トヨタ自動車、2009年のモータースポーツ活動および支援計画を発表
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、モータースポーツ活動をクルマの持つ「夢」や「感動」をお客様にもたらす大切なものと位置づけている。本年においては大変厳しい経営環境の下、大幅なコスト低減を図りながら、引き続きモータースポーツを推進する。
具体的には、「フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)」、日本の「SUPER GT」・「フォーミュラ・ニッポン」、米国の「NASCAR」等のトップカテゴリーへの参戦と、世界トップクラスで活躍が期待されるドライバーの育成を活動の柱とする。
F1については、参戦8年目を迎える本年は、レギュレーション変更に伴い、拡幅されたフロントウィングなどの外見上の特徴を持ち、パフォーマンスと信頼性の高まった新型F1カー TF109を投入する。
またドライバーについては、経験豊富なヤルノ・トゥルーリと2年目となるティモ・グロックの組み合わせで、初優勝を目指す。サードドライバーは、小林可夢偉がGP2に参戦しつつ、担当する。
日本では、SUPER GTで引き続きGT500クラスにおいて、今年よりレクサスブランドとして参戦し、レクサス SC430でタイトル奪還に挑む。またフォーミュラカーのトップカテゴリー、フォーミュラ・ニッポンへのエンジン供給を継続し、トヨタエンジン搭載車として4連覇を狙う。
米国のNASCARについては、最高峰のスプリント・カップ・シリーズ、並びに次位のネイションワイド・シリーズにおいて、昨年スプリント・カップで10勝したトヨタ カムリで引き続き参戦し、シリーズチャンピオンを目指す。また本年名称がキャンピング・ワールド・トラック・シリーズとなり、昨年マニュファクチャラーズとドライバーズのダブルタイトルを獲得した同シリーズにも、引き続きトヨタ タンドラで参戦する。
このほか、モータースポーツ振興の観点から、グラスルーツレベルのレースまで、多様なカテゴリー・イベントへの支援を行う。
世界のトップクラスドライバーの育成を目指し、トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム(以下TDP)を推進する。ウィリアムズF1チームの正ドライバーとして2年目を迎え、今季更なる活躍が期待される中嶋一貴など、本年は8名のドライバーを選出。
環境に配慮したモータースポーツの推進と、量産車両を含めたハイブリッドシステムの高効率化のために、モータースポーツ用ハイブリッドシステムの開発を継続する。
トヨタのモータースポーツ開発活動は、東富士研究所のモータースポーツ部を中心に、日本では、トヨタテクノクラフト(株)TRD(以下TRD)、欧州ではToyota Motorsport GmbH(トヨタ モータースポーツ有限会社、以下TMG)、米国ではTRD U.S.A., Inc.(以下、TRD-USA)を各地域の拠点として位置づけている。
【活動および支援計画概要】
1.フォーミュラ・ワン世界選手権
- 「パナソニック・トヨタ・レーシング(Panasonic Toyota Racing)」として、参戦8年目となる本年は「初優勝」と各戦でのポイント獲得を目指し活動を推進。
- 2009年仕様車として、TF109を導入。コース・走行状況を問わず安定した空力特性の発揮を狙い、シャシーを一新。また、サスペンション・ギヤボックスにも改良を加え、走行性能・信頼性双方ともに高いレベルを追求する。
- ドライバーは、ヤルノ・トゥルーリ(Jarno Trulli イタリア カーNo.9)に加えて、F1 2年目となるティモ・グロック(Timo Glock ドイツ カーNo.10)を起用する。なお、サードドライバーは、TDPの小林可夢偉(Kamui Kobayashi日本)が担当する。
- また、AT&Tウィリアムズに、RVX-09エンジンを供給する。
- タイヤはブリヂストン・ポテンザのスリックタイヤを使用する。
2.SUPER GT
- 国内レースのトップカテゴリー。GT500クラスにレクサスブランドで参戦。V8 3.4L エンジン(RV8KG)搭載のレクサス SC430について、TRDを通じチーム支援を行う。
- また、GT300クラスでは、V8 3L(RV8J)を搭載するレクサスIS350、V6 3.5L(2GR)を搭載するトヨタ カローラアクシオが参戦する。
チーム名 | カーNo. | 車両 | ドライバー | 備考 | タイヤ | |
---|---|---|---|---|---|---|
GT500 | レクサス チーム ルマン エネオス (LEXUS TEAM LeMans ENEOS) |
6 |
レクサス SC430 | 伊藤 大輔 (Daisuke Ito 日本) |
BS | |
ビヨン・ビルドハイム (Bjorn Wirdheim スウェーデン) |
||||||
レクサス チーム クラフト (LEXUS TEAM KRAFT) |
35 |
レクサス SC430 | 石浦宏明 (Hiroaki Ishiura 日本) |
TDP | BS | |
