トヨタ自動車、2002年のモータースポーツ活動および支援計画を発表
トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)への初参戦、FedExチャンピオンシップ・シリーズ(CART)へのエンジン供給による参戦、および全日本GT選手権参戦を始めとする国内活動支援を中心とした、2002年のモータースポーツに関する活動および支援計画を発表した。
トヨタは、1999年1月のF1参戦表明以来、フル・コンストラクター(単独チーム)での参戦を目指し、チームの拠点となるトヨタモータースポーツ(有)(TMG:Toyota Motorsport GmbH、ドイツ・ケルン市、以下TMG)の施設の拡張を行うと同時に、グランプリ開催サーキットでのテスト走行を重ねるなど、F1カー開発を進めてきた。約3年間の準備期間を経て、今シーズン初戦となるオーストラリア・グランプリが、トヨタF1チーム「パナソニック・トヨタ・レーシング」にとってデビュー戦となる。
FedExチャンピオンシップシリーズ(CART)では、初のマニュファクチャラーズタイトル獲得に向け、参戦チーム(5チーム8台)へのエンジン供給を行うほか、国内においても全日本GT選手権シリーズや全日本F3選手権シリーズへの参戦支援を行う。
また、トップドライバーを継続的かつ長期的に育てることを目的としたトヨタ・ドライバー育成プログラムについては、日本国内での活動に加え、TMGを中心に欧州における活動も併せて行うことで、才能ある人材の発掘と育成を行っていく。
さらに、モータースポーツの基盤を支える活動については、日本国内でのワンメイクレースESSOフォーミュラトヨタシリーズやNetz Cup(ヴィッツシリーズ・アルテッツァシリーズ)の開催、米国でのCART・トヨタ・アトランティック・シリーズへのサポートなど、積極的な支援を継続的に行うことにより、モータースポーツの発展に寄与していく。
なお、トヨタのモータースポーツ活動は、東富士研究所のモータースポーツ部を中心に、トヨタテクノクラフト(株)TRD(日本)、TRD‐USA Inc.(米国)、TMG(欧州)の3ヵ所を各地域の拠点として位置付けて活動を行っている。
2002年の活動および支援活動の概要、およびトヨタ・ドライバー育成プログラムの内容は次の通り。
【活動および支援計画概要】
1.フォーミュラ・ワン世界選手権
- フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)へフル・コンストラクター(単独チーム)にて参戦
- ドライバーは、ミカ・サロ(24号車)およびアラン・マクニッシュ(25号車)
- テスト・ドライバーは、ステファン・サラザン、およびライアン・ブリスコ
- TMGを拠点とし、F1カー開発およびチーム活動を実施
- 日本サイドについては広範囲かつ迅速なレベルアップに向け、エンジン開発および材料技術、電子制御技術、生産技術等の先行開発を中心に担当、またエンジン主要部品等の供給も実施
2.FedExチャンピオンシップ・シリーズ(CART)
- FedExチャンピオンシップ・シリーズに参戦する5チーム8台を、米国トヨタ自動車販売(株)(以下、TMS)およびTRD-USAを通じ、エンジン開発・供給で支援
- 昨年、性能・燃費・信頼性に高い実績を残したRV8Fの進化型エンジン、RV8Fαを初戦より全チームに投入
トヨタRV8Fα・スペック | |
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型式名称 | RV8Fα |
エンジン形式 | V8ターボ |
排気量 | 2.65リットル |
ターボ加給圧 | 34インチ |
燃料 | メタノール |
- エンジン供給チームとドライバーは下記の通り
エンジン供給チームおよびドライバーのラインナップ | |
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チーム | ドライバー名 |
ニューマン/ハース・レーシング | クリスチアーノ・ダ・マッタ |
クリスチャン・フィッティパルディ | |
パックウエスト・レーシング・グループ | スコット・ディクソン |
オリオール・セルビア | |
パトリック・レーシング | タウンゼント・ベル |
