2015年8月11日(火)配信

カイル・ブッシュが2位フィニッシュで"チェイス"圏内入り!

 今季2度目のロードコース戦として行われたワトキンス・グレンは燃費戦となったが、カイル・ブッシュが2位でフィニッシュし、"チェイス"入りの条件であるドライバーズランキング30位に浮上した。エクスフィニティ・シリーズではロードコーススペシャリストのベテラン、ボリス・セイドが4位でフィニッシュした。

NASCAR SPRINT CUP SERIES
第22戦 Cheez-It 355

開催日:8月9日

カイル・ブッシュが2位フィニッシュで"チェイス"圏内入り!

2位でフィニッシュし
2位でフィニッシュし"チェイス"圏内に浮上したカイル・ブッシュ(#18)

 8月9日(日)、米国東部ニューヨーク州ワトキンス・グレンのロードコース、ワトキンス・グレン・インターナショナルでNASCARスプリント・カップ・シリーズ第22戦「Cheez-It 355」が開催された。
 今大会は、年に2回開催されるロードコース戦の2戦目となる。ワトキンス・グレンは60年代、70年代にはF1グランプリも開催された伝統のコース。丘陵地帯に位置し、アップダウンに富んだレイアウトが特徴。このコースではカイル・ブッシュがトヨタに過去2勝をもたらしている。

 7日(金)に2度の練習走行を行い、8日(土)午後1時15分より予選を実施。カイル・ブッシュが8番手、デニー・ハムリンが13番手、カール・エドワーズが15番手、クリント・ボウヤーが18番手、デイビッド・レーガンが19番手で続き、9台の"トヨタ カムリ"が決勝へ進んだ。

