エクスフィニティ戦ではボリス・セイドが6位
トラック戦ではエリック・ジョーンズがロードコース初勝利!
スプリント・カップ・シリーズが休みの週末、エクスフィニティ・シリーズがウィスコンシンのロードアメリカ、キャンピング・ワールド・トラック・シリーズがカナダのモスポート・パークと別のロードコースでそれぞれ開催された。エクスフィニティ・シリーズでは、引退レースとなったベテランロードコーススペシャリスト、ボリス・セイドが6位フィニッシュ。トラック・シリーズでは期待のルーキー、エリック・ジョーンズがロードコース初勝利で今季2勝目を挙げ、ランキング首位浮上。"トヨタ タンドラ"はトップ3を独占した。
NASCAR XFINITY SERIES
第23戦 Road America 180
開催日:8月29日
ボリス・セイドが自身のラストレースで6位フィニッシュ
自身のラストレースで6位フィニッシュを果たしたボリス・セイド(#54)
8月29日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第23戦「Road America 180」が米国北部ウィスコンシン州エルクハートレイクのロードコース、ロードアメリカで開催された。
この週末は最高峰スプリント・カップ・シリーズは開催されず、エクスフィニティ・シリーズとキャンピング・ワールド・トラック・シリーズがそれぞれ異なるロードコースでの開催。エクスフィニティ・シリーズでは、8月中に開催される3つのロードコース戦の最後を飾るレースとしての開催となった。
ロードアメリカはアメリカにおけるスポーツカーレースの舞台として知られているが、NASCARはエクスフィニティ・シリーズのみが2010年より行われている。トヨタは未勝利。
トヨタ勢は今大会もロードコーススペシャリストとして、52歳のベテラン、ボリス・セイド、42歳のケニー・ハブル、56歳のトミー・ドリッシを起用。セイドは今大会をもってNASCARレースを引退することを表明しており、ル・マン24時間レースにも参戦経験を持つベテランドライバーのラストランに注目が集まった。
28日(金)の2度の練習走行を経て、29日(土)決勝を前に午前11時15分より予選が行われ、セイドが7番手。今季よりエクスフィニティ・シリーズにフル参戦している23歳のメキシコ人ドライバー、ダニエル・サレスが10番手。ハブルが14番手につけ、10台の"トヨタ カムリ"が決勝へと進んだ。
予選に続き、好天に恵まれたロードアメリカで、午後2時23分に4.048マイルロードコースを45周(182.16マイル:約300km)して競われる決勝レースのスタートが切られた。
1周目、いきなり29番手スタートのドリッシがコースオフし、イエローコーション。4周目に再スタートが切られると、セイドは僅か2周で3位までポジションアップしてみせた。
ハブルもトップ10圏内へと浮上する一方で、メキシコシリーズの経験でロードコース戦も得意としているサレスは、タイヤグリップの低下に苦しみ、11周目にグリーンピット。翌周以降、セイド、ハブルも含め、続々とグリーン下でのピットへ向かった。
ハブルはピットアウト時にエンジンストールを喫し、タイムロス。全車が最初のグリーンピットを終えた時点で、セイドが9位、サレス11位、ハブル15位となった。
23周目、25位走行中のケール・コンリーがエンジンブローでイエローコーション。ちょうどレース折り返しとなるこの時点では、燃料をフルに入れても最後まで走り切るのは難しいため、上位勢はコース上に残ったが、セイド、ハブル、サレスはピットイン。ここで給油のみとしたハブル16位、サレス18位、タイヤを4本交換したセイドは22位へ後退。
残り19周での再スタートが切られ、ハブル、セイドは着実にポジションをアップする一方で、サレスは痛恨のタイヤパンクでスローダウン。翌周タイヤ交換のためグリーンピットを強いられ、28位まで順位を落としてしまった。
タイヤを交換したセイドは,その優位性を活かしライバルを次々にパス。ハブルもかわし、再スタート後2周でトップ10圏内へ。
残りが16周を切ると,グリーン下での最後の給油ピットに向かう車両が出始め、セイドとハブルは更にポジションアップ。29周目、5位、6位まで上がったところで、セイドとハブルも最後の給油のためにグリーンピット。全車がピットを終えた時点で、給油のみとしたセイドが10位、タイヤも交換したハブルは14位へ。サレスはトランスミッションのトラブルにも見舞われ、追い上げも苦しい状況となってしまった。