大嶋和也 (Kazuya Ohshima 日本) |
TDP | |||||
レクサス チーム ペトロナス トムス (LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S) |
36 |
レクサス SC430 | 脇阪 寿一 (Juichi Wakisaka 日本) |
BS | ||
アンドレ・ロッテラー (Andre Lotterer ドイツ) |
||||||
レクサス チーム ゼント セルモ (LEXUS TEAM ZENT cerumo) |
38 |
レクサス SC430 | 立川祐路 (Yuji Tachikawa 日本) |
BS | ||
リチャード・ライアン (Richard Lyons 北アイルランド) |
||||||
レクサス チーム サード (LEXUS TEAM SARD) |
39 |
レクサス SC430 | アンドレ・クート (Andre Couto ポルトガル) |
DL | ||
平手 晃平 (Kohei Hirate 日本) |
TDP | |||||
GT300 | レーシング・プロジェクト・バンドウ (RACING PROJECT BANDOH) |
19 |
レクサス IS350 | 織戸 学 (Manabu Orido 日本) |
YH | |
片岡 龍也 (Tatsuya Kataoka 日本) |
||||||
チーム レクリス ウィズ シフト (TEAM RECKLESS with SHIFT) |
30 |
レクサス IS350 | 佐々木 孝太 (Kouta Sasaki 日本) |
KH | ||
未 定 | ||||||
エーピーアール (apr) |
31 |
トヨタ カローラ アクシオ | 坂本 雄也 (Yuya Sakamoto 日本) |
YH | ||
山内 英輝 (Hideki Yamauchi 日本) |
||||||
エーピーアール (apr) |
74 |
トヨタ カローラ アクシオ | 井口 卓人 (Takuto Iguchi 日本) |
TDP | MI | |
国本 雄資 (Yuji Kunimoto 日本) |
TDP | |||||
TDP : トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム タイヤ=BS:ブリヂストン/DL:ダンロップ/KH:クムホ/YH:ヨコハマ/MI:ミシュラン |
3.全日本選手権 フォーミュラ・ニッポン
- 国内フォーミュラレースのトップカテゴリー。V8 3.4Lエンジン(RV8K)を5チーム8台に供給。
- タイヤは全車ブリヂストン製を使用する。
チーム名 | カーNo. | ドライバー | 備考 |
---|---|---|---|
ローソン チーム インパル (LAWSON TEAM IMPUL) |
1 |
松田 次生 (Tsugio Matsuda 日本) |
|
2 |
ブノワ・トレルイエ (Benoit Treluyer フランス) |
||
チーム インパル (TEAM IMPUL) |
20 |
平手 晃平 (Kohei Hirate 日本) |
TDPドライバー |
チーム ルマン (Team LeMans) |
7 |
国本 京佑 (Keisuke Kunimoto 日本) |
TDPドライバー |
8 |
石浦 宏明 (Hiroaki Ishiura 日本) |
TDPドライバー | |
ペトロナス チーム トムス (PETRONAS TEAM TOM'S) |
36 |
アンドレ・ロッテラー (Andre Lotterer ドイツ) |
|
37 |
大嶋 和也 (Kazuya Oshima 日本) |
TDPドライバー | |
セルモ/インギング (CERUMO/INGING) |
48 |
立川 祐路 (Yuji Tachikawa 日本) |
4.NASCAR
- 米国トヨタ自動車販売(株)およびTRD-USAを通じ、引き続きNASCARのナショナルシリーズ全てに参戦する。
- タイヤは全カテゴリーグッドイヤー製。
(1) NASCARスプリント・カップ・シリーズ(NASCAR Sprint Cup Series)
NASCARの最高峰カテゴリー。トヨタ カムリにて2007年※より参戦開始。
(*2007年はネクステル・カップ・シリーズ)
チーム名 | カーNo. | ドライバー |
---|---|---|
ジョー・ギブス・レーシング (Joe Gibbs Racing) |
11 |
デニー・ハムリン(Denny Hamlin) ※ネイションワイド・シリーズの一部にも参戦予定 |
18 |
カイル・ブッシュ(Kyle Busch) ※ネイションワイドおよびキャンピング・ワールド・トラックのそれぞれ一部にも参戦予定 |
|
20 |
ジョーイ・ロガーノ(Joey Logano) ※ネイションワイド・シリーズの一部にも参戦予定 |
|
レッドブル・レーシング (Red Bull Racing) |
82 |
スコット・スピード(Scott Speed) ※ネイションワイド・シリーズの一部にも参戦予定 |
83 |
ブライアン・ヴィッカーズ(Brian Vickers) ※ネイションワイド・シリーズの一部にも参戦予定 |