 9日(日)午後2時23分、1周2.45マイルのロードコースを90周(220.5マイル:約355km)して競われる決勝レースが"トヨタ カムリ"のペースカーによる先導の後にスタート。8番手スタートのカイル・ブッシュが序盤から好調な走りを見せ、2周目には5位、5周目には4位へとポジションアップ。
 ワトキンス・グレンでは、燃料をフルに入れた状態で約30周走ることが出来、グリーンピットでも周回遅れになりにくいため、ピット戦略も重要となる。レース前のフォーメーションラップでの周回もあり、23周目あたりからグリーンピットが始まった。
 25周目、15,16位走行中のエドワーズとレーガンがグリーンピットに向かった直後にコース上の異物によりこの日最初のイエローコーション。ここでグリーンピットしていなかった全車がピットへ向かった。この幸運なコーションのタイミングにより、レーガンが3位、エドワーズは4位に浮上。一方で、ハムリンはピットでのスピード違反のペナルティを科され、35位に後退。
 29周目に再スタートが切られたが、翌周、ハムリン車のボンネットが突然跳ね上がり、黒旗を提示されたハムリンはピットで修復を行うことに。グリーン下での予定外のピットとなったがクルーが迅速にボンネットを除去し、ハムリンはボンネットのないまま、周回遅れにはならずにコースに復帰した。
 その直後、ハムリン車の外しきれていなかった部品がコース上に落ちてしまったためイエローコーション。36周目に再スタートが切られると、8位のカイル・ブッシュが猛追を開始。43周目にはレーガンをかわし4位へポジションを上げた。
 レース折り返しを過ぎた46周目にクラッシュ車両によりイエローコーション。2位のエドワーズ、4位のカイル・ブッシュ、5位のレーガン、12位のケンゼスはコース上に残り、15位のボウヤーはピットへ。一時37位まで落ちながらも、ボンネット無しのまま25位まで追い上げていたハムリンはここでピットインし、新たなボンネットを装着した。
 50周目に再スタートが切られたが、その直後に中団の1台がエンジンブロー。コース上にオイルが出てしまったため、清掃のために9分間の赤旗中断となった。
 この赤旗の前のコーション時にケンゼスのみピットへ。25位へ後退。
 55周目に再スタートが切られると、3位のカイル・ブッシュが好ダッシュを決め2位のエドワーズをパス。更に前を追ったカイル・ブッシュは、テール・トゥ・ノーズでのバトルを展開。翌周の1コーナーで首位の車両がコースオフするも、パスには到らず。しかし、最終コーナーで並びかけると、2台はサイド・バイ・サイドでスライドしたまま立ち上がり、このバトルを制したカイル・ブッシュがついに首位を奪取した。
 57周目、コース上に車両が停止したためイエローコーション。のこり30周強という、微妙なタイミングでのコーションとなった。
 首位のカイル・ブッシュら上位勢はピットに向かったが、その前のコーションでピットインしていたケンゼスはここでコース上に残るギャンブルに。ハムリン、レーガンらもコース上に残り、ピットインした車両もタイヤ無交換、2本交換、4本交換と戦略が分かれ、大きく順位が入れ替わった。
 ケンゼスが首位、レーガンが6位、ハムリン7位、タイヤ2本交換のボウヤーが19位、4本交換したカイル・ブッシュとエドワーズは21位、24位で残り30周での再スタートとなった。
 ケンゼスは再スタート直後のS字コーナーでかわされ2位に後退。後方では、カイル・ブッシュが1周で15位へポジションアップ。68周目にはトップ10へ。上位勢が燃費走行を強いられる中、ボウヤーも70周目過ぎにはトップ10へと浮上した。
 燃料をセーブしながらも2位走行を続けてきたケンゼスだったが、残り8周でついに1台にかわされ3位に。残り5周を切ると、カイル・ブッシュがケンゼスをかわして3位に浮上した。
 全車懸命の燃費走行を続ける中、12位までポジションを落としていたハムリンが、ファイナルラップに入る直前、ついにピットイン。
 ファイナルラップ。首位を走行していた車両が、チェッカー目前の最終コーナーで燃料切れに見舞われスローダウン。これをかわしたカイル・ブッシュは2位でチェッカー。見事な燃費走行で37周近く走り切ったケンゼスは4位、ボウヤーが6位、エドワーズが8位と4台の"トヨタ カムリ"がトップ10フィニッシュを果たした。ケンゼスにとっては、長いキャリアにおいて、ワトキンス・グレンの最上位フィニッシュとなった。
 今大会の結果、カイル・ブッシュは待望のドライバーズランキング30位に入り、"チェイス"入りの条件を満たすことに。カイル・ブッシュの"チェイス"入りは、残り4戦を終えた時点で、ランキング30位以内にいることが必要となる。
 また、現時点での勝者数が11人。残り4戦全てで新たな勝者が出ても15名にしかならないこと、そしてランキング30位とのポイント差が200ポイント以上ある(4戦での最大獲得ポイントは192点)ことから、前戦確定していたケンゼスに続き、ハムリンとエドワーズも"チェイス"入りが確定した。
 ボウヤーは未勝利ながら"チェイス"ランキング16位につけており、このポジションを守れれば"チェイス"入りとなる。もちろん、ボウヤー及び、現在ランキング24位につけているレーガンも残り4戦で勝利を挙げることでの"チェイス"入りの可能性は残している。