残り10周でコースオフ車両によりイエローコーション。これでほぼ上位勢は最後のピットを終えたが、中盤のコーションでのピットの後、最後まで走り切るギャンブルに出たブレイク・コッホが首位、デイビッド・スターが5位に浮上。シリーズのキャリア7年目でまだトップ10フィニッシュのないコッホがこのギャンブルを成功させられるかが焦点となった。
各車燃料をセーブすべく、途中でエンジンをカットオフしながらのフォーメーションラップ中、別の車両がバッテリートラブルでコース上にストップ。更に、コース上にオイルも出たために、フォーメーションラップが長引き、燃料セーブ組には有利になるかと思われた。
しかし、長引くフォーメーションラップ中にも、次々に燃料切れのためにピットインする車両が出始め、ついには、首位のコッホもコース上にストップ。コッホもバッテリートラブルのため再スタート出来ず、マーシャル車両に押されてピットへと向かい、大きく順位を落とすこととなってしまった。
残り4周で、スターが4位、セイドが6位、ハブル12位で再スタート。4位のスターが出遅れ、これに阻まれる形となったセイドは、なんとかスターをかわし、その周の終わりには5位へ。しかし、惜しくも1台にかわされ6位でチェッカー。ハブルは14位、スターは20位に終わった。
次戦第24戦は9月5日(土)、米国南東部サウスカロライナ州ダーリントンのダーリントン・レースウェイで行われる。
TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。
ドライバー ボリス・セイド:
「走り始めからオーバーステア症状に苦しんだ。もう一回練習走行でのロングランを試したかった。とはいえ、私のキャリアの締めくくりとしては、6位フィニッシュというのはこれ以上無い結果だ。この機会を与えてくれた全ての人に感謝する。我々の"トヨタ カムリ"は最高の車両で、最高のチームと共に戦えた。30年以上にわたってレースを戦ってきたが、悔いは無い」
ドライバー ブレイク・コッホ:
「まずスポンサーに感謝したい。ミルウォーキーのオフィスから多くの関係者が応援に来てくれた。彼らの前で首位を走れたことは誇らしい。素晴らしい経験だった。自分自身ベストな走りが出来た。我々は最後まで燃料が持つはずで、最後のコーションの時も燃料を徹底的にセーブした。しかし、バッテリートラブルに見舞われ再始動出来ず、ピットインせざるを得なかった。しかしクルーは素晴らしい作業で周回遅れになることなくコースへと戻してくれた。そのまま最後まで走れていればもっと素晴らしいレースになっただろう」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 8 | 33 | ポール・メナード | シボレー | 45 | ||
2 | 3 | 22 | ライアン・ブレイニー | フォード | 45 | ||
3 | 5 | 2 | ブライアン・スコット | シボレー | 45 | ||
6 | 7 | 54 | ボリス・セイド | トヨタ カムリ | 45 | ||
14 | 14 | 20 | ケニー・ハブル | トヨタ カムリ | 45 | ||
20 | 27 | 44 | デイビッド・スター | トヨタ カムリ | 45 | ||
21 | 22 | 8 | ブレイク・コッホ | トヨタ カムリ | 45 | ||
23 | 28 | 24 | エリック・マクルーア | トヨタ カムリ | 45 | ||
24 | 10 | 18 | ダニエル・サレス | トヨタ カムリ | 45 | ||
35 | 21 | 28 | J.J.イェリー | トヨタ カムリ | 35 | ||
36 | 29 | 26 | トミー・ドリッシ | トヨタ カムリ | 35 | ||
37 | 31 | 14 | ケール・コンリー | トヨタ カムリ | 22 | ||
40 | 30 | 19 | ジェフ・グリーン | トヨタ カムリ | 2 | ||
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NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第15戦 Chevrolet Silverado 250
開催日:8月30日
エリック・ジョーンズがロードコース戦初勝利!
"トヨタ タンドラ"がトップ3独占!
