2003年7月14日(月)配信

GOODWOOD FESTIVAL OF SPEED
トヨタモータースポーツ挑戦と栄光への歴史 一堂に疾走
10周年を迎えた伝統と格式を誇るグッドウッドで勇姿を披露

幻のトヨタ7・ターボやル・マン仕様のTS010らと共に、最新のF1カーが揃ってタイムトライアルを見せる
幻のトヨタ7・ターボやル・マン仕様のTS010らと共に、
最新のF1カーが揃ってタイムトライアルを見せる
 モータリゼーションとモータースポーツの足跡をつぶさに現代へと蘇えらせるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード。その10周年大会が、イギリス・ロンドン南方70マイルに位置するグッドウッド・チチェスターで開催された。
 昨年、トヨタはこの伝統のイベントに初参加。13万人の大観衆に脈々と培われてきた飽くなきチャレンジスピリットを披露した。その期待と声援に応えるために、今年はさらに充実したトヨタモータースポーツのフルラインナップで、世界から集まった名だたる名車、栄光のマシンに加わった。
 全長1.16マイル(1.856Km)のヒルクライムに出場したのは、新たに復元された幻のトヨタ7・ターボを始め、トヨタ・セリカ・Gr.Bサファリラリー仕様、トヨタTS010ル・マン24時間レースカー、イーグル・トヨタMk3・GTPレースカー、トヨタ・タコマ・パイクスピーク・ヒルクライム仕様、そして、F1GPで激戦を続けるトヨタTF103などなど。
 注目のドライバーもトヨタ7・ターボは、トヨタの斎藤明彦副社長とC.ダ・マッタがハンドルを握り走行、トヨタTS010は、ル・マン24時間レースで日本人初の表彰台を獲得した関谷正徳が極限へのドラマを彷彿。トヨタ・セリカ・Gr.Bは、サファリラリー初優勝をものにしたB.ワルデガルドが豪快な走りを見せ、トヨタTF103のコクピットにはO.パニスが収まり、来週に迫ったF1イギリスGPへの期待をいやがうえにも盛り上げた。
 トヨタパワーの時代を超えた力走は、快晴のもと、昨年にも増す15万人余りのモータースポーツファンに栄光への熱い血統を余す所なくアピールした。
見事復元された、
見事復元された、トヨタ7・ターボに注目が集まった
 グッドウッド・フェスティバル オブ スピードは、1993年から、チャーチル・マーチ卿が広大な敷地を解放、今年で11回目の開催となる。毎年、イベントタイトルが掲げられるが、今回はFestival of Speed-The First Decade。 時代を駆け抜け、記録を塗り替えてきた名車と、名ドライバーが集った。  参加車は、4輪車が約200台、モーターサイクルが約50台の合計250台余り。トヨタ社員有志の情熱と努力で復元されたトヨタ7・ターボも斎藤副社長、そして、C.ダ・マッタと共に豪快なV8サウンドを轟かせてヒルクライム。33年の歳月をタイムトリップ。モータースポーツに賭ける夢と情熱を、過去から未来へと着実に繋いだ。

トヨタ自動車(株)取締役副社長 斎藤明彦:

「昨年は、このイベントもトヨタ7の運転も始めてで、 非常に感激したが、今年はより深い感動を覚えた。理由は、これだけ大勢の観客が、なぜここに集うのかということ。先月北米でトヨタ2000GTと共に、クラシックラリーに出場した時と同じく、車を楽しむ文化とは何かということを再認識させられた。今後も、多くの方に車を楽しんでもらうため、トヨタが何をすべきかを、さらに考えなくてはならないと感じている」


トヨタ自動車(株)モータースポーツ部長 松井 誠:

「以前から知ってはいたが、今回初めて訪れて、このイベントの偉大さを感じた。車の面白さを歴史から楽しめるイベントであり、マニアに限らず15万人もの老若男女が集う、モータースポーツファンの層の厚さを痛感した。このようなイベントを近い将来日本でも行えることを期待したい。いつものモータースポーツイベントと異なり、ゆったりと、レーシングサウンドをバックに美しいレーシングカーを眺めながらの素晴らしい週末であった」


TOYOTA 7 Turbo

ドライバー:C.ダ・マッタ (パナソニック・トヨタ・レーシング)
「トヨタ7・ターボは、33年も前のレーシングカーとは思えないほどジェントルだった。慣れない右ハンドル、左ギアチェンジだったがとても楽しく運転出来た。ものすごくパワフルで、トヨタが、当時からチャレンジ・スピリットに満ち溢れていたことを実感した。貴重なレーシングカーなので、無理せず、ファン・トゥ・ドライブを充分に楽しんだ」