 次戦第23戦は8月16日(日)、米国北東部ミシガン州ブルックリンのミシガン・インターナショナル・スピードウェイで行われる。

 TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

ドライバー カイル・ブッシュ:
「非常に楽しく、チャレンジングなレースだった。本当に素晴らしい"トヨタ カムリ"を仕上げてくれたチームや関係者に感謝する。チャンスはあった。更にプッシュして、前を行く22号車(ジョーイ・ロガーノ:フォード)とレースし、パスすることも出来ただろう。こちらの方が速いとは感じていた。しかし、クルーチーフは先週の燃料切れのこともあり、攻めない判断をした。正しい判断だったと思う。最後まで確実に走り切ることを選んだ。このポジションでフィニッシュすれば、"チェイス"圏内に入れることは分かっており、それも攻めなかった理由のひとつだ」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 16 22 ジョーイ・ロガーノ フォード 90
2 8 18 カイル・ブッシュ トヨタ カムリ 90
3 4 4 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 90
4 26 20 マット・ケンゼス トヨタ カムリ 90
6 18 15 クリント・ボウヤー トヨタ カムリ 90
8 15 19 カール・エドワーズ トヨタ カムリ 90
23 19 55 デイビッド・レーガン トヨタ カムリ 90
26 27 83 マット・ディベネデット トヨタ カムリ 90
27 13 11 デニー・ハムリン トヨタ カムリ 90
30 42 23 J.J.イェリー トヨタ カムリ 90
39 41 26 ジェブ・バートン トヨタ カムリ 88
選手権 ポイント表
"チェイス"争い順位(上位16台が"チェイス"入り)
順位ドライバー名メーカー勝利数ポイント
1 ジミー・ジョンソン シボレー 4 747
2 カイル・ブッシュ トヨタ 4 361
3 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 2 823
6 マット・ケンゼス トヨタ 2 703
10 デニー・ハムリン トヨタ 1 631
11 カール・エドワーズ トヨタ 1 589
16 クリント・ボウヤー トヨタ 0 612
25 デイビッド・レーガン トヨタ 0 461
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 ケヴィン・ハーヴィック シボレー 823
2 ジョーイ・ロガーノ フォード 781
3 デイル・アーンハート・Jr. シボレー 750
7 マット・ケンゼス トヨタ 703
10 デニー・ハムリン トヨタ 631
14 クリント・ボウヤー トヨタ 612
15 カール・エドワーズ トヨタ 589
24 デイビッド・レーガン トヨタ 461
30 カイル・ブッシュ トヨタ 361
36 マット・ディベネデット トヨタ 238
39 ジェブ・バートン トヨタ 125
43 ブライアン・ヴィッカーズ トヨタ 32
44 マイケル・ウォルトリップ トヨタ 26
45 マイク・ウォレス トヨタ 8
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 シボレー 981
2 フォード 911
3 トヨタ 906

NASCAR XFINITY SERIES
第20戦 Zippo 200

開催日:8月8日

ロードコーススペシャリストのボリス・セイドが4位

4位フィニッシュを果たしたボリス・セイド(#54)と、終盤までトップ10圏内を走りながらもクラッシュに終わったケニー・ハブル(#20)
4位フィニッシュを果たしたボリス・セイド(#54)と、
終盤までトップ10圏内を走りながらもクラッシュに終わったケニー・ハブル(#20)

 8月8日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第20戦「Zippo 200」がワトキンス・グレン・インターナショナルで開催された。
 エクスフィニティ・シリーズでは、カップ・シリーズよりも1戦多い、年間3戦のロードコース戦がスケジュールされている。今大会は8月中にブリストルを挟んで3戦行われるロードコース連戦の初戦となる。
 トヨタは同シリーズのワトキンス・グレンでは過去2勝を挙げている。

 7日(金)に2度の練習走行を行い、8日(土)決勝を前に午前11時15分より予選開始。8月のロードコース3戦にロードコーススペシャリストとして54号車で出場する52歳のベテラン、ボリス・セイドがトヨタ勢最上位の7番手を確保。今季よりシリーズフル参戦中の23歳のメキシコ人ドライバー、ダニエル・サレスが12番手。オーストラリア出身でロードレースを戦ってきた42歳のケニー・ハブルがこちらもロードコーススペシャリストとしてスポット参戦し、18番手グリッド。10台の"トヨタ カムリ"が決勝に進んだ。

