウト側にはらんでいったところに、後続車が激しく突っ込み、この日2度目の"ビッグ・ワン"に。エドワーズの車両のダメージは大きく、ここでレースを終えることとなってしまった。
このコーションで全車ピットに向かい、ハムリンが2位、ケンゼス10位で再スタート。再スタート後、ハムリンは首位を奪取。ケンゼスも順調にトップ5へとポジションアップ。しかし、105周目、ケンゼスは後続車両から接触されスピン。この影響で後続が大混乱となり、11台が絡む、この日3度目の"ビッグ・ワン"に。
コース清掃のための長いイエローコーションの後、115周目に再スタート。9位で再スタートしたハムリンは、巧みにラインを移りながら順位を上げ、3位へ。また、前半戦は後方につけていたボウヤーとレーガンもポジションを上げ、トップ争いに加わった。
127周目にクラッシュ車両によりこの日7度目のイエローコーションが出され、133周目に再スタート。5位につけていたレーガンはポジションアップを狙いラインを変えたが、後続に恵まれず、一気に後退。20位前後まで順位を落とし、再び追い上げていたレーガンだったが、148周目、ターン2立ち上がりでスピンを喫し、バックストレートのグラスエリアにコースオフ。この日8度目のイエローコーションに。
155周目にもクラッシュによるコーションが発生し、レースは残り2周、"グリーン・ホワイト・チェッカー"で決されることに。
ハムリン3位、ボウヤー9位で再スタートが切られると、ハムリンは首位を猛追。首位のすぐ後でサイド・バイ・サイドの2位争いを展開した。
ファイナルラップ、最終ターンを立ち上がり、首位がフィニッシュラインを越えた直後、ハムリンは後続にプッシュされてスピン。スピン状態のままチェッカーを受けることに。このスピンを受け、最後の逆転へ向け大きく広がってチェッカーへダッシュしていた各車は大混乱。この日4度目の"ビッグ・ワン"での幕切れに。巻き込まれた一台は舞い上がり、観客席とコースを隔てるキャッチフェンスに激突、逆さまになってコース上に停止するという、大きなアクシデントとなった。幸いにも、ドライバー、観客共に大事には至らなかった。
この混乱の幕切れで、ハムリンは3位、ボウヤーが10位、レーガンが12位でフィニッシュ。カイル・ブッシュは車両を修復しながらの苦しい戦いながら17位で走り抜き、ランキングでの37位は変わらないものの、30位とのポイント差は128ポイントと僅かに詰めることとなった。
深夜、日付が変わる少し前にスタートが切られた今レースは、3時間の波乱の戦いを終え、午前3時前に幕を閉じた。
次戦第18戦は7月11日(土)、米国中東部ケンタッキー州スパルタのケンタッキー・スピードウェイで行われる。
TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。
ドライバー デニー・ハムリン:
「最後はフィニッシュラインを越えるか越えないかのところで後続がプッシュしてきた。彼は私と共に逆転を狙っていたんだと思うが、結果多重クラッシュを引き起こしてしまった。クレイジーだが素晴らしいフィニッシュだったことは確かだ。"ビッグ・ワン"がいつか起こるだろうことは分かっていた。我々はそれを避けて最後まで生き残り、チームと共に強力なライバルと戦った。ライバルは車両が速いだけでなく、ドライバーも素晴らしく、彼らが組んでの走行を破るのは容易ではなかった。彼らの中に割って入って最後までバトルが出来たことに満足しており、良い一日だった」
ドライバー クリント・ボウヤー:
「(最後のクラッシュでは)彼(オースティン・ディロン:シボレー)が上を飛び越えていった。その下をくぐり、私の前に小さな空間が出来たことに、神に感謝した。このワイルドなレースもデイトナならではだし、NASCARというスポーツの一部だ。我々は追い上げ、着実にフィニッシュした。狙った通りの速さではなかったかも知れないが、まずまずの一日だった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 1 | 88 | デイル・アーンハート・Jr. | シボレー | 161 | ||
2 | 12 | 48 | ジミー・ジョンソン | シボレー | 161 | ||
3 | 35 | 11 | デニー・ハムリン | トヨタ カムリ | 161 | ||
10 | 3 | 15 | クリント・ボウヤー | トヨタ カムリ | 161 | ||
12 | 8 | 55 | デイビッド・レーガン | トヨタ カムリ | 161 | ||
