2010年10月 6日(水)配信

モータースポーツジャパン2010 フェスティバルインお台場

10月2日、3日の両日に渡り、92000人以上の来場者を迎え国内最大級のモータースポーツイベント「モータースポーツジャパン2010 フェスティバルインお台場」(以下、モータースポーツジャパン)が東京都お台場特設会場にて開催された。
このイベントは2006年より開催され、今年で5回目を迎えることとなる。

動画

 初開催時より出展しているトヨタブースでは、GAZOO Racingより、ニュルブルクリンク24時間レース参戦車両のLEXUS LFA 50、51号車の、スポーツハイブリッドコンセプト、ノアG'sを展示。グランツーリスモ5 FT86シミュレーターを設営。
そして、PETRONAS TOM'S SC430のほか、先般LGDA ヘルメットカラーリングコンテストで選ばれた作品の展示。トヨタブース内の特設ステージでは、GAZOO Racing、SUPER GT 500クラスやTDPドライバーによるトークショー、走行エリアでの、LFA、PETORONAS TOM'S SC430の走行や、プリウスによるハイブリッドチャレンジが行われた。

ハイブリッドチャレンジ

 会場内走行エリアで行われたGAZOO Racing ワクドキ ハイブリッドチャレンジは、ハイブリッド車を駆り運転者とナビゲート役の二人でタイムと燃費を競うレースである。今回は、ステアリングはレーシングドライバーが握り助手席に座るナビゲーターは来場者の中から公募した。ナビゲーターは、ペース配分をチェックしドライバーに伝えるという任務がある。参加ドライバーは、木下選手、脇阪選手、大嶋選手、国本選手の4名。そこへMCを務める今井優杏氏の参考記録用の1台を加え5台で競った。今井氏の参考記録が出ると、それを目標燃費とし、各車がチャレンジ。目標記録に勝ろうと燃費重視で慎重に走行をする者、またお客様を乗せていることから、レース魂に火がついたのか全くの燃費無視をしたり、全開で自分の走りをサービスし笑いを誘う者ありとそれぞれ。ECOな走りの中に、「競う」という楽しさを見出すこのレースは、参加型のモータースポーツとして、11月2日のスポーツランドSUGOを皮切りに今後もどんどん企画される予定。機会があれば、ぜひハイブリッドチャレンジにトライして欲しい。

GAZOO Racing

 今年5月に開催されたニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦車両のLFAが、モータースポーツジャパンに姿を見せた。
"人を育て、クルマを鍛える"ことを目的に取り組むこのニュルブルクリンク24時間レースプロジェクトのブースに展示された50号車と51号車の2台のクルマは、昨年の参戦車両と全く違ったカラーリングを施し目に新しい。ニュルブルクリンクで24時間レースを走り切ったそのままの姿で登場しているため、クルマの至るところの傷が大変生々しく、レースの過酷さを物語っている。このレースでクラス優勝を遂げた木下選手によるデモ走行も両日2回ずつに渡り行われ、特設コースに甲高いV10サウンドが轟いていた。ブースでは、LFAとドライバーと一緒に、ファンの方との記念撮影も行われ希望者が列を成していた。

 またGAZOO Racingトークショーには、木下、脇阪、大嶋の3選手が登場。ニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦した際のエピソードが語られた。ニュルブルクリンクでクラッシュしてしまうというほろ苦い経験をした脇阪選手。彼は誰もが知るベテランドライバーであり、記憶にないほどこのような経験をしていなかった。しかし、憧れのこのレース初参戦で久方ぶりに経験したクラッシュ。その際の故成瀬監督との温かいエピソードは、自身のブログでも語られているが大変感慨深く、心に響くものであった。
 彼は、SUPER GTとは一味違ったこのレースに、来年も参戦したいというよりも、またあの地に戻りたいという気持ちになったそうだ。参戦歴の長い木下選手や、脇阪選手同様初参戦の大嶋選手からもコースの難しさなどたくさんの事が語られたが、3人に共通して、短い時間では語りつくせないほど、レースの偉大さ、楽しさ、醍醐味がにじみ出るトークショーであった。

SUPER GT 1号車

昨年度のディフェンディングチャンピオン、LEXUS TEAM PETRONAS TOM'Sの今季参戦車両LEXUS SC430を用い、エンジン始動とメカニックによるタイヤ交換のパフォーマンスが行われた。タイヤ交換パフォーマンスは、2日間に渡りハプニングの連続。レーシングドライバーや、一般のお客様の飛び入り参加、MC陣が急きょ手にマイクを持つ代わりにインパクトレンチを持ち挑戦するなど、あれよあれよの展開に。初挑戦にして、レース時のピット作業さながらの機敏さの方もいるなど、チャレンジャーの仕事ぶりに対し、ギャラリーから拍手が沸く。MCが挑戦している時は、脇阪選手がマイクを持ち、お客様をこれまた急きょMCに指名とこちらも思わぬ展開。タイヤ交換の体験を終えたレースファンの方へ、脇阪選手から「いつもメカニックが失敗すると文句など言ってませんか?」という質問がされたが「メカニックの大変さがわかったので、もう文句を言いません」というユーモアな回答が飛び出てギャラリー大爆笑。思わぬ参加型イベントの誕生は、大変盛り上がる結果となった。
 また特設コースで行われたSUPER GT参戦車両3台による走行は、狭いコースを3台のクルマが縦横無尽に走りまわり、そのパフォーマンスで観客を魅了した。

その他

 SUPER GTトークショーでは、最終戦を控え今季のレースについて振り返った。レクサスチームでは現在4チームがチャンピオンの可能性を残しているため、トークには当然力が入る。3週間後、年間チャンピオンシップ賜杯をレクサスチームにもたらすことをそれぞれが誓った。
 TDP(トヨタヤングドライバーズプログラム)のトークショーでは、参加したドライバーから、育成プログラムの支援を受けるまでの彼らの道程や、TDPになって経験できたこと、TDPのお父さん的存在で校長の関谷正徳氏の話題で盛り上がった。若さがみなぎる彼らのこれからの活躍にますます期待したい。
 また3日(日)には、3回に渡って行われたT.M.N(トヨタ モータースポーツ ネット ワーク)公開収録として、SUPER GT、GAZOO Racing、TDPのドライバーを迎えたトークショーを実施。レースの裏側にスポットをあて、ドライバーからさまざまなエピソードを引き出した。
 中でもTDPトークショー では、来週にF1日本グランプリを控えた小林可夢偉選手が登場すると、ステージ周辺は黒山の人だかり。小林選手がF1ドライバーとして海外生活を始める際のエピソードなどが語られ、大いに盛り上がった。TDP の先輩後輩の話を振り返る話は、体育会系のノリがあり、みなそれぞれ飾らない性格で、モータースポーツの最高峰F1に参戦するドライバーでさえもとても身近に感じたに違いない。  サイン会や、サポーターズフォトシューティングなど、たくさんの催しものでファンサービスに務め、ドライバーたちは多忙な二日間を過ごした。
クルマ・モータースポーツファンを一人でも増やすべく奔走した二日間は、来年へ向けて全員で一本〆をし、盛況の内に幕を閉じた。