ターゲット/チップ・ガナッシ・レーシング | ケニー・ブラック |
ブルーノ・ジュンケイラ | |
ウォーカー・レーシング | 高木虎之介 |
4.その他の活動支援
<日本国内>
- トヨタテクノクラフト(株) TRD(以下、TRD)を通じ、下記のカテゴリーへの支援を実施。TRDは、主に参戦マシン設計・開発・製作を担当するほか、トヨタ車を使用する各カテゴリーのプライベートチームへの技術的支援も実施
(1)全日本GT選手権シリーズ(JGTC)
- 全日本GT選手権 (JGTC)シリーズに参戦するチームを支援
- 参戦車両はスープラ(GT500クラス)およびMR-S(GT300クラス)
支援チームおよびドライバーラインナップ(暫定) | |||||
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チーム名 | ドライバー | ||||
GT500 | トヨタ・チーム・セルモ | 竹内浩典 | |||
立川祐路 | |||||
トヨタ・チーム・トムス | 土屋武士 | ||||
ワイン・ガードナー | |||||
黒澤琢弥 | |||||
パオロ・モンティン | |||||
トヨタ・チーム・ルマン | 脇阪寿一 | ||||
飯田章 | |||||
トヨタ・チーム・サード | ジェレミー・デュフォア | ||||
織戸学 | |||||
土屋エンジニアリング | 山路慎一 | ||||
荒聖治 | |||||
KRAFT | 影山正彦 | ||||
T.B.N. | |||||
GT300 | アペックス | 新田守男 | |||
高木真一 | |||||
RACING PROJECT BANDOH | 田中実 | ||||
後藤聡 | |||||
トムス・スピリット | 松永雅博 | ||||
T.B.N. | |||||
(T.B.N.:後日決定) |
(2)全日本F3選手権シリーズ
- 「全日本F3選手権」に参戦する下記チームを支援
支援チームおよびドライバーラインナップ(暫定) | |
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チーム名 | ドライバー |
トムス | パオロ・モンティン |
トムス | 横溝 直輝 |
トムス | 片岡 龍也 |
トムス | 平中 克幸 |
NOW MOTORSPORTS | 吉本 大樹 |
(3)ESSOフォーミュラ・トヨタ・シリーズ
- 1990年以来、ESSO(エッソ石油)にご支援を頂いている、ワンメイク・フォーミュラレース「ESSOフォーミュラトヨタ・シリーズ」の開催(全10戦)
- カーボンコンポジット製シャシーの採用による安全性向上、およびラジアルタイヤとL.S.D.の採用による上級カテゴリーへのステップアップを考慮した新型車(FT30)を今シーズンから採用
(4)Netz Cup 「アルテッツァ・シリーズ」および「ヴィッツ・シリーズ」
- 「観る」から「参加する」をコンセプトに2000年にスタート、これまで延べ約2600名(アルテッツァ・シリーズ約600名、ヴィッツ・シリーズ約2000名)の参加者を記録
- 主要サーキットを網羅する全国シリーズとし、全10戦を開催
- 昨年の4つの地方シリーズ(東北、関東、関西、西日本) 全25戦に、北海道シリーズ全2戦が加わった5シリーズ全27戦を開催
- 各地方シリーズの上位者が集うチャンピオン戦を富士スピードウェイにて実施
- 参戦用車両ヴィッツ TRD‐MSBが生産累計500台を達成(2月現在)
(5)その他各種グラスルーツ活動への支援
- 各種活動(スーパー耐久シリーズ、全日本ラリー選手権、全日本ダートトライアル選手権など)における参戦チームへの支援
- ヴィッツによるワンメイク・ラリー「TRD Vitz Challenge」の開催(全6戦)B級ライセンスで初心者も参加が可能なイベントを目指し、今シーズンよりスタート
- トヨタモータースポーツクラブ(TMSC)の活動支援等
<米国>
- TMSおよびTRD-USAを中心に、CARTへの参戦に加え、主に下記の活動を支援
(1)CART・トヨタ・アトランティック・チャンピオンシップ・シリーズ
- 4A-GEエンジンの供給について、2004年シーズンまで契約を更新