17 | 13 | 18 | カイル・ブッシュ | トヨタ カムリ | 161 | ||
23 | 20 | 20 | マット・ケンゼス | トヨタ カムリ | 161 | ||
26 | 41 | 83 | マット・ディベネデット | トヨタ カムリ | 161 | ||
33 | 39 | 23 | J.J.イェリー | トヨタ カムリ | 139 | ||
36 | 40 | 26 | ジェブ・バートン | トヨタ カムリ | 121 | ||
41 | 24 | 19 | カール・エドワーズ | トヨタ カムリ | 85 | ||
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NASCAR XFINITY SERIES
第15戦 Subway Firecracker 250
開催日:7月4日
"トヨタ カムリ"は3台がトップ10フィニッシュ
上位を争うも終盤2回の"ビッグ・ワン"に泣く
残り4周での"ビッグ・ワン"に巻き込まれるも7位、8位でフィニッシュしたデイビッド・レーガン(#20)とエリック・ジョーンズ(#54)
7月4日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第15戦「Subway Firecracker 250」がデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された。
同シリーズのデイトナ戦は年に2戦行われるが、トヨタはこれまでに4勝を挙げている。
3日(金)の2度の練習走行を経て、4日(土)決勝を前に、午後2時35分より予選開始。今季よりスーパースピードウェイでのみ採用された、1台ずつ、2ラウンドノックアウト方式の予選アタックで、今季初のフルシーズン参戦となった23歳のメキシコ人ドライバー、ダニエル・サレスが自身キャリア初となるポールポジションを獲得。スプリント・カップ・シリーズのレギュラーで、今大会スポット参戦となるデイビッド・レーガンが3番手。キャンピング・ワールド・トラック・シリーズにフル参戦している19歳のエリック・ジョーンズが5番手で続き、10台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
エクスフィニティ・シリーズの予選に続き、午後4時過ぎから行われるはずだったカップ・シリーズの予選時は雷雨に見舞われ、キャンセルに。この雨の影響でエクスフィニティ・シリーズの決勝スタートも順延。
雨が止んだ後、コース乾燥作業を経て、予定より1時間ほど遅れた午後8時51分、2.5マイルオーバルを100周(250マイル:約400km)する決勝レースのスタートが切られた。
ポールポジションのサレスはイン側からのスタートで首位をキープするも、2列となった隊列のバトルの中で先行を許し、4位に後退。上位勢が1列になりかけた3周目、スピン車両によりイエローコーション。9周目にも37番手スタートから29位まで順位を上げていたケール・コンリーがスピンを喫するなど序盤からコーションが連発。
15周目には接触によるコーションが出され、レース前の雨による路面とタイヤの状況をチェックすべく20周目に予定されていたコンペティション・コーションはこのコーションをもって消化されることに。ここで全車ピットへ。
このピットでは戦略が分かれ、無給油組が先行。給油のみのピットインとしたサレスは6位、2本タイヤを交換したレーガンが10位、同じく2本交換のジョーンズは15位での再スタートとなったが、まもなくレーガンとジョーンズはサレスに追いつき、"トヨタ カムリ"が3台連なってトップ10圏内での上位争いを展開した。
序盤はコーションが連発したが、3回目のコーションの後はグリーン下での走行が続くこととなり、スーパースピードウェイらしく、20数台が一団となっての周回が続いた。
56周目からグリーン下でのピットイン開始。そこから数周にわたってグリーンピットが繰り広げられ、全車がピットを終えた時点で、サレス、レーガン、ジョーンズがトップ10圏内。ピット作業時間の差もあり、上位12台ほどが抜け出して周回遅れをかわしていく展開となった。
81周目、周回遅れとなっていたコンリーがこの日2度目のスピン。コーションが出されたが、サレス、ジョーンズ、レーガンを含む上位勢はピットインせず。燃料をセーブし、重要なコース上のポジションを維持。残り20周ほどでのバトルへと備える作戦に。