今季2勝目、ロードコースでの初勝利を飾ったエリック・ジョーンズ(#4)
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第15戦「Chevrolet Silverado 250」が8月30日(日)にカナダ・オンタリオ州ボウマンヴィルのカナディアン・タイヤ・モスポート・パークで開催された。
今大会は同シリーズでは唯一、米国外での開催、かつ唯一のロードレース戦。この週末はスプリント・カップ・シリーズが行われず、また、前日に遠く離れたロードアメリカでエクスフィニティ・シリーズが開催されたため、シリーズレギュラードライバーと新人スポット参戦ドライバーを中心に戦われた。
同コースでのレースは、2年前に13年ぶりのロードコース戦、シリーズ初の国外開催として始められ、今年で3年目を迎える。"トヨタ タンドラ"は過去2年連続で惜しくも2位フィニッシュ。トラック・シリーズ唯一のロードコース戦での戦いぶりに注目が集まった。
29日(土)朝から2度にわたる練習走行を経て、午後5時45分より予選が行われ、今季よりシリーズにフル参戦、僅差のランキング3位につけている19歳のエリック・ジョーンズが2番手グリッド。2年連続のシリーズチャンピオンで今年も現在ランキング2位のマット・クラフトンが3番手。ベン・ケネディが6番手、カナダ出身でホームレースとなる18歳、キャメロン・ヘイリーが7番手、ジョニー・ソーターが8番手。トラック・シリーズ2戦目の出場となる17歳のグレイ・ゴールディングが8番手。ベテランのジョニー・ソーターとティモシー・ピーターズが9,10番手で続き、9台の"トヨタ タンドラ"が決勝レースへと進んだ。
30日(日)レース前のセレモニーでアメリカ国歌と共にカナダ国歌も斉唱された後、好天の下、午後1時57分に2.459マイルロードコースを64周(157.37マイル:約250km)して競われる決勝レースがスタート。
スタートは順当に切られ、予選グリッドのまま数周が推移。このコースでは、燃料をフルに入れた状態でおよそ25周から30周出来るが、レース中1回の給油では足りないため、7周目が過ぎたあたりから、上位勢もグリーンピットが始まった。
地元カナダ出身で、チャンプカーやインディカーでも活躍、今回スポット参戦でポールポジションから首位を逃げたアレックス・タグリアーニ(フォード)も7周目にピットへ向かったため、エリック・ジョーンズが首位浮上。クラフトンが2位、ヘイリーが4位へとポジションアップ。
多くの車両が10周目あたりまでに最初のグリーンピットを済ませたのに対し、エリック・ジョーンズ、クラフトン、ヘイリー、ゴールディングの4台はピットを引っ張り、13周目にエリック・ジョーンズとクラフトンがピットイン。彼らがピットを出るタイミングで、コース上に車両が停止したためこの日最初のイエローコーションとなった。
これでエリック・ジョーンズは7位、クラフトンは12位へと後退。ヘイリーは唯一ピットに向かわず首位浮上。母国レースのファンの前で首位を走行することとなった。
17周目に再スタートが切られる直前、4列目につけていた7位のエリック・ジョーンズの前にいた3位と5位の車両が揃ってピットへ。これで一気にヘイリーの直後へエリック・ジョーンズが続き、2位へ浮上。
翌周クラッシュ車両によるイエローコーションが出され、22周目に再スタートが切られたが、ヘイリーは首位をキープ。エリック・ジョーンズはシボレー期待の17歳、コール・カスターとタグリアーニにかわされ4位へ後退。
コンマ5秒ほどの差で首位を逃げるヘイリーだったが、26周目の最終コーナーでタグリアーニにインをつかれ、接触しハーフスピン。何とか立て直したものの、エリック・ジョーンズ、ケネディにもかわされ5位に後退。スタートからピットに入っていなかったヘイリーは、翌周ピットへ。20位へとポジションを落としてしまった。
エリック・ジョーンズはそのまま3位を走行。残りが27周ほどとなった37周目、前のタグリアーニとカスターがグリーンピット。これでエリック・ジョーンズは首位に浮上したが、翌周ピットへ。クラフトンもその翌周、1周のみながら貴重なリードラップボーナスを獲得し、グリーン下でピットへ向かった。
ヘイリーを除くほとんどの車両が最後まで走り切るための給油グリーンピットを終えた42周目、エリック・ジョーンズはカスターに続く2位、ケネディが3位、ヘイリーが5位、クラフトン6位、ソーターが7位で終盤戦へ。
44周目にクラッシュ車両によりこの日3度目のイエローコーションが出されると、ヘイリーは給油のためピットへ向かい、15位へ後退。
48周目の再スタートでは、ストレートから1コーナーにかけて若干エリック・ジョーンズが先行するも、逆転には至らず、上位勢の順位はそのまま推移。後方では、ヘイリーが11位へとジャンプアップを果たした。
49周目、15位走行中のマット・ティフトがコースオフしタイヤバリアにクラッシュ。この日4度目のイエローコーション。