車名:トヨタ7ターボ
年式:1970年


3リットル、5リットルと進化したトヨタ7の究極のマシン。Gr7仕様としては世界初のターボチャージャーを搭載。800馬力を発生し、620kgの車体を350km/hまで引っ張った。しかし、実戦を戦うことなく1970年の富士1000kmレースでエキジビション走行。


TOYOTA TS010 Le Mans

ドライバー:関谷正徳 (元トヨタ・ワークス/トムス)
「物凄く感激した。話では聞いていたが、ここまで素晴らしいイベントだとは思っていなかった。日本にも、過去を捨てて急ぎ過ぎた日本の車文化を振り返る、このようなイベントが絶対に必要だ。日本のモータースポーツを振り返り、我々が戦ってきた歴史と情熱の証を、今、そして、未来へと伝え続けることを、真剣に考えなくてはならない」


車名:トヨタTS010
年式:1992年


SWC第1戦で優勝後、ル・マン24時間レースに挑み、激しく首位攻防戦を展開。勝利を目前にしながら惜しくも2位フィニッシュ。しかし、関谷正徳は、見事日本人として初の表彰台を獲得。ル・マン仕様の3.5リットル10気筒エンジンは640馬力を発揮した。


TOYOTA CELICA TwinCamTurbo

ドライバー:B.ワルデガルド (元TTE)
「懐かしい顔にたくさん出会え、当時のライバル達と楽しい週末を過ごすことが出来た。サファリラリーは、私にとって最も思い出深いラリーであると同時にトヨタモータースポーツにとっても、重要な勝利であった。今のWRカーより遥かにパワフルで車高もあるサファリ仕様のセリカ・ターボGr.Bは、このコースでは暴れ馬だったが、ファンには喜んでもらえたと思う」


車名:トヨタ・セリカ・ツインカム・ターボGr.B仕様
年式:1985年


1983年のWRC1000湖ラリーでデビュー。翌1984年のサファリラリーに初出場。B.ワルデガルドが初のターボ車で初優勝という新記録達成。1985年、1986年と見事連勝し、サファリラリー3連覇の偉業を達成。


TOYOTA TF103

ドライバー:O.パニス (パナソニック・トヨタ・レーシング)
「合同テストを終えて駆けつけたので、1日だけの参加だったが、初めてのグッドウッドはとても楽しめた。今まで経験したことが無いほど多くのファンと身近に接することが出来、2000人位と写真を撮り、サインをしたような気さえしている。このコースでは、TF103のほんの一部しかアピール出来なかったが、パワーは分かってもらえたと思う」


車名:トヨタTF103
年式:2003年


パナソニック・トヨタ・レーシングが並み居る強豪を相手にF1GPを転戦。O.パニスとC.ダ・マッタの2人のドライバーが激戦の中でポイント獲得へと挑む。参戦2年目の今シーズンは、一気に戦闘力も向上。来週行われるイギリスGPでの活躍が期待される。


TOYOTA TACOMA PIKES PEAK & EAGLE TOYOTA Mk3 GTP

トヨタ・タコマ・パイクスピーク仕様
トヨタ・タコマ・パイクスピーク仕様

IMSA EAGLE TOYOTA MK3・GTP
IMSA EAGLE TOYOTA MK3・GTP
 今年の第11回 グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードは、7月11日(金)、12日(土)の両日、1.6マイルのコースを使用してプラクティスが行われ、13日(日)に、各カテゴリー、年代ごとに細かくクラス分けがなされて、ヒルクライム。大観衆を前に、時代を超越した迫力満点の力走が繰り広げられた。このヒルクライムでは、昨年、圧倒的スピードでトップタイムを叩きだしたセリカ・ターボに代わり、やはり、ロッド・ミレンのドライブでパイクスピーク・ヒルクライムで活躍した900馬力のモンスター・マシントヨタ・タコマが2年連続のトップタイム。同じくアメリカから参加のイーグル・トヨタMkIIIIも、1992年、1993年にIMSAシリーズ15連勝という圧倒的強さを発揮し2年連続メーカーチャンピオンを獲得した貫禄そのままにJ.M.ファンジオⅡのドライブで快走。CART、そして、現在のIRLへと繋がるアメリカン・スピリットを披露した。