ジョーンズ7位、レーガン9位、サレス10位で残り15周での再スタートが切られると、3ワイドでの激しい上位争いが展開。イン側で4,5列目に連なったジョーンズとレーガンは、イン側の隊列が伸びたこともあり、4位、5位へ。一方でアウト側隊列のサレスは、3列の中央列で前走車に阻まれ、ポジションダウン。
3列のまま、超接近戦での周回が数周にわたって続いたが、90周目、6位あたりを争っていた3ワイドバトルの中で接触が発生し、この日最初の"ビッグ・ワン"に。先行していたジョーンズとレーガンの後方で起こったこの多重クラッシュに、中央隊列の2番手、まっただ中にいたサレスが巻き込まれてしまった。
コース清掃のため、レースは赤旗中断に。10分ほどの中断の後に再開され、ジョーンズ4位、レーガン5位、そしてこの多重クラッシュをかわしたベテランのデイビッド・スターが8位、タラデガに続く今季2戦目の出場となったベニー・ゴードンが11位につけ、残り5周での再スタート。サレスはメカニックによる懸命の修復でコースに復帰したが、周回遅れとなってしまった。
再スタート後、ジョーンズとレーガンはイン側の3,4番手につけ、スターはアウト側。2列の隊列を保ったままの周回が続くかと思われたが、首位の車両がラインを変えようとした際に後続と接触し、スピン。トップのスピンに、後続は大混乱となった。
ジョーンズは接触を喫したものの立て直し、そのまま走行を続行。レーガンも後続から接触されスピン。スターは激しく壁にヒット、車両に大きなダメージを負い、惜しくもここでレースを終えることとなってしまった。
ジョーンズとレーガンはダメージ修復のため複数回のピットイン。しかし、既に首位と同一周回は僅か9台。この中に残っていたゴードンが6位、ジョーンズ8位、レーガン9位で、最後の2周"グリーン・ホワイト・チェッカー"に臨むことに。
追い上げを狙った"トヨタ カムリ"勢だったが、惜しくも及ばず、ゴードンが5位、レーガンが7位、ジョーンズが8位でフィニッシュ。残り10周から連発した"ビッグ・ワン"でクラッシュに巻き込まれたトヨタ勢だが、3台がトップ10フィニッシュを果たした。
次戦第16戦は7月10日(金)、ケンタッキー・スピードウェイで行われる。
TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。
ドライバー デイビッド・レーガン:
「(最後のクラッシュは)首位につけていたブライアン・スコット(シボレー)がゲームで遊んでいるかのように左右に動いているのが見え、その後に壁にクラッシュした。それを避けるべくイン側へと逃げたが、クラッシュ後イン側に降りてきた車両に右リアをヒットされた。我々の"トヨタ カムリ"はとても速かった。最後まで問題なく走れれば勝てる感触があった。ダメージを負いながらも7位でフィニッシュ出来たのは幸運だ。ピットクルーは素晴らしい仕事でコースに戻してくれたし、これがスーパースピードウェイでのレースだ。"トヨタ カムリ"の速さは示せたと思う」
リザルト
決勝結果 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 7 | 33 | オースティン・ディロン | シボレー | 104 | ||
2 | 10 | 1 | エリオット・サドラー | フォード | 104 | ||
3 | 11 | 9 | チェイス・エリオット | シボレー | 104 | ||
5 | 20 | 66 | ベニー・ゴードン | トヨタ カムリ | 104 | ||
7 | 3 | 20 | デイビッド・レーガン | トヨタ カムリ | 104 | ||
8 | 5 | 54 | エリック・ジョーンズ | トヨタ カムリ | 104 | ||
11 | 18 | 26 | ティミー・ヒル | トヨタ カムリ | 103 | ||
15 | 1 | 18 | ダニエル・サレス | トヨタ カムリ | 103 | ||
18 | 22 | 8 | ブレイク・コッホ | トヨタ カムリ | 102 | ||
20 | 28 | 28 | J.J.イェリー | トヨタ カムリ | 101 | ||
24 | 39 | 24 | エリック・マクルーア | トヨタ カムリ | 100 | ||
29 | 25 | 44 | デイビッド・スター | トヨタ カムリ | 96 | ||
32 | 37 | 14 | ケール・コンリー | トヨタ カムリ | 95 | ||
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