残り12周での再スタートが切られると、最前列アウト側のエリック・ジョーンズが1コーナーでのサイド・バイ・サイドバトルを制し首位浮上。その後方では、2位カスターと3位タグリアーニが接触しながらの激しい2位争いを展開し、カスターはスピン。これでケネディが3位、クラフトン4位、ソーター5位へとポジションアップ。
首位を逃げるエリック・ジョーンズに、タグリアーニが1秒以内で追走。3位以下を引き離し、2台のマッチレース状態となった。しかし、残り5周というところで、現在ドライバーズランキング首位につける19歳のタイラー・レディック(フォード)とゴールディングが9位争いの末に接触。レディックがタイヤバリアに激しくクラッシュし、イエローコーション。レースは最後の2周で決されることとなった。
再スタートはイン側のエリック・ジョーンズが先行。タグリアーニがテール・トゥ・ノーズでこれを追う形で迎えたファイナルラップ、バックストレートでタグリアーニはトランスミッショントラブルに見舞われ失速。エリック・ジョーンズがそのままトップでチェッカー。今季2勝目、自身ロードコース戦での初勝利を飾った。
タグリアーニをかわしたクラフトンが2位、ケネディが自身最高位タイとなる3位に入り、"トヨタ タンドラ"はトップ3を独占。ソーターが6位。ヘイリーは終盤追い上げ7位と、初のホームレースでトップ10フィニッシュを果たした。また、この勝利で、"トヨタ タンドラ"はトラック・シリーズで現在レースが行われている全てのコースで勝利を挙げることとなった。
今大会、中国系アメリカ人として初めてNASCARトップ3カテゴリーにデビューすることとなったブライアン・ウォンはデビュー戦で12位完走を果たした。
今大会の結果、レディックが19位に終わったため、優勝したエリック・ジョーンズがランキング首位に浮上。クラフトンが3ポイント差の2位につけている。
次戦第16戦は9月18日(金)に米国中部イリノイ州ジョリエットのシカゴランド・スピードウェイで開催される。
TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。
ドライバー エリック・ジョーンズ:
「信じられない。特に、(アレックス)タグリアーニやその他のライバルと戦っての勝利は格別だ。昨年初めてのロードコース参戦で学び、成長して今年,チームと共に勝てたことが本当に嬉しい。この勢いで今後の数週間も戦って行ければと思う。最後の再スタートでは、彼(タグリアーニ)をかわさなくてはならないこと、1コーナーまでにかわせなければその先が厳しくなり、勝利も難しいことは分かっていた。ハードなレースを戦い、良いショーを見せられたと思う。彼とのバトルは楽しかった。2戦目のロードコースで勝てて最高だ」
ドライバー マット・クラフトン:
「もう一度再スタートのチャンスがあったら逆転を狙っていただろう。4号車(エリック・ジョーンズ)と29号車(アレックス・タグリアーニ)からは離されていたが、チェッカー目前になって追いつき、勝負が出来ると感じた。最後の再スタートは望んだものではなかったが、おかげでトップ2フィニッシュ出来たことは悪くない。特に、2年前のここではひどい結果で、我々がロードコース戦でも速いということを示したかった。クルーチーフとクルーが頑張ってくれたおかげで、昨年もまずまずの結果(6位)だったが、今年は更に良い結果を出せた。素晴らしいクルーに感謝する。彼らと一緒に戦える私は幸運だ。ポイントの面では心配していない。この勢いを維持することが重要だ」
ドライバー キャメロン・ヘイリー:
「この週末、最高の"トヨタ タンドラ"でカナダでのレースを戦えた。レース終盤は若干のアンダーステア症状を抱え、上位争いに復帰することは出来なかった。しかし、地元の観客の前で、首位を走行出来たのは本当に素晴らしい経験だった。カナダでのレースを愛しているし、多くの素晴らしいファンからの応援を受けられて、ファンタスティックな週末だった」
リザルト
決勝結果 | |||||||
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順位 | 予選 | No. | ドライバー名 | 車種 | 周回 | ||
1 | 2 | 4 | エリック・ジョーンズ | トヨタ タンドラ | 64 | ||
2 | 3 | 88 | マット・クラフトン | トヨタ タンドラ | 64 | ||
3 | 6 | 11 | ベン・ケネディ | トヨタ タンドラ | 64 | ||
6 | 9 | 98 | ジョニー・ソーター | トヨタ タンドラ | 64 | ||
7 | 7 | 13 | キャメロン・ヘイリー | トヨタ タンドラ | 64 | ||
11 | 8 | 54 | グレイ・ゴールディング | トヨタ タンドラ | 64 | ||
12 | 19 | 25 | ブライアン・ウォン | トヨタ タンドラ | 64 | ||
22 | 10 | 17 | ティモシー・ピーターズ | トヨタ タンドラ | 57 | ||
23 | 15 | 51 | マット・ティフト | トヨタ タンドラ | 56 | ||
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