- 2002年は全12戦、約30台をサポート
(2)チャンピオンシップ・オフロード・レーシング(CORR)
- タンドラおよびタコマで参戦するチームを支援
(3)NASCAR Goody's ダッシュ
- セリカで参戦するチームを支援
(4)Grand-Amカップ・スポーツ・ツーリング
- レクサス IS300で参戦するチームを支援
(5)ナショナル・ホット・ロッド・アソシエーション(NHRA)ドラッグレース
- タンドラおよびセリカで参戦するチームを支援
- CARTチャンピオンシップ・シリーズにおいて、今年で28回目のスポンサードとなるロングビーチ・グランプリに加え、フォンタナの計2戦をスポンサード
- 2003年からのIRL(Indy Racing League)参戦に向けた3.5リットル V8エンジンの開発
<欧州>
- ヤリス(日本名ヴィッツ)1.3リットル車をベースとするワンメイクレースを開催、2002年は欧州5カ国(ギリシャ・ポルトガル・オランダ・ドイツ・ベルギー)で各6~8戦を開催予定
【トヨタ・ドライバー育成プログラム】
1.基本的な考え方
- 世界のトップカテゴリーにおいて活躍できるレーシングドライバーの育成を目的に、才能ある人材を発掘するとともに、継続的にステップアップできるプログラムを用意
2.プログラムの内容について
<日本における育成プログラム>(1)ESSO・フォーミュラトヨタ・スカラシップ
- レーシングKART、入門フォーミュラシリーズの成績優秀者などの中からフォーミュラトヨタ・レーシングスクールにて、候補者を数名選定(対象:20歳前後)
- 2002年については、番場琢(ばんば・たく)、平手晃平(ひらて・こうへい)、小林可夢偉(こばやし・かむい)の3名のESSOフォーミュラトヨタ・シリーズへの参戦を支援
- 当スカラシップはESSO(エッソ石油)の支援のもとで運営
(2)ESSO・トヨタ・F3スカラシップ
- ESSOフォーミュラトヨタ・シリーズのシリーズ上位入賞者を対象としたオーディションにて候補者を数名選定
- 2002年については、横溝直輝(よこみぞ・なおき)、片岡龍也(かたおか・たつや)、平中克幸(ひらなか・かつゆき)の3名の全日本F3選手権へのトムスからの参戦をバックアップ
- 当スカラシップはESSO(エッソ石油)の支援のもとで運営
(3)トヨタレーシングスクール(校長:関谷正徳)の開催
- ESSOフォーミュラトヨタ・レーシングスクールの実施
- 各スカラシップ選定者を対象としたトレーニングプログラムの実施
- レーシングカーの基礎知識、ドライビング理論、メンタル・フィジカル両面でのトレーニング等、幅広いメニューを実施
- 富士スピードウェイを拠点に、フォーミュラやツーリングカーを含めた、新たなレーシングスクールを設立(2005年本格スタートの予定)
(4)世界トップカテゴリーへ参戦するドライバーへの支援
- 昨年に引き続き、高木虎之介の"FedExチャンピオンシップ・シリーズ"への参戦を支援
- 優秀なドライバーのトップ・カテゴリーへの参戦支援については、継続的に検討
- TMGにより、将来のF1ドライバー育成を目標に活動を支援
- レーシングカーやドライビングに関する理論を学ぶとともに、メンタル・フィジカル両面でのトレーニングや、PRおよび語学等のトレーニングについても実施
- 2002年については、3名のドライバーの下記カテゴリーへの参戦を支援
ドライバー | 参戦カテゴリー | チーム |
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ライアン・ブリスコ | 国際F3000 | ノルディック・レーシング |
フランク・ペレラ | イタリアン・フォーミュラ・ルノー | プレマ・パワー |
アレックス・ストーケンフェルド | イタリアン・フォーミュラ・ルノー | プレマ・パワー |
<ご参考>
【富士スピードウェイ・全面リニューアル計画について】
- 2003年9月までは通常の営業を継続し、その後約一年半の工事期間を経て2005年4月に全面リニューアルオープンを予定
- 富士スピードウェイの主要な事業テーマである「モータースポーツの振興」、「安全運転の普及・推進」、「若者への情報発信基地」を基軸に「伝統の良さを生かした最新の施設を構築する」という方針で、リニューアルを実施