|
マイケル・ウォルトリップ・レーシング (Michael Waltrip Racing) |
00 |
デビッド・ロイティマン(David Reutimann) ※ネイションワイド・シリーズの一部にも参戦予定 |
55 |
マイケル・ウォルトリップ(Michael Waltrip) ※ネイションワイド・シリーズの一部にも参戦予定 |
|
JTG・ドアティ・レーシング (JTG-Daugherty Racing) |
47 |
マーコス・アンブローズ(Marcos Ambrose オーストラリア) |
ロビー・ゴードン・レーシング (Robby Gordon Racing) |
7 |
ロビー・ゴードン(Robby Gordon) |
【ドライバーの国籍は、特に表記無き時は米国】 |
(2) NASCAR・ネイションワイド・シリーズ(NASCAR Nationwide Series)
スプリント・カップ」に次ぐ人気カテゴリー。トヨタ カムリにて2007年*より参戦開始。
(*2007年はブッシュ・シリーズ)
チーム名 | カーNo. | ドライバー |
---|---|---|
ジョー・ギブス・レーシング (Joe Gibbs Racing) |
18 |
カイル・ブッシュ他(Kyle Busch and others) |
20 |
ジョーイ・ロガーノ他(Joey Logano and others) | |
マイケル・ウォルトリップ・レーシング (Michael Waltrip Racing) |
99 |
スコット・スピード(Scott Speed) |
99 |
マイケル・ウォルトリップ(Michael Waltrip) | |
ブラウン レーシング (Braun Racing) |
38 |
ジェイソン・リフラー(Jason Leffler) |
32 |
ブライアン・ヴィッカーズ他(Brian Vickers and others) | |
ジャーメイン・レーシング (Germain Racing) |
15 |
マイケル・アネット(Michael Annett) |
JTG・ドアティ・レーシング (JTG-Daugherty Racing) |
47 |
マイケル・マクドウェル(Michael McDowell) |
CJM レーシング (CJM Racing) |
11 |
スコット・ラガセイ・Jr.(Scott Lagasse Jr.) |
SK モータースポーツ (SK Motorsports) |
07 |
デヴィッド・グリーン(David Green) |
【ドライバーの国籍は全て米国】 |
(3) NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ(NASCAR Camping World Truck Series)
トヨタ タンドラにて2004年*より参戦を開始。
(*2008年まではクラフツマン・トラック・シリーズ)
チーム名 | カーNo. | ドライバー |
---|---|---|
レッド・ホース・レーシング (Red Horse Racing) |
1 |
ジョニー・ベンソン(Johnny Benson) |
11 |
T.J.ベル(T.J. Bell) | |
ランディ・モス・モータースポーツ (Randy Moss Motorsports) |
5 |
マイク・スキナー(Mike Skinner) |
81 |
テイラー・マルサム(Tayler Malsam) | |
HTモータースポーツ (HT Motorsports) |
24 |
デイビッド・スター(David Starr) |
ワイラー・レーシング (Wyler Racing) |
60 |
ステイシー・コンプトン(Stacy Compton) |
プレミア・レーシング (Premier Racing) |
17 |
ティモシー・ペターズ(Timothy Peters) |
ビリー・バリュー・モータースポーツ (Billy Ballew Motorsports) |
15 |
シェイン・シーグ(Shane Sieg) |
エクスプレス・モータースポーツ (Xpress Motorsports) |
16 |
ブライアン・スコット(Brian Scott) |
【ドライバーの国籍は全て米国】 |
5.その他の活動支援
(1)全日本F3選手権
- F1への登竜門となる、フォーミュラ・カテゴリー。トヨタは全日本クラスの3チーム5台に1AZ-FEエンジンを供給。
また、2008年よりスタートしたナショナルクラスの9台にも3S-GEエンジンを供給する。 - 今季よりタイヤは、全車ハンコックタイヤを使用する。
全日本クラスにおけるトヨタエンジン使用チームおよびドライバーラインナップは以下のとおり。
チーム名 | カーNo. | ドライバー(予定) | 備考 |
---|---|---|---|
トムス (TOM'S) |
1 |
マーカス・エリクソン(Marcus Ericsson スウェーデン) | |
36 |
井口 卓人(Takuto Iguchi 日本) | TDPドライバー | |
37 |
国本 雄資(Yuji Kunimoto 日本) | ||