 予選に続き、午後3時22分、1周2.45マイルのロードコースを82周(200.9マイル:約320km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
 序盤はセイドがトップ10圏内をキープする一方、サレスとハブルが徐々にポジションアップ。8周目に最初のイエローコーションが出されたが上位勢はピットインせず。再スタート後の16周目にはセイド9位、サレス10位、ハブル11位と連なっての序盤戦となった。
 20周目を過ぎるとグリーンピットが始まった。21周目、上位を争うトヨタの3台がピットに向かったのと同じタイミングでピットインした車両が、燃料給油缶が外れないままピットアウトし、ピットロード上に給油缶が転がったことでイエローコーション。セイド、サレス、ハブルの3台は、6,7,8位で再スタートを切った。
 その後、セイドとハブルはベテランロードコーススペシャリストらしい走りで、トップ10圏内をキープ。しかし、サレスはトランスミッションの不調に見舞われ徐々に順位を落とすこととなってしまった。
 レースが残り30周を切ると各車最後の給油を行うべくグリーンピットへ。トランスミッション不調により、予定外のピットを強いられたサレスは、一時は20位以下までポジションを落としたものの徐々に追い上げ、ピットタイミングもずれたために、54周目には2位に。残り22周というところでサレスがグリーンピットに向かうと、同じタイミングで25位を走行していたデイビッド・スターの右前タイヤがバースト。コース上に破片が出たためイエローコーションに。
 セイドが4位、ハブル8位、サレス14位で残り18周での再スタートとなったが、翌周にクラッシュが発生し再びコーション。
 残り12周での再スタートは激しいものとなり、中団グループでスピンとクラッシュが発生したが、コーションは出されず。これを上手く避けたサレスが11位まで一気にポジションを上げた。
 着実にトップ10圏内をキープしてきたハブルだったが、8位走行中の残り7周、最終コーナーで接触を喫し、スピン。そこに後続が突っ込み車両前部を大破。ピットへ向かったが、車両から出火し、惜しくもレースを終えることとなった。
 このアクシデントによるコースの清掃のために10分間の赤旗中断。レースは残り4周で再スタートに。
 セイド5位、ハブルのスピンを間一髪で避けたサレスが9位で再スタート。しかし、サレスはトランスミッションの不調が再発し、ポジションダウン。
 最後はひとつポジションを上げたセイドが4位でフィニッシュ。J.J.イェリーが12位。サレスは15位に終わった。

 次戦第21戦は8月15日(土)、米国北部オハイオ州レキシントンのロードコース、ミッドオハイオ・スポーツカー・コースで行われる。

 TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

ドライバー ボリス・セイド:
「トップ5フィニッシュを果たせ、とても良い気分だ。スポット参戦で結果を出すのは難しいものだが、4位フィニッシュというのは素晴らしい結果で、本当に喜んでいる。我々の"トヨタ カムリ"はとても速かった。こんなオールドドライバーにチャンスをくれたスポンサーや関係者に感謝している。30年もレースをやっているが、レースも、NASCARも愛している。ワトキンス・グレンは世界でも最も好きなコースのひとつだ。本当に素晴らしい一日だった」

リザルト

決勝結果
順位予選No.ドライバー名車種周回
1 1 12 ジョーイ・ロガーノ フォード 82
2 2 22 ブラッド・ケゼロウスキー フォード 82
3 5 60 クリス・ブッシャー フォード 82
4 7 54 ボリス・セイド トヨタ カムリ 82
12 17 28 J.J.イェリー トヨタ カムリ 82
15 12 18 ダニエル・サレス トヨタ カムリ 82
18 29 8 ブレイク・コッホ トヨタ カムリ 82
21 25 14 ケール・コンリー トヨタ カムリ 82
24 27 24 エリック・マクルーア トヨタ カムリ 82
25 32 26 トミー・ドリッシ トヨタ カムリ 81
26 34 44 デイビッド・スター トヨタ カムリ 81
29 18 20 ケニー・ハブル トヨタ カムリ 74
40 30 19 ジェフ・グリーン トヨタ カムリ 3
ドライバーズポイント
順位ドライバー名メーカーポイント
1 クリス・ブッシャー フォード 724
2 チェイス・エリオット シボレー 700
3 タイ・ディロン シボレー 700
7 ダニエル・サレス トヨタ 625
13 J.J.イェリー トヨタ 483
16 デイビッド・スター トヨタ 450
17 ブレイク・コッホ トヨタ 386
18 ケール・コンリー トヨタ 371
20 エリック・マクルーア トヨタ 353
28 マイク・ブリス トヨタ 141
34 ボリス・セイド トヨタ 87
40 ジェフ・グリーン トヨタ 64
44 ケニー・ウォレス トヨタ 56
45 ベニー・ゴードン トヨタ 39
46 ロス・ケンゼス トヨタ 39
50 マット・ウォレス トヨタ 30
52 Cj.フェイソン トヨタ 25
53 チャールズ・ルワンドスキ トヨタ 23
55 トミー・ドリッシ トヨタ 19
61 ケニー・ハブル トヨタ 15
66 ジャスティン・マークス トヨタ 10
マニュファクチャラーズポイント
順位メーカーポイント
1 フォード 888
2 シボレー 862
3 トヨタ 858
4 ダッジ 251