ナウモータースポーツ (NOW MOTOR SPORTS) |
33 |
岩崎 祐貴(Yuki Iwasaki 日本) | |
デンソー チーム ル ボーセ (DENSO Team Le Beausset) |
62 |
嵯峨 宏紀(Kohki Saga 日本) |
(2)FCJ(フォーミュラチャレンジ・ジャパン)
- 4年目となるエントリークラスのフォーミュラ・カテゴリー。
車両は、FCJ専用独自開発車両(FC106)のワンメイク。
本年は4サーキットで7大会14戦開催。
(3)Netz Cup Vitz Race(ネッツカップヴィッツレース)
- 一般公道も走行可能なナンバー付車両で争われるレース。 (トヨタ ヴィッツRS 1.5L車をベースとする専用車両 トヨタ ヴィッツRS TRD Racing)
- 5つの地方シリーズ(北海道・東北・関東・関西・西日本)と特別戦1戦を開催予定。
(4)その他、各種活動への支援
I)日本
◇トヨタモータースポーツクラブ(TMSC)の活動支援
II)米国
(1)グランド・アメリカン・ロード・レーシング(Grand Am)シリーズに V8 5.0L(3UZ改)エンジンを供給。
(2)USAC(United States Auto Club)ミジェット・シリーズ、スプリント・シリーズ、シルバークラウン・シリーズにエンジンを供給。
(3)その他
- TORC (The Off Road Championship Series)およびNHRA(National Hot Rod Association)ドラッグレースに参加するトヨタ車を支援。
- インディカー・シリーズ第2戦のロングビーチ・グランプリへのスポンサード。 (ロングビーチ・グランプリへのスポンサードは、1975年以来35回目)
- NASCAR キャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第14戦ナッシュビルおよびスプリント・カップ・シリーズ第16戦インフィニオンへのスポンサード。
6.TDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)
- 世界および日本のトップカテゴリーにおいて活躍できるレーシングドライバーの育成を目的としたプログラム。才能ある人材を発掘し、それぞれが実力に応じてステップアップできるシステムとし、欧州・日本で以下のように展開。
(2009年TDP育成ドライバー一覧)
ドライバー | カテゴリー | チーム名 | (ご参考)06年参加カテゴリー | |
---|---|---|---|---|
欧州 | 中嶋 一貴 (Kazuki Nakajima 日本) |
フォーミュラ1 世界選手権 |
AT&Tウィリアムズ (AT&T Williams 英国) |
|
小林 可夢偉 (Kamui Kobayashi 日本) |
GP2シリーズ GP2アジアシリーズ |
DAMS (フランス) |
|
|
フォーミュラ1 世界選手権 |
パナソニック・トヨタ・レーシング(Panasonic Toyota Racing) 【サードドライバー】 |
|||
国内 | 平手 晃平(Kohei Hirate 日本) | フォーミュラ・ニッポン | チーム インパル(Team IMPUL) |
|
SUPER GT(GT500) | レクサス チーム サード(LEXUS TEAM SARD) | |||
石浦 宏明(Hiroaki Ishiura 日本) | フォーミュラ・ニッポン | チーム ルマン(Team LeMans) |
|
|
SUPER GT(GT500) | レクサス チーム クラフト(LEXUS TEAM KRAFT) | |||
国本 京佑(Keisuke Kunimoto 日本) | フォーミュラ・ニッポン | チーム ルマン(Team LeMans) |
|
|
大嶋 和也(Kazuya Oshima 日本) | フォーミュラ・ニッポン | ペトロナス チーム トムス(PETRONAS TEAM TOM'S) |
|
|
SUPER GT(GT500) | レクサス チーム クラフト(LEXUS TEAM KRAFT) | |||
井口 卓人(Takuto Iguchi 日本) | 全日本F3選手権 | ペトロナス チーム トムス(PETRONAS TEAM TOM'S) |
|
|
SUPER GT(GT300) | エーピーアール(apr) | |||
国本 雄資(Yuji Kunimoto 日本) | 全日本F3選手権 | ペトロナス チーム トムス(PETRONAS TEAM TOM'S) |
|
|
SUPER GT(GT300) | エーピーアール(apr) |
*フォーミュラトヨタ・レーシングスクール(FTRS)について
「フォーミュラトヨタ」を使用し、富士スピードウェイで実施するレーシングスクール。
TDPの一環として、基礎指導から模擬レース参加まで、2泊3日で行うレーシングスクール。本コース受講者の中から、優秀で将来性の見込めるドライバーに対しオーディションが行われ、最終選抜されたドライバーに次年度のスカラシップを実施。【2009年FTRS実施日程】 8月17日(月)~19日(水)